やはり俺がGUTSにいるのはまちがっている。   作:断空我

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闇へのレクイエム

親友というものがある。

 

クラスメイトや会社の同期、同僚と異なり、互いの趣味や思考、嗜好が似通った連中の集まりで構成されやすいもの。

 

中には性格と偽って上っ面だけの友好を築くものもいるだろう。

 

だが、親友というものは友達異なり、本物で、本当に相手の事だけ想い、メリット、デメリット考えず行動できるものだと考えている。

 

俺に親友はいない。

 

ボッチにそんなものは必要ない。

 

もし、もし、例えとして親友がいたとしてだ。

 

親友が道を踏み外してしまった場合、相手はそれを押しとどめることが出来るのだろうか?

 

今回の事件はまさにその疑問の答えとなる切欠を探す一つ、なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謹慎から復帰した俺がGUTSへ戻るとみんなから温かい歓迎を受けた。

 

そう、レポート提出という温かい歓迎だ。

 

「よーやく、終わった」

 

人数分のレポートを書き終えた俺はぐてーとなる。

 

隣にいるヤズミが苦笑していた。

 

今は待機時間、ではない。

 

俺は時間の合間をぬうようにして書類を書き終えた。

 

空き時間何かでやっていたら終わる量じゃない。

 

「ただいま戻りました」

 

作戦室の扉が開いてダイゴ隊員とシンジョウ隊員が戻ってくる。

 

二人は突如破壊された監視塔の調査で出動していた。

 

一瞬だが、巨大な生体エネルギーの反応がみつかったためである。

 

「怪獣の影も形もありませんでした」

 

「センサーの故障…というのは?」

 

「いえ、センサーに故障はありません」

 

「念のため、監視衛星も調べましたが怪獣らしき反応もなしです」

 

「でも、巨大な生体エネルギーが反応されたのは事実、監視と警戒をする必要があるわ」

 

「……せや!」

 

バチンと手を叩くとホリイ隊員は出ていく。

 

何かを取りに行ったようだ。

 

 

「名付けて、モンスターキャッチャー、銃弾を怪獣に打ち込むと特殊な粒子が放たれてこの小型レーダーで感知される。今までのセンサーやレーダーのように見逃すといったことがないでしょう」

 

力説するホリイ隊員は卓上に置かれているカートリッジをみせる。

 

 ハイパーガンに使用するものらしい。

 

「ホリイ隊員…そうね、八幡隊員」

 

「はい?」

 

「二人で現地へ飛んで」

 

「了解です」

 

「え、あ、俺もすか!?」

 

「そうよ」

 

 隊長に言われて俺とホリイ隊員は反応があった現地へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「怪獣ですか?」

 

 結論、今すぐ帰りたい。

 

 ホリイ隊員は有名なホテルの支配人に変わったことがないか尋ねようとしていたのだが直球過ぎた。

 

 故に、相手は怪訝な表情を浮かべている。

 

「実は、このあたりで調査にきていまして、怪しい事とか、おかしいなぁということがあったら教えてほしいんですけど」

 

「そんなことはありませんね」

 

「どうも、ありがとうございます」

 

 ぺこりと頭を下げる。ついでにホテル内を捜索する許可をもらった。

 

「いやぁ、八幡おると交渉が楽やわ」

 

「そのために隊長は俺を遣わせたんですかねぇ」

 

 疑ってしまうよ?

 

 ホテル内のあっちこっちを調べる。

 

 というか、探すところを間違えていませんか。

 

「鈴をつけようにも猫がいないとどうしょうもないな」

 

「そもそも、こういう所に怪獣がいるなんてありえないと思うんですけど」

 

「……まーな」

 

 ヘルメットを脱いで、椅子にもたれていたホリイ隊員は何かに気付いて立ち上がる。

 

「あれ、ホリイ隊員?」

 

「悪い、ちょっと、このあたりで待っといて!」

 

 ホリイ隊員はそういうと男の人を追いかけていく。

 

 知り合い、かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リョウスケ!リョウスケやないか!」

 

 ホリイ隊員が声をかけた相手。

 

 それは親友のサナダ・リョウスケだった。

 

「ホリイ、GUTSでの活躍はきいているよ」

 

「俺はなんもしてないよ。それよか、リョウスケ、お前、今や宇宙開発局のエリートやそうやないか!」

 

