ここ最近、GUTSはある存在に頭を痛めていた。
「来ました!魔神の電磁波です!」
「現在、五万エルスデッド」
「メインモニターへ」
「了解」
ヤズミの言葉で作戦室に緊張が走る。
隣で測定をしているが間違いない。魔神出現の波長だ
「反応はR-27地区です」
「シャーロック、R-27地区へ急行して」
『了解』
イルマ隊長の指示で付近をパトロールしていたシャーロックが現場へ向かう。
魔神。
それは此処の所GUTSの前に姿を見せている巨大な異形の存在である。
特定の電磁波を放ちながら様々な地域へ姿を見せては消えていく。
函館、仙台、水戸と様々なところで現れていた。
GUTSも翻弄されている。
魔神の目的は何なのか?
わからないが警戒するに越したことはないだろう。
『シンジョウです、魔神が出現しました』
しばらくして、シンジョウ隊員から届いた連絡で俺達は緊急出動する。
現場はホリイ隊員とシンジョウ隊員らが避難誘導をしてくれている。
ウィング一号と二号で出撃する。
『リーダー、わずかですが魔神から例の電磁波がでています』
「気を付けろ、今度こそ攻撃してくるかもしれん」
『こちらホリイ、広場の避難誘導、完了しました』
「よし、魔神を広場へ誘導して迎撃する」
『了解!』
ウィングが迎撃態勢に入ろうとした時、魔神は光と共に姿を消した。
「ったく、なんなんだよ!あの魔神、出たり消えたり、こっちはモグラたたきしているわけじゃねぇぞ!」
「あぁ、もう!じっとしてください!」
悪態をつくシンジョウ隊員はヤズミによってケガの手当てをしてもらっていた。
「どうしたんですか?これ」
「いや、男にいきなり襲われた……なーんかやたら暴れている奴が多かったよな」
「シンジョウ隊員、ホモに狙われたんじゃないっすか?」
「やめろよ、うわ、鳥肌立ってきた……ヤズミくーん?」
ヤズミは何かに気付いたように席を離れる。
入れ替わるようにして俺が消毒液をシンジョウ隊員へぶっかける。
大きな悲鳴の横でダイゴ隊員とホリイ隊員はスクリーンを見ていた。
「あ、これ俺や」
「このちっこいの、本当だ」
「キミら!何やってんだ!」
「でも、少し怖いな。攻撃もせず、ただ歩き回るだけなんて」
「……函館、仙台、水戸、そして、東京……何か関連があるのかしら」
「「あ!」」
ダイゴ隊員とホリイ隊員は機械でスクリーンへ映像を映す。
函館、
仙台、
水戸、
東京。
スクリーンの片隅に映っている劇団員たち。
俺は目を見開く。
彼らに見覚えがあった。
ゆかいな仲間達。
俺と留美がデートした遊園地で知り合った連中だ。
固まっている俺の横で他の隊員達は議論している。
あの連中の事についてだ。
「だから、あいつらが魔神を操っているんだって」
「あれが操っている顔か?」
「だから、魔神があの人達を操っているのよ」
「あれが操られて……いや、それはありえるな」
「でも、何のために?」
「八幡」
作戦室の扉が開いてヤズミがやってくる。
「どうした?さっき、出て行ったみたいだが」
「魔神の電磁波を調べていたんだ。ホリイ隊員、これを」
資料を見たホリイ隊員は目を見開く。
「あの魔神の電磁波は、人間の脳を直接攻撃するんか」
「どういうことだよ?」
「ヤズミの調べてくれたデータによると、魔神の電磁波は脳の中に一種の恐怖ホルモンを生み出して、攻撃衝動、殺人衝動を生み出す。それらで脳に負担をかけて破壊するんや」
「……悪魔?」
「いいえ、侵略者よ」
レナ隊員の呟きを隊長は否定する。
その通りだ。
奴の能力は最悪以外の何物でもない。
「奴の電磁波が消えずに残っていたら」
「歩き回るだけで侵略ができる」
「自分は高みの見物をするだけでその文明は滅ぶ……最低な能力だ」
魔神は早急に撃退する必要がある。
緊張感漂う作戦室内で再び魔神の電磁波が測定された。
場所は何もない原っぱ。
調査のため、ダイゴ隊員がウィング一号で出動することになった。
「自分も、いっていいっすか?」
もし、あの場に魔神と共にゆかいな仲間達がいるのだとしたら。
交渉できるのは自分だけだ。
リーダーの許可をもらって俺はダイゴ隊員と共にウィング一号へ乗り込む。
「あの人達と面識でもあった?」
「え、なんすか?」
操縦席へ腰かけた所でダイゴ隊員が訊ねる。
「八幡君、僕とホリイ隊員が映像を流していた時、食い入るように見ていたからさ」
「あ、あぁ……実は、この前、留美と、彼女と遊園地へ行ったときに知り合ったんです」
