艦こレスキュー   作:レスキュー

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石黒隊長がでます
後、SCPのあれでます
石黒隊長の口調については、部外者(子供以外)に大体敬語だったよなぁ、て事で明らかに年下の長門にも敬語になってます
後一応着装についてはファイアー方式でフォースの人達も現場着装可能になってます。



第4話 針の刺す向きは レスキューフォースとの出会い

自分は、何者なんだろう?

戦艦長門は自問する。

今となっては、陰惨な兵器の貴重な生き証人だ。

あの日。

只兵器を使いたいという人間の欲求だけで、彼女は核の炎に包まれた。

羅針盤はあらぬ方向を滅茶苦茶に指し、ありとあらゆる命を放射能が蹂躙した。

その後の記憶は曖昧だった。

誰かに呼び起こされた気もするし、自然に目覚めた気もする。

時間の感覚はなかった。

長い年月が経った。

その事を口頭で聞いただけだ。

次に目覚めた時、彼女は鎮守府に運び込まれていた。

目が覚めて周りを見渡して。

新しくなった鎮守府を見て、彼女は人類が戦い続けている事を悟った。

その後、艦娘となって戦う事になった。

自分で選んだわけではない。

只、その道しか知らなかったからだ。

その後は、深海棲艦との戦いが始まった。

世界初の戦艦娘の一撃は、多くの敵を薙ぎ倒し、それ以上の多くの命を救った。

救われた人々は彼女を英雄と崇めた。

彼女は現代の人々を戦争へと送り出した者達と重ねた。

英雄ならば、どうして。

こんな思いをするならば、兵器のままで良かったとすらおもった。

その時から、自問する事が多くなった。

自分は、英雄なんだろうか。

自分は、何者なんだろう。

艦娘とは、何だ。

針は、光の中で迷い続けた。

 

 

 

 

そして、現在。

広い海の中心で、長門はボートの上に立っていた。

肌を叩く潮風が不快なのか、目は閉じられている。

 

「どうかしましたか?」

 

その姿を不審に思ったのか、操縦桿を握る男が声をかけた。

長門は振り返って、男の顔を見ながら。

 

「いいや、何でもない。貴方は貴方の任を遂行してくれ、石黒殿」

「そうですか、了解しました。では、何かあったらいつでも言ってください」

 

石黒、と呼ばれた男に素っ気なく返すと、再び長門は目を閉じた。

何度となく、繰り返されたやりとりである。

この石黒という男は、長門に頻りに気をつかう素振りを見せた。

おそらくすみれから、自分の過去でも聞いているのかも知れない。

ご苦労な事だ。

そう、長門は思う。

自分は、兵器だ。

命令であれば、何でも殺すし、誰でも救おう。

何でもするし、何処へでも行こう。

例えそれが、ビキニ環礁--自身の沈んだ地--での行方不明者の捜索、救出任務だとしても。

只、戦闘のエキスパートとして自分が呼ばれ。

救出のエキスパートとして彼が呼ばれた。

それだけの話だ。

 

「そろそろです」

「む……そうか」

 

やがて見知った景色を前に、ボートはその動きを停止した。

やはり、そう、やはり。

長門の心に、衝撃は無かった。

その景色が、あの日と変化は無かったからだ。

命が排斥され続けたせいで、その光景を、壊す者は誰も居ない。

人間の傲慢と、欲望の結果がこの光景だ。

分かりきっていた事だ。

だから、何も思わない。

人間に、期待などしていないのだから。

 

「何か、……気付いた事などは無いでしょうか。その、違和感などは」

 

歯切れ悪く、石黒が長門に問いかける。

自分が選ばれた理由が、おそらくそれだ。

何か感じる物があるだろう。

その希望的観測を、すみれは信じていた。

しかし、石黒はそんな考えは好かないのだろう。

あからさまに、長門を傷付けないよう言葉を選んでいた。

 

「いいや、無いな」

 

しかし、自分には必要無い。

長門はそう、態度で示していた。

 

「そうですか……失礼」

 

そう言い、石黒は胸ポケットから二画面型のモニターを取り出した。

あれが、レスキューフォースの通信用ツールなのだろう。

黙って、成り行きを見守った。

何度かボタンを押し、起動を示す甲高い音が海に響く。

石黒が操作を終えると、彼の顔には驚愕が浮かんでいた。

 

