緋弾のアリアと精霊使い~剣舞が紡ぐ物語~   作:茅倉 遊

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どうも、茅倉 遊です。
中間考査が終わり、テンション上がってます。
けど・・・・・・結果が(泣)


ファースト・コンタクト

 それはそれは雲一つ無くキレイに晴れた、日曜の朝---

 武偵高の全生徒は、第一グラウンドで方陣状に並んでいる。

 年に一度の運動会、『体育祭』のためにである。

 白々しい選手宣誓もあった開会式を終え、生徒たちは紅組と白組に分かれた。そして、競技の準備に入る。 ---『武装解除』した、生徒たちが・・・・・・。

「何やってるんだろうな、俺たち・・・・」

「平和でいいじゃねーか。・・・・ホント、平和で・・・・」

 心底怠そうなキンジに、愛想笑いを浮かべるケンジ。その他の生徒たちも、気色悪い作り笑いを浮かべながらやっている競技は・・・・・・『玉入れ』。

 地上三メートルに掲げたカゴに皆でボールを投げ入れる、ただの『玉入れ』である。

 要は『ケンカ祭り』だった武偵高の『体育祭』は、ヘタをしたら武偵高を廃校の危機に立たせるモノだった。そこで、教務科《マスターズ》からは、

 『体育祭の 第一部では 無邪気な高校生を笑顔で演じる事。発砲等は最も厳重に処罰する』

 という指示が出ている。

「・・・・だったら、『体育祭』を止めちまえ!」

「同感だぜ」

 キンジの言葉に、ケンジは心の底から同意した。

 

 

 

 その後、いきなり体育祭のプログラムは手抜きとなり・・・・

 各種の『個人競技』が、校内各所でバラバラに行われる事となった。

 キンジは、「個人競技なんて面倒だ」と、スコア収集係を買って出たそうだが・・・・

 俺、神楽ケンジは今・・・・・・体育館にいた。

 

 体育祭の第一部・後半---個人競技では、各人の得意不得意にかかわらず教務科《マスターズ》の指定した種目をやらされる。ので、ケンジが指定された競技は・・・・・・

 ---『バスケットボール』だ。

 しかし、さっきからケンジは審判に止められてばかりいる。

「あ、今の『トラベリング』!」

「『ダブルドリブル』!」

 などと、いちいち声を掛けられる。

(仕方ないだろ! 『初めて』なんだから!)

 バスケってのは、何かと細かいルールが多いそうだ。

「・・・・ったく、なんで『ドリブル』なんかしなきゃいけねぇーんだよ! 普通に走った方が断然速いだろうがっ!」

「ケンジ。静かにしてください」

「ケンジさん。落ち着いてください」

「ケン、大丈夫?」

 相変わらず、クールで無表情なエシルとレスト。休憩中のケンジの両隣でバスケの試合を見ている。そして、心配そうにケンジの顔を見上げているのはティア。

 『見上げている』というのも・・・・ティアが、ケンジに身体を預けるように前から座っているからである。このポジションはエシルとレストも狙っていたのだが、さすがに中学二~三年くらいに見える二人に『この姿勢』は無理だ。なぜなら、ケンジが後ろから『抱きしめている』ように見えるのだ。周りから見れば。

 すでに、美少女を三人も周りに連れているのだ。今この瞬間、『通報』されてもおかしくないのに、自ら罪を重ねる気はない。

「それより・・・・エシルとレストは、なんでそんなに真剣になって試合を見てるんだ? 二人とも、バスケに興味なんてあったか」

「いえ、興味はありませんが・・・・」

「とても『美しい』スポーツだと思ったので・・・・」

「『美しい』・・・・?」

 確かにバスケは、相手との接近戦もあれば、遠距離にいる仲間と協力することもあるスポーツだ。激しい戦いが生み出す、『美しさ』というのがあるのかもしれない。

 

