ワンサマーとプレデター   作:噛ませ犬

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第54話

 ーータァァァッ!! ーー。ーーウォォォッ!! ーー。アリーナではケルティックを纏った一夏と、スカーを纏っている勇人が激しい死闘を繰り広げていた。

 一夏はスピアーを手に勇人の身体を叩き、突き、薙ぎ払い等、槍特有の攻撃で勇人を追い詰める。一方、勇人もリストブレイドで一夏の身体を切り裂いたり刺したりした。

 が、どちらも時には攻め、時には受け止め、躱したりしていた。どちらも善戦かつ苦戦を繰り返していた。

 彼等が衝突する度に火花が飛び、どちらかのISのシールドエネルギーの片方かが、同時にが僅かに減るかの繰り返しでもあった。

 それは単なる遊びでもなく、イベント目的でもない。彼等は死闘を繰り広げている。その証拠にどちらも手を抜いてはいない。

 抜けば隙を見せる事を意味し、敗北を意味していた。が、そんな二人を観客席にいる女子達や教師達は驚きのあまり身体を震わせたり、あまりの凄まじさに声を出せない者もいた。

 しかし、全員に共通していることがあった。ーー彼等は恐ろしく強い、とーー。それだけではない、中には二人の闘いを恐ろしいと言うよりも、国家代表同士の闘いかそれ以上かもしれない闘いに感銘している者達もいた。

 どちらが勝とうが負けようが引き分けになろうが、この闘いから目を逸らさず、目に焼き付けていた。

 実況放送をしている薫子からは何の実況もないーー薫子は瞠目しており、実況放送をしている暇もなかった。薫子自身も二人の闘いに恐れと、次の新聞の特集のネタが出来た事に内心喜びを隠せないでいた。

 そしてーーその闘いは更に激しさを増すばかりだった。

 

「テャァァァァッ!!」

 

 一夏はウイングスラスターを最大限とまでは言えないが全力で噴かしながら、勇人に迫る。それを見た勇人は無言で見据えるも、一夏は勇人をスピアーで刺そうとした。

 刹那、勇人は紙一重で躱す。ーーなっ!? ーー。一夏はケルティックのマスクを着けていたが驚きを隠せないもののそのまま観客席に激突しかねないくらい突き進む。

 一夏は身を起き上がらせて急停止するものの止まらない。それを見た観客席にいた女子達は慌てて避難しようとしたが観客席全体には、目では確認出来ないがシールドが張られており、観客席には被害は及ばないものの、女子達は咄嗟の行動を起こしてしまったのだろう。

 が、一夏は真正面からシールドに衝突し、スピアーを手放してしまう。シールドには被害は無かったものの、女子達は一瞬だけ震えてしまう。

 一方、一夏は激突は無かったものの身を翻す。刹那、一夏は首が誰かに掴まれそのままシールドに押し付けられてしまう。

 目の前には誰も居なかったが一夏は突然、目の前にはいないが首を掴まれながら何者かに殴られる。その正体はーー身体を透明にした勇人である。勇人は一夏が観客席に突っ込むように突き進んでいる間に、身体を透明にして、一夏の後を追い掛けたのである。

 そして今、勇人は一夏を何度も殴っていた。勇人自身躊躇している訳ではなかった。何故なら、今は殺し合いとも言える闘いをしているのだ。

 それも目の前にいるのは、ISを纏っているのはそこら辺の女子や女性ではない、目の前にいるのは一夏ではあるのだ。

 勇人は身体を透明にしながら、一夏を殴り続ける。その度に殴る音がアリーナに響く。それは女子達や教師達から聴いたら痛々しいだろうがそんな事を言っても、彼等の耳に届く筈もないだろう。

 

 

「一夏君……!!」

 

 ピットにあるモニターを見た楯無が心配の声を上げる。が、楯無は何故か、一夏が脱ぎ捨てたであろう制服を抱き抱えているも、止は気にもせずに腕を組みながらモニターを見ていた。

 それを見た止は最初ツッコミたくなったが、それ以前に箒が一夏の制服を持つのは自分であると問い詰めてきた為に、止が必死に楯無を守ったのは言うまでもない。

 証拠に、箒は苛々しており、千冬は雪片弐型を大事そうに抱き抱えている。が、千冬は何処か悲しそうにモニターを見ていた。

 

「一夏! そんな奴早く倒してしまえ! 刀とか装備していないのか!?」

「一夏……雪片を持ってればこんな事には……!」

 

 箒は一夏が刀を使えと言い、千冬は雪片を持ってればこんな事にはならないと言い出す。

 勿論、これには止も呆れて言葉も出ないが人が他人の指図を受けて闘う訳ではない。相手の動きを読めとか注意とかの命令はあるが二人の場合は指摘だ。

 一夏が刀を使うか使わないかは一夏の自由である。止は二人に指摘したかったが今は関わる気は無かった。今は、一夏と勇人がどちらが勝つのかを気にしていた。

 