「本当は研究なんかよりGUTSに入って現場で活動したかったわ」

 

「ほんま、ようわからへんよなぁ。お前はGUTSに落ちて、俺がいるなんて」

 

「キミには発明家としてのきらめきとムードメーカーがある」

 

 ホリイとサナダ・リョウスケの二人は親友である。

 

 このホテルで彼と再会するとは思っていなかった。

 

 長い付き合いの親友と会えたことでホリイは喜びを感じている。

 

 リョウスケは急に体を丸くした。

 

 ホリイはリョウスケを抱えて部屋に向かう。

 

「ほんまに、医者にみせんでええのか?」

 

「大丈夫だ。休めばすぐに治る」

 

「リョウスケ?また具合が悪いの?」

 

 彼の部屋の前、そこに立っている女性がいた。

 

 さらにいえば、ホリイは彼女を知っていた。

 

「サヤカ!?なんで、ここに!?」

 

「病院でみてもらいましょう!」

 

「僕の事は…放っておいてくれ!」

 

 二人から逃げるようにサナダ・リョウスケは室内へ駈け込む。

 

 

 扉を閉めたリョウスケは何かを抑えようにしながらソファーへ崩れる。

 

 あまりの苦しさに体から嫌な汗が流れていく。

 

 リョウスケはボイスレコーダーを起動させる。

 

 “あの日”からずっと持ち続けている。何かあれば記録していくために。

 

「また、あの発作だ………あの実験の副作用、なのか?」

 

 袖をめくりあげるリョウスケ、

 

 その腕には不気味な痣らしきものが浮かんでおり。

 

 彼の絶叫が室内に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、まさかリョウスケだけやのーて、サヤカとも会えるなんて偶然の一致ってあるんやなぁ」

 

「偶然じゃないの」

 

 サヤカの言葉にホリイは目を丸くする。

 

「三カ月くらい前になるわ。いきなりリョウスケが尋ねて来て、最初は私の所にいたの。最初は普通だったんだけれど、段々と様子が悪くなって」

 

「さっきみたいにか?」

 

「ここで静養するって聞いたから心配になって追いかけてきたの」

 

 サヤカと一時的に別れたホリイは八幡と合流する。

 

「すまん、すまん」

 

「……知り合いか、何かですか?」

 

 戻ってくると八幡は機嫌が悪そうだった。どうやら放置したことを少し怒っているようだ。

 

「まぁな、飯、まだやろ?俺がおごったるわ」

 

「どうも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……カップ麺すか?」

 

「俺らがこんな高級なところ、払えるわけないやろ」

 

「そうっすね」

 

 プールサイドの机、豚キムチラーメンと豚骨ラーメンのカップ。

 

 それを二人でずずずと食べる。

 

「あの男の人、知り合いっすか?」

 

「昔からの親友や。こんなところで再会するとは思ってなかったわぁ。そやサナダ・リョウスケといってな。宇宙開発局のエリート研究者やねん」

 

「へぇ」

 

「ンで、リョウスケだけでのーて、サヤカとまで再会してん」

 

「良かったですね」

 

「興味ない?」

 

「いえ、聴いているだけです」

 

「あ、そ」

 

 そんなことを話していると大きな音が響いた。

 

「なんや?」

 

 二人は音の方を見る。

 

 そこには岩みたいにごつごつした皮膚の怪獣が建物を壊していた。

 

 

「本部!こちら、ホリイ!ホリイ!ネオリゾートのエネルギー施設に怪獣出現!」

 

『おそらく、奴が反応の正体ね。ホリイ隊員、頼むわ』

 

「任せておいてください」

 

「自分は避難をさせます」

 

「おっし!」

 

 八幡と別れてホリイはシャーロックで怪獣のいる施設へ向かう。

 

 怪獣は建物を壊して電気を吸い込んでいる。

 

「よし、モンスターキャッチャーの威力、みせたるでぇ!」

 

 ハイパーガンにモンスターキャッチャーを装填して、構える。

 

 ホリイ隊員の放ったモンスターキャッチャーは怪獣エボリュウの背中へ直撃した。

 

「よっしゃあ」

 

 叫んだホリイ隊員をエボリュウが睨む。

 

 慌てて動こうとしてシャーロックの車体へ体を打ち付けた。

 

 空になったカートリッジを捨てて、攻撃用のカートリッジを入れ込む。

 

「なんやねん、もう!」

 

