部活動の県総体も終わり、三年生が引退しました。
---遂に、自分たちの時代!
どうも! この度、所属しているテニス部で『副キャプテン』になった、茅倉 遊です。
これからも頑張ります!
「絶剣技、初ノ型---〈紫電〉」
極められた別次元の突きが、ケンジを襲う。
最初に動いたのは、カゼハヤ・カミトだ。
輝く大剣を片手に構え、放たれた閃く稲妻の如き光刃。
「・・・・ッ!?」
ケンジは、その攻撃をほとんど反射で躱す。
しかしケンジは、そのため決定的な隙を作ってしまった。
「---すぐに終わらせる。そう『約束』したからな・・・・」
カミトが小さく呟いた。
そして、もう一度大剣を構える。
「絶剣技、破ノ型---〈烈華螺旋剣舞〉」
カミトの持つ大剣が、一際大きく輝いた・・・・刹那。
「『十二連』ッ!!」
ケンジに『十二』もの連撃が炸裂した。
「・・・・かはッ!」
あまりの衝撃に、後方へと吹っ飛ばされる。しかし、ケンジは何とか両足で着地した。
「『背中が地面についたら負け』だもんな・・・・」
すでに大きなダメージを負ったが、まだ動ける。
相手・・・・カミトも、ケンジと同じ『精霊使い』だ。カミトが持っている、あの大剣はさっきまで少女の姿をしていた。恐らくあの少女は、エシルと同じ剣精霊だろう。それにあの大剣は、ものすごい力だ。まだ全力ではないような気がするが、強大な力を持っている。
(・・・・やばいな・・・・)
カミトの持っている大剣も、その力故に長時間は使えないはずだ。あれだけの力を発揮しながらは、長時間の維持はできない。つまり、あっちも『早めの決着』が目的と考えるのが妥当だ。
そうなると、あっちは『大技』を中心的に使ってくるはずだ。
---唯一の対抗手段は、
「・・・・こっちも『大技』で行くしかねぇ!」
ケンジは、勢いよく駆け出した。
「神楽流剣舞 三ノ型 神楽彗閃・・・・ッ!!」
下段に構えていた神楽《しんら》を、ケンジは全力で振り上げた。
「・・・・!」
これにはカミトも驚いたのか、ケンジの攻撃を後ろに 飛んで 避ける。
パンッ!
その隙を逃さず、ケンジが 発砲 した。
カナから貰った『ピース・メーカー』を使ったのだ。
「・・・・ッ!」
キィン! とカミトが銃弾を斬り裂いた。
---足場のない、空中で・・・・。
「神楽流剣舞 一ノ型 神楽斬撃・・・・ッ!!」
「くっ・・・・!」
体勢を整えるのが難しい空中で、隙を作らせての攻撃。
ケンジの剣技がカミトに炸裂した。
「・・・・なかなかやるな」
神楽《しんら》が直撃した腹を押さえながら、カミトが呟いた。その顔は少し、『笑っている』ようにも見える。
(・・・・楽しんでるのか?)
そうだとしたら、アリア並みに好戦的なヤツだな。
もしくは、この『剣舞』に対しての言葉かもしれないが・・・・。
---『剣舞』か・・・・。
「この競技の名前って、『実弾サバゲー』だよな。だったら、もっと『銃』を使うべきか?」
「?・・・・・・!」
ケンジの言葉に、カミトは首を傾げていた。
その困惑の表情は、すぐに驚愕に変わったが・・・・。
なぜならケンジの体の前で、三つの『マズルフラッシュ』が輝いたから。
拳銃本体は、まったく見えない銃技。
ケンジの見よう見まね『不可視の銃撃《インヴィジビレ》』。今回は三連発だ。
だが、カミトも大剣を逆手に持ちかえ---
「絶剣技三ノ型---〈影月演舞〉!」
一閃---カミトは、三発の銃弾を一太刀で斬り裂いた。
さらに体勢をすぐさま整え、カミトが剣を振るう。
しかし、今度はケンジも 同時 に動く・・・・
「絶剣技、破ノ型---〈烈華螺旋剣舞〉」
「神楽流剣舞 八ノ型 神楽連撃・・・・ッ!!」
そして、言葉が重な・・・・・・らなかった。
「『十二連』ッ!」
カミトの剣技を、
「『十八連』ッ!!」
ケンジの剣技が上回った。
「・・・・なっ!?」
カミトは、衝撃で吹っ飛ぶ。だが、ケンジと同じように両足で着地した。
(・・・・やっぱり、そう簡単にはいかないな・・・・)
しかし、カミトの持つ大剣は徐々に輝きが小さくなってきている。
「そろそろ・・・・終演の時間だぜ!」
ケンジは、カミトがふら付いている内に駆け出した。
決着を付けてやる。武偵として、『倍返し』は基本だからな。
(・・・・悪ぃが、神楽剣舞を思い知れ!)
