緋弾のアリアと精霊使い~剣舞が紡ぐ物語~   作:茅倉 遊

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キンジとアリアよりも先に、あの二人が登場します。(ほんのちょっとですが)
ちゃんとした登場は、もう少し後になります。



そして、物語は動き出す!

 結局あの後、捕まえた強盗犯5人を現場にいた強襲科《アサルト》の生徒に預け、ケンジ達は東京武偵高に向かった。

 

 時刻は、正午になる少し前ーーー

 

「けっこう、盛り上がってるな~~」

「ケンジ、あっちがおもしろそうです」

「いえ、ケンジさん。こっちの方がおもしろそうですよ」

 昨日の変装食堂《リストランテ・マスケ》もなかなか盛り上がったが、今日もたくさんの人が来ている。

 

「カミト、今度はあれに入りましょう」

「ホラーハウス 死体安置所のなかまたち? エストはこういうの平気なのか?」

「はい」

「けど、そろそろクレア達と合流しないと・・・・」

「カミトは、私に文化祭を教えてくれると言いました」

「いや、エストさん。もう、みんな待ってると思いますけど・・・・」

「カミトは、私に文化祭を教えてくれると言いました」

「・・・・わかった、これが最後な」

「カミトは、私に文化祭を教えてくれると言いました」

「・・・・・・・・わかったよ。一緒に全部回ろうな、エスト」

「♪」

 

 エシルによく似た 少女 と、ケンジによく似た 少年 がアトラクションの中に入って行く。東京武偵高の文化祭《カルナバル》は、予想以上に盛り上がっていた。

 

 

 

 

 

「ん? あれキンジとアリアじゃねぇーか」

 少し歩いていたら、ベンチに並んで座っているキンジとアリアを見つけた。まだ、ケンジ達に気づいていないようだ。

「・・・・何やってんだ?」

 よく見ると、キンジとアリアはお互いに タコ焼き を食べさせ合っていた。

「Say,ah」

 アリアが英語版・『アーンして』を言うと、キンジが疾風のようにアリアが差し出したタコ焼きを食べている。今度は、キンジが差し出すとアリアはお遊戯を楽しむ幼稚園児みたいなノリで食べている。

「お前ら、いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」

 思わず、ケンジが声を出すと・・・・

「「ッ!?」」

 キンジとアリアの動きが止まる。アリアなんて急速赤面術で、すぐに赤信号より赤くなった。

「け、ケンジ!! どうしてここに!?」

「いや、俺もここの生徒だから当然いるだろ」

 キンジが、慌て過ぎておかしな質問をしてるな。・・・・・・しかし、その反応の方がまだいい。

「か、か・・・・」

「か?」

「風穴ぁーーーーーッッッ!」

 こういうのが一番困るんだよな・・・・。

 

 

 

 

 

「俺が何したんだよ・・・・」

 あの後、アリアにさんざん追い回されて無駄に体力使っちまった。

「あんたが、ヘンなこと言うからでしょ!」

「事実じゃねぇーか」

「おい、ケンジこれ以上言うな! 俺も巻き込まれるだろうが!!」

「二人はとても幸せそうでしたよ」

「とても良い雰囲気でしたね」

 キンジが必死に止めようとするが、エシルとレストがさらに追討ちをかける。

「-----ッッッ!」

 アリアがまたも赤面し、ガバメントをレッグホルスターから抜こうとする。

「そ、そういえば、アリア。お前、午後はどうするんだ」

「え、ごご? 午後、午後は後輩のイベントを見てくるわ。教務科《マスターズ》から『先輩は後輩のイベントを確認し、不備があれば指示するように』って通達があったでしょ」