「一夏君……負けないで……!」

 

 楯無はそう呟きながら一夏の制服を抱き抱えている両手に力を入れる。すると、アリーナに異変が起きた。一夏の右肩から、ある武器を展開する。

 ハンドガンの銃身だった。ハンドガンは銃身を目の前へと向けると、自動で連射を開始する。刹那、目の前が突然火花が飛び散り、同時に一機のISが姿を現す。スカーを纏っている勇人だった。

 勇人は一夏のハンドガンでダメージを喰らい怯むも、一夏はその隙を突いてウイングスラスターを噴かしながら、勇人に体当たりし、勇人は後ろへと吹っ飛ぶ。

 それを見た一夏はチャンスと言わんばかりに、ある武器を展開する形で取り出す。スピアーだった。一夏はスピアーを両手で持ち、勇人目掛けて突き進みながらスピアーを横に振る。

 一方、勇人も体勢を立て直すが、一夏が目の前に来るのに気づくも、一夏はスピアーで勇人の脇腹を叩く。

 勇人は吹っ飛ばされそうになるが何とか持ちこたえるが脇腹に走る激痛に耐えきれず顔を歪めるも、一夏は肩に装着しているハンドガンの銃口を勇人に向けると、ハンドガンの銃口から銃弾が放たれ、勇人に命中する。

 勇人の身体にハンドガンの銃弾の雨が走る。勇人にとっては手痛い反撃を喰らったようにも思えるだろう。ーーあはっ! ーー。そんな一夏の反撃に、ピットにいた楯無は喜びを隠せない。

 だが、楯無の近くにいた止は楯無を見て苦笑いするも、ある疑問を浮かべる。

 ーーもしかして更識は……ーー。止は内心何かを言いたかったがそこまでは言わなくなった。何故ならば、止は今は一夏と勇人のどちらかに軍配が上がるのかを気にしていたーーそれに……。

 

「一夏! 飛び道具は卑怯だぞ!? 刀を使え!」

 

 近くから箒の、一夏の攻撃を拒む声が耳に響く。しかし、飛び道具が卑怯だと言っても、槍の近接攻撃や中距離攻撃、刀等の近接攻撃だけでは何とかなる訳ではないーー中には銃や弓矢、手榴弾等の遠距離型攻撃も必要である。

 敵が遠くにいる場合は銃を、近くにいる場合は接近戦に強い武器を使えば良いのだ。それは戦略でもあり、どんな敵にも対応する為でもある。

 なのに、箒が言ってる事は強要であり、一夏がそれをする理由もない。近くにいる千冬も千冬で何かを言いたかったがそれは内心か、千冬が単に何かを思っているのかは止には判らないのだ。

 刹那、アリーナに異変が起きた。一夏の肩に付いているハンドガンの銃身の、ハンドガンの銃口から銃弾が出なくなったのだ。

 弾切れだった。一夏はケルティックのマスクを着けているがそれに驚くも、勇人はチャンスと言わんばかりに右手から、ある武器を展開する。レールガンだった。殺傷能力はないものの、レールガンを一夏に向けて引き金を引いた。銃口から一発の蒼い稲妻弾が放たれ、それが一夏の身体に命中した。

 一夏は悲鳴を上げなかったものの、そのまま吹っ飛ばされてしまう。同時にスピアーを手放すも、勇人はレールガンの引き金を二回も引く。

 レールガンから二発の蒼い稲妻弾が放たれるもどちらも一夏に命中した。ピットにいた楯無は驚きを隠せないが一夏の制服を抱き抱えていた手に再び力を入れたのは言うまでもなかった。

 

「つぐっ……」

 

 一方、一夏は吹っ飛ばされながらも何とか持ち堪えるがISには火花が微かに飛び散っていた。一方、勇人も何故かレールガンを落とす。

 勇人のISも少し火花が飛んでいたが一夏の攻撃に多少のダメージを喰らったのだろう。

 しかし、一夏と勇人は互いを見合う。どちらもマスクを着けているが表情は険しい。それは、彼等が次の技に全てを掛けようとしていた。

 そう……一撃必殺技とも言える単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)で止めを刺そうとしていた。

 そして、二人はそれを行うべく行動を起こす。一夏が身構えると、一夏の右拳が蒼く光り、勇人は左手からレイザーディスクを展開するように取り出し掴むと、勇人の左手やレイザーディスクが紫色に光ったのである。

 二人がどんな必殺技を出すかは誰も判知らない、一部の人だけしか知らない事だ。




 次回、クラス代表決定戦緊急終了。そしてある人物が更に性懲りもない事をする
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