Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

21 / 69
第二十話: 本心

「うおおぉぉぉ!!」

 

 俺は目の前にいるプレデターに向かって大声を出し、突撃を敢行する。

 因みにバトルドレスはウイングゼロ。

 こいつを制御する為に多数のプレデターを相手にしている。

 

…のだが、ちょっと多過ぎじゃありませんかね。

 

 敵は前方にしかいない有利な展開だが、それだけで10、20……酷い数だなおい。

 此方人等一人だぞ!

 いや、もう一人いるけど居ない様なもんだからね。

 

「うぉっ、このワンコロ!」

「グルルルル…!」

 

 以外に素早い動きを見せてくれる。

 だが。

 

「ゼロの反応速度なら…!」

 

 ビームサーベルを降り下ろし、すばしっこい犬を両断する。

 そのまま、襲い掛かってくるワンコロ共の攻撃を躱しつつ、全てビームサーベル一本で対処していく。

 返り血が服に飛び散るが、気にしてなどいられない。

 一瞬でも気を抜けばそこで終わりだ。

 俺の命は、無い。

 

 しかし、このままでは埒が明かないな。

 俺のリソース量はそこまで高くないのが現状。

 数で押しきられる可能性が無いとは言えない。

 

 それに、相手は黒の世界のZ/X「プレデター」。

 大小様々な種族のせいで、逐一戦い方を変えなければならない。

 凄く面倒臭い作業だが、これは作業等ではなく特訓。

 一歩間違えるだけで――

 

「くそっ…!」

 

 命が無い事位分かっている。

 だからこそ、気が抜けないのだ。

 

「頑張れっ頑張れっ♪」

 

…元凶はあの高みの見物している女性なんだけどな。

 何でこんな場所に連れて来られたのだろうか。

 幾ら特訓と言えど、限度という物がある。

 行き過ぎた訓練は人を殺す元となる。

 そして、本人が死んでしまっては元も子もない。

 程好く地道な積み重ねが大事なのだ。

 

 だが、今の俺はそんなに悠長にしている暇など有りはしない。

 一刻も早く力を制御し、彼女達を見つけなければ。

 

 そう心で感じた瞬間、一瞬の気の緩みが生じてしまった。

 敵の吐き出した何かをバックして避けた時に、足での着地をミスってしまう。

 そして無様に尻餅。

 あ、俺、終わったくさい。

 

 敵のプレデター共は獲物の隙を逃さない。

 全匹一斉に襲い掛かって――

 

…全匹一斉に弾け飛んだ。

 

「…あっぶな。」

「確かに今のは危険ね。油断していたのもあるけど、疲労が目に見えて表れてる。今日はもう休みましょ?」

 

 彼此二時間位か。

 ずっとプレデターを相手に苦戦を強いられていた。

 丸でデスペラードバラードを歌っている人みたいに。

 

 強〜いら〜れて〜いるんだ〜。

 

 良かった。

 どうでも良い事を考える余裕だけはあるらしい。

 実際の疲労は半端無いがね。

 

「助かりましたよ、ルクスリアさん。」

「んふふ♪大祐くんからお礼なんて、新鮮な感じね。」

「…取り敢えず、安全地帯で休みますか。」

「そうね。疲労が溜まり過ぎると体に毒だし。」

 

 ルクスリアさんはこういう所を分かってくれているから助かる。

 色欲に貪欲で無ければ、良いお嫁さんになれると思うんだけどなぁ…。

 ま、それが好きって人もいるだろうし。

 人それぞれだよな。

 

 因みに、俺は色欲嫌いです。

 何でか知らないが心身共に拒否反応を起こす。

 そういう性格と言われればそれまでだが。

 

「…んじゃ、ルクスリアさん、此方に。」

「はいは〜い♪」

 

 じゃあ、あづみさんとリゲルさんがもしそうならどうしたか?

 そりゃ決まってますよ。

 遠慮します。

 

 あづみさんはまだ14歳だし、リゲルさんは…リゲルさんは…うん?

 良く分からない。

 何歳とか以前の問題として、リゲルさんは俺の事好きじゃ無いだろうし。

 どちらかと言うなら嫌いじゃないのか?

 

 いや、自覚はあるが確信はない。

 じゃあ何故そう思うのか。

 

「…よいしょっと。」

「それじゃ、宜しくね♪」

「りょーかいです。」

 

 とある一件の問題が、俺の中で引っ掛かっている。

 あづみさんを独り占めしたい発言をしてしまった時だ。

 心の底から感じた想いがつい本音に出てしまい、それをリゲルさんに聞かれ。

 そこから彼女の、俺に対する想いが分からなくなってしまった。

 

…でも、あの発言以来あづみさんの態度が一変した気がする。

 自ら近くに寄って来てくれたり、膝枕をして上げる頻度が高くなったり。

 何故かあづみさんに求められてる気がして。

 

…う〜ん、気のせいかなぁ。

 あの小屋で言われた事が本当ならあづみさんは俺の事を……

 

――俺の勝手な妄想か。

 

「あっ、良い場所発見♪大祐くんっ、そこで一度――大祐くん?」

「………」

 

 けどなぁ…リゲルさんはともかく、あづみさんは俺に気があるような。

 

 俺があまりにあづみさんが好き過ぎるせいで、気が狂ったか?

