ワンサマーとプレデター   作:噛ませ犬

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第四話の翌日の話です。


第5話

 翌日、ここは東京・秋葉原。今の時間帯は昼間であり、多くの人が行き交っていた。中には外国人等が多くいて、近くには二台の観光バスが停まっており、沢山の中国人観光客が降りてきては、街の中を観光している。

 そんな街の中を歩いている三人の青年がいた。一夏、勇人、止の三人である。

 三人は身体にはプレデター特有の武器や装備を着けてはいない。武器や装備は右腕にあるコンピューターガントレットを操作して隠している。

 その為、いざと言う時にしか使ってはいけないのである。理由はエルダーから言われた為に。

 因みに彼等は何故、伊豆半島からこの東京に来たのは電車であり、勿論タダ乗りであるのと、ある人物のお願いがある為に。

 

「う~~っ」

 

 すると、ある人物は心の中で抑えきれない感情を爆発させたいのか、ワクワクしているーー止だった。

 

「止、気持ちは解らなくもないけど、少しは落ち着いたらどうだ?」

 

 そんな止に、近くにいる一夏は苦笑いを浮かべそう言い、勇人は頭を抱える。

 

「だってよ、三年振りの地球だ……」

「わっ、馬鹿っ!」

 

 止が何かを言い終わる前に一夏が慌てて、止の口を塞ぐ。理由は、自分達が別の惑星から地球へと戻って来た事を世間に知られてはいけない。

 もし、知られたら世界中の大半の国が自分達を調べようとするのと、プレデター達の武器を調べる危険もあるからだ。

 もしそうなってしまったら、自分達はコンピューターガントレットを操作して武器や装備もろとも、破壊と言う意味で自爆しなければならない。

 一夏は止が何かを言い掛けたのを止めようとしたのも、理由だけだてはなく、彼等のリーダーとして責任がある為に。

 話を戻そう、止は一夏に口を塞がれていたがジタバタして放れると困惑しながら、一夏に訊ねる。

 

「何すんだよ一夏!?」

「それは此方の台詞だ! お前が変な事を言おうとしたから止めようとしただけだ!」

「へっ、俺が何を言ったと言うのさ!?」

「それは……」

「おい、お前ら」

「へっ?」

 

 一夏は止と軽い口論をしていると、近くにいた勇人が二人の間に入り、辺りを見渡すように首を振る。

 周りには人が行き交うのと、自分達の様子を見ている人達が何人かはいる。

 しかし、一夏と止の様子を見ているは人達は二人の口論を気になっていたのだ。

 一夏はそれに気付くと、止と勇人にその場を離れるように命令し、三人はその場を離れた。

 

 

「全く、止はあんな事を言うからだろ?」

 

 数分後、一夏は未だ納得出来ない表情を浮かべながら腕を組み、勇人は呆れながらも眼を細め、止は辺りを見渡しながら歩いていた。

 勿論、一夏は止に言ってるが当の本人の止は一夏の話を聞くどころか、彼の心は「楽しみ」で満ちており聞いてはいない。

 

「止……ハァ~~」

 

 そんな止に一夏は呆れて溜め息を吐く。

 

「全く、何故、秋葉原に行きたいと言ったんだーー勇人」

 

 一夏は止から勇人を見る。そう、秋葉原に行きたいと言ったのは止ではなく、勇人だったのだ。

 三人は東京へ来るや否や、勇人が突然秋葉原に行きたいと言い出し、此処に来たのだ。

 一夏は反対はしなかったものの、止は大のヒーロー好きであり、秋葉原となればフィギュアが沢山ある為、尚更行かないと言う訳にはいかなかった。

 そんな一夏の問いに勇人は何も言わず、街の中を見て微笑んでいた。

 普段はクールなイメージが強い勇人が時々しか見せない、優しい表情を浮かべている。

 一夏は勇人を見て何も言わず微笑むと、この街で用はないけど少しは楽しむか、と口では言わないがそう思っていた。しかし、一夏は脳裏にある人物の顔が過る。

 織斑千冬ーー彼は一夏の姉であり、一夏が最も憎んでいる人物。

 三年前、自分が誘拐された時、名誉を選んだ女。それにあの件以来、一夏は姉に只ならぬ憎悪を抱いていた。

 あの女の顔が浮かぶ度に憎悪が増し、怒りが増してくる。それに、一夏はあの件とは縁を切る気もあった。

 自分の家族は誰もいない。自分は自立するつもりもあったーー嫌、そのつもりであった。

 あの女と逢ったら何を話そうか、嫌、あの女が絶望に包まれていく方法を考えた方が良いだろう。

 あの女が何を言おうが何をしょうが、自分は姉の元に戻るつもりはない。

 一夏は顔には出さないが心の中では抑えきれない感情を必死に押さえていた。

 最早、彼の憎悪は抑える事は出来ない。今は何とかなるだろうが遭う事になると最早、無理に等しい。

 