元々、神楽とは神に捧げる舞踊のこと。
神楽家では、神楽を『精霊』に対して捧げている。
ただそれだけ、されどそれが『神楽流剣舞』。
「神楽流剣舞 一ノ型 神楽斬撃・・・・ッ!!」
ケンジの剣技が、カミトを襲う。誰もが『ケンジの勝利』と感じた。
しかし、『ケンジ』が驚愕した。
カミトの持つ大剣の刀身が、さっきの『数倍の輝き』を放ったから。
カミトは半歩踏みだして、静の構えをとった。
「できれば、『これ』は温存しておきたかったんだけどな・・・・」
「・・・・ッ!」
(あの構えは、相手の攻撃を迎え撃つ『カウンター』の構え!?)
ケンジは『最強剣技』に気づいたが、あまりにも・・・・遅かった。
「エスト、頼む!」
その『最強剣技』は、すでにケンジの攻撃を捉えたのだから。
ほとばしる閃光。
カミトの咆哮が響いた。
「絶剣技終ノ型---〈天絶閃衝《ラスト・ストライク》〉!」
一瞬の剣閃が、神楽《しんら》を吹っ飛ばし、ケンジに直撃した。
「---何なんだよ、あの威力は・・・・反則だろ」
ケンジはグラウンドの隅にあった、倉庫の壁に身体を預けていた。
正確には、壁に叩き付けられたのだが・・・・。
「・・・・まだ、神様には見捨てられてないみたいだな」
倉庫の壁があったおかげで、『失格《背中が地面につく》』にはならなかった。
それに、ケンジのすぐ隣には神楽《しんら》があったのだ。
---まるで、『戦え』と言っているように・・・・
「言われなくても、戦いますよ・・・・。---神楽演舞、『第二幕』と行きますか!」
ケンジは神楽《しんら》を片手で構える。
その時、ケンジの右手に『緋色の刻印』が浮かんだ。その刻印は美しい、緋色の輝きを放っている。
「・・・・・・レスト。頼んだぜ」
刹那、神楽の刀身を『激しい炎』が包み込む。
『レストの炎』を纏った神楽を中段に構え、ケンジは走り出した。
---カミトに向かって。
「・・・・え!?」
カミトは『その光景』に驚愕する。
絶剣技の『最強剣技』をもろに喰らったはずのケンジが、こっちに走ってきたのだから。
「神楽流剣舞 七ノ型 神楽炎撃・・・・ッ!!」
ケンジが大きく、炎を纏った神楽《しんら》を振るう。
「絶剣技、四ノ型---〈焔切り〉!」
しかしカミトは、神楽が纏う炎を斬り裂く。
---だが、予想通り。
もともとの目的は、なるべくカミトに接近すること。
そして、ケンジの胸部中央にある『エシル』の刻印が輝く。
「神楽流剣舞 六ノ型 神楽天衝・・・・ッ!!」
『本命』のこっちを放つことだ。
「・・・・っ!?」
ケンジの渾身の一撃が、カミトに炸裂する。
(・・・・・・まだまだ!)
