宇宙、そこは人類の夢と希望が詰まっている。
地球の近くにある月。
そこにはハヤテ隊長率いる総勢100名の精鋭の人間が働くTPC月面基地ガロアがある。
ハヤテ・シン隊長。
一度、物資輸送の任務で月に向かって話をしたことがあるが気難しそうな人だったことは記憶に新しい。
なぜ、月面基地の話をしたのか、
それは数時間前、月面基地ガロアが壊滅したという情報が入ったのだ。
生き残りのキシナガ副隊長がもたらした報告によるとハヤテ隊長が基地を破壊したという。
GUTSの作戦指令室では月から離れたところを漂っている宇宙艇を調べていた。
「宇宙艇は推進力を一切使わず、宇宙空間を漂っています」
「この大きさの船なら地球に戻ることもできるはずだ。反応がないということはエンジントラブルか何かか?」
「もしくは誰も乗っていない」
「ですが、報告にあった爆発の規模からしてここまではっきりと観測できるものがそのままであるとは考えられないですよ」
俺の言葉になるほどとシンジョウ隊員が頷いた。
話をしていると作戦室にヨシオカ警務局長官がやってくる。
「ガロアの件は警務局が担当することになった。GUTSには一切手を引いてもらう」
「理由をきかせてください」
イルマ隊長が尋ねる。
「キミとハヤテは訓練センター時代からの同期だ」
「……確かに私と彼は同期です」
「私情を挟みはしないか?そこの小僧もだ」
扇子を俺にヨシオカ長官が突きつける。
「話によれば、ガロアにいたメンバーと親しかったそうだな」
「輸送任務の護衛で話をしただけです」
ガロアに所属していたオカベ隊員と話をすることが多かった。
ただ、それだけだ。友達でも何でもない。
否定しているとイルマ隊長がハヤテ隊長のことについて話し始める。
訓練センターの時に彼が語った言葉を。
――イルマ、剣の敵を倒す前にまずは心の敵を倒せ、今、お前は二人の敵と戦っている。
「ハヤテが間違っていたら今までの自分も間違っていることになります」
「とにかく、GUTSはこの件から手を引いてもらう」
「なぁ、由比ヶ浜。お前、キシナガ副隊長の手当とか担当したんだよな?なんか変なところなかったか?」
いつもの休憩所。そこで俺は由比ヶ浜と話をしていた。
「変なところ?なんていうか不愛想というか、神経質そうな人だなぁと思ったよ」
「神経質そうな、人か」
「どうしたの?ハッチー」
「いやな、俺の知っている印象と違うなって」
「そうなの?」
俺の知っているキシナガ副隊長は誰とでも親しくなれる。そんな人だ。
ある意味、葉山的なイメージだ。
「葉山が急に百八十度変わったとしたらどう思う?」
「キモイ」
「即答だな」
「だってぇ、ハッチーが急に笑顔を振りまく人になったらどう思う?」
「やめろ」
想像しただけでマッカンをリバースしそうになったぞ。
「あ、でも、キモイなぁと思ったところはあったよ」
「どんな?」
「目」
「め?目玉の目か?」
「うん、なんていうか。こっちを観察しているみたいな、イメージがあった」
「観察……か」
ならば、こちらもしてやろうじゃないか。
発進ゲートに続く道で俺達はイルマ隊長を待っていた。
「ハヤテ隊長を探しに行かれるつもりですね?」
「それなら僕たちが行きます」
ダイゴ隊員、レナ隊員、俺が前に出る。
既に宇宙装備の準備はできていた。
俺としてもガロアの真相を知りたいための申し出だ。
「これは規則を破ることなのよ?」
「我々は規則ではなく、隊長を信じてやってきました、隊長の信じるハヤテ隊長を我々も信じたいのです」
「隊長は司令室にいてください」
「隊長!」
「隊長!」
俺たちの言葉に折れたイルマ隊長は作戦室へ戻る。
「じゃあ、打ち合わせ通りにリーダーとシンジョウ隊員はわかりやすいくらいキシナガ副隊長に張り付いてください」
「わかりやすいくらいでいいのかよ?」
「監視しているとわかれば相手は緊張する。いずれぼろを出すもしくは早めに動きを見せる可能性があります。ヤズミ、連絡は電子メールで行う。通信機器はあまり使わないことだ」
「上に内緒でするからだね」
「そういうことだ」
ウィング一号で俺達は宇宙へ出る。
薄暗い闇の中、目的地がみえてきた。
宇宙空間を漂う戦闘機。
「誰かいたら応答してください。誰かいたら応答してください」
『俺が行く』
「ダイゴ隊員、十分、気を付けてください」
ダイゴ隊員のウィング一号が軌道を合わせて戦闘機へ着地する。
「ダイゴ隊員、状況を知らせてください」
『機内のシステムは生きている……これは?』
「どうしたの?」
『変な物体が』
「変な?どんな」
通信機から銃声と何かの悲鳴が轟いた。
「ダイゴ!?」
「ダイゴ隊員!!連絡してください」
『その声、あの時の坊主か。元気そうじゃないか』
「は?」
聞こえた声に俺は間抜けな声を漏らす。
ダイゴ隊員ではない。
この声は。
『確か、比企谷八幡だったか?こんなところでお前の声を聴くことになるとは思ってもみなかったぜ?』
「ハヤテ……シン、隊長」
俺たちが探していたハヤテ隊長だった。
ダイゴ隊員のウィング一号へハヤテ隊長をのせて地球へ戻っていく。
