犬や獣、人だろうが夢を見る。
勿論、俺達GUTSだって夢を見る。
夢の内容など人それぞれだ。
例えば、過去に自信が体験したものを思い出すように見る人もいれば、自分の願望を夢としてみるものもいる。
中には予知夢なんていうありえないものを見ているものまでで来る次第だ。
もし、その夢にみたものが現実世界へ出て来たら。
もし、夢で現れたのが怪獣だったなら。
これはGUTSである俺達が散々な目にあった出来事だった。
訂正、俺とダイゴ隊員が悲惨な目に合う事件だった。
「ヒッキー!楽しみだよ!」
その日、俺は由比ヶ浜と雪ノ下の三人でディナーをすることになっていた。
本当なら俺はGUTSとしての職務があるのだが、今回は珍しいことに、本当に珍しいことに俺は暇だった。
暇だったことをどこからか気づいた由比ヶ浜によって計画されていたのか、雪ノ下とディナーなのだ。
何でこうなった?
「さ、行くよ」
「わかっているって、逃げないから」
俺の腕を引っ張る由比ヶ浜。
それ以上、近づかれると柔らかいモノを感じるからやめてね。
引っ張られながらやってきたのは小さなレストラン。
周りを見ると家族連れやカップルの姿がある。
男女三人でそのレストランへ向かうなど正気の沙汰ではない。
勿論。
「久しぶりね。由比ヶ浜さん、後、比企谷君」
「ひゃっはろー!ゆきのん!」
「おまけ扱いかよ。雪ノ下」
「何か問題あるかしら?あぁ、GUTSという職務にいれば偉そうになるのかしら」
「そんなわけないだろ。席についていいか?」
「どうぞ」
雪ノ下にいわれて俺と由比ヶ浜は着席する。
「こんな関係も久しぶりね」
「そうだな。卒業してからはそれぞれの道だからな」
「うん!嬉しいよ、ゆきのんにあえて」
「もう、由比ヶ浜さんたら」
じゃれつく二人。
「なんだろうね、絵になりますね」
『もう私達は会わない方がいいのかもしれないわね』
「ん?」
不穏な会話が聞こえて振り返る。
そこでは男女が話し合っていた。
一人が熱心に演奏会のチケットをみせながら話しているのに対して女性は電話で話をしている様子だ。
はっきりいってどちらも礼儀作法とかいろいろと問題がある。
食事をする場所で大きな声で話をするなとか、電話をするなら外でやれよとか、いろいろと。まぁ、見知らぬ人間に無関係な俺がいう権利などないし義務もない。問題があれば注意することもあるだろうけれど、それは店がやることだ。
「盗み聞きなど感心しないわね」
「……そうだな」
雪ノ下にいわれて俺は前を向く。
あの二人は破局する様子だし仕方ないだろう。
どうみても片方が完全に冷めている。態度からして完全に好意とかそういうものから離れすぎている。
「恋愛って大変ね。あんな風にドライになることもあれば、マグマのように燃え滾るものもある」
「何だ?お前も恋愛に目覚めたか?」
「冗談はやめて、私の恋人は考古学よ」
「お前、本当に雪ノ下か?別人にみえるよ」
印象としては過去よりも未来にすべてがある!といいそうにみえるもん。
「失礼ね。どこをみても正真正銘の雪ノ下雪乃よ」
「……そうですか」
「そうだわ。GUTSの仕事はどうかしら?由比ヶ浜さんのことはメールで時々話をしているけれど、あなたの事は全く知らないから興味があるわ」
「話すようなことはねぇよ。しいて言えば、ウィングの飛行訓練とかが増えた事かな」
「それは怪獣の出現が関係しているのかしら?」
「いいや、近々、海外へ出張する必要があるだけだよ……ほら、少し前に話題になっただろ?海外でもGUTSのような部隊編成の話があるってこと」
サワイ総監の指示で各支部で特殊部隊が編制されることは少し前にニュースで発表された。
あくまで異変調査とか防衛目的でありむやみな攻撃をしないという絶対条件がついている。
「それで、あなたの訓練の増える理由がわからないわ」
「近々、海外の連中へGUTSメンバーの誰かが指導に行くんだよ。その候補に運悪く俺がいるわけ、最悪、海外に出張になるんだよ」
「どうせなら、お土産を期待しようかしら」
「私も!私も欲しいよ!」
雪ノ下に便乗する由比ヶ浜。
何だろう、これは絶対に土産を買ってこないと俺がいたい目をみる未来しかないぞ。
「ま、なんとかしてみる。辺境な場所での仕事だろうし、てか、まだ決まってねぇから」
「期待はしないでおくわ」
「楽しみにしておくね!」
言葉は違うけれど、二人とも微笑んでいる。
こんな関係が俺の望む本物なのだと思いたい。
楽しい時間はあっという間に終わり怪獣出現の報告が入った。
街中で怪獣が現れたという事で俺達は出動した。
「攻撃開始!」
ウィング二号と一号がレーザー攻撃をするが怪獣の体をすり抜ける。
「あぁ!?」
「……続けて撃て!」
リーダーの指示で怪獣へ攻撃するもレーザー攻撃は当たらず、民家や電柱に直撃する。
しばらく、怪獣とにらめっこすることになる。
やがて、朝になると怪獣は姿を消してしまった。
作戦室。
「なに!?怪獣は存在していなかった?」
「はい……科学的にみて、怪獣は存在していなかったんです」
「俺の目は確かに怪獣を見ていたんだぜ?」
「でも、ウィングのカメラに怪獣は映っていなかった」
「俺達は存在しない敵と戦っていた?」
「そう考えるべき、なんすかね?」
「夕べから今日にかけて何か変わったことはなかった?」
「宇宙線が降りそそいだことが確認されました」
「宇宙線?」
「今までに確認された事のない宇宙線で、今、科学局に分析してもらっています」
続けてその日の夜、怪獣が姿を見せた。
ウィングが急行して怪獣にレーザー攻撃をするもすべてがすり抜けてしまう。
但し、前回と異なり、今回は怪獣が街を破壊していた。
加えて熱線を放ち、ウィング一号を撃墜する。
ウルトラマンティガが現れて怪獣と戦おうとするもまたすり抜けてしまう。
「どうなってんだよ。一体?」
二号の中で俺は混乱するばかりだ。
こっちの攻撃は通らず怪獣の攻撃は通る。ワンサイドゲームしているわけじゃないんだぞ!?