しかし、ケンジの狙いは『さっきの』だけではない。
「神楽流剣舞 一ノ型 神楽斬撃・・・・ッ!!」
「・・・・くっ、頼む! エストっ!」
カミトの持つ、大剣が大きく輝く。
静の構えから放たれる、
「絶剣技終ノ型---〈天絶閃衝《ラスト・ストライク》〉!」
ケンジの狙いは、このカウンター攻撃を・・・・
---打ち破ること。
「神楽流剣舞 奥義 神楽斬衝《しんらざんしょう》・・・・ッ!!」
神楽《しんら》の一振りが『最強剣技』を打ち破り、カミトを吹っ飛ばした。
「---まさか、本当に存在するなんてな・・・・。俺以外の・・・・・・『男の精霊使い』」
「・・・・『男の精霊使い』なんて普通だろ」
『神楽流剣舞の奥義』を喰らったはずのカミトは、フラ付いているが立っていた。
(・・・・むしろ、そっちに驚きだぜ)
手加減なんてせず、全力で叩き込んだはずだ。しかし、当のカミトは『失格』になるどころか立ち上がり、その手に持つ大剣を構えている。
「・・・・俺のいた世界じゃ、『精霊使い』は『清き乙女』しかなれないんだ」
「なるほどねぇ~。・・・・・・ん? 『俺のいた世界』!?」
「あぁ、俺はこの世界の人間じゃないんだ。『ある事情』があって、この世界にやって来た」
---マジかよ。
あれか、よく言う『異世界人』ってヤツか? ホントにいるんだな。驚いた。
「その『ある事情』って?」
ケンジが尋ねると、カミトの表情は一気に鋭くなった。
「『堕精霊の討伐』だ」
「・・・・・・やっぱりか」
大体の予想は付いていた。
ハヤカゼ・カミトは『精霊使い』で、異世界からやって来るほどだ。それほど『重要な事』といえば、一つしか思い浮かばない。
「『俺の仲間たち』も、今は『俺たちの世界』で堕精霊と戦ってる。俺は異世界を救うために、こっちに送られて来たんだ」
カミトは、まるで遠くを眺めるように言った。
仲間たちの姿でも思い出しているのだろう。
「・・・・じゃあ、なんで『こんな事』してんだ? さっきの話からじゃ、余裕があるようには感じなかったけどな」
「これにも『ちょっとした事情』があるんだ」
「・・・・どんな?」
ケンジが首を傾げながら尋ねると、カミトはまるで当然のように答える。
「この『実弾サバゲー』が、『武偵認定試験』なんだよ」
「・・・・・・は?」
(え、今、何て言った。武偵認定試験? 冗談だろ・・・・)
しかし、あり得ない事でもない。
異世界から来たカミトには、この世界での『立場』が必要になるはずだ。その時『武偵』という立場があれば、ある程度は自由に行動できる。武偵ってのはそういうもんだし・・・・。
それに立場上、堕精霊とのエンカウント率も上がるだろう。支援だって得られるし。
まさに、この世界で一番理想的な『ポジション』だ。
「・・・・なるほど。だから『優勝』なんて言ってたのか・・・・」
「そういうことだ。『ランク』が高いほど、堕精霊との遭遇率も上がるしな」
カミトは、自信あり気に声を上げる。
だからこそケンジは・・・・・・
「---だったら、見せてみろよ。『異世界の精霊使い』の実力を・・・・」
「いいぜ。『夜の魔王』の実力を見せてやる」
・・・・何ですか、『夜の魔王』って?
「けどな、さっきとは違うぜ」
「・・・・?」
カミトが小さく呟く。
「・・・・俺は元々、『双剣使い』なんだ」
「え?」
うまく聞き取れなかったが、何を言ったのかは大体わかった。
なぜなら、カミトの持つ『もう一つの刻印』が強く輝き始めたから。
「---レスティア。お前の力を貸してくれ!」
カミトが大きく声を上げると、
「---その言葉を待っていたわ。カミト」
聞き覚えのある声が、グラウンドに響く。
そして、カミトの隣に・・・・
美しい漆黒の髪と黄昏色の瞳を持ち、背中に『黒い翼』を持った少女が立っていた。
---まさか、ここで登場かよ・・・・。
さっきから姿が見えないと思っていたが、カミトの横に控えてたのか。
「ふふ。・・・・私の力は必要ないと思っていたんだけど、訂正するわ。さすが・・・・『もう一人の魔王』ね」
「・・・・言っとくが、俺は『魔王』なんかじゃないぞ」
「あなたには、素質があるわ」
「要らねぇーよ。・・・・・・俺は『ファーストフード店でバイトする』気なんてない」
「?」
レスティアが、ケンジの言葉に首を傾げる。
---分かるヤツには、分かるんだよ。今のセリフはな・・・・。
・・・・さて、どうする?
もう一度あの『無数の黒い雷』を喰らったら、さすがに終わりだ。
ここは先手に回るしか・・・・
「足手まといにならないでね。聖剣さん」
ケンジが動き出そうとした時、レスティアが消えた。
・・・・いや、正確には『闇色の魔剣』になった。
(---『精霊魔装《エレメンタルヴァッフェ》』か!?)