機内の通信回線を開きっぱなしにして話を聞いていた。
ハヤテ隊長から聞かされた内容はとんでもないものだった。
『あれがキシナガ副隊長の姿をした双子のエイリアン?どうやってガロアに!?』
ダイゴ隊員の驚く声が通信機に響く。
『ふた月ほど前、コペルニクスクレーター付近で双子頭の死骸を回収したことは知っているか?』
「何かと戦闘したのか、命が尽きたのか調べるためにガロアが回収したってやつですよね、確か……」
『朝になったら消えていたという』
『奴は死んじゃいなかった。エイリアンは仮死状態でキシナガと入れ替わった。それから次々とガロアの連中と入れ替わっていったのさ。気付いた時には基地のほとんどがエイリアンだ。無事だったオカベも』
『今もキシナガ副隊長は繭の中に?』
『本部の連中も繭の中かもしれないな』
『そんな!』
「悪いですけど、そんなことにはさせませんよ」
通信機越しに話す俺の声は少しばかり震えていた。
「偽物連中に騙されるほど、俺達はバカじゃないってこと、思い知らせてやります」
念のため、ヤズミへメッセージを送る。
さっきから返事が来ないことが気になるが、念のため、ぼかしておこう。
基地へ戻り、その足で作戦室へ踏み込む。
そこにはキシナガ副隊長と彼に従うように立つイルマ隊長がいた。
ハヤテ隊長がハイパーガンを構える。
「危ない!」
リーダーがその手をつかむ。
隙をついてキシナガが外へ逃げる。
ダイゴ隊員が後を追い、俺とレナ隊員はハイパーガンを構えた。
「ハヤテ、おとなしく投降して」
イルマ隊長はハヤテ隊長へ訴える。
「ガロアを滅ぼした罪を償って……親友の顔を忘れたの?」
「親友?」
小さくつぶやいてハヤテ隊長は銃を下す。
とみせかけて発砲する。
光線がイルマ隊長を貫き、その中からエイリアンの死骸が現れた。
「キシナガを追います」
「八幡!?どういうことだ!」
「時間が惜しいので手短に、今のイルマ隊長は偽物です。エイリアンが成り代わっています。他にも入れ替わっている人がいるかもしれませんので注意してください」
「ばれたら連中は戦闘機を盗んで逃げる。ここを破壊するかもしれないぜ」
「ガッツウィングEX-Jが無断発進!」
「そらな」
走り出すハヤテ隊長の後を追いかける。
「お前さん、連中にもっと説明しなくていいのか?」
「レナ隊員がいます。俺は俺でやりたいことがあるので、こっちですよ」
ハヤテ隊長と共にウィング二号へ乗り込む。
「俺が操縦する。お前は俺の指示で撃て」
「わかりました」
操縦席に乗り込んだハヤテ隊長に従ってウィング二号が発進する。
少ししてウィング一号が二号を追い抜いた。
『ハヤテ隊長、戻ってください。ここは我々、GUTSにお任せを』
「任せてられないね。参考になるからついてきな……もっとも」
「うぉ!?」
「ついてこられたらだけどな」
ウィング二号が回転しながら一号を追い越す。
無茶をするなぁ。
「そうだ、お前さんに言っておくことがある」
「なんすか?」
「オカベは最後まで立派に戦った」
「……そう、すか」
「俺は仲間の敵を討たしてもらう」
「手を貸します。俺も腹立っているので」
ウィング二号が追いつくとウルトラマンティガと双子怪獣が戦っていた。
「攻撃準備」
「はい」
「撃て!」
ハヤテ隊長の指示でレーザー攻撃を仕掛ける。
「お前さんがティガか、会えて光栄だ。だが、仲間の敵は俺がとらしてもらう!行くぞ」
「了解です」
それからハヤテ隊長の指示に従って俺は攻撃を仕掛ける。
双子怪獣は分離して一体となり、片方をティガが、もう片方をこちらが相手することとなった。
バカにするように笑いながら怪獣はこちらへ火炎を放つ。
「お前に落とされてたまるか!」
ハヤテ隊長はひらりと回避する。
その操縦技術はGUTSで見たことがないほど、巧なものだった。
「今までよりも強力な武器、あるだろ?」
「デキサスビームスタンバイします」
「俺の合図で撃て」
「……発射権をハヤテ隊長に譲渡します」
「なに?」
「あいつらの敵、討ってください」
俺の言葉にハヤテ隊長はまっすぐみると小さく笑う。
「仲間の敵、討たせてもらうぜ!」
叫びと共に放たれたデキサスビームが怪獣を貫いた。
ウルトラマンティガも光線を放つ。
二つの光線を受けて怪獣は消滅した。
怪獣を倒した後の俺に待っていたのは繭に閉じ込められた人達の解放と無断出撃したことの始末書だった。
ハヤテ隊長はいろいろな理由から免除された。
本当に解せぬ。
ハヤテ隊長とキシナガ副隊長はガロア再建のために数週間後に基地を旅立つこととなった。
「ハヤテ隊長!がんばってください」
ダイゴ隊員の激励にハヤテ隊長はサムズアップして船へ向かう。
「愛想ないやっちゃやで」
「そういわないの、彼はあぁみえて人一倍不器用なんだから」
「うそぉ!?」
「へ~」
「八幡はあまり驚いてないな」
「なんとなく、わかっていましたから」
「似た者同士、惹かれるということか」
「リーダー、どういうことですか!?」
俺の叫びにみんなが笑った。
ウルトラの星は話よりも映像を見て楽しむという点が強いなぁと感じましたので、飛ばして最終章へ向かうようにします。