ワンサマーとプレデター 作:噛ませ犬
第9話
一夏が楯無や止と共に楯無の妹・簪救出の為に動き始め、電車に乗ってる頃、ここは日本からかなり離れた、周りが海で囲まれた氷の大陸、南極。
南極は北極よりも寒く、辺りは氷で出来た厚い床に近い地面。今日は最悪なのか、風よりもたち悪く、目の前が見えない程強い吹雪が大陸中に吹かれている。
勿論、そこに生き物がいないと言う訳ではないーーペンギン等が棲んでいるのと、南極を調査する為に世界中から選ばれた極僅かな人が海の近くで基地を設け、そこで住んでいる。
「グルル……」
そんな南極の中央には、三体の宇宙人が南極の中を歩いていた。
人間よりも一回り大きい身体に、黄色い肌。腹や脹ら脛等が一部露出している甲冑を纏い、各々の得意分野である武器を少しだけ持っていた。
髪が太く鋭いのが何本も生えているのと、各々、顔にはデザインが違うマスクを着けている。
一体はデコボコとしたマスク、一人は他のニ体とは違いさっぱりとしたマスクを着けている。
そして、最後の一体は口元が複雑であるが体格が他のニ体とは違い胸板が厚く、身体も少し大きいーー何故なら、彼がリーダーであるのと、他のニ体を引き連れて、南極の中を歩いていたのだ。
彼等の名はないーー強いて言うならプレデターとも呼ばれている。そんな彼等が南極の中を歩いていたのは、とある儀式をクリアする為でもあり、宇宙船からこの地球へと降り立った。
彼等は未だ、未成年であるーー彼等はとある儀式、成人式をクリアする為に地球へと来たのだ。
それに、彼等は一夏、勇人、止とは知り合いでもある。
「モウスグ、指定サレタ場所ダ」
顔に口元が複雑なマスクを着けているプレデター・ケルティックがそう言う。それを聞いた、顔にデコボコとしたマスクを着けているプレデター・チョッパーと、顔にさっぱりとしたマスクを着けているプレデター・スカーがピクッと身体を動かす。
三体のプレデター達は、これから成人式を迎える。そこは氷の床下の奥深くに建てられていている一つのピラミッド。
そこが成人式の会場でもあり、史上最大の死の会場でもあった。ピラミッドにはプレデター達よりもタチの悪いゼノモーフと言う宇宙生物が何十、何百もいて、そこにはリーダー格のクイーンもいる。
それは、彼等が成人式を行い、クリアする為に必要な宇宙生物でもあり、そう簡単にいく訳にはいかない事をも意味していた。
そして、三体のプレデターは、とある場所へと着く。そこには大きな穴があった。その穴は地面の奥深くに続いていて、坂道にもなっていた。
そう、そこがプレデター達が目指すべき成人式への道でもあった。
「イヨイヨダナ?」
スカーが言うと、ケルティックとチョッパーは頷き、直後に三体のプレデター達は各々、武器を展開する。
スカーは左腕に、二本の細長いリストブレイドを展開し、チョッパーは両前腕の下にある二本の太く長いリストブレイドを展開し、ケルティックは背中にある槍を取る。
『生きて帰って来てね、ケルティックーーケル』
刹那、ケルティックは、とある青年の顔を思い出す。青年とは一夏だった。
「イチカ……」
ケルティックは一夏を思い出し呟く。
「ケルティック?」
そんなケルティックにチョッパーが訊ねると、ケルティックはチョッパーを見た後に首を左右に振り、チョッパーとスカーを交互に見た後、頷く。
「行クゾ」
ケルティックの言葉にスカーとチョッパーは軽く頷き、三体のプレデター達は穴の中へと踏み入れる。
これから、彼等は死地へと赴く。彼等は名誉ある大人になる為、プレデターとしての誇りを得る為、そして、とある人間と再び再会する為に死地へと足を踏み入れた。
「ギシャァァァァーー……」
