勇者の行動記録   作:サトウトシオ

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<第13話>

<第13話>

死神・キルバーンを撃退し、傷ついた街の人達の治療にあたる。すでにこの世界で何度も同じような場面に遭遇しているが、回復呪文が使えるとこういうときに重宝する。ドラゴンたちの襲撃により数名死者が出たが、運良く全員ザオラルで蘇生することができた。カール騎士団長ホルキンスのときとは比べられない蘇生率だ。この世界にはザオラルの使い手が非常に少ないらしく、教会の神父やオークションに参加していた貴族の少女なども回復呪文とザオラルの連発に驚いていた。

 

街の人達の治療を終え一段落ついたので、さきほどの少年少女、そして占い師らから詳しく話を聞いてみた。なんと少女はパプニカの王女・レオナ、そしてダイ少年はやはり竜騎将バランと同じく竜の騎士であることが判明。貴族の少女と思っていたが、当たらずといえども遠からずといったところか。話を聞くとパプニカ王国で魔王軍の不死騎団、そして以前にも聞いたことがあるバルジ島で魔軍司令ハドラーと氷炎魔団を打ち破り、ここベンガーナには武器を求めにやってきたそうだ。なんでも復興作業中のパプニカではろくな武器が手に入らず、ダイ少年が使っている鋼の剣もかなり損傷がひどいため、新たな武器の入手は大きな課題となっているようだ。なるほど、オークションでドラゴンキラーを手に入れようとしていたのも納得のいく話だ。王女がオークションに参加しても問題ないのか?王国の政務費用なのでは?そしてオークションでは落札できなかったのに、なぜダイ少年がドラゴンキラーを装備しているのかなど気になる点はあるが、戦闘中ゆえしかたがないことだったのかもしれない。ただすでに戦闘は終わっているので、商人ゴッポルに返却すべきではないかとも思う。

 

レオナ王女一行は占い師ナバラとともにテラン王国へ向かうという。テラン王国は竜の騎士の伝承が古くから伝わっており、ダイ少年の疑問を解決するためにも向かう必要があると判断したようだ。一行へ竜の騎士である超竜軍団長・竜騎将バランのことを伝え、今の王女レオナ一行の実力ではかなわないだろう旨を何度も念押しした。あわせてパプニカ王国で入手した、国宝と思われるナイフを王女レオナに手渡した。王女レオナは賢者の卵だそうだがさすがに丸腰ではというのもある。それに本来は王国のものであり、使いもしないのに自分が所持し続けるものでもないだろう。ましてやそこまで大した強度のなさそうなナイフだ、変に装備続けるよりも体術で戦うほうがまだマシというのもある。そんなことを考えながらナイフを返却した。

 

レオナ王女一行との出会いを経て次なる目的は定まった、ポップ少年を指導した大魔導師マトリフを訪ね、その知識を共有してもらう、あわよくば新しく呪文を習得するということだ。特にトベルーラの習得は喫緊の課題だ、習得を急がなければ今後の戦いに苦戦しかねない。レオナ王女一行の話によるとバルジ島近くの洞窟にひっそりと暮らしており、人間嫌いだが目的を伝えればなんとかなるのではないか?とのことだった。レオナ王女からパプニカ王国の軍用馬を一頭、借りる許可・書状をいただき、一行と別れルーラでパプニカへ飛ぶ。以前来たときと違い結構な人々が戻ってきており、復興活動の真っ最中というったところか。特に城下町に用はないため、その足でそのまま王城へと向かうことにする。


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