やはり俺がGUTSにいるのはまちがっている。   作:断空我

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はじまりはオリジナルです。ご容赦を。


THEFINALODYSSEY

 

「あぁ、帰りたい」

 

俺はため息をこぼしながら地面に置かれているマッカンへ手を伸ばす。

 

何年過ぎてもこの変わらない味は大好物だ。

 

「坊主!」

 

飲んでいた後ろから叩かれて前のめりになる。

 

その拍子に口からマッカンがこぼれて地面へ落ちた。

 

「ブッ……ヒビキ教官……いきなりなにするんですか」

 

「なぁに、お前さんの指導を心待ちにしている連中がいるんだ。早くいってやれ!」

 

「ここも俺の安らげる場所じゃないか……」

 

「は?」

 

「……なんでもありません」

 

 ここで病気を再発させてどうする。

 

 溜息を吐きたい衝動をこらえて、置かれているヘルメットを手に取った。

 

 いつも使っているGUTSのヘルメット、ではなく。黒いナンバリングが施されているヘルメット。

 

 目の前に置かれているのは黒銀色のガッツウィング。

 

 GUTSに配備されているガッツウィングではない。

 

 訓練学校施設ZEROで使用されるガッツウィングゼロだ。

 

 搭乗してシステムを起動して空へ舞い上がる。

 

 空へあがると既に待機している三機のガッツウィングゼロが編隊を組んでいた。

 

「それじゃあ、模擬戦闘を開始する。なお、使用している武装はペイント弾。着弾が確認されたら機内にアラートが鳴る仕組みになっている。アラートがなったら即座に地上へ戻るように」

 

 無線で呼びかけをして模擬戦開始となる。

 

 攻め込んでくるウィングゼロ。

 

「甘いなぁ」

 

 ひらりとペイント弾を回避して背後に回り込み、翼へ狙いをつける。

 

 回避しようとする相手ウィングだが、遅い。

 

 ペイント弾が直撃する。

 

「訓練機04、被弾っと」

 

 義務なので撃墜した機体を報告する。

 

『くそぉ!』

 

 悔しそうに相手のパイロットが声を漏らす。

 

 上空から二機が連携を組んで攻めてくる。

 

「狙うなら死角からだな。だが、タイミングはばっちりだ」

 

 おそらく02番の指示だろう。

 

 攻めてくる二機の攻撃を回転しながら回避する。

 

『もらった!』

 

『リョウ!飛び出すな!』

 

「出すぎなんだよ」

 

 前に飛びだした一機の後ろへ回り込みペイント弾を撃つ。

 

「はい、訓練機03撃墜っと」

 

『リョウ!!くそぉ!』

 

「残りはアンタだけだぞ」

 

 俺から逃げようとするガッツウィングゼロを背後から追いかける。

 

 これだけみるとストーキングのようにみえるが一応、訓練だ。

 

 逃げ切ることができたらなかなかに素晴らしいのだが。

 

「まぁ、限界だよな」

 

 いつまでもいじめるのはよくない。

 

 俺は翼にロックオンしてペイント弾を撃つ。

 

 相手の機体に撃墜のブザーが鳴り響く。

 

「はい訓練機02、撃破と」

 

 模擬戦が開始してわずか十五分の出来事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石はGUTSの隊員ってところだな!」

 

 地上へ戻ると教官を務めているヒビキさんが俺のところへやって来る。

 

「どうも」

 

 ヘルメットを机に置くとヒビキさんは俺へ尋ねる。

 

「どうだった?俺の教え子たちは」

 

「ヒビキさんが勧めるだけあって優秀なのはわかりましたよ」

 

「ほぉ」

 

「でも、経験が足りなさすぎですね。教科書通りに飛んでいる奴もいれば、とっさの対応がまだまだ足りない。猪突猛進に突っ込んでくるも……まぁ、これは今後の課題じゃないですか?」

 

 俺の言葉に「うんうん」とヒビキさんが頷いている。

 

「なるほど、とても勉強になるな!聞いたな。お前たち!」

 

「なっ!?」

 

 後ろからぞろぞろとやってくるのは先ほど、模擬戦で俺が戦ったメンツ。

 

 訓練学校ZEROにおいて優秀な成績をたたき出しているメンバー。

 

「ご指導ありがとうございます!」

 

 礼儀正しく頭を下げるのは俺より年上の訓練機02に乗っていたコウダ・トシユキさん。

 