 空にガッツウィングが現れる。

 

 一号のレーザー砲撃を受けたエボリュウの体は光を放つとその存在が消えていく。

 

「消えおった……?」

 

 その光景をホリイ隊員は呆然と見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻、怪獣が消える姿を遠くから八幡も見ていた。

 

「消えた…か」

 

 避難誘導中にその姿を視ていた彼も静かに呟く。

 

 怪獣が消えたことで逃げ惑う人達の歩みも緩やかなものへ変わっていく。

 

 八幡は応援でやってきた隊員達へ後を任せる。

 

 ホリイ隊員の事が気になっていた。

 

 その時、シャーロックがやってくる。

 

「八幡、無事か?」

 

「はい、そっちは?」

 

「成功や!あとは怪獣を探すのみなんやけど」

 

 小型レーダーをみているホリイ隊員。

 

 しかし、反応がない。

 

「この場にいないということでしょうか?」

 

「そうなる…とにかく、このあたりを捜索する。車に乗れ」

 

「はい」

 

 シャーロックへ八幡が乗り込むと走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらら、とんでもないことになってきちゃったなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人で街を捜索していた結果、怪獣は見つからなかった。

 

「お、反応出たぞ!?」

 

 ホテルへシャーロックを停車させているとホリイ隊員の腰のレーダーから反応が出る。

 

 二人でレーダーの反応がある方へ向かう。

 

 その先はプールだった。

 

 手の中にあるハイパーガンを地面へ向ける。

 

「ホリイ隊員…この周辺に?」

 

「プールに怪獣?どっか、壊れてんのかなぁ?」

 

 首を傾げていた時だ。

 

 水面からばっしゃあああんと何かが飛び出す。

 

「うわっ!?」

 

「大丈夫すか?」

 

 座り込んだホリイ隊員が顔を上げるとそこにいたのは親友のサナダ・リョウスケがいた。

 

「リョウスケェ…」

 

「知り合いっすか?」

 

「俺の親友や」

 

 手短に挨拶をして離れる。

 

 親友同士とやらの会話へ入る気がなかった。

 

「ホリイ、五年前の事、覚えているか?」

 

「へ?」

 

「俺とお前で長い時間潜って、勝った奴がサヤカへ告白するという勝負」

 

「あぁ、そんなんあったなぁ」

 

 昔を思い出すようなホリイ隊員。

 

 大学生でそんなことやっていたのかよ。

 

「また勝負しないか?」

 

「え」

 

「今度は俺が勝つ」

 

 勝利を確信したような目で彼はホリイ隊員へいう。

 

「俺は生まれ変わった。何があろうと負けることはない…俺が」

 

 そういって彼はプールへ飛び込む。

 

 呆然としているホリイ隊員。

 

 彼の手の中にある小型レーダーが反応していた。

 

「まさか…リョウスケが?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう、するつもりすか?」

 

 あれから少し時間が流れてホリイ隊員へ俺は尋ねる。

 

 GUTS隊員なら本部へ連絡してしかるべき対処を行う必要がある。しかし、相手はホリイ隊員の旧知の間柄、そして、彼の性格上、職務よりも人間としての性格を優先するかもしれない。

 

 勿論、それが悪いとは言わない。

 

 時と場合によるかもしれないが今回はまだ間に合う。

 

「とりあえず、本部へ連絡して調べてもらおうと思う」

 

「はろはろ~」

 

 PDIを取り出すホリイ隊員と俺の前にあの人が現れる。

 

「雪ノ下さん」

 

「少し前以来だねぇ、比企谷君」

 

「なんや、八幡の知り合いか?」

 

「そんなところです」

 

「つれないなぁ~、私はキミの事、大好きなのにぃ」

 

 笑顔で言っているがその目は笑っていない。

 

「何の用、すか?」

 

「サナダ・リョウスケについて、知りたくないのかな?」

 

「え!?」

 

 雪ノ下さんの言葉に俺の表情は険しいものになる。

 

 マキーナの件といい、今回の件といい。まさか。この人。

 

「さっすが、比企谷君、いくつか候補を出したみたいだね。私は宇宙開発局D機関に属しているんだ。ま、手伝いみたいな立場だけどね」

 

「宇宙開発局…リョウスケの働いている所や」

 

「実はサナダ・リョウスケさんを含めた数人の科学者に窃盗の容疑がかかっているんだよねぇ」

 

