土色の怪獣ジョバリエを囲むようにしてTPCの戦車や固定地雷、デ・ラ・ム、ガッツウィング一号が攻撃を続けている。
外見がクワガタムシかアリジゴクを連想させる怪獣は見た目と同じでかなり硬い皮膚を持っている。
TPC戦車部隊の砲撃をモノとせず立っていた。
そんな中で、俺はシャーロックの車内にいて、スクロール砲の発射準備に入っている。
上空で怪獣へ攻撃しているライドメカのウィング一号の二機から大量のミサイルが放たれ。シャーロックのスクロール砲を撃つ。
デ・ラ・ムやリーダー達も攻撃を続けている。
俺もガッツライフルを手に怪獣へ攻撃を仕掛けていた。
しかし、攻撃を受けても怪獣は平然としていた。
ジョバリエの触覚が下へ向いた。
電撃が放たれる。
設置されている固定地雷、戦車部隊が次々と破壊されていく。
全てを壊した怪獣は自らの体をひねらせながら地面へ潜る。
しばらくして顔だけを残して体を地面へ沈めていた。
『リーダー、今がチャンスです爆撃で奴を倒しましょう』
「はやるなシンジョウ、二号やアートデッセイ号はクリッター作戦の為に使用できない。一号の爆撃じゃ効果が薄い……まぁ、手を考えるよ」
『副隊長』
イルマ隊長から連絡が届く。
『GUTSを一度、基地へ戻せるかしら?』
「全員をですか?一応、怪獣は落ち着いていますが、誰かが残ったほうがいいかと」
『クリッター作戦の開始が近いそうなの』
「ほう、それは急な話ですね。補給のため、一度基地へ戻ります」
『応援部隊がくるから引継ぎを任せて』
「話は聞いたな?一時帰島する」
「了解…っと」
俺は装備をシャーロックにのせる。
後の事を傍にいたTPC隊員へ任せて基地へ向かう。
「クリッター……作戦ね」
クリッター作戦、正式にはクリッター殲滅作戦。
アートデッセイ号や二号の重火力によってクリッターを殲滅するというものだ。
ガゾートⅡの事件以降もクリッターによる飛行機遭難事件は後を絶っていない。
故にクリッターを殲滅することが決まった。
これは一週間前まで話が遡る。
一週間前。
「参謀会議でクリッター殲滅作戦の決定が下されたわ」
「よっしゃ!待っていろよ。クリッター」
「あの!」
レナ隊員が声をかける。
「クリッターは元々、地球の生物です。でも、人類が作り出した電磁波の影響で怪獣になってしまいました」
「何がいいたいんだよ」
「クリッターを殲滅する前に電磁波問題をなんとかすべきじゃないんでしょうか?」
「そのことな」
レナ隊員の言葉にホリイ隊員が顔を上げる。
しかし、
「俺も対策を考えた……けどな、考えることをやめた」
「どうして?」
「今の時代に電磁波というものをなくせということは不可能や、そりゃ、減らせや増やせといったらなんとかすることはできる。けれど、一度、便利なものを手にした以上、人類はそれを簡単に手放せへんってことや」
「そうだとしたら……それは情けない事ですね」
「人間にはもう少し賢くなってほしいわ」
「ダイゴやレナのようなことも必要だろう。しかし、今は非常時だ。我々の使命は外敵から人類を守ることだ」
「レナさんは甘いですよ」
レナ隊員へヤズミが言葉を漏らす。
「リーダーやホリイ隊員のいう通りです。脅威となるもの多くでも減らせば人類は長く生きられる。だから、ガッツやTPCは今よりも強くあるべきです!」
「ヤズミ隊員、何を!」
「何を言っているの!?」
レナ隊員は机をたたいて作戦室を出ていく。
ダイゴ隊員も後を追う。
俺はヤズミをみる。
「ヤズミ、それ、本気でいってんのか?」
「当たり前じゃないか!」
「そうか……なら、独裁者だな」
「え?」
「話は終わりですね?自分も失礼します」
席を立つ。
意味を分かっていたのかホリイ隊員やリーダー、隊長は何も言わない。
残されたのは困惑しているヤズミとホリイ隊員の肩をつつくシンジョウ隊員だった。
「ダイゴ、ごめん!つい……若いヤズミ隊員としては無理ないのかなぁ?」
作戦室を出たすぐ近くでレナ隊員とダイゴ隊員がいた。
あれ、もっと離れた所でやるべきじゃない?
