やはり俺がGUTSにいるのはまちがっている。   作:断空我

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怪獣動物園のデータがダメになってしまい、こっちを投稿します。


ゼルダポイントの攻防

 

 どんなに隠し通したいものがあっても、少しの切欠があればそれは表へ出てくる。

 

 止めようと思えば阻止できるかもしれない。

 

 しかし、今回の事件のアレははっきりいって隠し通せないものだったのだろう。

 

 後になって思えば、あれは生まれてはいけない物の一つだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 北海道の羅臼岳というところから巨大な怪獣が飛び出したという報告を受けて俺達はガッツウィングで出動する。

 

『ターゲット、毎時千五百キロメートル!?』

 

「リーダー、こいつ、めっちゃ、速度上げてきますよ」

 

「前方三万メートル、十五秒で視界に入ります」

 

『ウィング、回り込んで背後から――』

 

『ーー怪獣の通過を許可することはできない、正面から迎え撃て』

 

「え!?」

 

 突如、隊長の通信を遮る形でサワイ総監が乱入してくる。

 

『これは緊急の指令である。正面から迎え撃て、怪獣の進路を変更させろ』

 

「なんや、この鳥!?」

 

「一号!退避しろ!」

 

『リーダー!?』

 

「二機ともやられるわけにはいかない、ダイゴ、目を狙え」

 

「了解」

 

 目の前に現れる巨大な鳥。

 

 ダイゴ隊員がレーザーを撃つ。

 

 レーザーは怪獣の目に直撃した。

 

 しかし、翼がウィング二号の左翼に突き刺さった。

 

「レフトウィング!損傷!!」

 

「リーダー!?リーダー!!」

 

 頭に衝撃を受けながらも俺は必死に食らいつく、後ろでホリイ隊員の悲鳴が聞こえて振り返るとリーダーが顔から血を流している。ダイゴ隊員も意識を失っているのかぐったりしている。

 

「くそっ!」

 

「は、八幡!リーダーが!ダイゴが!」

 

「お、落ち着いてください。とりあえずウィングを着陸させて、二人の手当てを」

 

『二号機!応答して!』

 

 通信機から聞こえてくるのは隊長の声。

 

 それに気づいたホリイ隊員が応答をしている間、俺はリーダーのヘルメットを慎重に外す。

 

 血まみれのヘルメットをみながら手当てを続ける。

 

 十分ぐらいして救護班がやってきた。

 

「このエリア……何かあるのか?」

 

 怪獣が進もうとした先を見ながら俺は睨む。

 

 あの総監が緊急指令と言い出すほどだ。

 

「あ……あれ?」

 

 急に視界がぼやけてくる。

 

 なんだ?

 

 どろりとしたものが額を流れる。

 

 手に取ると真っ赤な液体だった。

 

「やべ、さっきの衝撃で」

 

 俺もどこかケガしたみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 総武高校の教師、平塚静にとって忘れられない人物がいる。

 

 幼いながらも笑顔で素敵な年上の少女。

 

 その人の父親で根津正槻。

 

 彼はある研究の為に学会から永久追放された呪われた科学者といわれている。

 

 根津が倒れたと聴いた平塚はいてもたってもいられず、彼に会いに来た。

 

 病魔に侵されている彼はTPCに行きたいと平塚に頼み込んだ。

 

「これは無茶なことだとわかっている……だが、頼む!私をあそこに!」

 

「わ、わかりました」

 

 平塚は彼の気迫に負けて、TPCまで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼルダガス……防衛軍が残した負の遺産か」

 

「くそ!そんなものがあるためにリーダーが!」

 

「……俺の心配はないんすね」

 

「いや、お前は無事だとわかったからであって、ほら、リーダーは!」

 

「いえ、気にしていませんよ。片目がまだみえていませんけれど」

 

 衝撃のショックで俺は顔の半分を包帯で覆っている。

 

 その姿は軽くミイラ男だ。

 

 倒れたと聴いた時に由比ヶ浜にものすごく心配されたが、まぁ仕方ないだろう。

 

 問題はリーダーだ。

 

 今もメディカルセンターにいる。

 

 俺達の話題はゼルダポイントにある危険物質ゼルダガスだ。

 

