Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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漫画も小説も見ず読まず、YouTubeに上がっている切り取られたアニメの一部だけを見ている作者です。(Z/Xは抜いて)
なので語学力、語彙力の無い小説となっております。
初めてで分からない事だらけですが、頑張らせて頂きます。
尚、キャラの勝手な恋愛模様は見逃して貰えれると有り難いです。

原作[Z/X]を知らない方は少し分からない事があるかもしれませんが、遠慮無く聞いて頂いて構いません。
感想等を書いて貰えると、作者としては大喜びです。
(書いて貰える程の作品かどうかは、至極怪しいですが)
作者の文章構成能力は底辺に等しいですが、それでも楽しく読んで頂ければ幸いです。
読者様が面白いと思える作品に仕上げたいと思っておりますので、ゆっくり付き合って頂けると嬉しいです。

※お気に入り登録して下さる方はどうか『作者はマイペースで更新もちまちま』という事を了承の上でして頂けると有り難いです。
暇潰し程度に見て頂けると丁度良いかと(*´꒳`*)


プロローグ

「…」

 

 燦燦と窓から射す朝日に照らされながら、彼は無言で意識を起こす。

ㅤダブルのサイズはあろうベッドの真ん中、ゆっくりと一人体を起き上がらせる。

ㅤ彼はそのまま、朝日に包まれながら惚けていた。

 

ㅤ少し時間が経つと上半身を起こしたまま頭をカクンカクンと上下に揺らし始める。

ㅤ目は瞑った状態で二度寝をする勢いだ。

ㅤこれでは駄目だと思った彼は、先ず掛け布団から体を出す。

ㅤ暖かい場所に居れば二度寝は免れない。

ㅤならば逸そ体の熱を冷ましてしまえば良いと彼は考えた。

 

ㅤだが、どうしても眠気が覚めない。

ㅤ例え体に影響が来ようが、頭が起きなければ変わりは無い。

ㅤそれを察した彼は朝のシャワーを浴びにベッドから足を下ろし、風呂場へ向かう。

…その前に一度、ベッドの側にある時計を確かめる。

 

5:30

 

ㅤ時計の針は二つの数字を指していた。

ㅤ何時もより少し早いなと思いつつも、彼は再度風呂場へ足を運ぶ。

 

 

 

 

---

 

 

 

 

ㅤ中々に広い大浴場。

ㅤ其処で一人、彼はシャワーを浴びていた。

 

ㅤ寝ている間に付いてしまった物理的な汚れ、加えて昨日(さくじつ)のストレスという精神的な汚れ。

ㅤその二つの汚れを軽く流してから、浴場へと体を浸からせる。

 

「…ふぅ」

 

ㅤ湯の温度は43℃程。

ㅤ彼の一番最適とする温度だ。

ㅤその心地よさに又もや目を瞑る。

ㅤ因みに体にはタオルを巻いたまま。

ㅤ浴場ではタオルを巻いた状態で入浴してはいけないと言われているが、彼は例外だ。

ㅤ理由1、彼以外に誰も居ない。

ㅤ理由2、抑この大浴場は彼自身の私物。

 

ㅤという訳だ。

 

ㅤ彼は浴場に浸かりながら昨日の出来事を思い返す。

ㅤそう、何故ストレスが溜まってしまったのか。

ㅤ天井を見上げながら大理石で作られた浴場に背中を寄り掛からせる。

 

ㅤ時間は例の昨日に遡る。

 

 昨日は彼の親友と久々にゲームセンターに行き、百円入れて、負けて、百円入れて、負けてという酷な感覚を体験していた。

 じゃあ止めれば良い。

 どうして続けていたのか。

 彼は負けず嫌いな性格だ。

ㅤそれに、後一押しで勝てるという微妙なラインまで来てしまうのが百円を入れてしまう元凶でもあった。

 

ㅤ圧倒的ズタボロに負けてしまえば諦めもするが、惜しい手前までいい勝負をしてしまうと。

 

(次は勝てる、きっと)

 

ㅤ等と思い込んでしまい、負けず嫌いが相俟って彼は後に引き下がれなかった。

ㅤ親友の男もそれに乗ってしまい、勢い付いては空回りの繰り返し。

ㅤストレスの溜まる一方だ。

 彼自身、自業自得と言われれば否定はしないだろう。

 