「真っ先に撃墜されましたけれど、次は負けませんからね」

 

 こちらに対抗心を出しているのは訓練機04に乗っていたカリヤ・コウヘイ。

 

「比企谷隊員!」

 

 ずぃっと俺の前に出てくるのは紅一点であり操縦技術においてはこの中でトップクラスといっても過言ではない訓練機03に乗っていたユミムラ・リョウ。

 

 どうでもいいんだけど、その威圧感込めた目はなに?雪ノ下に匹敵するものを感じるんだけど……。

 

「な、なんですか」

 

 噛まなかった自分をほめてほしい。

 

「また自分と模擬戦をしていただくにはどうすればいいですか!?」

 

「は?」

 

「おい、リョウ。比企谷さん今日までなんだ。そんな無茶を」

 

「リョウは負けず嫌いだからな」

 

「黙っていて。最初に撃墜されたくせに」

 

「うぐぅ」

 

 どうやら彼女はとても負けず嫌いらしい。

 

 しかし、俺はZEROからの要請で数日限定の指導だからな。

 

 そんな面倒なことを引き受ける道理はない。

 

 ただし、そういえば、無理やり再戦させられるのは目に見えていた。

 

 そうだなぁ。

 

「サングラス」

 

「はい?」

 

 咄嗟の思い付きだが。これで行こう。

 

「俺みたいにサングラスをつけてウィングの操縦ができるようになったらまた相手してもいい」

 

 今回、俺はこの目でいろいろと問題が起こるのを避けたいため、指導中は常にサングラスをつけていた。

 

 ガッツウィングゼロの操縦中もサングラスを使うというハンデで挑んだ。

 

 ユミムラ・リョウさんがサングラスをつけてウィングの操縦をこなせるようになったらという理由で逃げよう。

 

「絶対ですよ」

 

「あぁ」

 

「さて!良いところで、お前たち!いうことがあるだろう!」

 

 ヒビキ教官の言葉で全員が整列する。

 

『ご指導ありがとうございました!』

 

 敬礼を取る彼らに俺も敬礼で返す。

 

 なんというか最初から最後まで熱い連中だった。

 

 GUTSとはまた別の熱さだと思った。

 

 まぁ、しばらく会うこともない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう思っていた俺の考えはすぐに裏切られることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し前、人類は大きな脅威と遭遇した。

 

 はじまりは一つの隕石。

 

 隕石からもたらされた情報により長き眠りから二つの脅威が目を覚ます。

 

 大地を揺るがす怪獣ゴルザ、

 

 空を切り裂く怪獣メルバ。

 

 この二体を始まりとして怪獣が目を覚ます。

 

 石を求めて人を石化させる怪獣ガグマ。

 

 エネルギーを求めて地球へやってきたリガトロン。

 

 

 加えて、青い星を求めてやってくる侵略者。

 

 

 

 自分たちに従うものだけを救い、それ以外は滅ぼすキリエル人、キリエロイド。

 

 人間を奴隷として縮小して採集するためにやってきた者。レイビーク星人。

 

 自身の星の昼と夜をかけて兵士を求めて地球へやってきた者たち、スタンデル星人。

 

 中には人が引き起こした騒動が原因で起こった事件も存在した。

 

 超人的な力を与える代償として電気エネルギーを求める短命な生き物、エボリュウ。

 

 排気ガスを求めて暴れまわる怪獣、リトマルス。

 

 地下に投棄された危険物質を取り込んだことにより怪獣となったキングモーラット。

 

 

 人間の手によって生み出され、自身の演算結果の末、人間は不要、世界はリセットすべきという結論を下した高性能コンピュータ、カレンE-90。

 

 人類を強制的に進化へ導こうと歪んだ考えを持ったものが光の巨人の力を手にし、力におぼれ、街を破壊するだけの存在となったイーヴィルティガ。

 

 そんな脅威を前に人類は、否、GUTSと呼ばれる特捜チームは戦い続けた。

 

 GUTSと共に三千万年という長き眠りから復活し戦った巨人がいた。

 

 

――ウルトラマンティガ。

 

 

 ウルトラマンは怪獣や侵略者から人類やこの星を守るために戦った。

 

 時に人類の選択へ干渉してよき答えを選んでもらおうともした。

 

 そんなウルトラマンに最大の敵が現れる。

 

 滅びの闇、超古代文明を滅ぼした暗黒の支配者――邪神ガタノゾーア、配下の悪しき翼、ゾイガー。

 