「魔神が出現する少し前だね」
「みんなの会話を聞いていると、あの人達が魔神と関係があるように思える。けれど、何かが違う。そんな気がするんです。それで」
「彼らに会えるかもしれないって?」
「はい」
「そっか」
ダイゴ隊員はそういうとウィング一号を発進させる。
衝撃に体が少しシートへ押し付けられた。
「八幡君が彼らと面識があるなら、彼らの交渉は任せてもいいかな?」
「……はい」
しばらくして、魔神の姿を見つけた。
魔神はバンを追いかけている。
ダイゴ隊員は魔神へレーザー攻撃をする。
攻撃を受けた魔神は不気味に笑いながら姿を消した。
「……消えた」
「こちらダイゴ、魔神は逃走しました……着陸します」
ウィング一号が着陸する。
俺達が降りるとバンから飛び出した団員たちの姿があった。
「大丈夫、すか?」
ヘルメットを外して俺は団長たちの所へ向かう。
「お前……」
「GUTSの比企谷っていいます。少し話をしたいので、同行を……どぅあわぁ!?」
説明の途中でデバン、とかいう着ぐるみの人が俺へタックルを仕掛ける。
突然の事でデバンごと俺は地面に倒れた。
そこで気づいた。
目の前のデバン、口元から涎をたらしているほか、体温がある。
「お前……怪獣、だったのか?」
驚きながらも俺は彼らを説得してダイブハンガーへ来てもらった。
デバンは危険がないか検査をすることとなる。
団長たちが心配そうにデバンをみていた事とデバンが俺にしがみついて離れなかったことから検査に立ち会う事となった。
ダイゴ隊員達は今頃、団長たちとデバンのなれそめを聞いているのだろう。
「あれ、ヒッキー?こんなところでなにしているの」
「仕事だ、お前は?」
「私は回診の帰りだよ~、これから少し休むんだけど、ヒッキーも何か飲みに行かない?」
「仕事中だっての、話聞いていなかったのか」
「き、聴いていたし、でも、ヒッキー、前に言い訳で仕事使ったじゃん」
「あれは、その」
その時は行く先に問題があったのだ。
「ただ夕食行こうって話だったのに」
「色々あったんだ、色々と」
「色々ってなに!?」
「あ、検査が終わったようだ」
ウィィィンと扉が開いてデバンとTPCの科学者がやってくる。
「ヒキタニ君、ですね?検査は終わりました。報告のため、GUTSの作戦室へ案内してください」
メガネをかけた知的そうな人だ。
但し、性格面に問題アリ、人の名前を間違えている。
ま、間違えやすい苗字だからさして気にしていないが。
「ヒキタニじゃなくて、ヒキガヤです!」
「……これは失礼、比企谷隊員、案内を頼みます」
由比ヶ浜をちらりとみてから謝罪する。
但し、気持ちはこもっていない。
ま、いいか。
年少の俺がGUTSにいるという事で偏見を持たれやすい。いや、持たれている。
あの件がなければ俺はこんなところにいない。
「離れろ、デバン」
「うわぁ、可愛い!ヒッキー、撫でていい!?」
「デバンに聞け」
「撫でていいかな!」
由比ヶ浜の質問にデバンは頷いた。
まさか、聴くとは!?
嬉しそうにデバンを撫でている。
しばらくしてデバンは俺から由比ヶ浜に離れなくなった。
人懐っこい怪獣だった。
俺達がデバンを連れて作戦室へ入るとピエロのお兄さんがデバンへ駆け寄る。
「生化学研究所のタンゴと申します」
「イルマです。それで、検査の結果は」
「いやはや驚きです。魔神の電磁波が残留しない原因はこの怪獣だったのです」
「え!?」
「簡単にお話ししますと、本来なら残ってしまう魔神の電磁波をこの怪獣がいるだけでパーにしてしまうんです」
「いるだけで?」
「そうです」
「へぇ~」
「凄いなぁ、ホリイ」
「俺、こっち!」
ダイゴ隊員のボケに反応するホリイ隊員。
デバンはゆかいな仲間たちが囲んでいた。
「イルマ、さんでしたね?この怪獣、研究対象として生化学研究所へ引き取らさせてもらいます。既に上の許可はとってあります」
「なんだとぉ!」
タンゴ博士の言葉に団長さんが怒る。
そりゃそうだ。
仲間としてともに活動してきた人達からすれば、デバンをかってにつれていかれるのは由々しき事態。
冷静でいられるわけがない。
団長を俺達が無理やり引きはがした時、基地内に警報が鳴り出す。
「魔神が出現しました!」
ヤズミの言葉で俺達は出動する。
デバンは連れていけないな。
本来なら意見具申してでもデバンを連れていくべきだろう。
