緋弾のアリアと精霊使い~剣舞が紡ぐ物語~   作:茅倉 遊

8 / 15
どうも、茅倉 遊です。
中間考査が、憂鬱でしかない!


新たな参加者

「・・・・・・どうしてこうなった?」

 

 月光に照らされ、辺りは淡く明るい。時間帯は---『夜』。

 武偵高の第二グラウンドに、神楽ケンジは立っていた。

 ケンジが『一直線上《ドストレート》』との戦闘で負傷したため、数日間部屋で休んでる間に、

 ---どうやら、『バスカービル内』で 問題 があったらしい。

 それは、『バスカービルのメンバー達』の 立ち位置 を見れば解る。

 

 バスカービルの女子達は一致団結しているようだが、その女子達の目の前が『問題』だ。

 まず、自分の身長ほどの---長い、抜き身の刀を背負っているのは自称、キンジの妹の『遠山 かなめ』。あの刀は確か先端化学兵器、単分子振動刀《ソニック》。『これで斬れないモノなんかない』とか言ってた、恐ろしい刀だ。

 ---ここまでなら『まだいい』。かなめとアリア達は、もともと対立していたからな。

 『問題』は、かなめの隣・・・・・・

 まるで、『かなめの味方』であるような位置に立っているのは『バスカービルのリーダー』。

 

「---どういうことだ? ・・・・『キンジ』」

「・・・・俺にもわからん」

(・・・・・・じゃあ、どうしようもないな)

 

 ---そう。今、この第二グラウンドは俗に云う『修羅場』です。

 

 

 

 

「おいおい。キンジから『緊急の電話』があったから来たってのに。痴話ゲンカに巻き込むんじゃねーよ」

「っな!? ち、痴話ゲンカとかじゃないわよ!」

 ケンジが文句を言うと、アリアが叫んできた。

「あっれーー? ケーくん。『一人増えてない』?」

「・・・・・・」

 理子がケンジの方を見ながら声を上げる。

「初めまして。ケンの契約精霊、エクレール・ティアニスです」

 ティアが、深々と一礼する。

「・・・・ケーくん」

「?」

 何故か、理子が下を向きながらプルプル震えている。

 どうかしたのか?

「---超カワイイじゃんッ!!」

「は?」

 バッと勢いよく顔を上げた理子は、こっちに向かって走ってくる。

「理子にもなでなでさせてーー!」

(---いやッ! 俺、なでなでしてねぇーし!)

「ッ!?」

 しかし、ティアはケンジがツッコむよりも早く、驚いたようにケンジの後ろに回り込み、ケンジの背中にしがみ付いてきた。普段クールで無表情なエシルやレストと違い、ティアには表情がある。

(まぁ、それが普通なんだが・・・・)

 今も怯えているのか、頬が赤くなり瞳が潤んでいる。身体も震えてるし・・・・

 ---ティアが怯えている理由は明白だ。

 なぜなら、今、理子が持っているのは『ショットガン』。弾が拡散し、標的を『面』で捉えるモノだ。

 拳銃弾と違い、『避けられない弾』を撃つことができる。

 『ショットガン』を持った理子が、嬉しそうに笑いながら走って来ている。

 ・・・・・・普通、引くだろ?

「おい! やめろよ、理子。怯えてるだろ」

「ふふふ・・・・怯えた表情もカワイイですなぁーー」

(---誰か、助けてくださいッ! 犯罪者が、犯罪者がいます!)

「・・・・お、お姉ちゃんたち。そろそろ、始めない?」

 かなめまで引いてんじゃん・・・・。

 

 

 