「何故、怪獣が出てくるか、その理由や原因を見つけることが本当の怪獣対策じゃないの?」
「そうだな、装備の強化はキリがないから」
レナ隊員の言う怪獣対策、確かに今まで出現した怪獣の中には原因を取り除けば二度と現れないだろう怪獣もいる。
しかし、そのほとんどの出現理由はわかっていない。
もしかしたら、ユザレのカプセルが切欠かもということは考えた。
未だに答えは出ない。
「何故、ティガは助けてくれるのかな?」
「え?」
「身勝手な私達をどうして」
戻ろうダイゴというレナ隊員の言葉で俺は慌ててその場から離れる。
現在。
GUTSの作戦室、そこでイルマ隊長からあることを伝えられる。
「クリッター作戦が正式に発令したわ。二時間後にアートデッセイが出動するわ」
「くそう、アートデッセイがもう一隻あったらなぁ」
「あったとしても市街地にデラック砲撃ち込むわけにはいかないっすよ」
「そうだなぁ」
「一番、有効なのは二号のデキサスビームですが」
「使えないのは仕方ないわ……クリッター作戦は予定通り、参加者はレナ隊員、シンジョウ隊員、ホリイ隊員、リーダーは地上部隊の指揮、ダイゴ隊員と八幡隊員はサポート、ヤズミ隊員、出られるわね?」
「はい!」
「何か質問は?」
「ありません」
「では、頼んだわ」
「了解!」
作戦のため俺達は通路を歩く。
向こう側から由比ヶ浜がやってくる。
「あ、ヒッキー」
俺は無視して通り過ぎようとしたら腕を掴まれる。
「何で無視するし!?」
「いや、お前、忙しそうだし」
「そりゃ……往診とかあるけれど……声かけてくれてもいいじゃん!」
「お仕事中にそんなことできるかよ」
「ヒッキー、社畜だね」
「何を!?このアホの子め。おれだって、これから」
「怪獣を殺す?」
由比ヶ浜の悲しそうな目があう。
「……直論からすれば、そうかもな」
「今って、平和なのかな?」
「さぁな、でも、戦わないといけないんだろうな。だから、ガッツやTPCがある」
「もし、私達が戦うことをやめたら怪獣って出てこなかったりしないのかな」
「……まさに神のみぞ知るってところだな」
「怪獣さえでてこなかったらヒッキーも、ウルトラマンも戦う事ないのにね」
「結衣ちゃん!往診いくよ!」
「あ、マユミさん!はーい!」
手を振って俺は由比ヶ浜と別れる。
遅れてやってきたシンジョウ隊員。
「どうでした?妹との再会は」
「戦うことをやめたら神様が怪獣を出すのをやめてくれるっていわれたよ」
「……そうっすか」
「あと、今が平和かってきかれた」
「少なくとも怪獣が出ている以上、平和っていう言葉はそれを知らず、当たり前の日常が続いている奴の生活を指すんじゃないっすかね」
「相変わらずだなぁ」
「それが俺っす」
「無茶すんなよ」
「了解です」
シンジョウ隊員が拳を作ったので掌で受け止めて別れる。
「レナ隊員とのお話し、終ったんすか?」
「うん……聴いていたの!?」
「まさか、遠目でみただけっすよ」
「そっかぁ……八幡君はどう思う?」
「俺は――」
ウィング一号の後部座席そこで俺は機械のチェックをしている。
操縦者はダイゴ隊員。
『ダイゴ、作戦は二十分後に行われる』
「了解、十分で到達します」
現場へ到着するとリーダーから作戦の指示が伝えられる。
電波が不安定のため、作戦変更の指示は信号弾で行われるという事だ。
攻撃を仕掛けるがやたらとウィング一号の中が揺れる。
「お前達はなんで暴れるんだ!」
「そんなの、答えてくれたら仕事減りますよ」
『ダイゴ!逃げろ!』
リーダーの指示で離れようとするがウィングはいう事を聴かない。
「くそっ」
「ダイゴ隊員、戦車部隊の援護です。今なら離脱可能です」
「よし」
敵の攻撃でシステムのいくつかが破損した。
ふらふらとウィング一号が離脱する。
補うように地上部隊の砲撃が始まった。
大量の砲撃を受けた怪獣は触覚を動かす。
放たれる大量の電撃が地上部隊の戦車を破壊していく。
オープンしている回線から隊員達の断末魔が響く。
自然と俺の顔が険しくなる。
忘れるな。
この声を。
忘れるな。
彼らがいたことを。
リーダーの指示で作戦中止が出るころ、空は夕焼けに染まりつつあり、大量の戦車の残骸が怪獣の周囲に散らばっていた。
怪獣の攻撃で負傷した人達がテントへ運ばれていく。
その中にヤズミ隊員がいた。
ケガを負い、その手当をマユミさんがしている。
俺は外で待機だ。
「――だから、ガッツやTPCはもっと強くなるべきだと言ったらレナ隊員怒っちゃって」
「貴方って、もう少し賢いと思っていたけれど、子供ね」
「どういう意味だよ?僕は真面目に言っているんだぞ!」
中から聞こえてくるのは痴話喧嘩。
俺、帰ってもいいかな?