 さすが奴隷《キンジ》、主人《アリア》の扱いに慣れてるな。もし、キンジが話を振らなかったら、今頃は風穴パーティーだったぜ。

「面倒見いいなー、あれは任意だぞ?」

「俺は聞いた瞬間、誰がやるかって思ったね」

 キンジとケンジがそう言うと、アリアは自分の髪を触りまくった。

「い、いいの。今日はこれぐらいで。『あまり束縛すると嫌われる』ってマニュアル本に書いてあったし」

「・・・・それって、キンジのことか?」

「うるさい!」

 アリアが、真っ赤になりながら叫ぶ。

「俺が、どうかしたのか?」

 キンジ本人は、まったく気づいてないな。

「じゃ、じゃあねキンジ。あと、ケンジも。夜の打ち上げでまた会いましょ。来なかったら風穴よ」

 物騒な事を言いつつも、アリアはそそくさと立ち去って行く。その際、「あっ」と、スカートを整えてレッグホルスターを隠した。

「初めて見たな。アイツが 銃《ガン》チラ を恥ずかしがるなんて」

「そうだな」

 けどな、キンジ。アリアの 仕草 じゃなくて 思い に気付いてやれよ・・・・。

 

 

 

 

 

 その後、ケンジとエシル、レストの3人はキンジと、さらに武藤と不知火も加えて6人で文化祭を見て回った。武藤と不知火が、CVRのダンスショーなどキンジが苦手そうなモノを見に行っている間、その他4人は、近くにあったベンチで休んでいた。

「そういえば、キンジ。お前、本当に武偵辞めるのか?」

「どうしたんだよ、急に」

「いや、今までの 出来事 でお前の気が変わったんじゃないかと思ってな」

 ケンジは、持っていたファンタ(オレンジ)を見つめる。もう、ほとんど残っていない。それはまるで、キンジの 残り少ない武偵としての人生 を表しているようだった。

「確かに、アリアと出会ってから、すげぇ~いろいろ遭った気がするな」

「その中で、お前の 決心 は変わらなかったのか?」

「・・・・・・あぁ」

「だったら、それでいい」

「え?」

「お前の人生だ。お前が決めたことに、俺が文句を言う資格はねぇーよ」

 ケンジは、残り少なかったファンタを一気に飲み干す。

「--- 約束 守れなくて、ホントにすまん」

「気にすんなって」

 幼い頃交わした、2人で 立派な武偵になろう という約束はもう・・・・叶わないって分かってんだから。

「キンジは、人生のプラチナチケットを自分から捨てるんですね」

「けど、キンジさんは『どんなにいいチケットでも、要らなきゃただの紙キレだ』とか言いそうです」

「お前ら、絶対どっかで見てただろ!」

 エシルとレストの発言にキンジが慌てている。

「落ち着けって、キンジ。今日は『休日』なんだろ」

「お前もか!!」

 キンジが叫ぶと、ケンジ達は声を出して笑った。

 

 ・・・・・・今日もいい1日だった。やっぱり、文化祭っていいもんだな。

 

 

 

 

 

 ・・・・・・前言撤回。 武偵高の文化祭 は最悪だ。

 今、ケンジ達の目の前には、ゴザに座る生徒達の周囲で何人もの生徒が倒れている。何人かは、泡まで吹いていた。それを、救急箱を持った衛生科《メディカ》の生徒が診て回っている。