「で、どうすんだキンジ。俺を呼んだってことは、『なんか』するんだろ?」

「---『決闘』だってさ。アイツらが勝手に始めちまったよ」

「・・・・だろうと思ったよ」

「止めてもムダよ、ケンジ」

「止める気はねぇーよ。ただ・・・・」

 そこでケンジは言葉を止め、アリア達を見回す。そして、

「『ランバージャック』以外の『決闘方法』を求めるぜ」

「「「「「「!?」」」」」」

 この場に居た全員が驚愕する。バスカービルのメンバー、かなめ、あと・・・・

「・・・・ジャンヌ。お前居たんだな」

「---その言い方は、無礼ではないかッ!?」

「・・・・すいません」

 ケンジが素直に謝ると、

「それで、ランバージャック以外の方法とは?」

 ジャンヌがキリッとした表情で聞いてきた。どうやら切り替えたらしい、『決闘』への意識に。

「それは、キンジに聞いてくれ」

 ケンジは、アメリカ人などがよくやる『やれやれ』のポーズをする。

 すると、全員の視線がキンジに集中する。

「『決闘』は、もう止めねえよ。やれ。お前らの気が済むまで。だが俺は、こういうイジメみたいのがこの世で一番嫌いなんでな」

「イジメじゃないよ~、かわいがりっていうんだよ~」

 手メガホンで理子がそんな事を言ってくる。

「似たようなもんだろ」

 だが、ケンジが切り捨てる。

 そして、その後にキンジが続く。

「俺が提案するのは・・・・」

 そこでキンジは、一呼吸入れてから・・・・声を上げた。

 

「---『五対五の集団戦』だッ!!」

 

 この場に居るのは、合計、十人。そしてこの場にはいないが、すでに『こっちを狙っている』スナイパー、レキを合わせると十一人になる。

 つまり、アリア側は五人。かなめ側はキンジと、ケンジにティア。そして、

「やはりケンジの周りでは、いつも『争い事』が起きますね」

「ケンジさんに付いて来て正解です」

 ケンジの両隣に立っているエシルとレスト。

 一人で外出すると、必ず『何かがある』ケンジに見かねた二人は、今度は自分達も付いて行くと言い出したのだ。最初は断ったが、二人の冷たい視線に、ケンジは心を折られた。

「あれは、キツかったな・・・・」

「「?」」

 どこか遠い目をして呟いたケンジに、エシルとレストは首を傾げた。

 

 

 

 

 

「ケンジ。ホントにすまん」

「・・・・何謝ってんだよ」

「いや、巻き込んじまったからな」

「それは違うぜ、キンジ」

「?」

「これは『バスカービル』の問題だ。だったら、俺もメンバーとして参加するのが『道理』だろ」

「け、けど『こっち側』だぞ!?」

「関係ねぇーよ。・・・・・・かなめ。今回は、『協力』してやる」

「・・・・・・」

(その無言は、『異存無し』って事と解釈するぞ・・・・)

 そして、ケンジは自分の契約精霊たちに視線を向ける。

「今から始まるのは、『五対五の集団戦』だ。悪いけど、ティアは観戦しててくれないか?」

「え?」

 ティアが驚いたように顔を上げてくる。自分も参加できると思っていたのだろう。

「そんなぁ・・・・。ティアも参加したいです!」

 『ティア』という名前が気に入っているのか、ティアは一人称が『ティア』だ。

 ---って、今関係ないな。それ・・・・

「大丈夫。ティアも見てみたいだろ? エシルとレストの『実力』を・・・・」

「ッ! そ、それは・・・・」

「自分の『ご主人様《マスター》』の戦いを見ててくれないか? 俺は、ティアに見ててほしいんだけどな」

 そう言いながら、ケンジはティアの頭を撫でる。

 我ながら、マジで『ヒステリアモード』っぽいな、これ。

「は、はい! ティアはケンの戦いを見ることにします!」

「・・・・ありがとな」

 ティア、ホントはゴメンな。後で、ちゃんと謝るから・・・・

 

 

 

「こっちはあたしを入れて、理子と白雪とジャンヌ。あと、ここにはいないけどレキ。この五人よ」

「こっちは俺とかなめとケンジ。それとエシルとレスト。この五人だ」

 さて、メンバーも決まった。そろそろ・・・・

「じゃあ、もう始まってるわよ」

 アリアが嬉しそうに始まりを告げる。

「相変わらず好戦的なヤツだな。・・・・・・キンジ。白雪とジャンヌは、お前とかなめに任せる。アリアと理子とレキは、俺たちに任せろ」

「・・・・わかった」

 ケンジの言葉に、キンジが短く答える。

「さーて、神楽を始めるか!」

 ---やっと、『開戦』だな。

 

「理子とは誰が遊んでくれるのかな~?」

 そんな事を言いながら、理子は『ショットガン』を構える。

「・・・・まぁ、『まとめて』でも全然オッケーですよ。くふふ」

 ---バンッ!

