ダイゴは思い出す。
タイムカプセルのユザレが話した内容を。
彼女が伝えた巨人を蘇らせる方法、それはダイゴが“光”になること。
光となって蘇る巨人はウルトラマンティガ。
何故、ダイゴなのか。
それは彼の中にある遺伝子、その中に超古代人の記憶が刻み込まれていることから。
タイムカプセルのユザレは只のホログラムではない、人工知能が組み込まれており、ダイゴしか、彼女と会話することが出来ない。
ダイゴは最初、苦悩した。
何故、自分なのか。
どうして、自分でないといけないのか?
それから、彼が抱いたのは超古代文明が滅んでしまったのかという疑問。
『ウルトラマンは人類の選択に干渉しない。ある者は滅び、またある者は他の土地へ向かった』とユザレは言う。
続けて、こうも伝えた。
『ダイゴ、貴方は別。貴方は光であり人である』
ティガの証であるスパークレンス。
未だに葛藤は続いているがダイゴはティガとして戦うことを決めた。
そんなダイゴだが、未だにウルトラマン、超古代文明については謎が多すぎる。
ウルトラマンは何なのか。
超古代文明とは?
「多発した地震で遺跡が見つかったそうよ」
「遺跡、ですか?」
「此処の所、発生している地震の影響で入口が見つかったそうです」
GUTSの作戦室。
ヤズミの言葉と同時にスクリーンへ崩壊した山と遺跡の入口らしきものが映る。
「映像の地層からして相当の年季がこもっとるな」
「TPCとしてはこの遺跡を調査するそうよ、あと、GUTSの隊員も何名か同行することが決まったわ」
イルマ隊長の言葉で俺は尋ねる。
「何故です?遺跡の調査にGUTSが駆り出されるなんて相当の事態がないと起こりえないことでは?」
本来、GUTSは怪現象と災害救助…加えて怪獣の撃退が追加されているが、それがGUTSの任務。
遺跡の調査は含まれていない。
だが、隊長が言い出したからには何かある。
「確定ではないけれど、遺跡の一部を調べた所、ユザレのカプセルと同じ素材がみつかったらしいわ」
全員の顔に緊張が走る。
ティガの地。
それは怪獣頻出がはじまった切欠ともいえるもの。
同じ素材が遺跡にある?
つまり、それは。
「今も解析が続けられている超古代について何かわかるかもしれない、それと同時に危険があることからGUTSに同行が求められたの」
「…成程なぁ…」
「それで、誰が行きますか?」
リーダーの言葉に二つの手があがる。
「自分、立候補します」
「僕も、行きます」
俺と、ダイゴ隊員だった。
ガッツウィング一号の機内、そこで俺とダイゴ隊員は話をしている。
遺跡は駿河湾から少し離れた所にある山岳地帯で見つかった。
「遺跡の調査へ八幡が同行するなんて驚いたよ」
「自分も、っすよ。ダイゴ隊員はそういうの無縁だと思っていました」
「まぁ、心境の変化というか、みてみたくなったんだ」
「へぇ」
「そういう八幡は?」
「……もしかしたら、の話、してもいいっすか?」
「うん」
「あそこにウルトラマンの、巨人の情報があるのなら知りたい…巨人はなんなのか、彼らはどこからきて、何で俺達を助けてくれるのか、その理由が知りたいのかも、しれないんです」
本当は違う。
もしかしたら、ティガの地と同じならば、あるのかもしれない。
ウルトラマンの像。
それがあれば…俺は何を望むのだろう。
ウルトラマンの力を欲する?
それとも、ウルトラマンの像を悪用されない為に破壊する?