ㅤだが、彼はその位でストレスが頂点に達したりはしない。

ㅤ中学三年間を無駄にしてまでゲームセンターに通い続ければ、負け続ける日があるのは当たり前だ。

ㅤそんな中で起こった、更なる不運に苛々が溜まってしまったのだ。

 

ㅤゲームセンター等で大声を出す、筐体を叩く等の行為を平然とするマナーの悪い人種。

ㅤ偶然にも、昨日はそれが隣の台に来てしまった。

ㅤ彼は其奴等の五月蝿い声を横に流しながら、眼中に無いかの如く筐体との睨めっこに集中する。

ㅤ彼の親友も愚痴りながらゲームに集中。

ㅤ二人共無視を貫いた。

 

ㅤそのまま何事も無ければストレス等溜まりはしない。

ㅤじゃあ何があったのか。

 

ㅤ例のマナー悪い勢が案の定筐体を叩く。

ㅤ単純に、自分の思った通りにならないからだ。

 

(大人げ無い…)

 

ㅤ彼は心で呆れていた。ㅤㅤㅤㅤㅤ

ㅤ確かに、自分の不満を物にぶつけるのは大人げ無い。

ㅤ加えて情けない。

 

ㅤ彼は幾度と無く見てきた光景を尻目に、ゲームを終えた。

ㅤもう此処に用は無い、時間もそろそろ21時になってしまう。

ㅤ親友と一緒に帰ろうとした、その時だった。

 

ㅤその隣でゲームをしていたマナー悪い勢が筐体を思いっきり叩いた所為で、筐体の一部が破損。

ㅤ刻んで言えば、台のカバーが外れ、二度と戻らなくなってしまった。

 

ㅤ彼は筐体叩き等の行為は見た事あるものの、筐体其の物を壊す行為はあまり目にした事が無かった。

ㅤそれは彼の親友も同じ。

ㅤ二人共その絵面に釘付けにされた。

 

ㅤそれを見た店員は直ぐに警察を呼び、器物損壊罪に当たる行為として逮捕。

 ここまでくれば結末も分かっていた。

ㅤ彼と彼の親友は席を立ち、その場から立ち去ろうとした時。

 

「…止めておこう」

 

ㅤ一番問題の次を思い出そうとするが、また苛々としてきそうになった彼は思考を停止させた。

ㅤ浴場のお湯に浸かって濡れた自身の手を顔全体に当て、嫌な事を忘れようとする。

ㅤ頭の中がスッキリすれば、自然に目も覚めるだろう。

ㅤそう思った彼は両手を顔に当てたまま、指と指の間に隙間を作る。

ㅤそして再度天井を見上げる。

 

ㅤ無論、景色が変わる事等無い。

ㅤ彼は唯、そうしたかっただけなのだから。

 

(…シャワーを浴びるだけにしたかったけど…休日位はゆっくりするか)

 

ㅤ入浴して二十分程が経った後、彼は浴場から上がり脱衣所で着替えを済ませていた。

ㅤ因みに浴場も彼の物であれば脱衣所もこの男の物。

ㅤこの家にある物全てが彼の所有物なのだ。

ㅤそう、此処に住んでいるのは彼一人だ。

 

ㅤ彼の両親は不慮の事故で1年程前に亡くなっている。

ㅤ祖母や祖父などはおらず、兄や弟、姉や妹もいない。

ㅤ彼は一人っ子なのだ。

ㅤだが、両親が他界してしまった。

ㅤ御蔭で彼は一人。

ㅤ外見は丸で城の様なこの家に一人、残されたのだ。

ㅤ尚、近所に家を建てている者は居ない。

ㅤ彼の両親がそれを嫌がっていたからだ。

 

(さて…今日は何をして過ごそうか)

 

ㅤ一人が故にする事が無い。

ㅤまだ15歳の彼は働いてもない。

ㅤいや、厳密に言えばバイト等は出来る。

ㅤだが、この家には一生を優雅に遊んで暮らせる位には金銭が貯蓄ささっている。

ㅤ寧ろ働く理由がないのだ。

 

(またゲーセンに行くか…)

 

ㅤ家に居てはする事が見当たらない、外出先で使えるお金は沢山ある。

ㅤ彼は既にゲームセンターに行くという考えしか無かった。

 

ㅤ然しながら6時を少し過ぎた位しかまだ時間は経っていない。

ㅤ早朝行動には慣れている彼だが、本人はそれを良しとしない。

ㅤ理由はしっかりあるのだが、単純にあまり好きだとは言えないだけと説明しておこう。

 

(何してこの暇な時間を乗り越えるか…)

