ワンサマーとプレデター   作:噛ませ犬

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 今回は、地の分が多いです。


第68話

 ここは日本の遥か北側にある大国、ロシア。その国は世界で一番大きく、とても寒い。

 そんなロシアの街は今、深夜なのか静寂に包まれ、肌寒い風が吹いていた。何処の街も灯りが点いている建物はあまり見かけない。

 灯りといえば、街の道路や街路樹に何本、何十本も設けられ、微かに照らしてくれる街灯と、満月だけだ。

 が、そんなロシアの街をとある建物の上から無言で眺めている三つの影があった。全員が黒のジャケットとズボンを着用している。

 勿論、彼等が着用しているのは服ではない。四肢や胴体等の一部が露出している防具や、二人の左腕には二本の鋭利な刃物が少し出ている物を装備、一人は両腕には少し長めの鋭利な刃物が少し出ている程度の物を装備している。

 が、三人には共通している物があった。それは三人の背中にはスピアーが携えられており、右腕にはコンピューターガントレットを装備しており、顔には各々デザインが違うマスクを着けている。

 その三人は一夏、勇人、止の三人だった。彼等は何故、ロシアにいるのかは、それはたった一つの自ら課せた使命があるからだ。それは、ロシア政府の役人達を殺す事だった。

 その理由は、ロシア政府の奴等が裏で働いた数々の不祥事と、エレーナの妹、エリーナと、エリーナの友人である元ロシア代表の者の無念を晴らす為でもあった。

 どちらも権力を振り翳して行ったあるまじき行為。それは許される事ではなかった。彼等はロシア政府の奴等を殺す事で、彼等には死で償って貰おうと考えていた。

 その為、三人はロシアに居たのである。ーーそろそろだなーー。一夏は勇人や止の二人に言い、二人は頷く。しかし、自然に吹かれる風が彼等の髪やジャケットを撫でるように吹く。

 彼等には関係ない事だった。例え彼等の身体が寒さのあまり悲鳴を上げても、彼等の心は復讐の炎が灯されている。

 そして、三人の表情はマスクを着けている為判らないが憤怒の形相を浮かべている。すると、一夏は二人を見ると、二人に命令する。

 

「束さんからの命令によると、奴等は今、ロシアの連邦院ーー俺達の目的はそこにいる奴等を鏖殺する事だーー勿論、そこで殺るのはまだだ……今頃は束さんが衛星をハッキングして、全世界の人々にロシアを流している頃だろう」

 

 一夏は言葉を述べる。勿論、それは作戦でもあった。一夏達は最初、ロシアの街で待機している間、束が全世界にロシアの数々の不祥事を伝え、ロシアの役員達の政治生命を絶ってから、鏖殺する、と言う作戦だった。

 勿論、ロシア政府の役員達が法で裁かれるのなら死で償って貰おう、と言う考えでもあったーー勇人の作戦である。

 が、ロシア政府の役員達の中には家に居るかも知れない奴等もいる。勿論、彼等は鏖殺の対象ではない。彼等には自分も殺されるかも知れないと言う恐怖を刻まらせる為に生かしておく為でもあった。

 そして、一夏達は束からの連絡を待っていたが一夏は二人に、何時でも武器を展開し、取り出すよう命令していた。それは二人のリーダーとしてでもあり、二人の命を預からせているリーダーとしての使命でもあった。

 刹那、三人のジャケットから音が聴こえ、三人はその音に反応する。勿論、束からの連絡でもある。それを取ったのは、一夏であった。

 一夏はジャケットの懐から、ある物を取り出す。黒い無線機だった。一夏は無線機のボタンを押すと、顔に近付ける。

 ーー束さんですか? ーー。一夏は無線機の向こうからの連絡を聞く前に先に訊ねると、直ぐ後に束からの連絡が来た。

 

『終わったよ、いっ君……後はいっ君達に任せるね……』

 

 束は一夏にそう伝える。が、その言葉には本来の束とは思えない程、元気がない物だった。何故なら、束は一夏達が人を殺す事に躊躇していた。

 最初は一夏自身から人を殺したと聞かれた際には、束と近くにいたクロエは驚きを隠せなかった。勿論、それは後々話す事になるだろう。束の言葉に一夏は頷く。

 

「ありがとうございます束さん……後は俺達に任せてくださいーーでは」

『ちょっといっく』

 