 ---それに、精霊とは常に『美しさ』を求める。

 だから『精霊使い』は、その『美しさ』に見合った『さまざまなモノ』を精霊たちに捧げ、披露する。

 ケンジのいる神楽家も、その『精霊使い』の一族だ。

 神楽家は、精霊に美しき『剣舞』を披露し、奉る一族。

 そして、その『剣舞』こそ、---『神楽流剣舞』である。神楽家に代々伝わるその『剣舞』は、多くの精霊を楽しませ、魅了してきた。

 ---だからこそ、ケンジは立ち上がった。

「・・・・じゃあ、俺がもっと美しいものを見せてやるよ」

「「「?」」」

 ケンジの契約精霊たちは、ケンジの言葉の意味がわからず首を傾げている。

「おい! 選手交代だ」

 そう告げてから、コートに入る。ケンジと交代した生徒は、ケンジに微笑みかけながらコートを出た。

「・・・・・・って、不知火!?」

 その生徒は、ケンジの友人である不知火だった。

「頑張ってね」

 爽やかスマイルを浮かべる不知火は、体育館からも出て行った。・・・・なんか用事でもあるのか?

 ケンジが考え込んでいると、試合再開の笛が鳴った。

 ・・・・・・始めるか。

 

「---俺の『剣舞』に、酔いしれなッ!」

 

 しかし、剣は使わない。というか使えない。

(だって、体罰フルコースは嫌だからな・・・・)

 

 

 

 とりあえず、残り時間も少ない。ここは攻めるのが妥当だろう。だったら、

「パスを回して、一気に詰めるぞッ!」

 味方に向かってケンジが声を上げた。

 しかし、こっちのパス回しは一瞬でカットされた。

「・・・・ッ! 諜報科《レザド》の連中か!?」

 そう、敵には諜報科の生徒がいた。忍者みたいな動きで、コートを走っている。そのままボールを投げ、ゴールを決めた。これで二点差。言いたかないが、こっちが負けている。・・・・だが、

 ---こっちにも、諜報科《レザド》がいる。

「『黒子』ッ! パスだ!」

 ケンジが声を上げると、いきなり目の前に『ボール』が現れた。

「な!? いつの間に!?」

「どうやったんだ!?」

 敵チームも、このパスには驚いてるな。けど、今はそれにかまっている時間はない。

「神楽流剣舞 ニノ型 神楽瞬身・・・・ッ!!」

 視界に映っている場所なら高速で移動できる技。それが、『神楽瞬身』だ。

 一気にゴール下に来たケンジは、楽にゴールを決める。これで同点。

 しかし、残り一分を切っている。

 敵チームも焦りだしたのか、攻め方が雑になってきた。そして、その隙を突いて味方がボールを奪う。

「ケンジッ! 決めろ!」

 味方がケンジにパスを出す。・・・・そのパスは、

 ---通った。

「さーて、神楽を始めるか!」

 ケンジは身を屈め、ボールを『低いバウンド』で突く。そのまま全力で駆け出した。

「神楽流剣舞 五ノ型 神楽影撃・・・・ッ!!」

 そして、ケンジの姿は『消えた』。

「何!?」

「どこいったんだ!?」

 敵チームは、慌てて周りを見渡すがケンジを見つけることはできない。

 『神楽影撃』は、自分の姿を敵の視界から『消すこと』を目的とした技。

 相手が認識できないほど気配を薄め、姿を消し去る。それは視界に映ることのない、『影』のように。

 そしてケンジは、今度はゴールの『真上』にいた。

「神楽・・・・・・終演!」

 

 ---その後の豪快なダンクと試合終了の笛は、会場にいる観客たちを大いに盛り上げた。

 

 

 

 

 

 

 ---その後、最終競技の百人リレーが行われ『茶番劇《体育祭》』はエンディングを迎えた。

 別に大して疲れてない全校生徒による、なんちゃって整理体操が行われ・・・・・・

 体育祭・『第一部』が終了した。

 

 

 

