ストックないですけれど、投稿しましよう。
やりましよう。
「なに、このプラズマ!UFOかしら?」
「今までに計測されたことのない数値です」
「ただし、なにもありません」
GUTSの作戦指令室。
正面スクリーンに映されているのはある高原。
そこで定期的に光を放っているような出来事が起こっている。
先日からこの地域で謎のプラズマ現象が発生していた。
「詳しい調査をする必要があるわね」
「リーダー、呼びますか?」
「まだいいでしょう、久しぶりの休みなんだから」
俺の質問に隊長は首を横に振る。
「久しぶりの休暇だし、まだ危険と決まったわけじゃない」
「そうっすね」
滅多に休みを取ることがないリーダー。
そのリーダーが久方ぶりの休みなのだ。
あまり邪魔をしたくないという気持ちがそこにあった。
レナ隊員、ダイゴ隊員、シンジョウ隊員の三人が現場へ向かう。
「俺はお留守番か」
「溜まっているレポートを片付けないとね」
「はいはい」
書類作業は現場よりも楽だけど、こうも多いとやる気をなくすよな。
本当に。
「あら?」
レナはユカリのような奇妙な花を見つける。
「なに?この花?」
「……」
その不思議な花を見た時、ダイゴのDNAに眠っている古代の記憶が呼び覚まされた。
文明が滅んでいく瞬間の記憶。
炎で散っていく目の前の花。
「(古代文明が滅んでしまったこととこの花が関係している?それじゃあ、あのプラズマは?)」
それぞれに分かれて調査を始める。
森林の中、ダイゴが花を見つけた時。
「だーれだ?」
ヘルメットを小さな手が隠す。
「誰?」
驚きながらも手を放して振り返る。
そこには青い衣服をまとった長髪の女の子がいた。
女の子の髪にはあの花がある。
「その花は?」
少女は髪につけていた花をとり、ダイゴへ見せる。
「ギジェラ」
その高原の地下深く。
あるものがエネルギーを放つ。
エネルギーはやがて、外に咲いている花々から花粉として放出されていった。
花粉を吸ったレナは笑顔になりふらふらと歩き出す。
シンジョウは探査機を放り投げて指先を回転させながら何もない場所を見ていた。
「はじまった」
少女がぽつりとつぶやく。
「?」
何のことかわからず困惑するダイゴ。
「貴方は夢の世界に行かないの?」
「夢の世界?」
「シンジョウさん!どうしたんですか!シンジョウさん!」
ダイゴが草原に戻るとトンボを捕まえようとしているシンジョウを見つける。しかし、そこにトンボはいなかった。
「無駄よ」
「あはははははは、お花さんはどうして、こんなに」
「レナ!どうしたんだよ!何があったんだよ!レナ!」
「一度、夢の世界に行けば戻りたくなくなるの。どうせ滅びるなら気持ちいいほうがいいじゃない」
少女の言葉にダイゴは絶句する。
「滅びる?君は一体」
ダイゴはシンジョウとレナ、そしてギジェラの秘密を知るテラを連れて基地に戻った。
「防毒マスクとか準備すべきですかね?」
戻ってきたダイゴ隊員から報告を聞いて俺は提案する。
「これまで地球上になかった新種やな」
「違うわ、三千万年前、地球にギジェラは咲いていた」
「君、みたの?」
「ううん、でも、地球に滅亡が訪れるとギジェラが必ず咲くってパパが言っていた」
「パパ何している人?」
「土地を探している人」
「土地を?不動産屋……なわけないか」
「八幡、そないなボケはいらんで」
「(そういえば、前に超古代人がいっていた。大昔に地球を旅だった古代人?)」
「大変です!リーダーまで!」
ヤズミがスクリーンに表示する。
部屋の中で鯛のアピールポーズをとっているリーダーの姿がそこにあった。
「ヤズミ、あそこの花を拡大してくれ」
「はい」
ヤズミがスクリーンの端、そこにある花を拡大する。
おいおい、マジかよ。
「ギジェラが咲いているのはあの高原だけじゃなかった」
「世界支部に確認中ですが、モスクワ、ワシントン、パリでギジェラが咲いていることが確認されました」
「すぐに総監へ連絡して」
「はい!」
「何かわかった?」
ラボでギジェラを分析しているホリイ隊員へ回線をつなぐ。
「地球上に咲いている花と構造は同じです」
「だーかーら、ギジェラは地球の植物だって」
「リーダーを迎えに行ってきます」
「気を付けろよ」
防護服を手に出ていくヤズミにそういって見送る。
「ギジェラが花粉を飛ばし続けるとどうなるの?」
イルマ隊長はテラへ尋ねる。
今は少しでも情報がほしい。
「楽になるの」
「そして?」
「苦しまずに滅びる」
俺達は絶句してしまう。
滅びるといわれてしまったら。
普通に、何の感情も込められず淡々とーー。
「あぁ、くそっ、気分が悪い」
ガタンとバランスを崩して俺は倒れそうになる。
「しっかりしてください!隊長!!」
「ぱーたぱたぱたぱたぱた!」
幻覚か?