「・・・・・・くそッ!」
---まだだ。まだ可能性はある。
カミトが剣を振るうまでの間に決める・・・・
ケンジが全力疾走している間に、カミトは『闇色の魔剣』を空いていた手に握る。
今、カミトは『二本の剣』の剣を持っている。
---『白銀の大剣』と『闇色の魔剣』。どちらも、ただの剣ではないだろう。
・・・・恐らく、『伝説級』。
「神楽流剣舞 七ノ型 神楽炎撃・・・・ッ!!」
だが、ケンジが神楽《しんら》を振るう。間合いに入ってからの、完璧な一撃。
(・・・・いけるッ!)
激しい炎をその刀身に纏った神楽が、カミトを襲う。
「---闇よ! 炎を喰らって力となせ!」
カミトの声と共に振り降ろされた『闇色の魔剣』が、神楽の炎を消滅させる。
そして、カミトは『静の構え』をとった。
「・・・・ッ!? 神楽流剣舞 奥義 神楽斬衝《しんらざんしょう》・・・・ッ!!」
ケンジはカミトの攻撃をもう一度、打ち破るつもりだった。
さっきも、カミトの天絶閃衝《ラスト・ストライク》を破ったのだ。もう一度くらいできるはず・・・・。
・・・・・・カミトの技が、天絶閃衝《ラスト・ストライク》なら・・・・。
「レスティア。エスト。頼んだぜ!」
カミトは、咆哮と共に剣を振るった。
「絶剣技、終ノ型---〈天双絶閃衝(ラスト・ストライク・デュアル)〉!!」
その技で、神楽《しんら》は空高く舞い上がり、
---ケンジは『あまりの衝撃』に、軽々と吹っ飛ばされた。
「・・・・・・ホント。何回飛ばされてんだよ、俺は・・・・」
ケンジは、グラウンドに倒れている。
さっきの衝撃で、地面に叩き付けられたのだ。
---身体の正面から。
つまりケンジは今、うつ伏せ状態になっている。だから、『失格』ではない。地面に『背中がついていない』のだから・・・・。
「・・・・ったく、運がいいな」
自分でも笑えてくるぐらい、運がいい。
「---ホント、運がいいねぇ~。神楽ケンジ」
「・・・・・・え?」
今、真上から声が聞こえた。その声の主は・・・・綴《つづり》だ。
「・・・・どうして、あんたがここに?」
「はぁ!? 教務科《マスターズ》だからに決まってんだろ。・・・・それより、その口の訊き方は?」
「マジですいません!」
綴がこっちを見る前に、ケンジは素早く頭を下げる。
すると綴は、その手に持っている『モノ』をケンジに投げてくる。
「これは?」
「お前と『新入生』の試合が、あたし等をここまで焚き付けたんだ。責任取って『いい試合』を見せろ。それに、お前も『一刀流』だけじゃないんだろ」
そう言うと、綴は去って行った。
ケンジは、綴が投げてきた『モノ』に目を向ける。
---それは『三本の刀』だった。
一本は、ケンジの愛刀である神楽《しんら》。恐らく、綴が拾ってきたのだろう。
そしてもう二本は、・・・・って、え? 『これ』って・・・・
「・・・・『アリアの小太刀』じゃねぇーか!」
そう、もう二本はアリアの小太刀だったのだ。
二丁拳銃と二刀流が使えるアリアは、二丁のガバメントと二本の小太刀を常に持ち歩いている。
今ケンジの目の前にある、この小太刀こそアリアの物だ。・・・・何でこんな所に・・・・?