 時刻は、夜7時。恐怖の『打ち上げ』タイム、『武偵鍋』のスタートだ。

「キーくん、ケーくん。こっちこっちー!」

 理子が、満面の笑みでケンジ達を呼んでいる。・・・・あそこが、地獄の入り口か。

 その、地獄の入り口にはチーム『バスカービル』が集まっていた。

 アリアにレキ、白雪と理子、さらにハイマキもお座り中。そこに、ケンジとキンジ、エシルとレストが加われば全員集合だ。

「負の遺産だな」

「あぁ、魔のアイテムだぜ」

 ケンジとキンジの前に置かれているのは、フタがシルクハットのような形状をした土鍋。明るいところでも闇鍋ができる、『武偵鍋』専用の鍋だ。その中に・・・・

「たーかーのーつーめー!」

 理子が、赤唐辛子の実をざらざらと流し込む。キンジ達が必死に止めているが、もう20本以上入ったぞ。

「理子ッ・・・・あと1本でも入れたら撃つからな。アリア、レキ、安全装置《セーフティー》を外せッ!」

 キンジ達が揃って武装を解禁すると、

「ぶー、じゃあちょっと甘くしたげる」

 と、理子はクマさん形リュックから出した袋を開け、中に入っていた パルスイート を鍋に500gぐらい入れた。

「こんな鍋は、初めて見ました」

 エシルの言う通りだ。紫色の湯気が出てる鍋なんて、初めて見たぜ。

「くししし。おいしそーだねー。ほんじゃ、隠し味にもう一品・・・・」

 理子がポシェットから青汁を取り出そうとしたので、

「おい、キンジ!」

「わかってる! よし、もう始めるぞ!! 今回は無事、一人の死者も出さず文化祭も終わり・・・・」

 チームリーダーのキンジが、急いで打ち上げ開始の挨拶をしていると

「いよーし! じゃあアリア、食べてみよー!」

「し、白雪、幹事が最初に食べなさいよ」

「えーっと・・・・レキちゃん、食べてみたら・・・・?」

「ケンジさんから食べるべきです」

「なぜに!? ま、待て! まずは、調味料係の理子からだろ!」

 キンジの挨拶を全スルーして、押し付け合いが始まる。

「じゃあ、キーくんから行ってみよー!」

「そうね。ここはリーダーらしく行きなさい!」

「キンちゃんゴメンね、でも、ちゃんと普通の具も入ってるから・・・・!」

「キンジさん、頑張ってください」

「すまん、キンジ」

 悪いが、助ける事はできない。だって、みんなさりげなく武器チラつかせてるし。

「・・・・散る桜、残った桜も、散る桜・・・・ッ!」

 そうして、『武偵鍋』はキンジから始まった。

 

 

 

 

 

 ・・・・その後・・・・

 悪しき伝統のノルマも終わったので、鍋からは魔の具材が全て取り出され、スタッフ《ハイマキ》がおいしくいただく事となった。ここからは、普通の鍋料理が始まる。

 というわけでーーー

 改めて、バスカービルは鍋をつつき始めたのだが、キンジ達が肉の取り合いを始めた。

「おい、キンジ。邪魔だ、横になれねぇーだろうが」

「え、あ、すまん。・・・・ケンジ、もう食わないのか?」

「・・・・・・限界なんだよ」

 さっきまで、さんざんエシルとレストに食べさせられたからな。

「ケンジ、あーん」

「ケンジさん、こっちを食べてください」

 今度は、エシルが白菜、レストが人参を差し出してくる。

「・・・・勘弁してください」

 ケンジが、差し出された2つの具材の前で頭を抱えていると、

 どかっ、どかっ、とコンバットブーツがシートの横に投げ捨てられーーー

「うッ・・・・?」

 キンジが、浮いた。

 そして、キンジがいた場所に座ったのは・・・・

「蘭豹先生・・・・ッ!」

「---変装食堂《リストランテ・マスケ》、客の評判良かったで。売上も去年以上やったし、よーやったなお前ら」

 キンジの皿を強奪した蘭豹が、割り箸を勝手に取って食いながら話し始める。

「あとケンジ。お前が今朝捕まえた強盗犯、指名手配犯やったからお手柄や。報酬やるから、後で教務科《マスターズ》に取りに来いや」

「「「「「?」」」」」

 バスカービルのメンバーの視線が、ケンジに集まる。

「よく俺だって、わかりましたね」

「人質が20人ほどおったのに、強盗犯5人を 一瞬 で、しかも 同時 に倒せる武偵なんて、お前くらいしか知らん」

「俺の身近には、もう1人いますよ」

 ケンジは、車座からつまみ出されていたキンジに視線を送る。

「・・・・ッ!」

 キンジは、ケンジの視線に気づくと頭を下げてしまった。しかし、すぐにキンジは頭を上げた。その時のキンジの瞳は、ある決心がついたようだった。ケンジに、今朝の事を聞いてくるアリア・白雪・理子・レキをキンジは静かに眺めていた。

そしてケンジは、そんなキンジをアリア達の質問に答えながら、眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 武偵高での文化祭は無事に終わり、その翌日は日曜日だった。

