ワンサマーとプレデター   作:噛ませ犬

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第6話

「泣いてた?」

 

 一夏の言葉に、止はきょとんとした表情で答える。因みに彼等は今、路地裏にいる。

 一夏は壁に寄りかかり、隣には勇人が壁に凭れ掛かりながら腕を組み、止は二人と向かい合うように壁に凭れ掛かりながら立っていた。

 彼等が何故路地裏にいたのかは、それは一夏の気になった事から始まった事だった。

 話を戻そう、止の返事に一夏は首を縦に振る。

 

「ああ、あの女、泣いてた。何か訳があったみたいに」

「そんなの考え過ぎだよーーそれにあの女は謝りもしなかった……う~~っ」

 

 止は反論した直後、嫌な事を思い出したかのように頬を膨らませる。

 それを見た一夏は苦笑いし、勇人は何度も見せられているかのように呆れ溜め息を吐く。

 勇人は、止の天然ぶりと不運ぶりに呆れながらも、一夏に訪ねる。

 

「それよりも一夏、あの女が何の事情があるにせよ、俺達が関わる事ではない」

「それは解るけど、何故か気になるんだよな」

 

 一夏は腕を組み考え込む。そんな一夏に止は首を傾げ、勇人は何も言わず空を仰ぐーー路地裏とは言え、青空は見える。刹那、勇人は不意に口走る。ーー誘拐だったりしてーーと。

 止の発言に一夏と止は驚き、勇人は眼を細める一方で、視線を一夏へと向ける。

 勇人は同時に、「悪い……」と一夏に謝る。一夏は何も言わず哀しい笑みを浮かべ首を左右に振る。

 

「別に良いよ……それに何故そう思うんだ?」

 

 一夏は間を置いた後、表情を険しくして訊ね、勇人は一回頷いた後、口を開く。

 最初、勇人が気になったのは一夏の言葉だった。少女が泣いているのと少女の口から語られた急いでいる訳。

 それは少女の身内の誰かが誘拐されたのか、それに鞄を持ってたのなら鞄の中に身代金が入っていて、それに指定の場所にまで来なければいけないのではないのか、と。

 無論、それは勇人の考えている事であり、それを止は反論する。

 

「でもよ、そんなのは憶測だろ? 只の学校に遅刻になりそうから泣いたのか、それとも身内の誰かが事故に遭ったか、危篤になっているから病院へ急ごうと思った上に、嫌な予感がしたから泣いただけじゃねぇのか?」

 

 止はそう言葉を述べた後、勇人は呆れて首を左右に振る。

 

「馬鹿か、そんなんだったらタクシーを使えば良いだろ?」

「あっ、そっかーーでもそんなのは俺達には関係ない事だろ? なぁ、一夏?」

 

 止は一夏を見る。一夏は何も言わず俯いていた。

 

「どうしたんだ一夏?」

 

 止は訊ねると、一夏は顔を上げ首を左右に振る。

 

「何でもない、それよりも勇人、止の言う通り、只の憶測にしか過ぎないかもしれないし、お前の勘違いなのかもしれないから」

 

 一夏は勇人を見てそう言い、勇人は眉間に皺を寄せ瞑目すると、一夏は何かを思い出したかのように二人を交互に見る。

 

「そうだ、俺ちょっと一人で行動したいから、二人はそこら辺で何かしていなよーー、一時間後、またここで」

 

 一夏はそう言うと、二人と一旦別れる意味でその場を離れるように路地裏を出る。

 後ろから止の呼び止める声が聞こえるが一夏は耳を貸さず、人混みの中を走り去っていった。

 

「行っちゃった……ま、いっか、一夏がそう言うんなら」

 

 止はニカッと笑い、両手を頭の後ろに当て、勇人を見る。

 

「俺達は一時間の間、自由気ままに行動しょうぜ、勇人?」

 

 止は嬉しさを隠せない一方で、勇人は一夏が出ていったであろう方角を見たまま何も言わない。

 そして、軽く瞑目して微笑む。ーーやっぱり、気になるのか、と心の中でそう呟いた。

 それを見た止は何も解らず首を傾げ、勇人は眼を開け、止を見ると何も言わず頷いた。

 

 

 

「ここら辺で良いか」

 

 一方、一夏は二人とは離れた場所にいた。そこはさっきとは違う路地裏であり、人が殆ど通らない場所でもあり、ビルはビルの間の路地裏であった。

 一夏は辺りを見渡すと、警戒しながら右腕の裾を捲る。右腕にはコンピューターガントレットを着けていた。

 一夏はガントレットを操作する。刹那、一夏の身体からプレデター特有の武器や装備が展開され、一夏は顔にケルティックのマスクを着けていた。

 そして、一夏はコンピューターガントレットを操作の手を止める。刹那、一夏は身体を透明にする。

 