「モルフェウスD?」
「D地区のごく狭い地域に降り注いでいた宇宙線がこれです。人間の意識を現実化させる力があります」
「意識を現実化?」
「つまり、頭の中で思ったことが実体化していると?」
「誰かが頭の中で怪獣を考えてそれが実体化してもうたんか」
「ですが、モルフェウスDはただ思っただけで実体化できるわけではありません。ごく特殊な脳波によって実体化します。一部の人間が夢を見る時に起こす動作です」
「夢、か」
俺は溜息を零したくなった。
夢の中に出てくる怪獣なんかどう対処しろというんだ?
高性能脳波探知機を使っての捜索になった。
そのメンバーは科学班の人と、俺、シンジョウ隊員、リーダーだ。
但し、普段のGUTS制服ではなく、私服警官のようなスーツだ。俺は目で補導されないためにサングラス着用となる。これはシンジョウ隊員のアイデアだ。
「何か、やる気ありますね」
「こういうのに憧れていたんだ。やい、犯人、神妙にしやがれってな」
「手錠、どこで用意したんすか」
帽子とコートを羽織り、手錠を持つリーダー。
本当に手錠なんてどこから用意したんだ?
シンジョウ隊員もスーツです。
「次の角を右です。親分」
「親分じゃない。デカ長と呼べ」
「……デカ長?」
「ノリノリじゃないっすか、ホント」
「あ、そこ右です!右ですって!」
こんなので本当に探し人は見つかるのだろうか?
どうしようもないくらい不安を覚えたのは言うまでもない。
「あら、比企谷君、とうとう変質者になったのかしら?」
「そんなわけないだろ、人探しだよ。顔も名前も知らないけれど」
「それは人探しになるのかしら?」
「仕方ないだろ、特殊な脳波を持っている人間だからな」
手短に怪獣騒動の原因が人の見る夢であり、その人に夢を見させないようにしなければならないということを伝える。
そうしないと、警察に通報されていた。
雪ノ下のやつ、手に携帯もっていて、少し遅かったらコールされていたんだもん。
悪夢だ。
「……大変ね。GUTSも」
「まぁな、お前も家に帰れよ」
「……手伝うわ。不審者と思われたら大変でしょ?」
「お前、俺の事をとことん不審者扱いするな」
そんなことをいいながら俺達は人探しをしていた時だった。
怪獣が再び現れる。
GUTSが攻撃するも怪獣に通用しない。
「どうして効かないの?」
「あの怪獣は誰かが見ている夢が形になったものだ。夢なら覚めれば問題ないだろう。だが、あれはどうしようもないんだよ。ウルトラマンティガでも……」
「そのティガは怪獣と戦えているようだけれど」
「あれ!?」
俺は目を見開く。
「反応が近い、行くぞ!」
「あ、リーダー!」
「デカ長だ!」
「……これがGUTSなのかしら」
言わないでくれ。頼むから。今回は夢であってほしいと思う位変な気分だから。
「ここだ!イクタカズマ!イクタカズマ!開けろ!イクタ!」
リーダーが反応の強い扉を叩く。
しかし、反応はない。
まさに眠っているのだろうか?
バキャン。
「ちょっと何するんですか!?」
扉をリーダーが壊した。
え!?
「やりすぎですよ!」
「イクタカズマ!GUTSだ、キミの身柄を拘束する!」
「話聞いて!?」
「やめてください、夢位みさせてくださいよ。せめて夢ぐらい」
「その夢で怪獣が暴れるんだ。悪いが夢を見させてやることもできない」
「……なんだよ」
はぁ、とイクタカズマは溜息を零す。
「哀れね。何があったか知らないけれど、夢すら見させてもらえないなんて」
「これが理不尽、なんだろうな」
今回は理不尽だとしかいいようがなかった。
尚、敵前逃亡をしたという事でダイゴ隊員が隊長に呼び出されたという事があったらしい。
俺は雪ノ下と共にアパートの持ち主へ謝罪に行った。扉を壊した謝罪に。
ホント、夢なら覚めてほしいものだ。
夢という作品を書くにあたって、かなり苦労したよ。
だって!難しすぎるんだもん。色々と、脚本家は本当にすごいと思う。
次回こそ、イルド回です。
最近、頭に離れて消えない。
なぜか、牙狼がストライクウィッチーズの世界を飛び回る姿が。
気が向いたら短編でも書いてみよう。