 そんな訳無いじゃないか。

 あんなに可愛い少女が俺と釣り合うなんて、妄言にも程がある。

 そんな自分に贈る言葉。

 「身の程を弁えろ。」

 

 そんな妄想はいい加減止めろと。

 ちゃんと現実を見ろと。

 

「お〜い?大祐くん?」

「………」

 

 あぁそうか。

 俺が彼女に恋愛感情を抱いてはいけないのか。

 これは恐らく彼女だけでなく、リゲルさんにも言える。

 あんなに綺麗な美女を好きになって、お前如きが白白しいとな。

 

…あーあ、俺は二人に恋を出来ないのかぁ。

 何でこの位の事を気付かなかったのだろう。

 ほんと、馬鹿馬鹿しい。

 自分で自分が嫌になってくるな。

 

――って、どうした俺!?

 

 急に二人に恋出来ないだの、身分を弁えろだの、一体何の話をしているんだ。

 彼女達に会えないからって、情緒不安定過ぎるだろ。

 

「ねぇ大祐くん。…大祐くんってば!」

「…あ、ルクスリアさん。どうかしました?」

「どうしたもこうしたも…全然私の呼び掛けに反応してくれないから、何事かと思って。」

「あっと…それはすみませんでした。少しボーッとしてまして…。」

 

 少し所では無かったのだろう。

 ルクスリアさんが大きな声を発した位なのだから。

 ほんと、馬鹿馬鹿しくもあり、何をしているのかという情け無さもあり。

 

…しっかり自分の心を制御出来なければ。

 自心制とか言ってた頃が懐かしく感じる。

 

 しかし、これではとても『ゼロシステム』を扱えたもんじゃない。

 装着者の精神を蝕み、呑み込む『ゼロシステム』。

 今の俺が発動したら、とんでも事件が又一つ増えてしまう。

 

 先ずは其処ら辺一帯を更地にして。

……ってこの場所、元から更地じゃないか。

 あるとしても朽ちた物体が散らばってる位。

 

 そしてその後、ルクスリアさんに手を出して――

 

「丁度良く休めそうな場所を見つけたの。大祐くんの為に探したんだからねっ。」

「……ルクスリアさんは、優しいですね。」

 

――駄目だ。

 彼女を襲うなんて真似、したくもない。

 仮にもルクスリアさんは俺を助けてくれたのだ。

 何処の世界の者か分からない俺を。

 そんな彼女に攻撃するなど、言語道断。

 もし襲った場合、俺は最低なクズ人間となる。

 

 というか、先ず襲う事をしたくない。

 

「…ん?俺、いつの間にルクスリアさんをお姫様抱っこしてたんですか?」

「えっ、そこからの話?…まさか、大祐くんと私で決めた事を無意識行動しちゃうだなんて。」

「移動する時は俺がルクスリアさんをお姫様抱っこしていく、でしたっけ。」

「そうそう♪けど、それを無意識で実行するなんて少しは私に興味を――」

「取り敢えず、其所で休みますか。」

 

 俺はルクスリアさんの話を完全に無視し、指定された地点へとブースターを飛ばす。

 途中、腕の辺りから「も〜…」と聞こえて来るが気にしない気にしない。

 構って上げたいのは山々だが、誰かさんのせいで両手が塞がっている状態。

 せめて一息吐いてからにしましょうぜ。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

 指定地点に着くや否や、ルクスリアさんが触れ合い行為をして来る。

 何故か以上に触れ合いを好む彼女に、正直疲れていた。

 身体は戦闘で、精神はルクスリアさんで。

 ごりごりと体力を減らされていく。

 

…兎に角、一旦休みたい。

 

「あら?大祐くん、もうお休みタイム?」

「凄い疲れたんですよ。眠くて眠くて堪らないです。」

「ふ〜ん……あっ、そうだ…♪」

 

 地面の上だろうがなんだろうが関係ない。

 俺は今、至極眠いのだ。

 心身共に疲れ過ぎて果てる寸前だ。

 

 一刻も早く身体を休めたい。

 

「…大祐くんっ、ここ来てっ。」

「ん〜?…っと。」

「この上に頭を置いて。」

「………」

 

 もう眠過ぎて、目を瞑りながらルクスリアさんの指示通りに動く。

 声のした方向に体を引き摺り、指示された所に頭を置く。

 

 するとそこには、柔らかい感触の枕が――

 

「どう?私からのご褒美「膝枕」。気に入ってくれた♪」

「……すぴー…」

「んもうっ、大祐くんったら。」

 

 たった何日間…それでも久し振りに思えたこの感触に抗えず、俺の意識は暗闇へと吸い込まれていった。

 

「…こう見ると、やっぱり私好みの顔立ち――…ん、これ…。」

「…俺のせ…」

「…大祐くん、泣いてるの?」

 

――その日俺が目覚めると、ルクスリアさんが唐突に抱き付き、頭を撫でてくれた。

……何があったんだ?

 

‐‐‐

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。