奴隷と少女   作:煉音

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積極性と自信が取り柄

 部屋を出た。そう言ったんだけどね。残念だがそれは嘘だ。なぜなら……。

 

「……行かないで……」

 

 ギュッとお腹を締め付けられ、お嬢様のベッドに引きずりこまれてました。引きずりこまれたって言うよりは、後にしようと振り返った瞬間に後ろから抱き着かれてそのままベッドに倒れこんでしまっただけだけどね。

 

「……お嬢様?」

 

 正直なんで自分がこんな冷静でいられるかわからなかった。心臓がドクドクと大きく脈打つ音が体全体に響き渡り、さっきまで冷たいとさえ感じていた空気が今は冷気のごとく冷たく感じる程度になっている。しかも、よくよく考えなおせば半分お嬢様にのしかかった状態だった。

 

「!?し、失礼しました!」

 

 と言いつつ体制を整えようとしたんだけどね。

 

「……」

 

 ギュッとお嬢様の腕がさらに私のウエストを縮めるせいで断念された。それ以上絞められたら内臓が上に行っちゃう><

 

「おじょう……さま?……大丈夫ですよ。私はどこにも行きませんから」

 

 そうどうにかお嬢様に向けて言った。言い終わる同時に、お嬢様の腕の力が緩んでかわりにクイッと後ろに引かれお嬢様と場所が入れ替えられる。

 

「ぉっと……」ポスッ

 

 すると、お腹当たりに圧迫感を感じた。まぁ想像通り、お嬢様に馬乗りにされてます。なんでこうなった。

 

「はぁ……病人になんてことしてくれるのよ……」

 

 熱が戻ったせいか息苦しそうにしながらそう言ってくれた。ただでさえお嬢様といるだけでポカポカしてるのに、こんな密着されるともうやばい。たぶん服脱いだら汗まみれだと思う。

 

「す、すみません……はい」

 

 スッとお嬢様のお手が私の頬を撫で、ピトッと触れてきた。無意識にそのお手に自分から頬を擦らせてしまい。その自分の無意識を殴った。

 

「プッ……あの時のあなたならわからないけど、こんなに素直だったんだ」

 

 ジッと瞳を見つめられ、またブワッと顔が熱くなる。ズイッと急に顔が寄せられ、ビクッと体が震えた。

 

「!?ぁ……ぉ、お、おおおおお、おおおお嬢様!?いったいn……」

「私のこと好きでしょ?」

 

 ニコッとお嬢様の表情が変わり、逃がさないとばかりに顔を掴まれる。かつ言う私もお嬢様の肩と腰に手を置いてしまっているのだが。

 

「ぁ……ぃゃ……えっと……」

 

 たぶん今の私は耳まで真っ赤だと思う。言葉を濁そうと必死に頑張って言い訳みたいなことを言おうとしている。yesかnoの質問だというのに大丈夫か私は。

 そうこうして時間を立ててしまったときだった。スッとお嬢様が私の耳元に口を寄せて言われてしまった。

 

「私は好きだよ。ううん、大好き」

 

 そのとき脳に響いた言葉は私の正常な思考を奪ったのだとわかった。ドキッとしてしまったのもわかった。あまり自信がなかったからだ。まさかこんな風にお嬢様に告白されるとは思ってもみなかった。

 スッとまたお嬢様が体を起こして私の視線に戻ってきた。それもさっきより顔が近い。

 

「……ぇ?ぁ、私も……好き……です……」

 

 ボソボソと小さな声でそう返すのがやっとだった。少し目をそらそうとしてもお嬢様は一回一回目を合わして私の恥ずかしさをあおる。ニコッとした顔が気づけばニヤニヤ……う~んニンマリと言った方がいいのかな。可愛らしい笑顔だ。

 

「もう一回!もう一回言って!」

 

 私の言葉を聞いたのに……意地悪されている気分だ。だけど嫌じゃない。むしろお嬢様に告白されたことが本当に本当に嬉しい。死にそうだ。いや死んでいるのかもしれない。

 

「……好きです」

 

 またもやボソボソと確かにそういった。だけどそれでもお嬢様のニヤニヤは止まらない。

 

「もう一回」

「あー!もう!大好きです!心の底から愛してます!!!これでいいですか!?」

 

 もうヤケクソとばかりにお嬢様にそういって軽く叫ぶと、お嬢様のニヤニヤは一瞬のうちにパァァァと笑顔に変わった。やばい、鼻血だしてないかな。

 いつもの金色の瞳が甘えた狼に見えた。普段は強暴で狩りをするのにも会ったら逃げろと言われるほどの狼が、人に懐いたときとのギャップだ。たぶんちょっとわかると思う。うん。

 そうこうしているうちにお嬢様にギュッと肩を抱かれた。お嬢様にギューッと締め付けられ、体がゼロ距離なのに一心同体になるーってくらいに密着した。

 凹凸の少ないお嬢様の体は密着すると、顔にかかってくるお嬢様の銀色の髪や首元から甘く優しい匂いが鼻をついた。私もお嬢様の体に手を回して抱きしめた。ブワッと広がる心の中の独占欲が私の欲求を満たす。嬉しいし満腹だ。

 

ー数分後

 

 気づけばお嬢様は寝息を立てていた。ゆっくりお嬢様を抱きかかえ、布団に寝かせた。幸せそうなお嬢様の顔が愛おしくてずっとこうしていたいたなとさえ思った。

 

「お嬢様……失礼します」

 

 そう言ってお嬢様の頬に口づけをしてしまった。顔が一瞬で上気して満足感があふれた。布団をかけ、窓を閉めた。お嬢様の髪を横によけ、おでこに布を乗せて、一度頭をなぜて部屋を後にしたのだった。

 

「お嬢様、お休みなさい」

 

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