 ---体育祭・『第二部』は、夕方五時からスタートとなる。

 武偵高では、この『第二部』こそが本番。

 ---男子競技『実弾サバゲー』と、女子競技『水中騎馬戦』。

 男子競技の『実弾サバゲー』とは読んで字のごとく。実弾アリのバトルロワイヤルで、もうほとんど戦争である。

 失格となるのは、『背中が地面についた時』だけ。

『実弾サバイバルゲームに参加の全男子は、各自、所定位置について下さい』

 そして、集合のアナウンスが流れた。

 

「じゃあな、キンジ。・・・・頑張れよ」

「チクショウ。なんで俺がこんな目に・・・・」

 キンジは『実弾サバゲー』には参加しない。

 『水中騎馬戦』に参加する、バスカービルの女子たちのセコンド《軍師》をしなくてはならないのだ。

 『水着の女子』が、わんさかいるプールは、病気《ヒステリア・モード》持ちのキンジには地獄だろう。

「安心しろ。俺も不知火あたりに頼んで、わざとリタイアするから・・・・。すぐ助けに行ってやるよ」

「マジで頼むぞ、ケンジ。もうお前しかいないんだからな」

 キンジが真剣な表情で、ケンジを見てくる。

「任せろ。・・・・あ! キンジ。悪いが、エシルたちを預かっててくれないか?」

「「「え?」」」

 エシルとレスト、それにティアが驚いた表情でケンジを見てきた。

「いや、『流れ弾』とか危ないからな・・・・」

 『実弾サバゲー』は、普通のサバゲーと違い『実弾』を使う。そのため、『流れ弾』などがシャレにならないほど危険なのだ。

「これ以上、女を増やすなッ!」

 キンジが絶叫したが、ケンジは無理やりエシルたちを預けて、指定位置のグラウンドに向かった。

 

 

 

 

 

「やあ、神楽君。久しぶりだね」

「さっき会っただろうが、不知火」

 グラウンドに着くと、丁度そこには不知火がいた。

 ケンジは『実弾サバゲー』など、心の底からどうでもいいので・・・・

「不知火。悪いが、始まったら俺を軽く殴ってくれ。俺は倒れてリタイアするから」

「ハハ、君らしいね」

「・・・・その爽やかスマイルもお前らしいよ」

 さてと、後は競技が始まれば・・・・・・

 

「カミト。・・・・もちろん、優勝するんでしょ」

 

 ---ゾクッ!

「・・・・ッ!?」

 ケンジが準備運動をしているフリをやっている時、近くから少女の声が聞こえた。

 それは心が安らぐ感じでもあり、内に強い意志を持ったような声音。

 そして、その声の後に・・・・

 

「当たり前です。カミトが負けるようなことは、絶対にありません」

 

 エシルによく似た、可憐な声が続く。

 ケンジは、慌てて声の聞こえた方に目を向ける。

 そこには、

 

 ---艶やかな黒髪と、黄昏色の瞳を持つ少女。美しい銀髪と、神秘的な紫紺の瞳を持つ少女。

 そして、その二人の少女の真ん中に、ケンジによく似た少年が立っていた。

 

「・・・・・・どうなってんだ?」

 わかる。『わかってしまう』。

 由緒正しき『精霊使い』の家系に生まれたケンジには、あの二人の少女が『人間でない』ことがわかってしまう。

 あの少女たちは、『精霊』だ。そして恐らく、真ん中の少年の契約精霊。

 つまり、あの少年はケンジと同じ・・・・・・

 

 ---パンッ!

 

 その時、競技開始のピストルが鳴った。

 生徒たちが一斉に拳銃を構える。だが、誰が予想できただろうか。

 -----この後の出来事を。

 

「けど・・・・聖剣さんだけカミトに力を貸すのは、不平等でしょ。私も『一手』だけ力を貸してあげるわ」

 

 さっきの黒髪の少女の声が聞こえた。

 そしてもう一度その声が聞こえた時、それは起きた。

 

「『死を呼ぶ雷閃《ヴォーパル・ブラスト》』」

 

 ---刹那。無数の黒い雷が、生徒たちを襲った。

 