「窃盗?」

 

「そんな、ありえへん」

 

 ホリイ隊員が信じられないというが雪ノ下さんは聴いていない。

 

「何の容疑なんですか?」

 

「ある隕石にあった細胞…エボリュウ細胞だよ」

 

「エボリュウ細胞?」

 

「エボリュウ細胞を植え付けられた動物は飛躍的に身体能力があがるんだけどねぇ。電気エネルギーを一定量与えないと死んじゃうんだ」

 

「電気エネルギー…そうか、だから」

 

「私が教えてあげるのはここまでだよ~。じゃ、頑張ってね?」

 

 手をひらひらして去っていく雪ノ下さん。

 

 あの人は一体、何を考えているんだ?

 

 困惑しつつも、ホリイ隊員を見る。

 

 彼はどうするつもりなのだろうか?

 

「どうする、つもり、ですか?」

 

「リョウスケに会う…そんで、アイツをTPCの医療機関で検査させるんや!」

 

 そういってホリイ隊員が走り出す。

 

 俺はその後を追いかけるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝食の前に話がしたい。

 

 サナダ・リョウスケに言われてイジュウイン・サヤカは応じた。

 

 海岸沿いを二人で歩く。

 

 楽し気なサヤカに対してリョウスケはどこか思いつめたような表情をしている。

 

 サナダ・リョウスケの両親は優秀な科学者で常にトップでいることを息子に望んでいた。その期待に応えるべく、リョウスケも努力した。

 

「僕は人生において二つ、失敗した」

 

「失敗?」

 

「一つはガッツに入れいなかったこと…もう一つは、キミに振られた事だ」

 

「待って、違う!私は」

 

「違わないさ!」

 

 リョウスケの顔を見てサヤカは言葉を失う。

 

 彼の目はおそろしいほどに狂気を秘めている。

 

「リョウスケェ!」

 

 そんな彼の下へホリイが駆け寄ってくる。

 

「リョウスケ!お前は今すぐにTPCの医療機関で検査を受けるんや」

 

「うるさい!僕は病気じゃない!」

 

 ホリイを突き飛ばしてリョウスケは叫ぶ。

 

「ホリイ君?」

 

「リョウスケは、体にエボリュウ細胞を取り込んでいるんや、それは体に悪影響を与えている…最悪、死ぬかも知れへん」

 

「そんな、リョウスケ…」

 

「キミに僕の、僕の気持ちがわかるか!?」

 

 二人はその言葉の意味を深く考えられなかった。

 

 いや、友達だからこそ、わかっていると錯覚していたのだ。

 

「わかるよ!友達やもん」

 

「いいや、わからない…僕はいつも一番でいないといけなかった!一番でいない僕など、誰も愛さない。愛してくれない。欠点だらけの僕など」

 

「そんなことないわ!ホリイ君は欠点だらけよ。足も短いし、太っているし、つまらないギャグを言う…でも、欠点だらけだけど、欠点だらけでも、みんなから愛されている!」

 

「……それは欠点があるからっすよ」

 

 二人の訴えを打ち消すように場へ乱入する異物が一人。

 

「八幡?」

 

「キミは…」

 

「欠点があるから人の美しい所がわかる…でも、サナダさんみたいに常に完璧を求める欠点が一つもない人間の美しさなんか、見た物しかわからない。成績、ルックス、行動力、それらすべては貴方が求める完璧から評価される。誰もアンタの本質をみようとしない。アンタが評価されているそれはアンタそのものじゃない。完璧を演じているアンタだ」

 

「……」

 

 サナダ・リョウスケへ八幡はハイパーガンを向ける。

 

「これ以上、アンタが人を傷つけるというのなら俺はGUTSとしてアンタを止める…ホリイ隊員の親友じゃない、周りへ害を加えようとするサナダ・リョウスケを止める」

 

「やめて!」

 

 ハイパーガンを向けている八幡の前にサヤカが割り込む。

 

「リョウスケ!」

 

 ホリイ隊員がリョウスケの前へ向かうが体から電流を流している彼に突き飛ばされる。

 

「ちっ!」

 

「ダメ!」

 

 トリガーを引こうとしたところでサヤカに止められる。

 

 その時、サナダ・リョウスケが小さな笑みを向けていたことに誰も気づかなかった。

 

 緑色の電撃を放ちながらサナダ・リョウスケはエボリュウへ姿を変える。

 