 二十年前、根津という科学者が偶然にも作り出した物質、それは目薬のような少量だけでもかなりの被害を及ぼす危険なもの。

 

 防衛軍からTPCに代わってから危険なゼルダガスはゼルダポイントという所に保管されてきた。

 

 しかし、今回の地震でそのゼルダガスが危険視されている。

 

 その時にあの怪獣だ。

 

 怪獣の攻撃でゼルダガスが爆発すれば本土の十分の一は失われるという。

 

『本部のゲートに根津という人がきています』

 

「根津だとぉ!くそっ!」

 

「あ、シンジョウさん!」

 

「俺もいきます」

 

 あの様子だと根津博士を殴るかもしれない。それはいろいろと問題があるから阻止するために俺が行く。

 

 ゲートへ向かうとTPC職員に止められている根津博士と。あれ?

 

「平塚先生?」

 

「なぬ?比企谷!?」

 

 俺の前にいたのは総武高校の教師、独身女性の。

 

「衝撃のファースト!」

 

「たんま!俺、怪我人、です!!」

 

 本気で殴ろうとしてきた教師に俺は待ったをかける。

 

「む、仕方ない」

 

「あ、ありがとうございます。ところで平塚先生はなんで?」

 

「根津博士がここへきたいといっていてな」

 

「アンタが根津か!」

 

「シンジョウ隊員、抑えて」

 

「あの怪獣はシーラです!」

 

「……シーラ?」

 

 根津博士は俺達に怪獣はシーラだという。

 

 シーラ、それは根津博士の一人娘が飼っていた鳥だ。

 

 その鳥は爆発の際に命を落としたはずだった。

 

 しかし、二十年経って怪獣として俺達の前に姿を見せた。

 

「シーラを止めてください。ゼルダガスをシーラは憎んでいる」

 

「……最愛の家族を奪ったものだから」

 

 俺の言葉に根津博士は頷く。

 

「私は、行きます」

 

「行くって、アンタ、どこに」

 

「やらないといけない研究がある。私にしかできない」

 

「研究って、アンタ!ゼルダガスで娘を失っているっていうのに!」

 

「シンジョウ隊員」

 

「離せよ!」

 

「博士」

 

 去ろうとした根津博士にダイゴ隊員は尋ねる。

 

「博士のやろうとしている研究って、ゼルダガスをなくそうとする研究じゃないですか?」

 

「え?」

 

 シンジョウ隊員が驚いた顔をしてみる。

 

 平塚先生も驚いていた。

 

 だが、成る程と俺は考えてしまう。

 

 根津さんは腐っても科学者だ。

 

 生み出したものについて、どうすればいいのか考えて、なくす方法を模索したのだろう。

 

 科学者の中には生み出した後について考えない物がいる。しかし、目の前の博士はどうすればいいのかを模索している。少なくとも悪い人ではないことがわかる。

 

「比企谷」

 

「先生、根津博士についていてあげてください」

 

「お前、GUTSにいたんだな」

 

「えぇ、連絡せずすいません」

 

「気にしないさ、おまえがちゃんと仕事しているならな」

 

「あはははは」

 

 俺は苦笑するしかなかった。

 

 できるなら元気な姿をみせたかったな。顔の半分が包帯塗れなんで申し訳ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 根津博士を平塚先生に任せて俺達は出動することになった。

 

 シーラが再び姿を見せたのだ。

 

 ヘルメットを手に作戦室を出ようとした時、松葉杖をつきながらリーダーが現れる。

 

「リーダー!?そんな体で出動は危険です!」

 

「現場の指揮官っていうのはな、体よりも頭を動かすんだよ」

 

「……」

 

 それでも無茶でしょ?なんて口に出せなかった。

 

 リーダーの目は戦う気で満ちている。

 

 そういう人に口を挟むなんてできる気がしなかった。

 

「一歩も下がることが許されない!正面から奴と迎え撃つ!出動!」

 

『了解!』

 

 出現したシーラをウィングで地上に叩き落としたところで、ウィング一号とウィング二号がレーザー攻撃を行い、俺とダイゴ隊員がシャーロックと地上兵装で迎えうつ。

 

「ダイゴ隊員、体大丈夫っすか?」

 

「な、なんとか」

 

 冷や汗を流しながらDUNKショットで迎撃している。

 

 俺はシャーロックのスクロール砲を発射する。

 

 シーラは元が鳥なのか、ライドメカの攻撃に抵抗できない。

 

「いや、違う」

 

 あいつ、弱っている?