 

ㅤ彼は脱衣所の鏡と睨めっこしながら、ドライヤーで髪を乾かしていた。

ㅤ何故その必要があるのか。

ㅤ理由は一つしかない。

ㅤ彼の髪の毛が長く、乾き難いからだ。

ㅤじゃあどうしてそうなったのか。

 

ㅤ髪の毛を切りに行くのが面倒だと言い続けていた所為で、伸びに伸びてしまい。

ㅤ最終的には今現在、背中の腰辺りにまで伸びてしまった。

 

ㅤこれを乾かすのは中々に難関だが、彼は手慣れた手付きでドライヤーから出る温風を髪の毛に当てていく。

 

ㅤ彼此、この長い髪の毛とは半年以上の付き合いがあるのだ。

ㅤ嫌でも手慣れてしまうのが当たり前だろう。

ㅤ十分程して髪の毛が完全に乾ききったのを確認すると、予め腕に付けていた黒い髪ゴムを手に持って行き。

ㅤ両手で自身の髪の毛を、後頭部の丁度真ん中辺りに集める。

ㅤ後ろ髪全部ではなく、どちらかと言えば両脇、耳の後ろ辺りの髪の毛を集め。

ㅤ其処から一瞬で髪の毛を束ねる。

 

ㅤ見た目はポニーテール。

ㅤ顔の両脇に少しの髪を態と垂らし、束ねた下の髪の毛は触らずそのまま放置。

 

(………)

 

ㅤ彼は鏡を見つめる。

ㅤ少しばかり大きい瞳に、整った輪郭。

ㅤ生まれつきの茶髪は先程結び、痩せ気味なスタイル。

ㅤ彼の友人達は口を揃えて言う。

 

『お前さ、モデルでもやれば?』

 

ㅤ身長172㎝、体重45kgの彼がそう言われるのも無理はない。

ㅤ更に足は長いわ、ルックスも良いわで、彼の友人達はモデルを勧める。

ㅤそれなら良い。

ㅤ問題は、その友人達が放った余計な一言だ。

 

『女の方な』

『あ?いや、なれないから』

 

ㅤ彼はその場で、あ?とムカついた口調で話した。

ㅤそれ以来彼は自身のルックスを気にする様になった。

ㅤ髪の毛を切れば美少年になるであろうと周りから言われ、だが切りに行くのが面倒臭くて。

ㅤ結局切らず終い。

 

ㅤ結果何が言いたいのかと言うと、彼は男みたいであれば、女みたいでもある。

ㅤ初見で見れば誰もが見間違えるだろう。

ㅤ然し、そんな彼にも攻略方法がある。

ㅤ胸ではない、もっと分かりやすい答えが。

 

ㅤ正解は声だ。

ㅤ彼の声帯は少し低く、普通に男の声をしている。

ㅤだからこそ周りは髪を切れと勧めるが。

ㅤ彼は面倒臭いの一点張り。

 

ㅤだが、そんな彼も最近は。

 

(流石に切り時か…?)

 

ㅤと、悩み始めている。

ㅤさっさと切れという発言はNGだ。

ㅤそれを言ってしまえば終わりだと、彼自ら自覚している。

 

ㅤ因みに名前も普通に男男している。

 

ㅤ彼の名前は「九条大祐」

ㅤこれを聞けば一発で女では無いと気付かされる。

 

(取り敢えず自室に戻るか)

 

ㅤ九条大祐は着替えを済ませ、髪の毛を束ねる等の準備を済ませると自室に向かって歩き始めた。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

ㅤマイルームに戻ってきた九条大祐は、再度ベッドにダイブする。

ㅤ幾ら大浴場に浸かったからとはいえ疲れが完全に癒える訳ではない。

ㅤ寝不足という理由もあり、彼の目の下にはクマが出来ていた。

ㅤ彼自身の顔も何処かどんよりとしている。

 

ㅤすると九条大祐は、体を起こしてベッドの直ぐ傍に配置してある机まで近付く。

ㅤその机の上には写真の様に飾られた二枚のカードが置いてあった。

 

ㅤ片方は赤い瞳に青い髪の毛の少女。

ㅤもう片方は蒼に近い碧眼に金髪の女性。

ㅤ九条大祐は二枚のカードをじっと見つめる。

 

ㅤそして10秒程経った時、彼は口を開いて一言。

 

「あづみさん…リゲルさん…お早う御座います。」

 

ㅤカードに対して朝の挨拶をし始めた。

 

