Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜 作:黒曜【蒼煌華】
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九条大祐視点(心中)
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全てを壊滅させれば良い。
二人の自由を奪う者達を。
俺は壊乱を望む。
二人の幸せを奪った青の世界の。
いや、望むだけじゃ足りない。
自らが実行しなければならないのだ。
誰にも頼る事なんて出来ないんだ。
信じ、頼れるのは自分だけ。
自分以外になるならば、二人だけ。
信用に値しない不確定要素になんぞ、必要無い。
神頼み等持っての他。
…何よりも、この世界に神などいない。
存在しない物に願い事なんて馬鹿馬鹿しい。
自分が強ければ、例え神が存在していても関係無い。
それを超す力さえあれば。
この世は金、よく言えたもんだ。
この世は力の間違いじゃないのか?
力さえあれば誰をも屈服させれる。
力さえあれば自分の好きなように行動出来る。
力さえあれば守りたい物を守る事が出来る。
あづみさんとリゲルさんを…二人を不幸へ導く奴等から守れる。
最早理由等、その一つが事実となるだけでもういい。
満足だ。
(君、力が欲しいの?)
当たり前だ。
力さえあれば…力さえあれば。
非力な自分等いなくて良い。
そんなの、何処にも要らない。
俺は…強者となる自分だけを望む。
それで二人が満足してくれるなら。
二人の幸せを掴み取れるなら。
三人でなくとも構わない。
俺が犠牲になり、二人が何不自由無く生きていけるのであれば。
それだけで良いんだ。
俺は…満足なんだ。
(何でも壊滅に導ける力。そんな魅力的な力が欲しい?)
壊滅?
いや、違う。
俺が望む力は、二人の幸せを掴む力だ。
それ以外は何だって、どうだって良い。
もしその壊滅の力を利用し、二人を最高の世界へ導けるのであれば話は別だが。
(じゃあ、自分にとって邪魔な存在を破壊し尽くせば良いんじゃないかな。)
それも一理ある話。
…だが、俺にとって邪魔な存在ではなく、二人の幸せな世界を拒む奴等を壊滅に導いてしまえば良い。
という話だな。
(そうそう、そゆことっ♪)
誰がどうなってしまおうが知った事では無い。
二人が望む世界が、俺の望む世界だ。
その世界を確立させる為、邪魔者は消し去る。
悪くない選択肢だ。
沢山と言っていい程に存在する選択肢の中でも、中々良作じゃないか。
話のストーリーとしては、最後に俺が死ぬパターンだったりな。
力に溺れて二人に殺されて…それで二人は幸せな世界を築き上げ。
素晴らしいストーリーだ。
ここまで出来の良い話だと、俺が死ぬ…それは二人の幸せを意味する物なのか?
何だか悲しい、そして寂しいな。
自暴自棄もそろそろ止めようか。
兎に角、俺に力をくれるのか?
この非力で役立たずな俺に。
(何回も言わせないでくれるかな?さっきからそう伝えてるよ。一回聞いただけで答えを返してくれないと…私、苛立って君の事を殺しちゃうよ?)
殺す…か。
こんな意味不明な事で、更に見ず知らずの誰かさんに殺されるなんて、勘弁願いたいな。
お前が何者かは分からないが、今は当てにするしかないよな。
恐らくだが、このまま時間が経過すると。
(間違いなく、君は死ぬね。)
だよな。
見当は…ある程度だがついていた。
左肩から右腹部、ざっくりと斬られている感覚は今でも続いている。
不思議と痛みは無いのだが、違和感だけが残り続ける。
今まで考えを張り巡らせていたせいで、気付いていなかった。
ふと、不快感と気持ち悪さが目立ち始める。
(あーだめだめ。そのまま目を瞑ったままでいてっ。)
考え事をしていると思わず目を瞑りたくなる。
そんな衝動に駆られる事はありませんか?
僕は大抵そうです。
というか、今現在起きていますから。
だから、今までずっと俺は何処で、どういう体勢でいるのか、把握出来ない。
喋りかけてくるこの声の主すら、視界に映せない。
ずっと真っ暗な世界に包まれている。
体?浮遊感しか感じれない。
そんな状況で目を開けようとした時、不意に後ろから両手を被された。
(君は今、何処にもいないよ?この世に存在していないから。)
じゃあ、此処は何処なんだ?