「アンタ、死ぬの怖くないの?」
「アンタじゃない、僕はヤズミだ」
「年上に対する態度がなってない……戦って死ぬのが怖くないの?」
「そりゃ、平和のためなら」
「……死んだら、大切な人と二度と会えなくなっちゃうんだよ?」
その一言はとても重たかった。
命の重さを知っているとか、そういうものじゃない。
体験した人間だからこそ感じられるものだ。
マユミさんは知っているのだろうか。
彼氏の命を奪う原因となったクリッターを殲滅する作戦が実行されようとしていることを。
「でも、非常時だから、今は戦うことを」
「誰かの受け売りでしょ?
平和になれば考えたらいい。
誰かがやってくれる。
一度、戦うことをやめたらいいわ。そうしたら怪獣がでなくなるから!」
言いたいことだけを伝えてマユミさんはテントから出てくる。
「……どうも」
「キミも同じことを考えているの?」
「アイツほど、他人の思考に流されることはないっすよ……ただ、俺、全面肯定はしないっすよ」
「……どうして」
「守ることにおいて戦う事も手段の一つだからっすよ。……牙を根こそぎ抜いちまった時、新たな脅威が現れたら何もできない。俺達に待っているのはただ、滅びることっすよ」
「それは」
「勿論、マユミさんの言葉も正しいかもしれない……すべてを否定する事なんてできませんよ。もし、そんなことをする奴がいたとすればそいつはよっぽどのバカか、現実を知らない餓鬼っすよ」
マユミさんは無言で去っていく。
しばらくして、ふらふらとヤズミが出てくる。
「手当は終わったみたいだな」
「あ、うん」
「戻るぞ」
手短に伝えて俺とヤズミは作戦テントへ向かう。
「あの、八幡」
「なんだ?」
「その……僕って間違えているのかな」
「さぁな」
ヤズミの疑問は他の人間と触れ合ったことで生まれるものだ。
「俺だって今よりも力はあるべきだと考える時がある……その逆もある。状況によりけりだ」
「……じゃあ、僕は」
「ま、考えろってことだよ。これは自分で見つけないといけない宿題なんだからよ」
「八幡は……見つかったの?」
「さぁな」
ひらひらと手を振って去ろうとしたところで地面が揺れる。
少し前、ムナカタは通信機でイルマと話をしていた。
『怪獣は何故、現れるのかしら、どうして、でてくるのかしら、何が目的なのかしら』
「どうしました?」
『ずっと思っていたの、怪獣は何故現れるのか』
「東北に現れたピラミッドやユザレのカプセルの解析は続いているのでしょう?』
『最新の情報が伝えられたわピラミッドの巨人の一部は地球外の物質、カプセルのノイズも解析されて明かりや光といった言葉がわかった……長い時間をかけて見つかったことはそれだけ』
地面が揺れる。
「リーダー!」
ヤズミが顔を出す。
「奴が動き出しました」
ジョバリエが動き出したことで機雷が攻撃を開始する。
俺はヘルメットを手に避難誘導をしていた。
「おい、速く怪我人を運べ!」
「怪我人を移動するための手段が……ないんです!」
「くそっ」
俺は舌打ちをしつつ、考える。
機雷だけで奴を倒すことはできない。
戦車の数も少ない中で……。
「仕方ないか」
走り出す。
「ヒッキー?」
俺を呼ぶような声に気付かないまま。
俺が向かった先は停止しているガッツウィング一号。
敵の攻撃を受けてシステムに不備があるがレーザー兵器は使える。
「命令違反の始末書ならいくらでも書く……できる限りの事をやってやる」
ウィング一号を起動させる。
上昇しながらジョバリエと目が合う。
――なぜ、怪獣が現れるか。
その疑問が頭をよぎる。
人間が発達したことによる弊害。
何者かの意思。
全てがわからない中で俺達が出来るのは戦う事のみ。
「行くぞ」
微妙な振動を出しながらウィング一号で攻撃する。
ジョバリエは物ともせずに触覚から電撃を放つ。
回避しながら上空からレーザー攻撃。
「少しは、痛がれよ!!」
ヤズミは呆然としていた。
目の前で暴れる怪獣。
戦うウィング一号。
――死んじゃうとね、大切な人と会えなくなるんだよ?