ㅤ端から見ればかなりヤバイ奴と認識されてしまうであろうこの行為。

ㅤこれは九条大祐、彼の毎朝行っている事の一つだ。

ㅤ彼はそのカードに映っている二人が好きで好きで堪らないのだ。

 

ㅤ2次元のカード相手に恋心等抱いても、それが成就しないの位は本人も分かっている。

ㅤだが、実るかどうかも定かでない現実の女性に恋をする等、彼には出来なかった。

ㅤ何よりも2次元の女性の方が可愛いと彼は自負している。

ㅤ流石にそれは誰でも同じだ。

ㅤ例外も否定出来ないが、大抵の人間はそう言う意識を持っていると考えて可笑しく無い。

 

ㅤそして見た目も宛ら、2次元の女性はーー

 

(…好い加減ストップという言葉を覚えねば)

 

ㅤこれ以上は自分の色々な物が爆発しそうになると思った九条大祐は、シャワーの時と同様、思考を停止させた。

 

ㅤ自論を持つのは全然悪い事では無いのだが、彼の場合はそれが暴走に発展してしまう。

ㅤ九条大祐の中で2次元というのは粗自身の中心。

ㅤ更にそれを支える軸があのカードの二人。

 

…説明がこれだけでは唯の危ない奴に聞こえてしまう。

ㅤ抑、何故ここまでカードのキャラになんか感情移入してしまっているのか。

ㅤ彼自身物事の元凶を掴めずにいる。

 

ㅤ然し、それでも、好きな物は好きだと。

ㅤ九条大祐はそれの一点張りでずっとやって来た。

ㅤ確かに、本人が好きになってしまった以上は口出し等する権利は誰にも無い。

ㅤ例えそれが2次元であろうが。

 

ㅤ九条大祐は一度机から離れ、部屋の真ん中を陣取っているソファーに腰掛ける。

ㅤ少し離れた前方にはかなり大きいサイズのテレビが設置されており、リモコンに手を伸ばして電源を入れるかと思いきや。

ㅤ彼は顔を下に向けて仮眠を始めた。

 

ㅤ九条大祐が昨日…というよりかは今日就寝した時刻は大体午前2時。

ㅤそこから5時起き。

ㅤ眠い事この上ないだろう。

ㅤ丸でブラック企業に勤めるサラリーマンらしき睡眠時間だ。

 

ㅤこの後九条大祐が目を覚ましたのは、午後1時過ぎの事だ。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

ㅤ時刻は午後2時前。

ㅤ財布をズボンのポケットに入れ、自室の鏡を見ながら髪型を整える。

ㅤ朝食は抜き、昼食はコンビニで売ってあるカレーパンを食べて。

ㅤ自室のドアを開けて玄関へと向かう九条大祐の姿が其処にあった。

ㅤ目的地はゲームセンター。

 

 因みに身に付けた衣服は、中が袖の短いワイシャツらしき白いシャツと、外側が臙脂色で七分の服が合わさった統合服。

 袖の部分は黒く、白い水玉模様で柄が彩られている。

ㅤ更にその上から丈の長く黒いコートを羽織る。

ㅤズボンはコートと同じで色が黒の物を履き、茶色いベルトできつく締めてずり下がるのを防ぐ。

ㅤ手には黒い革の手袋を、靴もこれ又黒い革靴と。

ㅤ兎に角自分を黒く染めていた。

 

ㅤ玄関に辿り着き、扉を開けると、其処は一面に広がる緑で埋め尽くされていた。

ㅤこれは彼の庭。

ㅤ草木が生い茂り、様々な種類の綺麗な華がその緑に色付けをしている。

ㅤ初見で見ると地味な印象を受けるが、何度もこの光景を視界に入れる度に此処の華やかさを見せつけられる。

ㅤ空は青く澄み渡り、雲一つ無い快晴だ。

 

ㅤそんな、彼の趣味で作られた庭を抜けて大きな門の目の前まで歩き着く。

ㅤ身長172cmの彼の三倍はありそうな程に高く、銃弾等受けて弾き返してしまう位に硬い門。

ㅤその門の横に移動した彼は、徐に財布の中から真っ黒いカードを取り出した。

ㅤそしてカードを、端末の様な機械に当てる。

ㅤするとピピッと音が鳴り、門が真ん中から裂けて行く。

ㅤ彼の目の前に映った光景は、直線上に長い道。

ㅤ九条は鼻歌交じりでその道を歩いて行く。

 