アンタは一体、誰なんだ?
(質問は一回ずつ。先ずは前者からね。此処が一体何処なのか。…言うまでもなく、君の心中。謂わば君の心の中だよ。うん、意味はまんまだね。)
ん〜…?
アンタが誰かは後で聞くとして、此処が俺の心中?
心の中?
確かに意味はまんまだけど、何でまた俺の心中に知らない誰かさんが侵入できちゃうの。
可笑しくないか?
(君さ、随分と態度変わるね。怒りが湧いたと思ったら急に落ち着いて、更には疑惑をぶつけてくる。君の周りにいる人達は大変だねぇ。)
こういう奴の事を情緒不安定っつーうんだよ。
只、俺の周りにいる人が全員大変な事位、自分が一番分かっている。
他人様にどうこう言われる必要は無いね。
(ふーん…ま、どうでも良いけどっ。)
アンタは中々な自己中だな。
自分の言いたい事だけ伝えて、後は知らん振りか?
(君が言えた事じゃない。自分の気持ちだけ伝えて、後はさよなら。)
…っ!それは…!
(ねぇねぇ、そろそろ自分で目を閉じててくれるかなぁ…。いい加減、後ろから目隠ししてあげるの辛いんだけど。体勢的に。)
…自分の気持ちだけ伝えて、相手の気持ちには答えない。
一番自己中で最低なのは、俺自身じゃないか。
やっぱり底辺の人間で間違いはないな。
(ねっ、もういいかな?)
さっきから…離したいなら離せば良いじゃないか。
アンタ恐らく女性だろ?
喋り方に声、俺の瞼を覆っている手の細さに柔らかさ。
そして先程から背中に当たってる二つの物。
完璧に女性確定じゃないか。
流石に女性がしてくる目隠しを、ずっと耐えられる程に心構えは出来てなくてね。
寧ろ、さっさと離してくんないか?
自分で目は閉じるからさ。
(やっと気付いたのっ!?もう…遅過ぎる。馬鹿なんじゃない?)
寧ろ今更か。
俺が馬鹿って気付くの遅くない?
(…もういい。別に言い合いをしに来た訳じゃないから。)
そう言えば話を戻すが、何で俺の心の中に入り込めるんだ。
理由と原理を教えてくれ。
馬鹿でも分かるように、詳しくな。
(無理、教えれない。)
はぁ?
(だって、それを教示しちゃったら私が誰か分かっちゃうじゃん。)
まぁ…人では無い事は確かだな。
(案外、そうでも無いかもよっ♪)
えぇ…。
(正直そこら辺は秘密かな。大丈夫、後々分かるって。)
なら良いや。
これ以上詮索するのも面倒だし。
先にも後にも、解らずじまいが一番嫌でね。
物事は、はっきりさせたいんだ。
(とか言いながらも、ここまで茹だり続けたのは誰かな?自業自得だよねぇ。)
何で俺の恋心を知ってんのか気になるが、否定は出来ないな。
あの状況で告白なんて、此方の酷薄だ。
何でもかんでも上手く行くわけ無いよなぁ。
(…君さ、そんな見ず知らずの誰かさんに色んな事を話しちゃって良いの?)
あぁ、かまへんかまへん。
もう何がどうなっても知らん。
実際、この気持ち悪さとアンタから解放されれば何だって良いよ。
(その代償として、君の大好きな二人の命を奪うって言ったら?)
…てめぇ、ふざけんのも大概にしろよ。
俺の目的は二人の幸せを邪魔する奴等の排除だ。
アンタが誰かは分からんが、発言次第ではアンタも排除対象と見なす。
気を付けるんだ――
(君みたいな弱者に負ける訳無いじゃんっ。守りたい人を守れずに死んでいく、無様な君にはね。…それに、大口叩いてるけどこのままじゃ本当に死ぬよ。君がそう望むなら構わないけどね。)
…言いたい様に言ってくれるじゃねぇか。
ニコニコと笑いながら喋ってる。
そんな口調が俺としては苛々するんだが。
只、まぁ俺が無様なのは認める。
否定の仕様が無い。
自ら肯定すらしてしまう程だ。
何一つ、自分の事すら守れなかった。
だから力が欲しいんだ。
戦う為じゃない、守る為に。
時には戦わなきゃ守れない事だって幾らでもあるだろう。
その時は仕方無く戦うさ。
二人を魔の手から助けられるなら。
守り抜けるのなら。
どんな代償でも支払ってやる。
守る力を手に出来るなら。
(守り守るって少し五月蝿いなぁ。綺麗事は其所までにして、純粋に何が欲しいの?)