わからない。
だが、あの遺跡へ“何故か”いかねばならない。
そんな気持ちに突き動かされていたのだ。
「……まもなく、目的地へ到着します」
俺の言葉と共にウィング一号が着陸する。
遺跡の入口には既にTPCの職員とメトロポリスにある大学の教授や学生らしき姿がある。
「学生もいるみたいだね」
「……隊長から聞いた話だとサワイ総監の知人が調査に立候補したそうです」
「へぇ~」
俺達がやってくるとTPC隊員が敬礼する。
彼に案内されて調査団がいるテントへ入った。
「失礼します。今回の遺跡調査に同行することになりました…GUTSの」
「――比企谷、君?」
ダイゴ隊員の言葉を遮ったのは一人の少女だ。
俺はその少女を見る。
腰にまで届きそうな黒い髪、しみ一つない、肌。他の学者たちと同じ服を纏いながらも美しさを損なっていない。
その少女は俺を知っていた。
俺はその少女を知っていた。
「雪ノ下」
「……久しぶりね」
雪ノ下雪乃。
まさか、コイツとこんなところで再会するなど、夢にも思わなかった。
遺跡の調査が始まる。
先行しているのは俺とダイゴ隊員。
雪ノ下と数名。
「衛星によるスキャンではこの先に空洞があるそうです」
先を行く俺達は雪ノ下の会話を聞く。
「空洞に何かあったりは?」
「そこまではわかりませんでした」
俺は暗闇を行く雪ノ下を見る。
前のような刺々しい雰囲気は薄れているような気がした。
「何かしら?根倉谷君」
「別の名字に聞こえるからやめろ」
訂正、雪ノ下は変わっていない。
あの日から変化なし、なのだろうか?
「えっと、雪ノ下さんは八幡隊員と親しいの?」
「こんな人、知らないわ」
「俺も知りません」
「あら、つれない態度ね、あれほど、私を舐めまわしたというのに」
「そんなことした記憶はございません」
マジで覚えないし、やめてくれない?
ダイゴ隊員が驚いた顔をしてこっちみているから。
「ダイゴ隊員、勘違いしないでください。コイツとは高校の時の知り合いなので」
「そ、そうなんだ……驚いちゃったよ」
ほらな、初対面だったらこうなる。
「雪ノ下、お前、考古学に興味あったのか?」
「いいえ、大学に入って専攻しているだけよ」
「それ、興味があったんじゃ?」
「違うわ。これからを生きることで過去を知り、生かすことが重要と理解したのよ。それにしても、貴方、GUTSにいたなんて驚いたわ…怪獣に踏み潰されても平気なのかしら?」
「何度も踏みつぶされているように言わないでくれる?そういう危機もあったけどさ」
「まぁ、否定はできないね」
「………この先よ」
雪ノ下の言葉に俺とダイゴ隊員は前へ進む。
しばらくして狭い空間から抜けて空洞に着く。
「これは……石碑?」
石碑は謎の文字で描かれている。
「かなり古い言語ね…調べるのにかなり時間が掛るかも」
「あれは」
俺は壁画の一部を見て驚きの声を漏らす。
そこにあったのは土偶のようなものと戦う巨人の絵。
「……これは、ウルトラマンティガ?」
他にもティラノザウルスのようなものから、荷車に羽をつけたような絵。
金棒を担いだ鬼と光線を放っている鬼から、土偶と人間を足したようなものから多種多様なものが描かれていた。
雪ノ下は壁画を写真に収めていく。
「どうやら、ここは過去に起こった出来事を記録しているようね」
「過去の出来事」
ならば、どうして此処にティガの地と同じ反応があったのだろうか?
大きな地震が起こる。
「なっ」
「地震!?」
「すぐにここから避難する。危険だ」
「そうね」
ピシリと嫌な音を立てて天井に亀裂が入った。
「雪ノ下!」
俺は咄嗟に雪ノ下を突き飛ばす。
大量の瓦礫が上から降ってきた。
ダイブハンガーのGUTS作戦室。
そこでは警報が鳴り響いていた。
監視衛星が怪獣出現を察知する。
「駿河湾にて、怪獣出現」
「怪獣を陸地へあがらせてはダメ」
「出動!」
「了解!」
「ヤズミ隊員、二人へ連絡を取って」
「わかりました」
怪獣出現のためウィング二号が出動する。
直後、作戦室にPDIのエマージェンシーコールが入った。
「閉じ込められたようね」
光の指さない通路、そこで俺と雪ノ下は閉じ込められていた。
「ここは脆いのかもしれない。無闇に崩したら私達は今度こそ生き埋めになるかも」
「PDIのエマージェンシーコールを作動させる。これでリーダー達が気付くのを待つしかないだろう」
「……気づくのを待つ、ね」
「何だよ」
目元を緩めてこちらをみる雪ノ下。
「比企谷君、変わったわね」
「お前も言うのか?」