 

 攻撃で落とされたのも、体力が限界だったのか?

 

 浮かんだ疑問に首を傾げながらも攻撃を続けている。

 

「リーダー!根津博士と…平塚さんがデルタガスの保管庫に!」

 

「は!?」

 

 車内からダイゴ隊員の方をみると根津博士を連れて走る平塚博士の姿があった。

 

「ダイゴ隊員!俺が二人を連れ戻します。ここ、任せますよ」

 

「あ、八幡隊員!」

 

 ダイゴ隊員の呼び止める声を聴かず俺は走る。

 

 すぐ近くをシーラが走っているから少し怖い。けれど、元教師を見捨てるわけにもいかない。故に走る。

 

 やだ、八幡、メロスみたい。

 

 そんなことを考えていると半壊している保管庫の中へ入っていく二人の姿があった。

 

「二人とも、危険です、外に出てください」

 

「比企谷!?」

 

「先生、怪獣が迫っています。すぐに外へ」

 

「ダメだ、これを、これを外に出すんだ」

 

 根津博士の手の中にあるのはゼルダガスの保管ケースだろう。

 

 血で顔を汚しながら震える手でケースを握りしめている。

 

「比企谷、協力してくれ、博士の為に」

 

「先生、何で」

 

「この人の娘さんは私にとって大切な友達だったんだ」

 

 平塚先生は土埃塗れの顔で俺を見る。

 

 その目は昔を懐かしむ感情とその場にいられなかったことの後悔が見て取れた。

 

「その友達が大変な時に私は何もできず、どうしようもない無力感を覚えた……私は決めたんだ」

 

「……」

 

 何をと聞くのは野暮かもしれない。

 

 目の前の人を俺は止められることが出来なかった。

 

 三人がかりでゼルダガスのケースを外に運び出す。

 

 目の前にシーラが現れる。

 

「っ!」

 

 ハイパーガンを取り出そうとしたら根津博士が止める。

 

「博士!?」

 

「待ってくれ、シーラは」

 

 目の前のシーラは口から光を放つ。

 

 光線か!?と身構えた時、それはきらきらと光り輝くオーロラのように見える。

 

 根津博士はふらふらとゼルダガスのケースをオーロラの下へもっていく。

 

 すると、ケースはシーラの口の中へ消える。

 

「食べた?」

 

「……シーラ、お前」

 

「ゼルダガスを取り込んで飛び立とうとしている?」

 

 シーラは翼を動かす。

 

 しかし、GUTSとの戦闘でシーラの羽は無惨にもボロボロだった。

 

『俺が……』

 

 声からしてシンジョウ隊員のものだろう。

 

 怪獣を敵だというシンジョウ隊員の事だ、徹底的にシーラを攻撃したのだ。

 

 必死に翼を動かしているシーラにウルトラマンティガが手を貸そうとする。

 

『シンジョウ、ワイヤーの準備』

 

『俺は……』

 

「シンジョウ隊員」

 

 ヘルメットの通信機をONにする。

 

「シーラを宇宙に連れて行ってあげてください。多くのものを失わせるゼルダガスをこの世から消そうとする奴の手助けを」

 

『了解』

 

 ウィング一号と二号がワイヤーでシーラを手助けする。

 

 シーラの姿が見えなくなった時、根津博士が倒れた。

 

「博士!?」

 

「…………」

 

 小さく首を振る平塚先生を見て、俺は拳を握る。

 

「綺麗な顔をしていると思わないか?比企谷」

 

「……そう、ですかね」

 

「あぁ、全てをやり遂げた男の顔だ」

 

「そんな顔、みたことあるんすか?」

 

「失礼だな。私は教師だぞ」

 

「……知っていますよ、俺だって、貴方の教え子だったんですから」

 

 平塚先生は小さく呟いた。

 

「比企谷、お前は幸せになれ。結婚して、幸せを満喫しろ、それが私の、一教え子に望むことだ」

 

「………………善処しますよ」

 

「そこは絶対に頷くところだぞ」

 

 平塚先生に胸元を小突かれた。

 

 不思議と悪い気はしなかった。

 

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