 

 

 

 

「・・・・・・ッ! おい、不知火! 大丈夫か!?」

「・・・・何とか、無事みたいだね」

 不知火は大丈夫そうだ。

 しかし、ケンジがグラウンドを見回すと・・・・

 ほとんどの生徒が、『リタイア』している。要するに、背中が地面についていた。残っている生徒は、両手で数えられそうなほどだ。

「う、嘘、だろ・・・・」

「どうやら、ホントみたいだよ」

 不知火が冷静な理由もわからないが、さっきの『精霊魔術』の威力も意味がわからない。強すぎだ。

 

「レスティア。・・・・いくらなんでも、やりすぎなんじゃないか!?」

 

 さっきの少年が、声を上げた。

 慌てているような、呆れているような、そんな声音だ。

「だって、『武偵』にはこれくらいじゃないと効果がないでしょ?」

「いや、効果あり過ぎだぞッ!」

 なんか二人して、漫才みたいな事をやっている。

「---ッ! 舐めやがってッ!」

 その時、生き残りの生徒一人が少年に向かって拳銃を構えた。指はトリガーに掛かっている。

「---エストッ!」

「はい、カミト。---私はあなたの剣、あなたの望むままに」

 少年もそれには素早く反応し、その手に『精霊魔装《エレメンタルヴァッフェ》』を展開する。

 パンッ!

 拳銃から発砲された弾を、少年は・・・・

 キィンッ!

 と、その手に持つ『大剣』で両断した。

 そのまま『大剣』を逆手に持ちかえ---

「絶剣技三ノ型---『影月演舞』!」

 生き残った生徒たちに向かって駆け出す。その速度が、『速い』。

 次々と生き残っていた生徒たちを攻撃していく。生徒たちはその『一太刀』で倒されていく。

 そして遂に、少年がこっちに来た。

「・・・・うッ!」

 不知火が『大剣』に斬られ、後方に吹っ飛ぶ。

「---不知火ッ!」

 だが、少年の持つ『大剣』はケンジにも迫ってくる。

「神楽流剣舞 一ノ型 神楽斬撃・・・・ッ!!」

 ケンジは咄嗟に神楽《しんら》を抜き、少年の攻撃を止める。

 『一太刀』が止められると、少年はすぐにケンジから距離を取った。

「・・・・・・ッ!?」

 そこで、ケンジはようやく気付いた。

 生き残っているのが、

 

 ---ケンジただ一人しか、いないということに・・・・。

 

 他の生徒は全員、『背中が地面についている』のだ。つまり、リタイア。失格だ。

「・・・・・・マジかよ」

 本来ならわざとリタイアして、キンジを助けに行っていたところだ。

 今でも、遅くないか?

(・・・・いや、『無理』だろうな・・・・)

 なぜなら、この『実弾サバゲー』に就いている教務科《マスターズ》がいるから。

 大人数の時は、わざとリタイアしてもバレないだろうが・・・・

 ---今は『二人』(精霊は数にいれない)だけだ。

 わざとリタイアすれば、さすがにバレるだろうな。

 つまり、この状況は・・・・

 -----『戦わなければならない』のだ。

 ケンジは、神楽《しんら》を構える。

「東京武偵高、二年。探偵科《インケスタ》のDランク武偵。・・・・神楽ケンジ」

 まるで『決闘』のようにケンジは、名乗りを上げる。

「---カゼハヤ・カミト」

 空気を呼んでくれたのか、少年・・・・カミトも名乗りを上げた。

 

「さーて、神楽を始めるか!」

 

「優雅な剣舞を舞ってやるよ!」

 

 ---そして、ケンジとカミトは激突した。

 

 

 

 

    Go for the next!!!

 

 

 

 

 

 




どうでしたか?
やっと『カミト達』が登場しました。
次回は、ケンジとカミトの戦いが主になります。
感想など書いてくれると嬉しいです。
では、次話の『精霊使い』でお会いしましょう!(ちょっと作家さん風に・・・・)
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