「どうかしたか、石黒殿」

「三時の方向に要救助者、5名! だがこの反応は……海底!?」

「何!?」

 

言い終わるのが早いか。

そのタイミングで、二人が乗るボートは大きく揺らいだ。

揺らぎに合わせてその体を傾け、二人は海に投げ出された。

原因はいうまでも無い。

何か大きな物が急浮上した事による、大津波のせいだ。

投げ出される前に艤装を展開して海上に立つと、長門は石黒の状態を確認した。

 

「………はぁ! 長門さん、怪我はありませんか?」

 

やはりプロなのだろう。

一瞬の判断で海に投げ出される前に、自らが飛び込み、いち早く態勢を立て直していた。

返事をしようとする、長門の目に飛び込んだのは。

浮上した何かに乗っていた黒い潜水服を着た人型が、石黒の足を掴んで海中に溺れさせる光景だった。

敵に対応するべきか、石黒を助けるべきか。

その一瞬の判断で、襲撃者に目を向けてしまった。

そして、それを目にしてしまった。

 

「………え?」

 

馬鹿な。

そう否定しても、何も変わらなかった。

嘘だと思いたかった。

現実だと認めたくなかった。

この''見慣れ過ぎた”姿を。

 

「そん、な……」

 

罅割れた船体を、黒い生物が覆い、所々の千切れた部分を生物が丸ごとカバーしている。

砲門に当たる部分にはフジツボがビッシリと張り付き、それ以外の部分は錆びで変色している。

艦橋は半ばでへし折れ、黒の生物が強引に繋ぎ止めており、斜めになっている。

それでも、見間違う筈がなかった。

六十年の歳月を経ても。

どんな、扱いを受けたとしても。

その姿は、この相手は

 

「……私、なのか?」

 

その横では、石黒が生物と格闘を繰り広げている。

必死に浮上した彼は、恐らく逃げろと言ったのだろう。

口から吐き出された泡が、海上に浮かんだ。

そして薄れ行く意識の中。

それが、石黒が聞いた最後の言葉だった。

 

 

 

 

 

「………う」

 

目を覚ました石黒の目に飛び込んだのは。

何処か見慣れない錆びの走った天井だった。

ヌルヌルする錆びの走ったベットにカビの生えたシーツが申し訳程度にかけられている。

其処が自分の寝ている場所の様だった。

上体を起こし、周囲を見回して、状況を確認する。

 

「長門さん!」

 

すると彼の目に直ぐに、その姿は映った。

最低限の居住スペースしか無い狭い部屋の入り口に、長門は俯いて佇んでいた。

その近くまで駆け寄ると、石黒は声をかけた。

 

「無事だったんですか、良かった。幾つか聞きたい事があるんですが……長門さん?」

 

近付いた石黒にも反応を示さず。

長門は、俯いたまま動こうとしなかった。

その様子を不審に思ったのか、石黒が顔を覗き込む。

 

「あの後、何が…あったんですか?」

「……」

 

何も、答えない。

やがて沈黙に耐え兼ねたのか、石黒が再び口を開いた。

 

「その、私なのか、とは、一体どういうことでしょうか?」

「聞いていたのか」

 

漸く、長門が口を開いた。

 

「ええ、意識を失う前に、微かにですが。」

「聞いた通りだ」

「この化け物は、人を傷つけているのは、私だったんだ。だからか、この部屋にも、難なく辿りつけたよ。当然だ。何せ私なのだからな」

「そう、だったんですか……」

「これで、任務完了だ」

「完了?」

 

自嘲気味に、長門が答えた。

 

「私を、殺せ、そうすれば、先程の化け物も、人間に戻る筈だ。」

 

そして、船もまた。

そう締め括ると、諦めたように目を閉じ、動かなくなった。

光の中で、迷っていると信じてきた。

誇り高い大和魂は、自分の中にあるのだと思っていた。

それでも、結果は全てを語っていた。

自分は、人への恨みを忘れられてはいないのだ。

だから、もう嫌だった。

堕落した人類を見る事も。

醜い自分を見る事も。

こんな事なら、海底に帰る方がましだった。

 