『--------ッ!!』
「・・・・!?」
ケンジが考え込んでいると、周りから歓声が響いた。
そちらに目を向けると、リタイアした生徒たちが並んでこっちを見ていた。
まるで大好きなスポーツを鑑賞しているかのように、盛り上がっている。
「・・・・『大好き』か・・・・」
(確かに・・・・ここにいる生徒たちは『争い事が大好き』な、トチ狂ったヤツばかりだったな)
ケンジとカミトの戦いを見て、興奮しているのだろう。みんな目が活き活きしている。
生徒たちを見回していた時、不知火を見つけた。こっちを見ながら、ニコニコと手を振っている。
「・・・・なるほど。不知火だったのか」
この小太刀を本人(アリア)から借りてきたのは、不知火だろう。
(だから『個人競技』の時、急にいなくなったのか・・・・)
その時に、アリアから借りていたのだろう。
「・・・・ったく、準備のいいヤツだ。・・・・悪いが借りるぜ、アリア。お前の『二刀流』」
そう呟いてから、ケンジは両手に小太刀を構えた。そして、全身が悲鳴を上げているのを感じながらも立ち上がる。
「さーて、神楽を始めるか!」
・・・・カミトは驚いていた。
自分の攻撃をあれだけ喰らっていながら、立ち上がる少年・・・・ケンジに。
今も、カミトの前に立っている。
「頼む。エスト、レスティア」
カミトが声を上げると、
『はい、カミト。---私はあなたの剣。あなたの望むままに』
頼りになる、相棒の声が聞こえる。
しかし、その後・・・・
『あら? あなたは何もしなくていいわよ、聖剣さん』
『むぅ・・・・。それはこっちのセリフです。あなたこそ何もしないでください。迷惑ですので・・・・』
『それこそ、こっちのセリフだわ。・・・・足手まといにならないでね、聖剣さん』
『あなたも、私の足を引っ張らないでくださいね』
二人の契約精霊の間で、口ゲンカが始まる。
「二人とも、頭の中でケンカしないでくれ・・・・」
カミトは頭を抱えながら、小さく呟いた。
「・・・・確かお前、『この世界を救うため』とか言ってたな。この世界に来た理由が・・・・」
「あぁ、そう言ったぜ」
「・・・・二つ。お前に教えてやるよ」
「?」
カミトは言葉の意味を理解できず、首を傾げている。
ケンジは両手に持っている、二本の小太刀と神楽《しんら》を見ていた。
「一つ目は・・・・俺も『一刀流』以外で、使える『剣技を持ってる』って事だ」
「・・・・は?」
カミトは目を大きく見開く。ケンジの取った、『不可解な行動』を見たから・・・・。
---ケンジが、神楽《しんら》を『口にくわえた』のだ。
「・・・・な、何やってるんだよ?」
カミトが、ケンジに尋ねた。
両手に小太刀を持ち、口に神楽をくわえているケンジに・・・・。
「・・・・俺は、『三刀流』でもあるんだぜ」
しかし、ケンジは構わず続ける。
「そして、二つ目・・・・」
そう言うとケンジは、両手に持っている小太刀をカミトに向けた。
「この世界は『異世界から来たヤツ』に救ってもらうほど、落ちちゃいねぇーよ。何たって、俺たち『武偵』がいるからな。・・・・お前も、その『武偵』目指してんだろ?」
カミトも『双剣』を構えた。
ケンジの目が、カミトを射抜いたから・・・・。
「---まずは、『武偵』の力を見せてやるよッ!!」
ケンジは、咆哮と共に駆け出した。
---キィン! キキィン! キィンッ!!
ケンジとカミトの、激しい打ち合いが続く。
『双剣』を使うカミトと、『三刀流』を使うケンジ。
二人の剣の打ち合いは、収まるどころか激しさを増していく。
「・・・・っ!」
ケンジは、両手の小太刀でカミトの双剣を抑えると、口にくわえていた神楽《しんら》で攻撃した。
その攻撃がカミトに命中する。
「絶け・・・・」
カミトが反撃しようとした瞬間、
「---三刀流、神楽! ・・・・『渦潮《うずしお》』ッ!!」
さらに、ケンジが追撃を仕掛けた。
・・・・三本の刀を一点に交差させ、一気に斬りかかる。この攻撃は、斬った相手の周りに『渦』を作る。その『渦』も、相手を巻き込み攻撃する。もちろん、カミトも『渦』に捕らわれた。
「ッ!? だったら・・・・頼む、『レスティア』!」
しかしカミトは、両手の双剣で『渦』を斬り裂いた。
地面に着地したカミトが、『闇色の魔剣』をケンジに向ける。
「---『死を呼ぶ雷閃《ヴォーパル・ブラスト》』ッ!!」
カミトの持つ『闇色の魔剣』から、無数の黒い雷が発生した。
無数の黒い雷は、容赦なくケンジを襲う。
だが、ケンジは『三本の刀』をゆっくりと構えただけだった。