 束が何かを言う前に一夏は先に無線機のボタンを押した。刹那、束からの連絡は消えた。勿論、勇人や止が持っている無線機から音が聴こえるも、二人は出る気配さえもない。

 二人は一夏と同じ気持ちだった。勇人は権力を振り翳すロシア政府に怒り、止はエレーナの無念を晴らす為でもある。例え誰かが文句を言おうが、自分達は止めるつもりはない。

 そして、一夏達は連邦院へと向かう為に身体を透明にし、連邦院へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、どうなってんだ!?」

 

 一時間後、ここはロシアにある連邦院。その場所は日本にある国会議事堂前とは良い勝負だが、中央広場には沢山の席があるが国会議事堂の中にある中央広場と少し似ていた。が、その場所には数十人のロシア政府の役員達がいる。

 彼等の表情は何処か慌ただしく、憤りを隠せないでいた。勿論、彼等はさっきまでテレビで流れていた内容に恐怖を覚えたのである。

 

 その内容は束が流した自分達が裏で働いた数々の悪事と、元ロシア代表が自殺した事とその真相。それは彼等にとって政治生命を絶たれ、法で裁かれると言う結末が待っていた。中には大半は女性議員が居たが彼女達は女尊男卑主義者達である。彼女達が権力を振り翳したとしても無駄に終わるだろう。

 彼等には最早、味方はいない。居るとすれば、周りにいる者達だけだ。周りは政治生命が絶たれる事に危機感を覚えているのか喚いている。

 見苦しいの一言にしか過ぎない。どんなに言い訳しても、逃れる事は出来ないーー警察の一網打尽でもなく、マスコミ達から逃れる事でもない。彼等に待ってるのはーーーー死だけ。

 刹那、中央広場の明かりが一斉に消え、広場全体が暗闇に包まれる。

 これには周りも突然の事で騒ぎ出す。中には冷静な者達も居たが周りに落ち着くよう言っても効果はない。ーーキィィ……! ーー今度は扉の開く音がした。それは二つだったが近くにいる者達にしか判らず、遠くにいる者達までには届かなかった。

 ーーキャァァァァーーッーー。刹那、女性の叫び声が木霊する。が、それだけではない、周りが突然、見えない何かに斬り殺されていく。中には背中を斬られたり、中には首と胴体が真っ二つにされたり、中には刺し殺されたりしていく者達で別けられていく。

 勿論、沢山の悲鳴が飛び交う。が、逃げようとしても周りには人が居るのと、広場全体は暗闇に包まれている為、出口は何処にあるかは、近くにいる者達以外判らないでいた。

 中には冷静な者達がいるも未だ効果無し。中には、運良く扉の外に出たとしても、待ってるのは人生が棒に振る形で終わるだけだった。

 

「ひ、ヒィィィィッ!!」

 

 周りが見えない何かに殺され悲鳴が飛び交う中、中央広場に血の雨が振るような光景の中、一人の男性が尻餅を突きながらその場を動けないでいた。

 その男性はスーツを着ているが金髪碧眼と言う一般的な外国人だった。が、その男性は今、地獄絵図とも言える光景に何も出来ないでいる。

 未だに続く見えない何かが殺戮を繰り返し、徐々に少なくなっていく悲鳴、運良く扉に着いてそのまま逃げる者達や、男性同様、その場を動けない者達も居た。

 

「な、何が起きてるんだ!?」

 

 男性は力一般叫んだ。が、それは男性の最後に発した言葉だった……。刹那、男性の首が吹っ飛ぶ。首から下は何もなく、断面からは人肉や骨が見える。

 同時に血も滝のように噴き出ている。それだけではない、男性が最後に見た光景は、地獄絵図のような光景だけである。彼を殺ったのは、最初に二つの扉を開けた二つの見えない何かではない。

 後から合流する形で来た三つ目の見えない何かの手により殺されたのである。

 

 

 数分後、悲鳴は既に聞こえなくなっていた。

 警察が踏み込んだ時には、嘔吐がする程の悲鳴は血生臭い臭いが辺りに充満し、広場全体には数十人の屍が転がり、壁には大量の血が飛び散ったかのように付着し、床には血の海が出来ている。

 警察の中には悲鳴を上げる者もいれば、戦慄する者達もいた。その光景は一生、彼等の心に消える事はないだろう。それ以前に、誰が殺ったのかさえも永遠に判らなかった。

 そして、彼等を殺ったのは一夏、勇人、止の三人だった。勿論、彼等は既にその場から離れた後だった為に、連邦院近くには居なかった。

 

 何故なら、彼等は既にロシアから離れているからだった。が、その事を知る者は極一部しか知らないのもまた事実である。




 次回、ロシア政府を惨殺した三人の内の一夏に楯無の涙の制裁ビンタ
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