 日曜日だからといって、特にすることもない。ケンジは、ソファーに座って連続で再放送しているテレビドラマを見ていた。

 時間が経つのは早いもので気付けばもう、窓の向こうは暗くなっていた。ケンジが見ていたテレビドラマも、すでに最終回になっていた。

『お前の両手は、何のためにあるんだ!!』

 主人公の青年が叫ぶ。それはまるで、ケンジに向かって言っているようだった。

「両手・・・・か」

アリアなら、『拳銃を2つ持つため』なんて言いそうだ。レキなら、『安定した狙撃をするため』とかな。

『そんなの、愛する人をしっかり抱きしめるために決まってんだろ!!』

 主人公の青年に殴り飛ばされた青年が、立ち上がりながら叫ぶ。そして、画面の中で2人の青年がハイタッチしてドラマが終わる。

「ケンジの両手は、何のためにあるんですか?」

「え?」

 後ろから、美しい鈴の音のような声が聞こえた。振り返ると、エシルとレストが並んで立っている。

「ケンジさんの両手は、何のためにあるんですか?」

 今度は、レストがその透き通ったような声でケンジに聞いてくる。

「俺の両手は、大好きな 2人の契約精霊 を同時に抱きしめるためかな」

 

 ・・・・・・・・え? 今、なんて言った?

 

『大好きな 2人の契約精霊 を同時に抱きしめるため』・・・・・・だと!?

 

「「・・・・・・」」

 エシルとレストが、無言でケンジを見つめている。

 

(おいおいおいおい! なに、いきなり 本音 言っちゃってるんだよ! 俺のバカ!!)

 

 確かにケンジは、エシルとレストのことが 大好き だ。けど、今言うか普通!?

 

「「だったら、その言葉に責任を持ってくださいね」」

 

「!?」

 いきなりエシルとレストが、ケンジに抱きついてきた。

「な、何やってんだよ!?」

 ケンジが慌てているのに、エシルとレストはさらに強く抱きついてくる。

「・・・・・・ッ!」

 やばい、このままじゃ理性が飛びそうだ。すでにケンジの心臓は、これでもかというほど高鳴っている。

「ケンジ」

「ケンジさん」

 エシルとレストがいつもの凛とした瞳ではなく、熱を持ったような瞳でケンジを見てくる。首筋に掛かる熱い吐息がケンジの心を掻き乱している。・・・・マジで、やばい!

「エシル、レスト・・・・」

 急にどうしたんだ? とケンジが尋ねるよりも早く、

 

 かぷっ!

 

「!?」

 エシルが右、レストが左のケンジの首筋を甘噛みしたきた。・・・・・・瞬間、ケンジの理性は飛んだ。

 ケンジは、自分に抱きついている2人の契約精霊を、両手で包むように抱きしめる。そしてそのまま、ソファーに倒れ込んだ。

「エシル、レスト・・・・」

 もう、この後に言葉は続かない。ケンジは、さらに強く2人を抱きしめる。

「「・・・・・・」」

 すると、エシルとレストが同時に目を瞑った。2人のその行動の意味くらい、ケンジにだってわかる。けど、2人同時に・・なんてできるのか? まぁ、気にすることじゃないか。 

「・・・・・・」

 ケンジも目を瞑り、エシルとレストの顔に自分の顔を近づける。そして、重なりかけた瞬間、

 

『-------ーーーーー』

 

 ケンジの携帯が鳴った。

 

「・・・・・・ちょっといいか?」

 ケンジが携帯を取ろうとすると、エシルとレストは素直に離れてくれた。ケンジは、立ち上がるとテーブルの上に置いてある携帯を取った。相手は、・・・・キンジか。

「もしもし」

 キンジのヤツ、良い所邪魔しやがって。せっかく、いい雰囲気だったのに。

『おい! ケンジか!?』

「当たり前だろ。俺の携帯なんだから・・・・。で、どうしたキンジ?」

『それが、緊急事態なんだ!』

 こっちも、別の意味で緊急事態だったんだが・・・・。

「落ち着けって。いったい、何があった?」

 ケンジが尋ねると、キンジが早口で何があったのかを話し始めた。そしてその内容は、キンジを焦らせ、ケンジを驚愕させるには充分すぎた。

 

「アリア。白雪。理子。レキ。バスカービルの4人が、全滅しただと・・・・ッ!」

 

 

 

      Go for the next!!!

 

 

 

 




どうでしたか?
感想など、書いてくれるとうれしいです。
次話も、早めに投稿します。
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