 理子が笑いながら『ショットガン』の引き金を引く。

 『面』となった弾丸がケンジ達に迫る。

「『白き城壁《ホワイト・ウォール》』」

 しかし、その弾丸は『白い魔法陣』に止められる。

「私が遊び相手になりましょうか?」

 ケンジの左隣りに居たエシルが声を上げる。

「じゃあ、エシルん。理子と『いいコト』しよ!」

 ・・・・お前らがやってること、すでに『殺し合いもどき』だからな。そこんとこ忘れるなよ。

 

「ケンジッ! あたしの相手はあんたね!」

 今度は、右側からアリアが突っ込んで来た。

 これにはさすがに、ケンジも神楽《しんら》を抜こうとしたが・・・・

「喰らえ、灼熱の劫火球。『火炎球《ファイア・ボール》』」

 アリアに向かって、燃え盛る球体が投げられる。

「---ッ!」

 しかし、アリアもそれをバク転でギリギリ避ける。

「アリアさんの相手は私がします」

 そう言って前に出たのは、ケンジの右隣りに居たレスト。

「上等よ!」

 アリアは、すぐに体勢を整えると両手に持っていた『ガバメント』を同時に発砲する。

「炎よ。巨人に苦痛の贈り物を・・・・」

 こっちに向かって来た弾丸を、レストの炎が焼き尽くす。・・・・・・それより、アリアって巨人か? 逆だろ、どう見ても・・・・。

 

「さてと、俺もそろそろ・・・・」

 ケンジが一歩、前に踏み出そうとすると・・・・

 ---バスッ! バスッ!

「ッ!?」

 いきなり、足元に銃弾が飛んで来た。

(・・・・そういえば、俺の相手『一番の難敵』じゃね!?)

 恐らく、この銃弾の送り主は・・・・『この場にいない者』。

「そうだろ。『レキ』」

 そして、ケンジは神楽《しんら》を抜いた。

 

「今の狙撃の位置として、場所は・・・・」

 ケンジの視線は、グラウンド脇の桜の木に向く。

「そこかッ!」

 そのまま、全力で駆け出した。

 銃弾は、『直線』にしか飛ばない。例外もいくつかあるが、今はそうと仮定する。

 さっきの銃弾は、この方角から飛んで来た。

「・・・・・・ッ!?」

 刹那、ケンジは足を止めた。なぜなら、

「神楽流剣舞 ニノ型 神楽瞬身・・・・ッ!!」

 さっきまでケンジがいた場所に銃弾が飛んで来たから。

 その銃弾をギリギリ、高速移動で避けた。

「・・・・迂闊に近づけないな」

 レキがいる場所は解っているのに、近づけない。何とか、『一瞬』でも気を引く方法があれば・・・・。

「・・・・ん?」

 ---あるじゃん。『その方法』。

 

「・・・・・・」

 その時レキは、無言で『ドラグノフ』を構えていた。

「・・・・・・!」

 そして、そのスコープにまた『ケンジ』が映った。

 

「-----カナさん。使わせて貰うぜ!」

 ケンジはただ、立っているだけだ。しかし、すでに『構えている』。

「・・・・カナさんの技と一緒になッ!」

 こっからは『見よう見マネ』。

 だが、うまくいったようだ。ケンジの身体の前で『マズルフラッシュ』が輝いた。

 しかし、拳銃本体はまったく『見えなかった』。

 ---『不可視の銃撃《インビジビレ》』

 カナの得意技である銃技。それをケンジは、カナから貰った『ピースメーカー』でやったのだ。

 もちろん、初めてだけどな。

「神楽流剣舞 ニノ型 神楽瞬身・・・・ッ!!」

 もう一度、ケンジは高速移動する。

 ---キイィン!

