むしろ、ダイゴメイン回?
『比企谷君は鋼鉄の仮面という都市伝説を聞いたことがあるかしら?』
「なんだ、それ?」
ある日、PDIに連絡してきた雪ノ下は開口一番、変なことを言い出した。
『知らないの?最近、東京……メトロポリス中で話題になっているわ』
「だからなんだよ、それ?」
『はぁ、少しは調べるという事を学んだらどうかしら』
「お前が言い出したことだろ、説明位しろ」
『そうね、愚鈍なあなたに説明してあげるわ。鋼鉄の仮面とは深夜、誰もいない街を徘徊する鋼鉄の体をした存在の事を指すわ』
「……頭のおかしいコスプレとかじゃないのか?」
『さぁ?あくまで都市伝説という話よ。ただ、三浦さんがみたらしいわ』
三浦……あぁ、あーしさんか。
『同じ大学にいて話を聞いたの』
「同じ大学なのかよ」
『学科は異なるけど、時々、話をしているわ……』
「へぇ」
『何?その信じられないという声は』
鋭いな。
しかし、意外だ。
雪ノ下とあーしさん、犬猿の仲ともいえる二人が一緒に話をしているなんて想像ができない。いや、俺がボッチだからわからないだけか?
『三浦さんがとった写真を送るわ。可能ならGUTSで調べてもらえないかしら?』
「わかった……ただ、送るのは後にしてくれ。これからちょっと予定が」
『やけにピリピリしているわね。電撃谷君。何かあるのかしら?』
「GUTSの実験だよ。隊員の一人が宇宙にいてな。これから作戦室へ戻らないといけない、その名前は色々とやめろ。問題あるから」
『……そう、GUTSは宇宙に行くのね』
「訓練の項目にあるからな」
ぐるぐる回って吐きかけたのは嫌な思い出だ。
『地球は青かった?』
「……あぁ、青かったよ」
宇宙飛行士が宙に惹かれる理由がわかった瞬間だった。今回の試験はレナ隊員が行う事だが、いずれ、自分も宇宙へ行くだろう。
その時を想像すると自然と口の端が持ち上がる。
『あまり引き留めるのも悪いわね。今度、宇宙の話でも聞かせてもらうわ。じゃあ、噂の件、よろしくね』
「まぁ、期待はしないでくれ」
『あら、比企谷君にあまり期待していないわ。GUTSに期待しているの』
相変わらず毒舌ですね。
通話を終わらせて俺は作戦室へ入る。
作戦室に入ると今から実験のようでナイスタイミングだった。
宇宙でレナ隊員の乗るウィング一号試験機が実験をはじめようとしていた。
実験の内容はマキシマオーバードライブユニット起動テスト
マキシマオーバードライブ、それはヤオ・ナバン博士が開発したシステムで光の速さで宇宙を移動することを目的とした最新型エンジン。
ウィングの背部に搭載されておりそのエンジンの実験を行うことになっていた。
もし、この実験が大成功となれば、人類の宇宙進出、開発はより飛躍することになるだろう。
『これよりマキシマオーバードライブユニットの実験を始めます』
宇宙にいるレナ隊員の合図と共にエンジンが始動する。
しかし、数分後、焦るレナ隊員の声が作戦室に響いた。
「レナ隊員!すぐに実験を中止して」
「それは困る!」
作戦室の扉を開けてヨシオカ長官が待ったをかける。
「マキシマはこれから必要になる力だ。勝手に実験を中止されては困る」
「サワイ総監、マキシマはまだ有人テストできる段階ではないのではないでしょうか」
「何を言うんだキミは!マキシマは実用に及ばないというのか!?」
リーダーの言葉に共に来ていたヤオ博士が怒る。
そりゃ、目の前で自分の開発していたものが否定されたら誰だってそうなる。
「確かにヤオ博士のマキシマオーバードライブについては地球平和連合委員会において様々な意見がある」」
その時、レナ隊員から連絡が入る。
自分は無事、マキシマを停止させたという内容だった。
『本部、島です!島があります』
レナ隊員の言葉でヤズミが調べる。
「レーダーやセンサーに島らしき反応はありません」
『そんなぁ』
「レナ隊員、貴方、此処の所、休みを取っていないわね?48時間の休憩を命じます」
『……はい』
「ヤオ博士、マキシマオーバードライブが人体に悪影響を与えることは」
「そんなことは、わからんよ。マキシマは人類がまだ踏み込んだことのない領域だから」
「何ですって?その発言、同じ科学者として許せませんよ」
「落ち着いてください。ホリイ隊員」
これ以上はマズイ。
ただでさえ、不穏な空気が漂ってきているのだ。これ以上は関係の亀裂に繋がりかねない。
「レナ隊員は戻った時に身体検査を受けてもらいましょう。それで異常があったらならマキシマは慎重に実験する必要がある、さらなる改善を探す必要があると考えればいいじゃないっすか」
「……せやな、すまん、八幡」
「私はデータの解析があるからこれで失礼するよ……あぁ、比企谷君だったか?少し来てくれるかな?」
え、俺?
