「すでにメイド長からお聞きになったと思いますが、このお屋敷に仕えているメイドや使用人の大部分は元奴隷や戦火の難民です。お嬢様のお厚い心で今を生きています」
なんか宗教じみた教え方をされているけどこれが基礎らしい。たぶんこの館で住むことの基礎だろう。まぁ、間違ってないし私としてもとても良い心構えだと思う。
「メイドとしてしっかり身の回りは綺麗にし、常にお嬢様を思うことを忘れなければ十分に良いメイドです。いいですか?このお屋敷に仕えるにあたって決してお嬢様をお忘れになってはいけませんよ」
目の前の変わった帽子を被っているメイドはそう言って軽く黒板を叩いた。熱心に上手な講義をしてくれてとてもわかりやすい。
「あなたは基本的な接待業と奉公業をある程度熟知しているようなのでここは省きますね」
まぁ、私はここに来る前いろんなところで働いたからね。飲食店にホテルとか接客が基本だったので、おのずと社会的な人との接し方を覚えたのだ。さて、次は気になるこの館の資金繰りとかについてだ。
「さて次は、あなたがとても興味のあるらしい分野ですね。メイド長から聞いてますよ?経済的な方に頭が回る娘だと」
なんという伝え方だ。誰が娘だ。一応これでも独り立ちする程度には十分な年頃なのだが。
「そんな怖い顔しないでください。ただの冗談です」
メイド教師は笑ってそういった。早く教えてほしい。
「このお屋敷は基本的にメイドや使用人が様々な分野で稼ぎをします。行商業に金銀の売買業、投資業、配下にしているサービス業、最近発足したばかりの錬金術業などあります。まだまだ細かいものもありますが、これくらいにしておきましょう」
待て待て、錬金術業ってなんだ。てゆうか錬金術?あのただの鉄とかを金に変えるっていうやつか?面白いものもあるんだな。
「あ、その前にこの屋敷の階級みたいなのを教えます。基本的には仕える人たち全員は同じ地位ですが一応建前なのでお気になさらず。稼ぎに出る者が中流で、基本的な屋敷の家事をこなす人達は下流、そしてそれらの統括者らは全て上流になります。専属メイドはお嬢様に直接お仕えするという点において上流になります。メイド長は様々な分野において大変優秀な成績をおさめ、かつお嬢様が認定したもののみがなれます。現在、友美さん一人しかいません。」
メイド長は超人でしたかすごいですね。とゆか私まだ今日来たばかりなのにさっそく上流階級って……やばいな緊張する。
「このへんまでは理解できたかな?」
「はい」
「よし、次はメイドの仕事について教えていきますね」
ー3時間後
「通常のメイドとしてはこれくらいですね」
「は、はぁ……」
かなり疲れた。基本的な家事全般や屋敷での在り方などなど、疲れるくらいにたくさんの業務と仕事を教えられた。戦闘についても教えられたけど、それはまた後で……。
「では次に専属メイドについて教えますね」
てゆうかさっきから書物も見ずにこれら全てを教えてくれている彼女のほうが超人な気がする。何者ですかこの人。あ、紹介してなかったですね。さっきから私を指導・教育してくれているメイド教師さんはユフィという名前のメイドです。綺麗な褐色の肌に黒いショートカットのスリムな女性だ。可愛いより格好いい顔つきで黒い瞳、そばにいれば結構頼りになる印象がある。
「メイド長に代わってもう一度説明しますが、専属メイドはこの屋敷一番お嬢様に近い位置でお世話をするメイドです。現在、専属メイドはあなた含め5人の専属メイドが仕えております。お嬢様のおはようからおはようまで護衛しお世話することが仕事です」
今しがた意味不明なことをいわれた気がしたのだが聞き間違いだろうか。仕方ない不満そうな顔でもしてやろう。
「冗談だってば、仕事はお嬢様の起床から次の朝の起床まで護衛しお世話することです」
あ、変わらないんだ。
「まぁ、5人もいるわけだから、一人以上がお嬢様についていればいいのです。みなさんでしっかり分担することが専属メイドの仕事になります」
お嬢様をしっかり分担して護衛・お世話するのか。頑張ろう。
「まぁ、それ以外の時間はその他の業務につくことが義務なので、業務については担当のメイドにお聞いてください。まぁ難しいものは少ないのでなんでもチャレンジしてくださいね。それでは、次は専属メイドの応用まで全て教えていきますので、覚悟してくださいね」
あ、やっぱりそうでしたか。そしてそのときに見た笑顔ほど何も思わなかったものはなかった。