 圧倒的な闇の前にティガは敗れ、一度は石像に戻ってしまう。

 

 しかし、ウルトラマンを信じた人類が光となりティガに集ったことで再び蘇ったウルトラマンティガによって邪神ガタノゾーアは倒された。

 

 その戦いを最後にウルトラマンティガは役目を終えたように姿を消す。

 

 平和な日々が戻ってきたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、誰もが知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本当の意味で戦いは終わっていなかったということを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 F計画始動

 

 これにともない特別調査チーム編成

 

 調査対象、超古代遺跡「ルルイエ」

 

 極秘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後の戦いから二年後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 南太平洋の上を一隻の輸送船が進む。

 

 甲板ではTPCの制服の職員が行きかっている。

 

 そんな中でふらふらと甲板へ出てくる人物がいた。

 

 TPCの制服と異なり白と赤のカラフルな制服。

 

 胸元にはGUTSのマーク。

 

 彼女こそ、あのGUTSを率いている隊長、イルマ・メグミである。

 

 どこか気分が悪いのか顔色が悪かった。

 

「顔色がよくありませんね」

 

 彼女のもとへ調査班のリーダーを務める男、サエキがやって来る。

 

「すこし、目まいが」

 

 イルマの言葉に男も頷く。

 

「私も何度か調査にきていますが、未だになれることがありません、本当に良くないところですよ。ここは」

 

 彼らの前に不気味な空気を漂わせる島が見えてきた。

 

 その島の名前はルルイエ。

 

 超古代の残骸ともいえるこの島において、邪神ガタノゾーアにウルトラマンティガが最後の戦いを挑んだ場所。

 

 戦いの後、超古代の謎を解明するべくTPCは調査隊を設立、何回かにわたる調査が行われた。

 

 今回の調査は遺跡の奥へ向かう。

 

 GUTSが調査に同行しているのはこの島が超古代の遺跡であるということ。

 

 何よりガタノゾーアが現れた島であることから怪獣や危険なものがあるかもしれないという考えからだった。

 

 何回かの調査にGUTSメンバーも参加しており、今回はイルマが同行を引き受けていた。

 

「選抜隊、これより遺跡の中へ入る」

 

『了解しました』

 

 無線機で通信を終えると調査隊は中へ進んでいく。

 

 ルートは何回もの調査を行い続けたことで最も安全な道をコンピュータが選んでいる。

狭い壁の隙間を通り、光が差さない暗い道を通り抜けていく。

 

 少しばかり時間が流れて。

 

 調査隊は文字が描かれている大きな門の前に到着する。

 

「これだ!」

 

 調査隊のリーダーを務めるサエキは顔を上げる。

 

 その顔には笑みが浮かんでいた。

 

「準備しろ」

 

 サエキの指示で彼の部下が遺跡の壁を掘削していく。

 

 その作業を見ていたイルマは奇妙な感覚の中にいた。

 

 壁の文字、

 

 左右に並ぶ巨人のような像。

 

 どこからか響く怨念のような声。

 

 それはイルマの頭にある映像を現した。

 

 石になった巨人の石像。

 

 その周囲に漂う怨念のようなもの。

 

「爆破用意!」

 

 サエキの言葉で壁の穴へ爆弾が設置される。

 

「ここを!」

 

 イルマは手を広げてサエキを通さないようにする。

 

「ここを開けてはいけない!」

 

「下がってください……下がって!」

 

 サエキはイルマの手をつかんで安全なところまで下がる。

 

 部下に指示を出し、スィッチを押す。

 

 大きな音を立てて、壁が吹き飛ぶ。

 

 中へ調査班たちが踏み込み、照明が至る所に設置される。

 

 照明が暗闇を明るくする。

 

 照らされて露わになるのは三体の巨人の像。

 

 それが何なのか、調査班は知っている。

 

 二年と少し前も東北の地でそれは見つかった。

 

「ウルトラマンの石像……それも三体も」

 

「違う」

 

「……違う?」

 

 サエキが驚いている横でイルマは否定する。

 

「これはもっと恐ろしいもの」

 

 三体の巨人はティガの地であったものと異なり、苦悶の表情を浮かべたまま石像になったような姿で固まっていた。

 

 その周囲を三つの怨念のようなものが飛び交うが誰も気づかない。

 

 イルマの周りを不気味な存在が飛び回り、髪を揺らす。

 

「――闇の巨人」

 

 

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