ワンサマーとプレデター   作:噛ませ犬

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 今回は一夏対勇人だったんですが、訳あって終盤んしか出来ませんでした。理由はある人物が訊ねたと言うアイデアが浮かんだからです。


第53話

 ーーお疲れだな、止ーー。ピットへと戻った止を迎えたのは一夏と楯無であり、一夏は止に労いの言葉を掛けた。が、止は沈んだ表情をしていたが一夏に気付き、首を激しく左右に振るとニカッと笑うと「ああ!」と答え、纏っていたIS、チョッパーを解除する。

 刹那、チョッパーは消え、止は軽く着地する。チョッパーのマスクは消えなかったが止は一夏に対し親指を立てる。しかし、一夏は軽く溜め息を吐き、止を見る。

 止を見る一夏の表情は何処か哀しかった。何故なら一夏は、止が試合を終えた後に止自身がある人物を思い出した事に気付いたのだ。

 霧崎渡ーー彼は止の双子の弟であり、三年前に死んだ少年である。今も生きていたら止や自分や勇人と同じように高校一年になっていたのかもしれない。

 だが、一夏は渡の事を口にはしなかった。一夏自身が止を気遣う為でもあり、此処にはいないが勇人も止を気遣っている為何も言わなかった。言えば彼が哀しむのも目に見えるし、止自身に辛い過去を思い出させるようなものでもあったからだ。

 一夏は敢えて言わなかったが敢えて憂いの言葉を掛けて止を元気付けた。

 

「それよりも止、オルコットを叩きのめした気分はどうだ?」

「ああ、最高だったよ……でも、あれじゃ修復するのに時間掛かるかもね?」

 

 止は両手を腰に当てながら、セシリアのISを心配をするも、一夏は苦笑いする。

 

「別に良いだろ? それに……」

『ではこれより五分の休憩を取り入れた後に、織斑一夏選手対勇人選手の試合を始めます』

 

 一夏の声を遮るように薫子の放送の声が聴こえ、止は一夏に訊ねる。

 

「次は勇人との試合だけど、一夏大丈夫なの?」

「大丈夫だぜ……でも、勇人とは何度も手合わせしているけど、勝ったり負けたりの繰り返しだけどな?」

 

 一夏はそう言うも、止は「あーー」と納得する。何故なら、一夏と勇人は惑星にいた頃、何度も手合わせしていた。あれは何度も手合わせしたものの、勝ったり負けたりの繰り返しだった。

 あれは一夏や勇人にとって良い思い出かつ、次こそ勝つと言う思いもあった為に悔しい思いなんてなかった。が、それ以前に良きライバルであり良き友である事にも変わりはない。

 一夏は軽く笑うも、一夏は制服を脱ぎ始める。ーーちょっ!? ーー。それを見た楯無が突然声を上げ、一夏と止は楯無を見やると、楯無は頬を紅くしていた。

 

「何だ更識?」

「な、何じゃないわよ? か弱き女性の前で服を脱ぐのは止してよ」

 

 楯無は両手で顔を隠すも、一夏と止は互いを見合い首を傾げるも、直ぐに楯無を見た。しかし、一夏は制服を脱ぎ始める。ブレザー、シャツ、ズボンを脱ぐも、一夏はISスーツを纏っていた。

 これは束から教えられた為でもある、ISスーツは汗を吸引するだけでなく軽い。大抵は直ぐに準備出来る事といざという時の為でもある。

 それに、一夏のスーツは顔や両手首、両足首から先は全身を隠す程の物だった。それは一夏の身体中には無数の傷痕がある為に、束自身が気遣う形で作ってくれたのだ。

 一夏は束に感謝しているが右腕にはコンピューターガントレットを着け、首には三本の縦長い線を模した首飾りをぶら下げていたーーそれが一夏のIS、ケルティックの待機状態の物でもあった。

 

 一夏は制服を脱ぎ終えた後、軽く準備運動をする。その間に止は楯無に一夏が着替え終わった事を教え、楯無は恐る恐る両手を下ろし、一夏を見る。

 一夏は準備運動をしていたが一夏の身体に違和感を感じた。一夏の身体には筋肉が付いていた。それは異性や(最悪の場合オカマも)見惚れる物だった。勿論、楯無は一夏の身体を見て見惚れてしまう。

 楯無は一夏の身体つきを見て見惚れる中、扉の方からノックの音が聴こえ、一夏、楯無、止は扉の方を見やると、扉が開く。

 扉を開けたのは手に何かを持っている千冬だった。それに何故か箒もいた。一夏は二人を見て表情を険しくするも、千冬は少したじろぎ、箒もたじろいたが楯無や止を見て表情を険しくする。ピット内には重苦しい空気が流れるも、千冬は一夏に訊ねた。

 

「い、一夏、つ、次はお前の番だな?」

 

 千冬は一夏に訊ねると、一夏は「ケッ」と吐き捨て二人から眼を逸らすも、千冬とは話をしない。そんな千冬に楯無は訊ねた。

 

「どうしたのですか織斑先生? 私達に何か用なんですか?」

「用と言う訳ではないが、一夏に渡したい物があってな」

 