マユミの言葉が過る。
彼の頭の中であることを考えた。
ブルブルと拳が震える。
「死ぬのが、死ぬのが、怖くないわけないだろ!」
「ヤズミ!」
リーダーの制止を聴かずヤズミは走る。
廃墟の中でハイパーガンを撃つ。
ムナカタも続けてDUNKショットで援護する。
離れた所でダイゴは懐からスパークレンスを取り出し、見つめる。
――ティガよ。何のため、何のために戦う?
レナとの会話のやり取り、
今までの戦いを振り返りながらダイゴはスパークレンスを掲げる。
「ティガァアアアアアアアアアアアアア!」
叫びと共にダイゴはティガとなる。
ティガはジョバリエへ攻撃を仕掛ける。
ティガはジョバリエと戦う。
ジョバリエの鎌に抑えつけられながらもティガは全身からエネルギーを放つ。
放つエネルギーに耐えられずジョバリエの体が大爆発を起こした。
――僕はみんなが大好きだから!
「ヒッキー!」
ウィングを着陸させると由比ヶ浜がやってくる。
戦火に巻き込まれたのかその顔は煤でまみれていた。
「由比ヶ」
最後まで言う前に俺は彼女に抱きしめられる。
ぽかぽかと胸を叩かれる。
ふと、気づいた。
「お前、ちっさくなったな」
「ひ、ヒッキーが大きくなった、だけだよ!」
泣きじゃくりながら由比ヶ浜が文句を言う。
「心配した、心配したよ!」
しばらく泣きじゃくる由比ヶ浜を俺は抱きしめることしかできなかった。
「…………悪い」
「心配、だよ。ヒッキー、死なないよね」
「約束だ」
泣きじゃくる由比ヶ浜を止める手段は一つしかない。
これは本来なら俺がするべきことじゃない。誰か他の人がやるべきことだ。いつか、彼女の傍に立つであろう奴が。
でも、今何もしなかったらいつか、そう遠くないいつか由比ヶ浜は何かで折れてしまうかも。
そんな未来があるかもしれない。
俺は泣きじゃくる彼女へ指を出しながら言葉を紡ぐ。
この約束が彼女を救うことになると信じて。
「俺は絶対に死なない。必ずお前のいる場所へ帰る」
「……ほんとう?」
「絶対だ」
しばらくして由比ヶ浜の小さな指が俺の指と重なる。
「やくそく、だよ?」
その顔に俺は……。
上空のクリッター作戦は形からすれば失敗、しかし、状況から見ると成功したとみえるのかもしれない。
クリッターは地球から出て行った。
レナ隊員は愛想をつかしたというがそうなのかもしれない。
「何故、戦うか……ね」
ぼーっとダイブハンガーからみえる景色を見ながらマッカンを飲む。
うん、おいしい。
「八幡!」
「……なんだ?」
空を見上げていたらヤズミがやってきた。
そういえば、ジョバリエの戦いからこいつと話をするのも久しぶりかもしれない。
「その、この前はごめん」
「……いきなり、なんだ?気持ち悪い」
「気持ち悪いはないだろ……その、あれから少し考えたんだ」
「そっか」
「って、最後まで言わせてよ」
「別にお前の考えを聴いて俺がどうこういうつもりはねぇよ。ちゃんと考えて、決めたなら……ま、大丈夫じゃねぇの?間違ったらまた誰かが言ってくれるさ」
「そう、かな?」
「ま、俺に謝罪をしたいというのなら今すぐマッカンを」
「ほら」
空になった缶をちらつかせようとするとヤズミがマッカンを俺に見せる。
「……成長したな、お前」
「八幡にやられっぱなしじゃないからね」
「そうか」
「……なんで、僕達は戦うんだろうね?」
「さぁな?もしかしたら、それを探すための戦いだったりしてな……臭いか」
「臭いね」
「即答するなよ。傷つくじゃねぇか」
「だったら言わない方がいいよ」
「ちっ、ヤズミの分際で」
「八幡もだよ、何でこんな甘いの飲めるのさ」
「おいしいからだよ。千葉民にとって水だ」
「絶対に嘘だ」
「……なにおう!?」
俺とヤズミはそれからしばらく空を眺めた。
こんな日も悪くはないだろう。
多分。
青い夜の記憶ですが……どうしょうかなぁ?大事な話だから書きたいは書きたいんですけれど、少し考えます。
少なくとも怪獣動物園、狙われたGUTS基地は書きたいという気持ちがある。
次回はEX3パート2を予定しております。
ところで、皆さんはウルトラ怪獣で何が好きですか?
自分はウィンダムが大好きです。平成版のウィンダムがよりカッコイイ気がしてならない。
ちなみに怖いと思った怪獣、宇宙人はダダです。
はじめてみたダダが怖い印象が残っていて頭から離れないんですよねぇ。