隊長が鳥みたいな動きで走り回っている。
ダイゴ隊員がスクリーンを変える。
ソファーへ寝転がってうちわを仰いでいる総監。
様々な器具で楽しそうに実験しているホリイ隊員。
リーダーとヤズミ、楽しくストレッチをしていた。仲いいね、君たち。
「誰か、誰か答えてくれ!」
ダイゴ隊員は俺の状態に気づいていないのだろう。
てか、俺は高熱にうなされているみたいな気分だ。
どこが楽になるだよ。メッチャ、俺にとって地獄なんだけれど。
ヤバイ、意識がもうろうとしてきた。
「フフフフ」
「何がおかしい!?」
「かわいそう、ダイゴも夢の世界に行けばいいのに、一人で地球――」
「どうした?しっかりしろ!どうした!」
作戦室の扉が開く。
「誰だ!」
「私はヌーク、その子の父親だ」
作戦室から隊長が出ていった気がする。
「テラにとっては初めての星なのにはしゃぎすぎだ」
「……サイボーグ?」
「ギジェラエキス」
「キミ達はギジェラを体内に?」
「いずれ、キミ達も見つけるだろうが、ギジェラの効能は二つあってね。一つは人間を快楽の夢へ導く働き。もう一つが、これ、人間の脳細胞を永久に保つ働きだ」
ギジェラと共存することが生き残る方法なのか?
「パパ」
「もう出かける時間だよ」
「もっとこの星にいちゃいけない?」
「いけないねぇ、この星にいたら滅ぼされてしまうよ」
「勝手なことを、何が滅ぼすというんだ!」
「人類自身さ、三千万年前と比べても人間は全く進歩していない」
スクリーンに巨大な花の怪物が現れる。
あれがギジェラなのか?
「あれが咲けば、すべての人間はこの世を天国と思うだろう。そうなれば、光の巨人のいる意味がなくなる」
「光の巨人はそれで地球を去ったのか?」
「そうだ、快楽におぼれた人類に光の巨人は不要だった、そして最後に来るものがすべてを滅ぼした」
「最後に来るもの?」
「恐ろしい闇、巨大な悪だ」
「ギジェラは植物、日が沈めば活動は弱まる。日が昇れば活動は再開する」
「じゃあ、その間に人間が力を合わせてギジェラを根絶やしにすればいい」
「古代にも同じことをやろうとした愚かな者がいたよ。しかしね、ティガ、人間の欲は底なしだよ?」
日が暮れたことで、俺の気分は元に戻った。
ダイゴ隊員と誰かが話をしていたようだけれど、記憶にない。
作戦室で全員が話をしている。
ダイゴ隊員がギジェラを根絶やしにしようというが誰も賛成しない。
全員があの花粉で夢の世界へ行ったからだろう。
一度、快楽を知れば、そこにいたいと願う。苦痛などないほうがいいと楽を望むのは人間だ。
「一度、あの花粉に侵された人間はすぐに立ち直れない。悔しいことだが、俺もまだギジェラをほしがっている」
「ギジェラは星からの贈り物なのかも」
「そんなものは、いらない。俺達はもっと苦しむ、苦しんでよりより未来を掴むって」
ダイゴ隊員の言うことは正論だ。
しかし。
「でも、もし、人類がギジェラを選んだら?」
「ダイゴ、人間が滅びるとして、全ての人間を救えるか?もうすぐ死ぬ人間にとって苦痛よりかは快楽がいいと思うぞ?」
「いつからみんなはそんな弱くなってしまったんだ!」
ダイゴ隊員は叫ぶ。
こっちと目が合う。
「俺はギジェラを根絶やしにすべきです」
「八幡、隊員」
「でも、みんなは違う。こんな姿を見て、ウルトラマンはどうするんでしょうね。離れるのか、戦ってくれるのか」
「……え」
「少なくとも、ウルトラマンがまだ戦っているのに俺達は滅びの運命なんて、受け入れるのは嫌っすね」
席を離れる。
会議はおそらく続かない。
みんなは答えをすぐに出せないだろう。
だったら。
「ぼっちはやるってね」
作戦室を出て自室に向かう。
簡単に自室で退職願いを書く。
作戦室に向かうとそこには誰もいない。
みんな、悩んでいるのか、ギジェラを求めているのか?