「でも……逆に良い事もあったな」

 

 一夏は、ふと、笑みを浮かべる。それはケルティックやエルダー達との出逢い。それは一夏にとっていい思い出だった。

 一夏はケルディックから武器の施しや扱いを頭に叩き込まれ、強くなった。三年と言う長くも短い時間を、一夏はケルディックと共に修行し、自分が誰にも干渉されない日々を過ごした。

 一夏から見ればケルディックと一緒にいる事は一夏自身にとって良い思い出であり、同時に一生消える事のない思い出でもある。

 しかし、ケルティックは誇りあるプレデターだった。

 彼は一夏の義理の兄みたいな存在だったがそれでも関係ない。彼がいたから今の自分がいる。

 隼人や止とも出逢い。彼等のリーダーとして責任を任される身を受け持ったのだ。

 彼等を部下としてではなく、仲間として、親友として接して行こう、と。

 それは一夏の心が憎悪で支配されている中、僅かながらに友情が残っている事を意味していた。

 それは一夏にとって幸ある事だろう。彼らが死ぬ事になったら別だが……。

 

 一夏は隼人や止と共に歩き続けていた。

 

「ふぎやっ!?」

 

 刹那、止が前に倒れる。一夏と勇人が止が倒れたのに気付き止の方を見ると、止の背中にのし掛かるようにうつ伏せに倒れている十代後半の少女に気付く。

 少女は右手に黒い鞄を持っているが少女は起き上がる。

 その少女は、少し長めだが外側に跳ねている毛先が特徴的な清楚ある水色の髪に、赤い瞳。

 服は白いシャツに下には蒼いズボンや、白い靴を履いている。

 

「いたた、っ!」

 

 少女は止を見て慌てて立ち上がると、止に対し頭を下げずに、その場を離れようとして走り去っていこうとした。

「ちょっと待て!」

 

 一夏が怒りを抑えきれず少女の手首を掴み、少女は突然掴まれた事に戸惑いながらも、一夏は見る。

 

「放して! 私は急いでるのよ!」

「ふざけんな!! ぶつかって謝りもなしでその場から逃げようとするなんて最低な事だろうが!?」

「それは悪かったわ! ……でも、今は私の手を離して!! 時間が無いの!!」

「そんなもん知るか!! それよりもさっさ……っ!?」

 

 一夏は再び怒るも、少女の顔を一瞬だけ見て眼を見開く。少女は目尻に涙を浮かべていたーー紅い瞳に似つかわしくない涙を流していた。

 一夏は何も言えず、少女の手首を掴んでいた手の力を緩める。その隙に少女は一夏の手を振り解き、その場を離れるように走り去って行った。

 

「あっ、待てこの野郎!」

 

 止は追い掛けようとしたが一夏に制止される。因みに止は一夏と少女が会話している間に起き上がり、勇人は止に手を貸さず、一夏と少女のやり取りを静観していた。

 

「ちょっ、どうしたんだよ一夏!? あの女、謝りもしなかったんだぞ!?」

「……あいつ泣いてた」

「えっ?」

 

 止は抗議の声を上げるが一夏は首を左右に振った後の言葉を聞いて、惚ける。

 

「あいつ泣いてた……何かに弱味を握られたのか……それとも何かを求めているみたいに」

 

 一夏は言葉を続ける。一方、止は何も解らず髪を掻き、勇人は何も言わない。

 そして、一夏は少女の行動やあの涙を気にし、何かを感じた。

 そんな三人とは裏腹に街の人達は一夏達の一連の行動に興味を示していたがそれも直ぐに無くなり、街の人達は再び歩き始める。

 しかし、隼人や止は兎も角、一夏は解らなかった。あの少女が後に、一夏の復讐を和らげる為の存在になる事を……。




 この話の中で電車のタダ乗りと言う言葉がありましたが、これはシティーハンターが地下鉄で走る電車の屋根にほふくしながら進んでいるシーンを思い出し、書きました。(理由はあれもただ乗りに近いからです)
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