困惑しつつもヤオ博士についていく。
彼と無言でエレベーターへ乗り込む。
「キミの事は雪ノ下雪乃君から話を聞いていたよ。とても頼りになる男子だと」
雪ノ下ぁ、変なハードルあげんじゃねぇよ。
ヤオ博士が凄い期待している目でこっちみているんだけど!?
扉が閉まるという所でダイゴ隊員が割り込んできた。
え、何で?
三人という気まずい空気の中、ヤオ博士が口を開く。
「GUTSがあれほど、保守的だったとは」
「……チームワークが求められますから」
「そういえば、最近は地下の動力プラントが騒がしいようですね」
「マキシマを知る者は未だ限られている」
それなのに、俺達、どこへ向かうの?
疑問を抱きつつも口を挟まないよう注意する。
「僕は楽しみなんですよ。人類はまだまだ進化する。これから手にする力が」
「力じゃないよ、光だ」
そういうとヤオ博士はエレベーターを出ていく。
「こんな深く?」
「地下133、俺達は滅多に足を踏み入れない場所っすね」
俺達はヤオ博士を追いかける。
しかし、途中で見失った。
「あれぇ、どこいったぁ?」
「戻ります……ん?」
外を見る。
そこはドッグ。
薄暗い空間の中に設置されている巨大な船が目に入る。
「うわぁ、でっかいなぁ」
「こんな船を建造中だったんすね」
地下深くは立ち入らないから俺達は知らない。
あれ?これって、見たらいけないパターンじゃ?
「ねぇねぇ、あれがマキシマオーバードライブじゃないかな?」
ダイゴ隊員の指す方を見る。
巨大な船の側面、
開いているパーツの中から覗いている複数のプラグのような物。
試験機でもみたからわかるがおそらくあれがマキシマオーバードライブなのだろう。
「……ヤオ博士、見つからないし、戻りましょう」
「そうだね」
ダイゴ隊員と共にエレベーターへ戻る。
おそらくヤオ博士といろいろな話をしたかったのだろう。
あれ?俺が呼ばれた理由ってなんだったんだ?
首を傾げつつも作戦室へ戻る。
そんな俺達の姿をヤオ博士がみていたなど気づかなかった。
その日の夜。
ダイゴはシンジョウと共にデ・ラ・ムに乗って街のパトロールに出ていた。
シンジョウへマキシマオーバードライブの話をしようと考えたが、どうしようかと考えているとシンジョウ隊員が「そういえば」と声を漏らす。
「八幡の奴が、なんつったけ?鋼鉄の仮面とかいう都市伝説を話していたなぁ」
「鋼鉄の仮面、それって、街を徘徊しているっていう?」
「今時、鉄の仮面をつけて歩き回るってなんだよって思っちまったよ」
「へぇ、あぁ!?」
ダイゴの言葉でシンジョウが前を見る。
車道をゆっくりと歩く鋼鉄のロボットがいた。
デ・ラ・ムから降りたシンジョウはハイパーガンの銃口を向ける。
「止まれ!」
シンジョウの言葉にゆっくりとロボットが振り返った。
「……」
ロボットは何も返さない。
それどころかこちらへ近づこうとしていた。
「生体反応はない……こいつはロボットだ」
「なら!」
シンジョウはハイパーガンを撃つ。
攻撃を受けたロボットは音を立てて崩れる。
車道にバラバラとなった体が散らばった。
「なんだよ、あっけないなぁ……こんなので侵略しようなんざ、地球を舐めてんのか?」
「……おかしい!」
ダイゴは膝をついて鋼鉄のロボットを調べる。
「空っぽだ……」
「なに?……本当だ、コイツ、どうやって動いているんだ!?」
「回収して調べましょう」
「そうだな」
それからTPCは至る所で現れる鋼鉄のロボットを回収していた。
数は優に十を超えている。
通路を歩いていたダイゴはレナを見つけた。
「レナ!」
「あぁ、ダイゴ……っわぁ、何するのよぉ」
レナは手の中にあるコーヒーを零しそうになって半眼で睨む。
「あはは、あのさ、レナ」
「何よ?」
「マキシマオーバードライブについて、教えてほしいんだけど」