どちらにしろ。
「すいませんね、俺はこんな手しか思いつきませんでした」
書類を置いて作戦室を出る。
向かう先は格納庫だ。
「ヒッキー」
ウィングの発進ゲートへ向かおうとすると由比ヶ浜が現れる。
「どうした?」
「何をしに行くの?」
「……定期パトロールだよ。仕事はしないとな」
「あの花を燃やすの?」
「……だったら?」
「そんなことをしたらヒッキーが」
「俺はさ」
由比ヶ浜の話を遮る。
「俺はウルトラマンの事が好きになっていたんだよ」
「え?」
「無償で人間を助けてくれる光の巨人。テレビでしかいないようなヒーロー、最初は疑った。でも、次第にあれは本物だ。本気で利益を求めずに戦ってくれている。あれに憧れて、笑われない人間になりたいと思った。俺一人がしたことで変わらないかもしれない。でも、ウルトラマンに笑われたくない。だから、俺は正しいと信じたことをやる」
「でも」
「由比ヶ浜」
近づいてきた由比ヶ浜の手を握る。
「俺はお前の事、す、しゅきだ」
「!?」
「だから、お前を遠ざける」
そういって俺はウィング一号へ向かう。
ギジェラの花の近くには花粉を求めてやってきた人間の姿がある。
夜になって夢の世界から戻ってきたことで花粉を欲しているのだろう。
そんなに人たちの前でGUTSの戦闘機がギジェラを攻撃する。
地球平和連合は瓦解してしまうだろう。
だとしても、
「滅びるなんて、認められるかよ」
攻撃を開始しようとしたとき、ウルトラマンティガが現れる。
「……ティガ?」
ティガは人々の叫びを無視してギジェラを攻撃していく。
ギジェラは体の蔓を鞭のように操り攻撃をする。
最初は応戦していたティガだが、足を掴まれて宙づりにされて花粉を吹きかけられる。
「ティガ……」
俺は気が付けばウィング一号を動かしギジェラを攻撃していた。
『八幡!何をしている!』
通信回線が開いてリーダーの叫びが響く。
「俺はギジェラなんていりません、人間が滅びるなんて嫌です」
『お前』
「ウルトラマンはあんなになってまで戦ってくれているんです!俺達は?俺達は何もせず快楽に身を沈ませていくんですか?そんなこと、納得できるか。俺は、あんなまやかしなんかよりも本物がほしい。今より良い時代がこの先にあるっていうなら、その本物を求める」
『……よし、もっと苦しむぞ』
「シンジョウ隊員?」
『ギジェラを倒そう!俺達は次の時代へ行こう』
『そうよ!私たちはそのために戦ってきたんだから』
『ティガを援護する!』
リーダーの叫びと共に二号もデキサスビームを撃つ。
触手を破壊してティガはギジェラを破壊する。
地下へ沈もうとする根っこもティガによって破壊された。
「いやぁ、体が今までよりも元気なんだよなぁ。今にして思えば、なんでギジェラなんかに操られていたんだろうって」
「アホ!お前が一番、入り浸ってたやないか!」
「それにしても、ティガも思い切った荒療治をするわね、全人類を敵に回していたかもしれないのに」
「最後に選んだのは僕達です」
ダイゴ隊員の言葉にレナは花瓶を見る。
そこにあったギジェラは枯れ果てていた。
「そういえば、八幡君は?」
「勝手に出動した罰則を受けているわ」
イルマの言葉で全員が「あー」と呟いた。
「ごほ……ごほ!頭いてぇ」
「もう!無茶しすぎだよ!」
頭が痛い中で由比ヶ浜はぷんぷんと俺の熱を測る。
「やっぱり!四十度あるじゃない!こんな状態でウィングに乗るなんて危険だよ!」
「仕方ねぇ、だろ、風邪ひいていたなんて気づかなかったんだから」
俺はズズと鼻をすする。
まさか風邪をひいていたなんて、だからギジェラの花粉を嗅いでいても気分が悪かったわけか。
とにかく、ゆっくりと安静にしておこう。
由比ヶ浜がいるからゆっくりできるかはかなり不安だけどな。