「後は……探索だな」

 

 一夏は身体を透明にしながらマスクを使って、街にいる少女を捜し始める。

 秋葉原には何万人ものの人がいるが、一夏は関係なく捜す。

 単に少女が気になった訳ではない、一夏は誘拐と言う言葉を聞いて、何か胸騒ぎを感じていたからだった。それに、それは間違えであって欲しい、と願っていた。

 

 

 ここは秋葉原の駅近くにある広場。そこには沢山の人が行き交っていた。

 そして、広場には、止とぶつかったにも関わらず、一夏の文句にも耳を聞かず、その場を去った少女が大事そうに黒い鞄を持ってい辺りを見渡していた。

 

「っ……」

 

 少女は辺りを一通り伺った後、人気のない場所まで移動し、やるせない表情を浮かべると懐から白いスマートフォンを取り出し、何処かへと電話する。

 

「刀……楯無(たてなし)よ、約束通り、父さんの部下は巻いたわ」

 

 少女ーー楯無は何処かに電話していた。すると、電話の主が答えるーー女性の声だった。

 

『良くやったわね……それともう一つ、また訊ねるかもしれないけど、約束の物はちゃんと持ってきたのでしょうね?』

「ええ……約束の一千万はちゃんと持ってきたわ」

 

 楯無が答えると、電話の向こう側にいる女は笑う。

 

『ご苦労さん』

「約束は守ったわ……(かんざし)ちゃんを……妹を返して!」

『それは無理な相談ね、あんた達更識の面々が私達の要求を未だ呑んでないからよ』

「要求の物はちゃんと用意した筈よ!」

 

 楯無は怒る。

 

『落ち着きなさい……それに返せと言われても直ぐに返せないわよ?』

「っ……」

『だったら私の話を聞く事ね、私達は横浜の港にいるからそこで取引をしましょーーそうね、夜七時頃ぐらいに来なさい……それまでは更識や他の奴等に見つかっちゃ駄目よ? それに破ったら妹の命はないと思いなさい……じゃあね』

 

 女はそう言うと、電話を切る。楯無が慌てて、かけ直そうとしたが無理だったーー妹の身に何か遭ったら困る為に。

 スマートフォンから音が流れるも、楯無はその場で膝を突く。

 

「簪ちゃん……うっ、ううっ」

 

 楯無は涙を浮かべ俯く。妹が誘拐されている。

 それは楯無にとって辛い事であるのと、妹に辛い思いをしている事を知りながらも何もしなかった事を責めていた。

 何故なら、楯無は簪とは仲が悪かった。それは楯無に原因があるのと、更識と言う家系にも原因があったからである。

 

「簪ちゃん……私は最低な姉ね……ううっ」

 

 楯無は鞄を抱き締めながら俯く。そして、楯無は一人誰にも気付かない場所で数分間、泣き続けた。

 

 

 

「すっげぇ!!」

 

 店内に止の喜ぶ声が木霊する。一夏と別れた止と勇人は、秋葉原のとある店内にいた。そこには数十、数百点以上のフィギュアがガラスケースの中に飾られ、売られている。

 止は、ガラスケースの中に飾られているフィギュアを見て、止は喜びを抑えきれないでいた。

 三年間と言う長い間、遠く離れた惑星で修行していた為、地球を離れていたが見たい事もないヒーローや女の子が増えている、と。

 まあ、三年も離れていれば新しいキャラクターが増えるのも当たり前だろう。

 止は童心に返ったように眼を輝かせている一方で、勇人も店の中にある商品を眺めていた。

 

「……はぁ」

 

 勇人は何も言わず溜め息を吐くと、止には何も言わず店内を見渡した後、ふと、一夏の事を思い出す。

 

 あの時の、路地裏にいた時、自分が推測とも思える発言を聞いた時の一夏は、何かを思い出したかのように哀しそうであった。

 しかし、勇人はそれに気付いていたがあえて軽く謝った後に、何も言わなかった。

 何故なら、一夏には誘拐された経験があり、そしてそこで姉に裏切られた事も。勿論、それは一夏から聞いた事である。

 その為、勇人は一夏の行動を何も咎めはしなかったーー彼がリーダーであるのと、一夏の僅かながらに残っている優しさを無駄にもしない為に。

 

「全く、馬鹿な奴だ……推測なのによ」

 

 勇人は笑みを浮かべる。勇人には知った事ではなかった。一夏が勝手な行動をしても気にしない。

 そして、近くから止がフィギュアを眺めていたのに集中し、余所見をしている形で目の前にあるガラスケースにぶつかった事も気にしなかった。

 




 これは未定ですが、近いうちにゼノモーフを出そうかと悩んでいます。
 そして、一夏とサシの勝負をさせてみようかと考えています。
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