 レキがケンジの銃弾を『銃弾撃ち《ビリヤード》』したため、『一瞬』だけ気を引くのに成功した。

 そして、ケンジが桜の木の下に着く。

「神楽流け・・・・」

 だが、ケンジの言葉は最後まで続かなかった。

「う・・・・うぇ・・・・うぇえええええええん・・・・!」

 なぜなら、かなめの泣き声がケンジの言葉を掻き消したから。

 

 キンジの方に視線を送ると、キンジは『降参』のジェスチャーをやっている。

「・・・・・・まぁ、仕方ないか」

 こっちのリーダー《キンジ》が降参したんだ。

 ケンジは桜の木の上からこっちを見ていたレキに、右手を見せる。

 その手の人差し指は、ピースメーカーのトリガーガードに掛けて・・・・銃をブラリと垂らしている。

 ケンジは、キンジと同じ『降参』のジェスチャーをやっていた。

 

 

 

 ---その後、何故か『深夜のお月見会』が始まった。

    ・・・・・・どうしてこうなった?

 

 

 

 

 

 

「ふざけンじゃねェぞ、三下ッ!」

 ケンジ達が『深夜のお月見会』をしている頃、一直線上《ドストレート》は月に照らされた闇夜の中に立っていた。『あの時』の一撃でかなりのダメージを負ったが、すでに『全快』していた。

「・・・・・・とりあえず、死体決定だ。あのクソ野郎ッ!」

 ドストレートはこれから、『東京武偵高』に向かうつもりだった。

 もちろん、ケンジ達を『始末』するために・・・・

 しかし、ドストレートが一歩前に踏み出した時だった。

 

「-----無理して出てきたってのに・・・・何だァ~、このバカみたいな三下は・・・・」

 

 暗闇の中から声が響いた。

「誰だッ!?」

 ドストレートが、慌ててそっちに意識を向ける。

「---ハッ! 誰でもいいだろ」

 暗闇の中から出てきたのは、『白髪の少年』。まるで『負傷者』のように杖を突きながら歩いていた。

「・・・・ッ! 邪魔なんだよ・・・・・・三下がァッ!!」

 ドストレートが一気に駆け出す。一瞬で少年の前に立つと、『黒い霧』を右手に纏った。

 しかし、少年は・・・・・・・・笑っていた。

 少年は首筋にある『黒いチョーカーのようなモノ』に、手を伸ばしていた。

 -----ピッ!

 少年は、そのまま---『電極のスイッチ』を押した。

 

「ここから先は、破滅への一直線上だァッ!」

 ドストレートが『黒い霧』を纏った右手で少年を殴った・・・・・・・・はずだった。

 

 ---パァン!

 

「---ッ!?」

 ドストレートの右手を、少年は『何もせずに弾いた』。

「哀れだなァ。本気で言ってるとしたら、抱きしめたくなるくらい哀れだわ~・・・・」

 少年はドストレートを見ながら続ける、

「---悪ィが、こっから先は『一方通行』だ!」

 少年が右足を上げ、コンクリートで舗装された道路に一気に降ろした。

 

 ---バキィィィィィッ!!

 

 刹那、道路がまるで『地震』でも起きたかのように『隆起』し始める。

 それも、---ドストレートに向かって。

「なッ!?」

 ドストレートは慌てて身構えたが、・・・・遅い。

「---おとなしく、無様に、元の居場所に引き返しやがれェッ!!」

 ドストレートの目の前には、すでに少年がいたから。

「・・・・がはッ!!」

 少年の右手がドストレートの顔面に炸裂する。

 そして、ドストレートは吹っ飛ばされる間もなく、『消滅』した。

 それはまるで、立ち込めていた霧がキレイに晴れるかのように・・・・・・

 

 

 

 「・・・・ちッ! 無駄な時間使っちまったぜ」

 ---少年・・・・『一方通行《アクセラレータ》』は、再び暗闇の中に消えた。

 

 

 

    Go for the next!!!

 

 

 

 

 




どうでしたか?
この物語は『アクセラレータ』も参戦します。
そして遂に、次回は『体育祭』!!
---カミトやエスト、レスティアが登場します。
お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。