「……要救助者、''6”名」

 

石黒が、行動を起こす事は無かった。

言われた言葉を反芻し、長門は気付く。

 

「これより、救出します」

「ふざけるな!」

 

石黒の胸を掴み、目を合わせる。

 

「同情など、必要無い! 同情するならば、私を沈めろ! 私は、もう疲れたんだ! 記憶の彼方にあるあの光景を見る事に! 巨大な光の中で迷う事に!」

「それでも、貴方は要救助者だ。苦しんでいる者は、例え誰であっても必ず助け出す。それが、レスキューフォースです」

 

長門を殺せば、手っ取り早く、救助が出来るかも知れない。

それでも、レスキューフォースはその結果を認めない。

セイブザスマイル。

セイブザライフ。

その2つは石黒にとって変わらない。

長門をレスキューし、五人をレスキューする。

難しくとも、やってみせる。

 

「此処で、私を救ってどうする! また、新しい兵器を持った敵への戦いに赴かせるのか? お断りだ! いつまで続くんだ、こんな地獄が」

「確かに、敵が無限に現れるのなら、我々はそれに対抗する為の兵器を作るしかない。そして、それに頼り続けるしか」

 

それは、正論だ。

戦争を経験した者の、経験からなる論理。

 

「だが! それでは! まるで、血を吐きながら続ける悲しいマラソンではないか! 永遠に終わりの来ない! その武器が! あの光が!私や、この化け物を生み出したんだぞ!」

「ああ、分かっている。それでも我々は諦めるわけにはいかない」

 

それでも、石黒は否定する。

命を見ないあらゆる論理を。

自分を救助しようとしない、その姿勢を。

 

「人間の心には、光と闇がある。

私はその事を、ネオテーラという組織との戦いで知った。戦争と兵器が生み出した闇がこの戦艦や深海棲艦ならば、光は、恐らく君達艦娘だ」

「私達が?……光? 馬鹿な……」

「人間によって破壊された戦艦長門は、超水害を引き起こし、多くの人間を傷つけている。それは事実だ。だが、その中にも微かな光が、人の心が残っていた。それが」

「私、だと?……」

「少なくとも、私は君に命を救われた。そして君の様に誰かを救いたいという願い。それが一つでもある限り、艦娘も人間も、いや、全ての命は絶対に滅びはしない。私は、そう信じている」

「! だが、それは………只の理想論、ではないか」

 

理想かも知れない。

だが、たからこそ。

 

「そうだ、たが、だからこそ。我々現代に生きる人間はその理想を追う義務がある。

君達艦娘が、その乗組員が繋いだ命を、次の時代に繋げる為に」

「………!」

「レスキューフォースは、その為に存在している。

SAVE THE LIFE……その信念を以って、救う命に制限を設けない。それが我々のやり方だ。それに……」

 

かつて聞いた言葉を思い出し、レスキューバッジを見る。

そして長門の両腕を解くと、回り込んで長門の肩に手を回した。

艦娘というのは、想いで戦っている面が強い。

故に、追い詰められれば歩く事すら困難になる事もある。

石黒はその事を聞いているのだろう。

今度は長門の腕を自分の肩に回し、体重を預けさせた。

 

「そのマラソンは、一人で走る必要は無い。誰かが助けを求めるなら、誰かが手を伸ばす。そして、こうして肩を貸す事だって出来る。その想いこそが……」

「戦争に、兵器に打ち克つ唯一の光……?」

 

肩を回され、されるがままになると。

やがて石黒に体重を預けるのをやめ、二人三脚で歩き始めた。

扉を開け、廊下に出る。

 

「こっちだ」

 

そして、道案内を買って出ていた。

それは、自然に口からついて出た言葉だった。

あんな、言葉で。

あんな、態度で。

絆された訳では無い、人間を、信じた訳でも無い。

それでも。

光に向かって歩く事で、何かが変わるかも知れない。

この男について行く事で、何かが、あるかも知れない。

その思いが、長門を動かしていた。

 

 

針は、指すべき方向を、定め始めた。




石黒隊長も長門さんも(原作は)結構親しみ易いよね
後このSCPもどきは元ネタと違って色んな兵器のキメラじゃなくて長門の怨念とかそんなんになってます

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