「以前なら一人でなんでもこなしていたのに、今は仲間を頼るのね」
「………そう、だな」
以前の俺なら誰の手も借りず、全てをこなしていた。今回の事も自力で出口を見つけるとか手段を考えただろう。
「何が貴方を変えたのかしら?恋人とかでもできたかしら?」
「生憎、そんなものはない…予定もないな」
「あら、そう」
意外という表情でこちらを見ていた。
「何だ?お前の中で俺は恋人でもできていた設定なの?」
「………そう」
驚いている様子の雪ノ下はそれから口を閉じた。
「……頼れといわれた」
「え?」
「何でもない」
リーダーに頼れといわれたから、というわけじゃない。
けれど、心のどこかで喜んでいたのだろう。
ボッチの俺を、仲間とみてくれた。
こいつらと同じ、本物が手に入ったような気がして。
「それに、GUTSの隊員は優秀だ」
ガララと目の前の瓦礫の一部が崩れる。
バコンと音を立ててぽっかりと穴ができた。
「きっと、助けに来る」
「八幡、無事かぁ!」
「助けに来たよ!」
ぽっかりできた穴からシンジョウ隊員とレナ隊員、GUTSメンバーがやってくる。
俺の顔と彼らを見て、雪ノ下は小さく、目を見開く。
「貴方、本当に変わったわ」
ほんの少し前、現れた怪獣グロッシーナへウィング二号が攻撃を仕掛けていた。
レーザー攻撃を受けて怯んでいたグロッシーナだが、尻尾を振り回す。
上空へ避難する二号。
しかし、繰り出した尻尾が山にぶつかる。
派手な音を立てて山の一部が崩壊した。
「これ以上、怪獣の侵攻を許すな!デキサスビームスタンバイ!」
「了解」
ムナカタの言葉にシンジョウが返し、ウィング二号の全面がスライド、デキサスビームが姿を見せる。
「発射!」
リーダーの言葉と同時にデキサスビームがグロッシーナの顔に命中した。
顔面にダメージを受けたことで悲鳴を上げる。
のたうち回るグロッシーナへ再度、攻撃を仕掛けようとした時、口から散弾光線が放たれた。
「やらせない!」
操縦桿を握りしめているレナが二号を上昇させる。
そのおかげで直撃は避けられた。
「くそっ、舐めやがって!」
「奴の攻撃が収まり次第、デキサスビームで止めを刺す! シンジョウ、狙いは任せたぞ」
「了解!」
怪獣:グロッシーナは瀕死の重傷を受けて地底へ逃げたらしい。
追い打ちをかけようとしたが俺のエマージェンシーコールに気付いたリーダーにより作戦は中断、救助にきてくれたという。
GUTS隊員としては作戦の邪魔をしてしまったことに申し訳なさを感じたがリーダーが「仲間の危機に駆けつけるのは当然」と胸元を拳でブンとぶつけられる。
その後に、全員の食事をおごるというお礼が待っていたことはショックだったが、ここは仕方ないだろう。
遺跡の調査はあれから進展したがあったのは過去に起こった出来事の記載だけだったらしい。
残念だと思えばいいのか、安心すればいいのかはわからない。
ただ、俺としては困った問題が発生していた。
「比企谷君、私の連絡を無視するなんていい度胸をしているわね」
「巡回パトロール中に出られるわけがないだろ!」
雪ノ下から時々、連絡が来ることだ。
どこから洩れたのか俺のPDIへ直接、雪ノ下から連絡が来る。
俺の罵倒を交えながら遺跡のどこが素晴らしいだの、どこの技術は良くないか?世間的な話から色々なものまで。
八幡的に疲れるんだけど。
一度、リーダーに見つかって格闘訓練言われたし。
「聴いているのかしら?比企谷君」
「あぁ、聴いているよ」
雪ノ下のからかうような質問に俺は返す。
「久しぶりの会話なのだからもっと楽しみましょう」
「だから、仕事中だって」
「そうそう、あの遺跡の記述だけど、変わったものが見つかったわ」
「変わった記述?」
「記録者」
「は?」
「あの壁画を描いた者の名前よ。記録者というものが巨人やあの戦いについて記したそうよ」
「へぇ」
「また何かあれば連絡するわ。今度は楽しい会話を期待するわ」
「ハードル上げるなよ」
「くすっ、じゃあね」
壁画はティガ外伝をモチーフにしています。
つまるところ、EXで外伝の話をやるという可能性ががががががが!
怪獣グロッシーナはダイナ本編で登場します。その際にGUTSと交戦して仮死状態という記載があったので、この時期位に戦闘があったことにしました。
次は赤と青の戦いを予定してします。
つまり宿那鬼の話やムザン星人の話はスキップします。
ムザン星人の話は書こうかなと思ったのですが、あれは戦闘面ばかりが多いのでかなり難しく断念します。
多くの感想ありがとうございます!