 現れたエボリュウは街を破壊し始める。

 

 エボリュウ細胞によって進化した彼は理性を失っていた。

 

 全身から電撃を放ちながら破壊していく。

 

 ガッツウィングやウルトラマンティガが彼と戦う。

 

 その光景を見ていると俺は何とも言えない気持ちになる。

 

 一番、栄光、そんなものがないと周りから愛されないと思った男。

 

 逆にそんなものがなくて、欠点だらけで愛されている男。

 

 この二人の違いはなんだったのか。

 

「くそっ」

 

 ハイパーガンをエボリュウに向ける。

 

 目の前の相手は人間じゃない。怪獣だ。

 

 自分へ言い聞かせるようにしてハイパーガンを撃つ。

 

 よりも早くホリイ隊員が撃った。

 

 放たれた弾丸がエボリュウへ直撃。

 

 エボリュウは海岸へ雷撃を放った。

 

 衝撃でホリイ隊員は崩れる。

 

「やめろぉ!」

 

 気づいたら叫んでいた。

 

 目の前の、親友すら手にかけようとした男に怒りを覚えたのか。

 

 これ以上、彼の惨めな姿を視たくなかったのか。

 

 俺にもわからない。

 

 わかっていなかった。

 

 そうしている間もウルトラマンティガとエボリュウの戦いは続く。

 

 ウルトラマンティガはエボリュウの攻撃をひたすらに受け続けた。

 

 しかし、彼の体に限界がやってくる。

 

 鳴り続けるカラータイマー。

 

 早まる音の中、必殺の光線を放とうとするがダメージが大きくて動きが鈍る。

 

 尚も放電を続けているエボリュウ、

 

 終わりは突然、やってくる。

 

 エボリュウの体が光り輝いて消えた。

 

 ウルトラマンティガはそれをみているだけだった。

 

 俺の前にサナダ・リョウスケは倒れている。

 

 近づいて、脈を図る。

 

 動いていなかった。

 

「……リョウスケぇ」

 

 ふらふらとホリイ隊員がやってくる。

 

「誰にでも心の闇はある…お前は不幸にもそれを開いてしまった…人間や、ただの、どこにでもいる人間や」

 

 ヘルメットに隠れているホリイ隊員の顔は見えない。

 

 けれど、どういう顔なのか、わかる。

 

「ゆっくり眠れ、もう……もう、誰とも競争せんで、ええねんぞぉ」

 

 泣いているホリイ隊員。

 

 友人たちだけの空間から俺はそっと離れる。

 

 近くに来ていたGUTSメンバーの所まで向かう。

 

「八幡」

 

「ダイゴ隊員…」

 

「キミは大丈夫かい?」

 

「……何言ってんすか、大丈夫ですよ……俺は」

 

 ただ、任務を全うしただけなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、比企谷君のことだから愚かな末路を辿った科学者を始末するかと思いきや見守り、あのウルトラマンティガに任せてしまうなんてねぇ」

 

 任務が終わり帰還するためにシャーロックへ戻ろうとした俺の前にタイミングよく雪ノ下さんが現れる。

 

 ニコニコしている顔からは相変わらず何を考えているのか読めない。

 

「何か用事すか?そろそろ戻らないといけないんだけど」

 

 今の状態でこの人と長く会話をすることは避けたかった。

 

 だって。

 

「人間を撃つことはできない弱い弱い比企谷君」

 

 油断していれば、俺の心の中をすべて読まれるかもしれない。

 

「卒業と同時にどこへ行ったのかと思えば、まさかGUTSに入っているなんてね。お姉さんも驚いちゃったよ」

 

「…いきなりのことだったので、周りに連絡することが出来なかったので」

 

「する気がなかったくせに」

 

 ぐいっと雪ノ下さんは顔を近づけてくる。

 

 その目は一切、笑っていない。

 

 隠そうと…いや、隠していなかった。

 

「比企谷君、私は許さないよ?」

 

 耳元で雪ノ下陽乃は淡々と伝える。

 

「キミはちゃんと選ばないといけない…だって」

 

 言いたいことだけを伝えると雪ノ下さんは去っていった。

 

 残された俺はただ、困惑する事しかできなかった。

 

 

 




今回、かなり、グダっとしてます。

陽乃さんはD機関所属の一人です。

つまり、今後、出てくる回数が増えるかもということです。
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