勇者の行動記録   作:サトウトシオ

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<第11話>

<第11話>

ゾンビキラーに替えてドラゴンキラーを入手すべきか悩むが、興味はあるのでオークションを覗いてみることにした。オークション会場には腕に覚えのあるのかないのか…な戦士、財テクというか販売のためであろう商人、それ以外にも何の目的で買うのかわからない人、野次馬というかギャラリーというか外野というか…そんな人たちで賑わっていた。賑わっているといってもどうやら口の悪そうな占い師風の老婆が悪態をついて戦士を冷やかしているようだ、たしかに身の丈にあった武器を使わないと宝の持ち腐れという形になってしまうが、しかしやはりそれなりの武器となるとブランドイメージのようなものがあるんだろう、欲しくなる気持ちは分からないではない。

オークションは先ほどの商人、身なりからは貴族と思われる少女の対決だった。最終的に商人…オークション司会者の紹介によるとゴッポルというそうだが、そのゴッポルが18,000Gで落札した。カール王国でドラゴンたちを倒して得た資金があったのでオークションに介入しようかとも思ったが、冷静に考えれば今使っているゾンビキラーとそう大差あるものでもないので控えた。

そんなこんなでオークションは盛況のうちに幕を閉じたわけだが、突如街をヒドラ・10匹のドラゴンが襲撃。またも超竜軍団か?竜騎将バランがまた別の国を襲撃しているのか?と勘ぐった、バランであれば止めなければ。

デパートから駆け出すが、あたりにはバランの気配はない、ただ単に暴れるドラゴンやヒドラがいるだけだ。5匹のドラゴンをすべてイオラの接射で倒し終わったころ、先ほどの貴族の少女、それに連れられたであろう少年たちが戦闘のために飛び出てきた。魔法使いの少年は…バランと同じく空を飛んでいる、これもトベルーラなのかと今なら冷静に考えられる。もっともその飛行速度はバランほどでもない、そこまでの使い手ではないということか。なんにせよ、トベルーラは早期に習得しなければならないなとあらためて思い直す。

最悪、この程度のモンスターであれば自分で全て倒せばいいだろう、そこでこの少年たちのお手並み拝見とすることにした。特にこの魔法使いの少年、竜騎将バランほどではないにしろトベルーラを使うわけでその点においては間違いなく自分よりも優れた能力を持っていると言える。何か他にも隠し玉があるかもしれないしな。

魔法使いの少年はそのまま5匹のドラゴンを引き連れて逃げる。そこで空を飛びドラゴンの炎を回避しながら呪文の詠唱を始める。さぁ何を繰り出すか、魔法使いだから自身にバイキルトとスカラをかけて肉弾戦…は冗談にしても、まず間違いなく攻撃呪文だとは思うが、ドラゴンに通用するレベルのヒャド系呪文を、この少年は使いこなせるのだろうか?

少年から放たれた呪文は見たことも聞いたこともないものだった、体感として非常に周囲が重くなっている、強力な力で押さえつけられているようなイメージだろうか?これもこの世界独自の呪文なのだろう、もうトベルーラのときほどは驚かないが、やはり理解の範疇を超えるものではある。ともかくその強力な力の場によってドラゴンたちにはプレッシャーがかけられつぶされてすべてお陀仏、であればよかったが2匹ほど生き残ってしまったようだ。そして魔法使いの少年は魔法力切れ、墜落。トベルーラを維持できなくなってしまったようだ。強力な呪文のようだが、魔法力の消費量がとんでもなく多いようだ、エキスパートであれば使いこなせる呪文なのだろう、少年には習得がまだ早すぎたのかもしれない。

ともかく少年は逃げまわるのも厳しそうなので助太刀、ドラゴンの口にゾンビキラーを刺し込み、口の中から撃破する。やはりゾンビキラーで鋼鉄レベルのウロコを持つドラゴンを直接斬りつけるのは気が引けるというものだ。


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