だが、デバンに戦闘能力はない。
魔神との戦いに巻き込むわけにいかなかった。
何より団長さん達が許さないだろう。
こいつを家族のように思っている人たちが。
ウィング二号に乗り込む際、ホリイ隊員が訊ねる。
「俺は、デバンを連れていくとかいいだすんやないかと思ったわ」
「……彼らが許さないでしょう、なにより、彼らがそれを認めないですから」
「せやな、俺らだけで魔神を撃退するで」
「了解っす」
ダイゴ、シンジョウ隊員がウィング一号で、残りの俺達が二号で出撃する。
ヤズミからの報告で魔神の電磁波はさらに強力になっているという。
その証拠にウィングのレーザー攻撃が途中で外れた。
「強力な電磁波でレーザーの照準がぶれる、真上からでないと魔神に直撃せぇへん」
「真下には大勢の住民がいる!」
「だから、奴は悠々と歩いているのかよ」
目の前で魔神は顔を歪めながら歩いている。
自らが手を下さなくても人が滅ぶとわかっているからだ。
くそっ。
電磁波を弱めるシステムでもあれば、くそっ。
その時、表示されていた魔神の電磁波が弱まっていく。
「は?」
「……どうした、八幡?」
「いえ、あの、魔神の電磁波が弱まって」
「みて!あんなところにデバンがいる!」
「なっ!?」
レナ隊員に言われて下ををみた。
街中をデバンが歩いていた。
それだけのことだが、それだけで暴れている人間達は正気を取り戻していく。
『アイツ、武器もないのに』
デバンは真っすぐに魔神の下へ向かっている。
魔神を見上げるデバン。
額から魔神は光弾を撃つ。
それはデバンへ直撃。
攻撃を受けたデバンは派手に吹き飛ぶ。
俺は顔を歪めた。
電磁波で何もできない。ただ、みているだけしかない自分達が悔しい。
その時、横のウィング一号が電磁波の中へ突撃していく。
「アカン!電磁波の中へ突撃するつもりや!」
「シンジョウ、引き返せ!電磁波の中に入ると脳が!」
リーダーの通信をウィング一号側から遮断される。
電磁波へ突撃した一号はレーザーを放つ。
攻撃は魔神に直撃した。
「当たった」
俺が呟いた直後、魔神の放った光弾がウィング一号へ直撃する。
「あぁ!」
「ダイゴォ!」
魔神が笑う中、ウルトラマンティガが現れる。
しかし、ウルトラマンティガも魔神の電磁波を受けて苦しみだす。
俺達は見ているだけだ。
援護をするにもいまだに魔神の電磁波は健在。
どうすることもできない。
その時、また、魔神の電磁波が下がっていく。
「これは……」
「まだ、デバンは生きている……戦っているんだわ!」
レナ隊員の言葉通り、デバンは生きていた。
デバンは電磁波を無力化させていく。
魔神はそんなデバンへ光弾を放つ。しかし、それをティガが受け止めて投げ返す。
攻撃を受けた魔神は倒れこむ。
ティガは赤に姿を変えると魔神の両肩、電磁波の発生源を粉砕していく。
電磁波が出せなくなったことで不利を察したのだろう。
魔神は逃走しようとした。
別の次元へ逃げようとしているのだ。
しかし、ティガが放った光線によりその能力は無効化される。
「リーダー、魔神の電磁波が弱まっています。これなら俺達も攻撃可能です」
「よし、攻撃開始!」
リーダーの合図と共にウィング二号からレーザー攻撃が魔神へ直撃する。
攻撃を受けてのけ反る魔神へティガの一撃が。
倒れこむ魔神へティガはデラシウム光流を放った。
攻撃を受けた魔神は大爆発を起こす。
ティガは空へ帰っていく。
着陸した俺達はデバンの下へ向かう。
デバンは大の字で倒れていて動かない。
団長さんが泣きじゃくっている。
「……嘘、だろ」
デバンはいなくなった。
その後、ダイゴ隊員と俺宛に団長さんから手紙が届いた。
『皆、元気!』
その手紙をみていた俺とダイゴ隊員は写真をみる。
停車しているバンの車内。
そこから覗きこんでいるデバンの姿があった。
「あの、団長……なんつぅ、演技だよ」
「……デバン、生きろよ、この世界で」
今もどこかでデバンは団長たちと共に生きているだろう。
楽しく、幸せに。
その事実が分かっただけに、少し気分が軽くなった。
霧が来るは書くつもりです。
問題は恐竜たちの星、行け!怪獣探検隊は書くかどうかすっごい、悩んでいます。
恐竜たちの星はヤズミの初出動ですから……余計に悩むんですよねぇ。
怪獣探検隊は……特に重要視していないんですよね……環境問題というものがありますが
これらを書かなかったら番外編へいきます。