「・・・・一節、二十四舞踊・・・・」
そのままケンジは、言葉を続ける。
「---三刀流、神楽! ・・・・『七十二連』ッ!!」
ケンジは、『七十二』の連撃を無数の黒い雷に叩き込んだ。
・・・・すべての雷を斬り裂き、ケンジはカミトの方に目を向ける。
その顔は、少しだけ笑っていた。
「・・・・なっ!?」
カミトは驚愕する。
『最強の剣舞姫《レン・アッシュベル》』の代名詞とも言える技を、ケンジが防いだのだから・・・・。
「・・・・『あれ』しかないか・・・・」
すでに今日、『三回』も使っている大技。身体に掛かっている負担は、かなり大きい。
だが、ケンジに勝つためには『あれ』しかないだろう。
---『〈天双絶閃衝(ラスト・ストライク・デュアル)〉』を。
「・・・・どうやら、これが『最後』みたいだな」
カミトの顔を見ればわかる。
恐らく、双方共に『ラスト・アタック』だ。
この一発で、この試合の勝者が決まる。
「終演だ・・・・。『これ』で幕を下ろしてやるよ」
---『三刀流の大技』でな・・・・。
「・・・・準備はいいか? 『魔王さん』よ」
「あぁ、いつでもいいぜ! 『武偵くん』」
ケンジとカミトの視線が交差した。---刹那、
「魔王の力・・・・、見せてみろッ!」
「武偵の本気もなっ!」
ケンジとカミトが、同時に走り出した。
・・・・そして、二つの大技が激突する。
「---三刀流、神楽! ・・・・『天空龍閃《てんくうりゅうせん》』ッ!!」
「絶剣技、終ノ型---〈天双絶閃衝(ラスト・ストライク・デュアル)〉!!」
ケンジとカミトの咆哮が、ほとんど同時に、グラウンドに響き渡る。
二人の体が吹っ飛ばされたのも、ほぼ同時だった・・・・。
「---よう。・・・・また会ったな」
ケンジが、ゆっくりと呟く。
さきほどの衝撃で吹っ飛ばされたケンジは、『失格』に・・・・・・ならなかった。
理由は簡単。
---『倉庫』の壁に叩き付けられたから。
少し前にもお世話になった『倉庫』が、また救ってくれたのだ。
さすがに今回は衝撃も強かったので、正確には壁にめり込んでしまったが・・・・。
ケンジは、全身を襲う激痛に耐えながら、カミトの許へ向かった。
「---まさか、こんな結果になるなんてな」
「・・・・そうだな」
カミトは、さっきの衝撃で背中が地面に『ついていた』。
本人はまだ動けそうだが、ルールなので仕方ない。
---この試合は、ケンジの勝ちだ。
「・・・・けど、スゲー楽しかった! ありがとな」
「こちらこそ楽しかったぜ! お前との『剣舞』」
「またやろうな・・・・・・ケンジ」
「あぁ、いつでもいいぜ! ・・・・カミト」
ケンジが、カミトに右手を差し出した。
そこに言葉は要らない。
---二人は固く、握手をした。
『--------ッ!!!!』
二人は、周りの生徒たちから大きな歓声を浴びる。
ケンジが座っていたカミトを立たせた。---刹那、
---パチパチパチパチ
「「・・・・?」」
突然、後ろから拍手の音が聞こえた。
二人が同時に振り向くと、そこには・・・・
「---いや~。いい試合を見せて貰いました。・・・・それと、ハヤカゼ・カミト君おめでとう。武偵認定試験には無事『合格』だよ」
・・・・嘘、だろ・・・・
「君には、いい素質が有りそうだ。・・・・・・『暗殺』か何かでもやっていたのかい?」
・・・・どうして此処にいる・・・・
「これなら・・・・『極東戦役《FEW》』でも、十分に戦えるだろう」
「ッ!?」
(・・・・何で、『それ(極東戦役《FEW》)』を知ってるんだ・・・・ッ!?)
「おや? あぁ、『最後の一人』って君だったのか・・・・神楽 ケンジ君。・・・・丁度いい。君たちのチーム、『バスカービル』にカゼハヤ・カミト君を入れてあげなさい。『異世界から来た精霊使い』の彼(カミト)なら、きっと戦力になるよ。『新たな敵』も現れて、すごく苦労しているそうじゃないか・・・・」
「・・・・?」
カミトは話の意味が分からないのか、首を傾げている。
(・・・・それにしても、知り過ぎだぜ・・・・)
突然、この場所に現れた人物。
---東京武偵高の校長、緑松武尊《みどりまつたける》。
「・・・・不幸だ」
ケンジの呟きは、恐らく誰にも聞こえなかった。
Go for the next!!!
どうでしたか?
・・・・結構、長めに書いてみました(キリが悪いといけないので)。
感想など、書いてくれると嬉しいです。
・・・・ちなみに、ケンジとカミトが『チート過ぎる』訳は次回で説明します。
読んで頂けると、幸いです。