さてさて、向日葵村に滞在して早いもので、すでに1週間ほど経過している。
遺跡が現れる場所だと案内された神社の裏手には、依然遺跡なんぞ現れる気配もなく。いい加減このまま待ち続けるのもいかがなものかと思い始めている所。
ちなみに1週間の間、何をやっていたかというと、この辺の探索をしていた。
太陽の花畑に行ってきて、花畑の世話をしていたチェック柄の少女と一緒に、綺麗な景色を見ながらちょっとだけ季節外れな花見酒をしたり。
神社の裏手にある池にいた言葉を話空も飛べる不思議な亀さんと一緒に月を見ながら酒を飲んだり。
きのこがたくさん生えている森で出会って仲良くなった悪霊さんと意味もないことを喋りながら森の中を案内してもらったり、彼女の弟子と彼女が作ったというキノコ酒を頂いたり。
魔界から人間界旅行に来たという糸目の少女と仲良くなって、今度魔界に遊びに行くと約束を交わしたりと、それなりに充実した日々を送っていたけどね。
「遺跡は出ない、観光も終わった。どうしたもんかね~」
「なぁに、もうすぐ出ますよ御客人様」
「そうさね、きっと近いうちに出てくるさ」
「だといいんだがね」
私のボヤきを返してくれる亀さんと悪霊さん。
現在、神社の縁側で亀さんと悪霊さんと神社の神主様と満月を見ながらお月見宴会中です。
神主様に神社で酒を飲みたいから場所貸してとお願いしたら「私も混ぜてくれるなら構いませんよ、んふふ……」と許可をくれた。
ならばと、こちらで仲良くなった4人を一緒に呑もうと誘ってみた。で、来てくれたのが亀と悪霊さんの2人である。
ちなみにみんなが飲んでいる酒は、私の持っていたひょうたんからの提供と神主様が貯蔵していた麦酒を頂いている。それをものすごい勢いで飲み干していく1人とチビチビと飲み進める2人。亀さんはアルコールを分解する仙術を使っているらしいし、悪霊さんの方は曰く「霊体は酔いにくいのよ(うそ」らしいからまだ納得できるのだが。
神主様。なぜあなたは平気な顔して私の酒を次から次へと飲み干していくのですか?私より飲んでるとかちょっとドン引きなんですけど。
「しっかしまぁ、私の酒をそんなにドバドバ飲んで大丈夫なのかい?神主さんよ。この酒、相当度数が高いんだけど」
「んふふ、だってこんなに美味しいじゃないですか。まだまだ
「そ、そうかい」
体は大丈夫なのかと聞いたら、いい笑顔でまだまだいけますと帰って来た。種族的には唯一の人間だというのに、この中で一番の飲酒量。しかも私が場所使わせてと言いに行った時にはすでに彼の周りには麦酒の空樽が4個ほど転がっていたのだが。
「こりゃザルどころかワクだね。ここにゃ始めてきたけど、(うそ こんなに呑める奴がココの神主だとは知らなかったよ」
「私も長いこと神社の池に住んでいますが、ここまで飲める方だとは知りませんでした」
「別に隠していたわけではありませんよ。日頃から飲んでますし。今日もココに来る前に麦酒の樽を6個ほど空けてきましたしね」
「うひゃぁ、あたしがお願いしに行ってから更に2つ開けてたのか!?しかもあれから1時間ほどしか時間がなかったってのに」
「貴女の持ちだというお酒が呑めると聞いて、楽しみで楽しみで……つい、ね。んふふ」
「「「酒を呑むのが楽しみでその前に酒を飲むってなにさ(なんですか)」」」
すさまじいの一言である。
周辺に住んでいる酒飲みであることを知っている人々から、『酒の精霊』とか『酒妖怪』とかなんて呼ばれているだけはある。
「しっかし、このまま遺跡が出なかったらどうしようかねぇ……。魔界に遊びに行く約束した事だし、そっちに行こうかね」
「そういえば先程も言ってましたけど、貴女は
「調査して、出来れば出たままにするか、出ないようにするかしてこいって言われたのさ。村の人たちの反応見てきたけど、誰も彼も困ってなさそうだし、別に放置しててもいいんじゃないかって思えるけどね」
「むしろ困っているというよりは、面白がっているように見受けれられますが」
「あたしゃあんまり興味ないけど(うそ」
「ふーむ…………ンフフ、萃香さん。今日のお礼にこの神社の神様にお願いしてみましょうか」
「神様に頼む?どーいうことさ」
「いえ、ただ単に神頼みって奴です。一般人がやるより効果あるんですよ……ンフフ」
「うーん……そうだねぇ。ただ待ってるだけってのもアレだし、やってくれるってんならお願いしようかね」
「では明日の朝、此処に来てください」
そんな会話をして、この日はお開き。
神様に供えるお神酒として、酒樽1個分ほど神主様に渡してから、この村での宿泊先として使わせてもらっている寺子屋の先生の家へ。家主はどうやら、徹夜で歴史書の修正をするつもりの様であるので、声だけかけて先に眠らせてもう事にする。
神主様が神頼みをしてくれるというが、あまり期待はしていない。
最初に見せてもらった紙に書いてあった、開店時間とやらは10時となっていたのでテキトーに時間を見て現地に行くとしよう。
流石に神頼みでポロッと出てきたりはしないだろうと、高をくくっていた事を後悔することになるとはこの時の私は知る由もなかった。
翌日、午前10時半、神社裏手。
そこには、昨日は影も形もなかったはずのかなり大きな遺跡が、その場所にその存在を主張するかの如く建っていた。
「……ファ!?」
その3へ続く。続くったら続く。
次回投稿6月中を予定。
本編の方に掲載したら、こんなのいいから本編よこせオラーっと言われたので切り離しさせて頂きました。
なお、チラ裏の為、これ以降本編よりはっちゃけることになると思います。