「……知りたい?」
「すっごい、知りたい」
「なら、問題です。一番、速く空間を移動するものはなんでしょう?」
レナからのクイズ。
少し考えてダイゴは答える。
「光?」
「正解!」
手の中にあるコーヒーを零さないようにしながら歩き出す。
「ヤオ博士って、天才よね、陽子と反陽子をぶつけて、光を生み出すなんて」
「えっと……」
「ダイゴ、確か、物理で赤点とっていなかったっけ?」
「え、あはははは」
「そういえば、八幡君も赤点とっていたし、大丈夫ぅ?」
レナの問いかけにどう返そうかという時、GUTS招集がかかる。
ダイゴが作戦室へ戻るとスクリーンに巨大な島が映っていた。
「島や……レナの言っていたことは本当やったんや」
「偵察に出ているシンジョウ機から連絡です」
ヤズミの言葉でシンジョウから通信が入る。
『なんて、でかさだ……っ、島が攻撃を始めやがった!』
シンジョウ隊員の言葉通り、機械の島から降り注いだ雷撃が地表へ直撃、火災などを誘発していた。
「無茶だ!一号の装備じゃ対抗できない!」
ムナカタが通信越しで叫ぶ。
しかし、敵の攻撃を目の当たりにしたシンジョウは命令をきかない。
一号のレーザー兵器で攻撃を試みるが機械島に通用しなかった。
「っ、なんだ?」
シンジョウ機に迫るロボットらしきものが迫る。
イルマが脱出を呼びかけて、一号機のコックピットが射出。
少し遅れて機体へロボットが直撃。
一号機は大爆発を起こした。
シンジョウ隊員のコックピットはそのまま大気圏内へ突入する。
GUTSメンバーが作戦室で待機しているとサワイ総監、ヨシオカ長官、ヤオ博士が入ってくる。
「緊急の最高幹部会議で新造母艦アートデッセイ号の使用が決定した」
「アートデッセイ号?」
「まさか、我々にも極秘で?」
「アートデッセイ号で機械島を迎撃する」
隊長やリーダーの様子からしてあの母艦は一部の人間しか知らされていなかったようだ。
「しかし、主動力のマキシマが未完成で……使用できるのは通常装備のみで」
「これ以上、奴らの好きにさせるわけにはいかん!我々は攻撃を受けているのだ!」
「アートデッセイ号は戦争の為に作っているわけではない!」
ヨシオカ長官に反論するようにヤオ博士が叫ぶ。
戦争の為に作っているわけではない。
では、何のために?
その疑問をぶつけるようにホリイ隊員が口を開く。
「ヤオ博士、貴方はマキシマオーバードライブの研究を二十年以上、費やしてきたと聴いています。何の為に……?」
「それは、地球を守るための力だと信じて」
「本当の事が、ききたいんです」
「これまで誰も見たことのない凄い船を作りたかった……子供のころから」
ホリイ隊員の真摯な問いかけに苦笑しながらヤオ博士は答える。
答えている顔は年相応のものではなく、夢見る子供のようにきらきらと輝いていた。
「前の事はすんませんでした!その力、存分に発揮させてもらいます!」
ホリイ隊員はヤオ博士へ謝罪する。
その時、作戦室の扉が開いてシンジョウ隊員が戻ってきた。
「あぁ、戻ってきたぜ」
「でも、すぐに出動よ?」
「上等だ!」
「いたっ!」
シンジョウ隊員は喜びながらホリイ隊員を叩く。
あれは痛そうだ。
「ヤズミ隊員、F4ドックへ連絡、アートデッセイ号、発進準備!」
「了解です」
「GUTSはこれより新造母艦アートデッセイ号で機械島を叩く!」
それからヤオ博士から俺達はアートデッセイ号の操作マニュアル、装備マニュアルをみせてもらう。
アートデッセイ号、全長150メートル、最高速度マッハ3(空中)、宇宙空間ではマッハ42並の速度がでるらしい。
武装はいくつかあり、中でもデラック砲はガッツウィング二号のデキサスビームを超えるほどの威力を持つ。
F4ドックへ俺達は向かう。
「新システムでは不安定やから通常兵器で応戦や」