…力、だ。
(素直だね。それが一番だよ。あまりしつこいと…。)
殺す、だろ?
アンタの脳内、殺す事しか考えてないじゃん。
別に関係無いけどさ。
兎に角、アンタは俺に力をくれるのか?
(君が力を欲しているのは本心らしいから、そうだね。君に力を授けるよ。)
有り難い。
親切な誰かさんもいるもんだな。
(今回は特別だから良いけど、次からは代償を貰うからねっ。)
あーはいはい。
どうぞご勝手に。
(…分かった。じゃあ、今から君という人格は無くなるから。)
………はっ?
(君の中に眠るもう一人の君。それを呼び覚ますからね。覚悟した方が良いよっ?)
ちょっと待て!
純粋に力をくれるんじゃないのか!?
(勿論、授けるって言ったけどね?但し、私のやり方でね…♪)
嘘だろ…!
違う!もう一人の俺なんか、俺じゃ――
(はい其処、ウダウダ言わない。)
くっそっ――
一瞬だが、何かが途切れた感覚がした。
糸が切れた、そんな感覚が。
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何時からだろうか。
此奴が俺の中に生まれたのは。
初めて自覚したのは、両親が死んだ時だったかな。
父親が不慮の事故で病院へ搬送。
母親がその病院へ向かう際に、丸で狙ったかの様に車同士の衝突。
片方は知らない人の、もう片方は…母親の車が。
父親が事故に会ったという事実を知らされ、完全にテンパっていたのだろう。
周りが見えていなかったと言っても正しい。
唯、その時の車に俺は同席していなかった。
それは何故か。
外へ出掛けていたからだ。
母親からおつかいとやらを頼まれていて。
俺に知らせ等は届かなかった。
携帯なんぞいらん、という考えを持っており、それを持ち得ていなかったからだ。
俺に両親が事故に会ったという情報が耳に入ってきた時には、既に二人共亡くなっていた。
在る意味連鎖的に死んだという。
俺は家の中を荒らしまくった。
壁を壊し、物も壊し、目に映る物全てを破壊した。
あの時の記憶等無い。
何故なら、あの時に俺を支配していたのはもう一人の俺だから。
壊して、壊して、それでも心の喪失感は癒えなくて。
それどころか、更に虚しくなるだけで。
最終的に壊し尽くされた家の中を見つめて、自分を取り戻した。
…その日が、此奴の生まれた初めての日だ。
それから何日間かは此奴の好き放題だったが、時時刻刻と存在が失せていた。
そして今の今まで、俺自身も此奴の存在を忘失していた。
今回、知らない誰かさんに言われてやっと思い出したが。
…まぁ良いさ。
こうするしか力を手にする事が出来ないのであれば、その事実を受け入れよう。
これで二人が満足してくれる、そんな未来が見れるのなら。
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(…気分はどう?もう一人の君。)
―――破壊する…。
[その瞬間、俺の善の心は死んだ。]
(…そうだよ。)
[その瞬間、俺の心の中に悪が生まれた。邪魔者は全て破壊する。不必要な世界は壊滅へと誘う。そんな悪心が、俺の心を支配した。]
…全ては二人の祝福の為、不要物共はこの俺が――
破壊する…!!!
(今の君こそ、私が見たかった者の姿。破壊という概念で支配された心。そこに善など存在しない。悪だけが無限に湧き出ずる。それでも、あの二人を想う気持ちが変わらないのは予定外だけど…別に良いよねっ。さぁ、私を楽しませてよっ♪)
…もう一人の俺。
正体は自分でも知っている。
此奴だけは二度と表へ出したくなかった。
だが、今は仕様が無い。
二人を守る為に、頼らせて貰おう。
存分に暴れて貰おう。
破壊し尽くして貰おう。
もう一人の俺に。
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