ㅤある程度足を動かすと、道は一般道路へ繋がっていた。

ㅤ其処から目的のゲームセンターへと足を運ぶ。

 

ㅤ彼の家から目的地までの道のりは然程遠く無い。

ㅤ大体徒歩5分といったところだろう。

ㅤ九条は此れから先の未来、どうやって生きようかなんて考えながらゲームセンターへ向かう。

 

ㅤだがその時間はあっという間。

ㅤ目的地に、目と鼻の先にまで近付いていた。

ㅤ九条は財布を取り出して片手に持ち、吸い込まれる様にゲームセンターへと入って行った。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 空が夕焼けで染まる5時頃。

ㅤゲームセンターから姿を現した九条は、少しばかりどんよりとしていた。

 

ㅤ然し、ゲームの結果が関与している訳ではない。

ㅤ寧ろ昨日の負けた分を取り返す勢いで勝ち続けていた。

ㅤ九条は至極嬉しそうにゲームをプレイしていた。

 

ㅤじゃあ何故、彼がどんよりしているのか。

ㅤ理由は至って単純明快だ。

 多人数から女性だと見間違われた事。

 

ㅤ確かに彼のルックス、それに髪型が相まって女性に見えるやも知れない。

ㅤ見間違われるその度に九条は心で突っ込んでいた。

 

(俺は…男だよ…)

 

ㅤだが、今更という気持ちも隅には置いてあると。

ㅤ次からは散髪してから来ようかな、服も、もっと男らしい物を着て来ようかな。

ㅤ彼はその程度にしか見ていなかった。

ㅤあまり気にし過ぎても良い事は起きないと、九条がそう思っている何よりの証拠だ。

 

ㅤ人間生きていれば、色んな経験があるのと一緒。

ㅤ気にするまでも無い…というのが、九条大祐の考えだ。

 

「あまり気にし過ぎてもなーーうっ…」

 

ㅤとある持病を抱えている自らの体に障ってしまう。

ㅤそう自分に言い聞かせようとしたその時、彼に唐突なる頭痛が襲い掛かった。

ㅤ例の持病、偏頭痛だ。

ㅤフラグを即座に回収するなんて、俺イケメン…等と思いながらも、片手で頭を押さえていないと耐えられない位の痛みだ。

 

ㅤ彼はこの持病と中学一年の頃からの付き合い。

ㅤどんなタイミングで発生するのか、どんな条件を満たせば偏頭痛が起きるのか、全て掴んでいる筈だった。

ㅤ睡眠4時間以上、飲食物等もしっかり取り、過度な暑さ、寒さは極力避けて。

ㅤそれ以外にも様々な条件を満たさない為に動いて、今日は完璧だった。

 

ㅤだから、この偏頭痛が何故発症したのかは九条にも分からない。

ㅤ何か別の条件があったのか、将又ミスを犯したのか。

 

ㅤ加えて、今回のこの偏頭痛は何時もより痛みが酷い。

ㅤ以前までの偏頭痛ならば寝て、起きれば大概は治るケースが多かった。

ㅤ痛みで眠るまでが大変なのは偏頭痛用の薬でどうにかして。

 

ㅤだが、現在進行形で起きている偏頭痛は違う。

ㅤ頭部右側がドクドクと脈打ち、軈てそれが頭全体へ広がっていく。

 

 彼が味わった偏頭痛の中で今までに無い痛さだ。

ㅤ頭蓋骨が割れそうになる程の。

 

(まずい…道端で倒れる訳には…)

 

 九条自身が心ではそう思いながらも痛みには抗えない。

 壁に手をつきながらふらふらと歩いていたが、到頭倒れてしまった。

ㅤそんな九条を心配して駆け寄って来る足音が彼の頭に響く。

 

「あ、あの…だいじょうぶですか…?」

 

ㅤ丸で平仮名で表されそうな程に幼く気の抜ける声。

ㅤギリギリ保っている意識を声の主に向けると、其処には、まだ小学生なのであろう赤いランドセルを背負った少女がーー

 

 段段朦朧としていく意識の中、遂に彼の意識は途切れた。

ㅤ次に目覚めた時、九条大祐はもうこの世界に居ない。

 

ーーー




主人公紹介

九条大祐(くじょうだいすけ)
性別:男
年齢:15歳
得意事:思考を働かせる物事
嫌いとする事:身体的に厳しい物事
好意を抱いている人物:無し
誕生日:3月31日
星座:牡羊座
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