そして、ピラミッドから沢山の宇宙生物の鳴き声が聞こえた。それも一匹ではない、何匹も鳴き声を上げていた。
「…………」
一方、その頃、一夏は楯無や止と共電車の中にいた。
その電車は横浜まで走るが周りには人がいるのと、一夏と楯無は隣同士に座り、止はその近くで立ちながら窓の外を眺めていた。
それに三人は、横浜に着くまでやる事は無かった。止は電車の外を眺め続け、楯無は隣に座っている一夏の肩に頭を置きながら哀しそうに眠っていて、一夏は不貞腐れてながら黒い鞄を大事そうに持っている。
それに楯無は兎も角、一夏と止は装備を解除していた。
「……ったく」
楯無の隣に座っている一夏は不貞腐れながら呟く。それを聞いた止は一夏を見る。
「どうしたんだ一夏?」
「どうしたもこうしたも無いだろ? 俺達は素顔を晒すつもりなんて無かったのに」
「まあ、良いじゃん? 別に秘密にしている訳しゃないんだからさ?」
「そう言う問題じゃねぇよ? それに素顔を晒す羽目になったのはお前のせいだろうが」
一夏は指摘すると、止は苦笑いしながら髪を掻く。それに彼等は金を持ってない。金は、横浜までの電車賃は楯無に出してもらった。
「ったく……」
止を見た一夏は呆れるも、隣にいる楯無を見る。楯無は未だ眠り続けていたがその表情は何処か悲しい。
眠っている楯無を見た一夏は軽く溜め息を吐くと、再び止を見て言った。
「俺も一眠りするから、横浜に着いたら起こせよ?」
一夏は止にそう言った後、一夏は眼を閉じる。一方、止は「え~~」っと情けない声を上げる。勿論、それは止への罰でもあった。
そして、一夏達が乗ってる電車は横浜に着くまで各駅に停まらなきゃいけない為、時間が掛かるのであった。
そして、電車は東京駅に停まった。
「グルル……」
一方、南極にいるケルティック、スカー、チョッパーの三体のプレデターは穴の中を滑るように降り立った後、南極の地下深くにある場所を歩いていた。
そこは太陽の光を浴びる事が永遠になく、辺りは冬のように冷たい風が流れ、地上を支えるかのような氷柱が何本も見受けられた。
それもピラミッドへの道標だけでなく、成人式への試練の一つでもあった。勿論、ケルティック達には関係ない。
「ギシャァァァァ……」
刹那、近くから何かの生き物の鳴き声が聴こえ、ケルティック達は立ち止まり、顔に着けているマスクで辺りを確認する。
辺りには何かの生き物が四匹も近付いてくる。それも奇妙な鳴き声を上げながら近付いてくる。
ケルティック達は警戒しながら武器を構え始める。ケルティックは槍を取り出し、チョッパーはリストブレイドを構える。
しかし、スカーも腰回りに手裏剣を取り出し、軽く振った直後、突如、手裏剣を後ろへと投げる。
手裏剣は一直線に突き進み、目の前には何かの生き物がいて、その生き物の首を真っ二つにし、生き物は頭から血を流す事もなく、床に落ち、胴体も倒れる。
一方、手裏剣はブーメランのようにスカーの手元へと戻る。
「ギシャァァァァ!!」
直後、近くにいたであろう生き物達が奇声を発しながら、ケルティック達に襲いかかるように走り出す。
その生き物は全身が黒く、細長い後頭部、流れ出る涎に剥き出しの歯。肉がなく、骨が見える程の胴体に細長い四肢。背中には四本の突起物に、先端が尖っている細長い尻尾。
誰からみても気持ち悪いと口を揃えて言うだろう。その生き物の名はゼノモーフーープレデター達の最大のライバルであり、この生き物達が世界中に現れたら、人類は絶滅してしまう程、危険な宇宙生物だった。
それにゼノモーフは三匹いた。三匹のゼノモーフは奇声を上げながら、ケルテック達に襲いかかる。
しかし、ケルテック達も武器を構え迎撃態勢をとる。そして、三匹のゼノモーフと三体のプレデターの死闘が始まった……。