ときめきメモリアル4 ~the original story ~   作:ユキヒコ

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第一話『入学式』

家を出て正宗と高校へ向かうため河川敷を歩いている

小学生の思い出より中学生時代の惨めな自分が先に出て

溜息を零すと、隣を歩く正宗がどうしたと心配してきたものだから

 

「いいや、中学でここでよく昼寝してたなって思ってさ」

「ふふ、色々な匂いとか草を持ち帰ってきましたよね でも

河川敷は皆の物ですから ごみはちゃんと捨てましょうね」

わーっとるわいと御節介を突っぱねる 正宗はこうやって

俺が悲しまないように気を遣いながら話題を振ってくる

そんな優しさが時々俺の心を抉る時があるのだ

 

「ほらほら!式に遅れちゃう!急いで!」

「ちょ…あんま引っ張んなって!おい!」

話題をある程度聞き終えた時に右から男女が慌ただしく走り去っていった

顔は見えなかったが同じ制服をしていることは確認出来た

 

まぁ俺としては誰が居ようともどうでも良かった

どうせ卒業すれば過ぎ去るような脆い友情ならいらない

中学生時代でそれを嫌というほど学ばせてもらったよ

 

と俺が心の中でそんなだっせぇ独り語りをしている内に学校らしき建物が見えてきた

間違いなくこれから三年間通う私立きらめき高等学校そのものだ

念のため正宗にあれで合ってるかと確認してみる

正宗「えぇ、少し前に改築が為され新しくなってますが

間違えなくきらめき高校ですよ!」

校門近くまで来て俺とは対象的に子供のようにはしゃいでる正宗

というのもコイツの右頬の痣がちらついて昔の事を思いだしてたからだ

 

「クラス分け発表はあっちみたいだぜ 早く行こう」

正宗「ああっ もう…待ってください!流」

そっけなく先へ行く俺をむくれて追いかける正宗

 

掲示板にはそれなりの人だかりが自分のクラスを確認し

体育館に向かってるようだ大々的により紙で配ってしまえばいいのに

と俺はツッコミを交えつつ 自分のクラスを確認する

「Bクラスか」

正宗「あ!私もです!ふふふ、どうやら私達の縁は

今回も断ち切れんものでしたな 今年もよろしくお願いしますぞ 流」

「やれやれ、今年は少しそれに期待してたんだけどなぁ まぁよろしく」

それを聞いても正宗はまたまたぁと余裕ぶったムカつく顔をしていた

でも口では強がっていても心の中では安堵していた

実際コイツに助けられたこともあるし、中学時代こいつが居なかったら…

などと恐ろしくなるほどの想像をしていたら

 

「えーーーーーーッ!?」

突然真ん中から聞き覚えのある声が喧しく聞こえ

俺は式へ向かう前にその面を確かめることにした

紫の髪で下に垂らすおさげが特徴の世話焼きしそうな女子

 

男子生徒「ど、どうしたんだよ 都子」

都子「貴方とは違うクラスになっちゃった…Bクラス」

男子生徒「あちゃー、まぁしょうがないって」

その隣には茶髪の男子と談話を繰り広げていた

こいつ等はさっき俺達の横へ走り抜けた男女達だと

分かった 話の内容クラスが違うから宿題をスムーズに移せないということ

 

正宗「きっと、二人は幼馴染ですね ふふ」

「だな…仲がよろしいことで」

何とも贅沢なお悩みに聞いた俺は肩を竦めていた

まぁそんな二人は置いて体育館へ向かうことにした

 

体育館に入ってまず受け付けの先輩の指示に従って

席へと移動する 正宗とは別になっちまったがまぁ気にしないことにした

周りを見渡せば知らない連中ばかり

 

「(まぁ当然か…中学の連中と避ける為に選んだんだからな)」

そんなぼやを呟いてると静粛にと大人の声が聞こえた

どうやら入学式が始まるようだ 

 

教師「これより第○×回、きらめき高校入学式を始めます

全員起立!」

教師の一声に全員が立ちあがり姿勢を正し、礼の掛け声の後に

頭を下げる まぁ基本的だな

 