「実験はこの作戦が終わった後でもやればいいっすからね」
「そうだね」
「でも、それじゃあ、何のための新システムかわからない!」
その時、基地内に緊急放送が鳴り出す。
『基地内に侵入者が検知されました。相当数の模様、警戒態勢を取って下さい』
「え?」
「なんやて、この基地にそれだけの数が?」
「急げ!俺達の仕事は船を飛ばす事だ」
「了解」
しかし、この放送のいう侵入者がF4ドックにいることなど、俺達は夢にも思わなかった。
地下、そこで回収された鋼鉄のロボット、ゴブニュが基地の配線や資材などを破壊していく。
警務局の隊員が対応しようとするが敵の数の多さに戦慄していた。
破壊活動をしていたゴブニュへ光弾が直撃。
「アイツら死んでいたんじゃなかったのか!?」
「あのロボットの詳しい解析は行われていなかったはず……仮死状態だったとか?」
「いや、俺が撃ったらバラバラになったんだぞ?バラバラの仮死状態なんてあるのか!?」
「そう、ですけど」
「急げ!アートデッセイ号へ向かうぞ」
「ここは僕と八幡に任せて行ってください!」
「ダイゴ!これ、持っていけ!」
「八幡、これもや!」
下へ降りようとした八幡とダイゴへホリイとシンジョウがハイパーガンのカートリッジが入っているガンベルトを投げる。
受け取りながら二人は下で暴れているゴブニュへ攻撃を続けた。
アートデッセイ号の操縦エリア。
「これだけでかいの飛ばすとなるとごっつうエネルギー使うで」
「大気圏突破までマキシマオーバードライブを使います。位相がかなり歪むので注意してください」
唯一、マキシマオーバードライブを経験しているレナが操縦席へ腰かける。
他のメンバーはサポートに入った。
「マキシマのフルチャージまで」
「三分、です」
ダイゴ隊員と別れる形で俺は現れたロボットへ攻撃を続ける。
警務局の隊員達が逃げ惑う中でハイパーガンを撃つ。
ハイパーガンを警務局員に配備すればいいのに、と思いながらカートリッジを交換する。
標準装備が拳銃だからロボットの装甲を傷つけられない。
俺達しかできない。
そのことに溜息を零しそうになりながらハイパーガンを撃つ。
『ダイゴ、八幡君、発進するからそこをどいて』
「りょ、了解」
アートデッセイ号が発進するという事だから無事にみんなは行けたという事だ。後は安全なところで奴らを潰していくだけだ。
そう考えていた時、目の前でロボットたちが回転を始める。
「なっ!?」
突然の事に俺が呆然としているとロボット達はダイブハンガーの隔壁を壊す。
「や」
ヤバイ、と思った時はすでに手遅れだった。
壊れた隔壁から大量の海水が流れ込んでくる。
波の力に抗うことが出来ず俺は海面へ流されていく。
ダイブハンガーから飛び出したゴブニュ達は集まると巨大なゴブニュ・ギガへ、その姿を変える。
ゴブニュは海底を進む。
その先にあるのはダイブハンガー。
彼は基地を破壊しようというのだ。
八幡同様に海へ流されていたダイゴはそれをみて、スパークレンスを掲げる。
眩い輝きと共にゴブニュ・ギガの前にティガが現れた。
ティガはゴブニュ・ギガと戦い始める。
同時刻、大気圏を突破したアートデッセイ号は機械島へ攻撃を開始しようとしていた。
マキシマで地球を突破して、主砲、デラック砲などで機械島に砲撃をする。しかし、機械島に傷一つつかなかった。
後編へ続く。
大分、端折った感がいなめませんが、今回はここまで、GUTSよ宇宙へはGUTSの戦力強化、ダイゴの成長面が強かった気がします。
さてさて、番外編の今後の予告を。
いくつか、候補があって、どれから書いていくか悩んでいます。
①留美とのデート
②昭和、平成のウルトラ怪獣が出てくるオリジナル話
③オレガイルキャラと八幡のいちゃつきや怪事件をめぐる話、などなど。
これからも楽しみにしていてください。