 千冬の言葉に一夏は瞠目するも直ぐに千冬を見て歯を食い縛る。が、千冬は少し微笑むも、一夏の元へと歩み寄り、手に持っている物ーー刀を模した物を一夏に差し出す。

 その刀は全身が白かったが何処か凛々しさを感じさせる。しかし、千冬は余計な事をしていた。

 

「何だこれは?」

 

 一夏は千冬に訊ねるも、千冬は答える。

 

「これは雪片弐型だーー白式に搭載される筈だった刀だ」

「雪片弐型?」

 

 一夏は雪片を見る。その刀はかつて、千冬が暮桜を纏っていた時に使っていた刀とは同じ物だった。が、千冬は何故これを一夏に渡そうとしているのかが解らないが、一夏は断る。

 

「要らん、それに俺には刀よりも槍の方が好きでね」

 

 一夏の言葉に千冬は驚くも、箒が横槍を入れる。

 

「な、何を言ってるんだ一夏!? 刀よりも槍だと!? そんな事はない! 槍よりも刀の方が良いに決まってるだろ!?」

 

 箒の言葉に一夏は箒を睨む。因みに箒は千冬と一緒にいるのは千冬が一夏の為に雪片弐型を一夏に渡す為でもあり、箒は千冬と一緒なら文句は言われないかと思ったからだ。

 だが、箒の言い分には半分当たりであり半分外れでもある。何故なら刀と槍とでは使い方が違う。刀は接近攻撃しかできないが、槍は接近型であるが、中距離攻撃にも対応出来るのだ。

 その為、戦国時代では鉄砲や弓矢が遠距離攻撃に有効ならば、刀は小刀を含め近距離攻撃が有効ならば、槍は近距離攻撃だけでなく中距離攻撃にも有効である。

 その為、昔の門番は大抵槍を持って門を守っているのである。箒の言葉に一夏は反論しようとしたが、その前にある事をした。一夏は千冬が差し出してきた雪片弐型を手で払うように叩き落とす。

 それを見た千冬や箒は驚くも、雪片弐型は床に落ちる。千冬は一夏に怒ろうとしたがその前に一夏が静かに怒る。

 

「言い加減にしろ、俺はお前の玩具じゃないーー俺はお前が使った武器も使いたくもない!!」

 

 今度は一夏は叫ぶように怒る。それを見た楯無と止、千冬と箒は肩を竦めるも、薫子の声が聴こえた。

 

『では、織斑一夏選手に勇人選手ーー両者スタンバイしてください』

 

 薫子の言葉に一夏は千冬と箒を睨むも、身体を翻し、首飾りに手を掛け、不意に『ケルティック』と呟いた。

 刹那、一夏の身体や四肢にISが纏い始める。それはISだったが止が纏っていたIS、チョッパーと同じだが少し違う。

 両腕にはシミターブレイドはないが、左腕には展開される前のリストブレイドがあり、背中には人の骨を模したウイングスラスターが四つもあった。

 が、それが一夏のIS、ケルティックだった。そのISはパワーを重視しているが操縦者が一夏である為、更に強力なISである事に変わりはない。

 

「あれが……一夏君の専用機……ケルティック」

 

 楯無は一夏が纏っているISを見て呟く。が、そのISはかつて自分を助けてくれた時の一夏が纏っていた物と同じである事にも気付く。

 が、一夏は楯無と止を見て軽く微笑む。ーー行ってくるーー。一夏は二人にそう言った。それを聞いた止は笑いながら「行ってこい!」言い、親指を立てる。一方、楯無は少し微笑むと頷く。

 それを見た一夏は頷くも、千冬と箒を見ずに、ウイングスラスターを噴かしてアリーナへと続く入り口へと向かう。後ろから千冬と箒の声が聞こえたが背中で受け止める形で流していた。

 

 

 アリーナ。このアリーナの中央の上空にはISを纏っている勇人がいた。勇人のISは一夏と少し同じ物だったが、ウイングスラスターは二つしかなく、五本の鋭利な刃物がついているレイザーディスクを模した物があった。

 そして、そのISの名はスカーだった。刹那、一機のISが勇人とは少し離れた場所で宙に浮く形で待機する。ケルティックを纏っている一夏だった。

 

 一夏と勇人は互いの相手を見て微笑むも、直ぐに表情を険しくし、一夏はスピアーを展開し、勇人はリストブレイドを展開する。

 

『ではこれより、一年一組によるクラス代表決定戦第二試合を始めます』

 

 薫子の実況放送が流れるも、二人は直ぐに素早い動く。そして、一夏は勇人に近付きながら槍を振り上げ、勇人は一夏に近付きながらリストブレイドを横に伸ばす。

 そして、二人が近付いた瞬間何かがぶつけ合う音がアリーナに大きく響いた。

 それは一夏のスピアーと勇人のリストブレイドが鍔迫り合う音である。一夏の顔にケルティックのマスクが展開され、勇人の顔からスカーのマスクが展開する。

 刹那、二人は互いに離れる。スピアーやリストブレイドから火花が飛び散るも、二人はかなり離れると、再び衝突した。が、どちらに軍配が上がるのは誰にも解らなかった。




 次回、一夏対勇人。そしてあの二人が性懲りもない事を言います。
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