座った後は校長の話等とかどうでも良い話は聞き流してしまっていた

正直あんなお経を聞いていたら眠くなっちまうのは俺だけじゃないはずだ

そうして終盤まで特に話すこともない時間が続く

 

「新入生の皆さん、初めまして 生徒会長を務める二年の皐月優です」

そんな呑気していた俺の耳を疑う声が聞こえ驚きを隠せず彼女を凝視する

あの人がこの高校に通っていたことは疎遠をしていたので知らなかった

俺はもっと学力のある高校へと入学すると思っていた

まぁそうだとしても俺には関係ない 初恋はもう過ぎたんだ

今の俺ではあの人がいる世界は遠すぎる そう感じさせるスピーチだった

 

先生の連絡事項を聞き終えると入学式が終わって

それぞれのクラスが順に出るまで待機という何とも退屈なことを済ませ

自分達のクラスへと着いた 席は自由で良いとのことなので

俺は後ろから二番目の窓際の席を選んだ 

正宗「むふふ、悪さしないように見張ってあげましょう♪」

「気色わりぃな ったく」

正宗が先読みして後ろの席を陣取りやがったのだ

そんな会話を聞かれけらけらと笑われてしまい 俺は溜息しか出なかった

とくだらないことをやっていたら 担任の教師が戻ってきた

 

号令を済ませて、改めて自分の担任の教師を見てみた

「えー…私が担任の……末寺山……周也です……今日から一年…よろしくお願いします」

全身を震わせて 白髪一色など名前以外は温和なお爺さんを醸し出している

しかし、自分達の教師がこれで良いのかとは思ってたりする

そんな末寺山先生は口を震わせながら

 

部活やバイト、恋愛に励んでいいけど学業に支障が出ないように

でも楽しい学校生活を送ってくださいと

教師らしい内容を話した自分の給料に悪影響を与えないようになんて事は

言わなさそうで安心する俺

 

そんな時ふと一番後ろの左から二番目の席がぽんと空いていた事に気づく

欠席をしたのかと考えたら前から配られたプリントが来たので

休んだ奴の事は一旦忘れ、後ろにプリントを渡しておいた

配り終えると明日からの流れを説明した後ホームルームは終わりとなった

 

放課後になったなら俺はすぐに帰りたいと思ったのだが

数人に声を掛けられ時間を取られちまっている

 

そこへあの都子という名前の女子がわざわざ俺らの方へ駆け寄ってくる

都子「私からも挨拶するわね 名前は大倉都子

これも何かの縁だし よろしくね 立花君、真田君」

正宗「大倉殿ですな!私は真田正宗でござる

 よろしゅうございます!」

都子「え…お、大倉殿?ござる…?」

「コイツの変な言葉遣いは気にしなくて良いぜ その内慣れる」

正宗「失敬な!今こそ使われてませんがその昔は皆使っていた

立派な礼儀ある言葉遣いでして…」

なんて正宗が無駄な説明をして苦笑いを浮かべる都子

 

眼鏡の女子「あ、こんにちは」

また突然聞き覚えのある声がこちらへと近づいてきた

眼鏡をかけた明るめの茶髪で明らかにきつくなりそうな目つきをし

片手には図書館で借りた本を持っていた

俺はすぐに誰なのかが分かり少したじろぐ

簡単に説明するとこの娘は俺が一年前までよく出入りしていた

喫茶店、その店長の娘さんなのだ

 

都子「えっと、語堂つぐみさんよね?」

語堂「うん、そうそう 大倉さん よろしくね

あ、常連さんのお二人もね 一年間悔いのないようにしましょ」

しっかりと顔を覚えられててさらに苦い顔になった俺は鞄を持って

語堂に軽く挨拶だけ言って教室から離れることにした

途中正宗が止めるがここに居る理由もないし

中学時代の事を思いだしてしまうので帰ることにした

 

でも明日から一緒に学校であうこともあるので

少しは社交的になっていこうと決めながら河川敷をゆっくりと歩いて行く

すると右の茂みにうっすらと人影が仰向けになっているのを

俺は見逃さなかった 恐らく同じ貉だなと思って

声を掛けることにした。

 

続く

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