Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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第三話: お互いの情報

 あづみさんの息が荒い。

 リゲルさんはこれまでに無い位に慌てている。

 また敵に見つかると絶体絶命となる今の状況、俺達は兎に角近くの建物に避難した。

 取り敢えず、前世の世界から着たままだった黒いコートを脱いで下に敷く。

 その上にあづみさんの体を横にさせ、枕代わりになる物を探しているとリゲルさんが即座に膝枕をしてあげていた。

 

「今、薬を飲ませるから!」

「……はぁっ…がっ…」

 

 唐突に空中に現れた小瓶を、リゲルさんは落ち着きの無い仕草で手に取る。

 あづみさんの口元に当て、青い液体を彼女の口から体へと流し込む。

 それでも苦悶の表情を変えないあづみさんを俺とリゲルさんは只管見つめた。

 

「…リゲルさん、これは?」

 

 聞くまでも無い。

 リソースを体内に取り込んでしまった人間が発症する病、[リソース症候群]だ。

 あづみさんが患っている病気であり、彼女の場合はその中でも重度の物。

 一応の為、間違っていないかどうかを確認する。

 

「…貴方に教える必要は…」

「リソース症候群…ですよね?その中でも重度の」

「…!」

 

 どうやら吐く様子が無かった為に言わせて貰った。

 すると「何故お前が知っている」と言わんばかりの顔を向けられる。

 正直、信じて貰えないだろう。

 何故俺が「各務原あづみがリソース症候群を発症している」事を知っているのか。

 妄言と切り捨てられる可能性があるから話す事が出来ない。

 本当は打ち明けた方が良いんだろうが。

 

「…戦いに発展する前に私が言った事、覚えてる?」

「『何処の世界の者か』…でしたっけ…?」

「えぇ」

 

 当たりだ。

 ここで悪ふざけして「貴方と共闘したい…でしたっけ?」なんて言ったら殺されるのだろう。

 最も、あづみさんがリソース症候群で倒れた今、そんな冗談を考えている暇を捨てるべきなのだ。

 

「…もう一度聞くわ。貴方は何処の世界の者なの?」

 

 リゲルさんは俺の瞳を覗く様な、真っ直ぐな視線で見つめてくる。

 あづみさんの額に手を置きながら。

 

…これは、嫌でも本当の事を話さなければいけない雰囲気だ。

 俺としても事実を言いたい。

 例え信用されなくても。

 言えない理由なんて無いのだから。

 

 そうだ。

 先ずは言ってみないと分からないからな。

 信じて貰えるどうこうの問題は今は気にしなくても良いだろう。

 もしかしたら、本当の事を言った方が信じて貰える可能性もある。

 確証を持たない言動は危うい選択だ…然し、対話をしなければ始まらない。

 意を決し、俺は口を開いた。

 

「…先ず最初に、俺は何処の世界にも属していません」

「という事は?」

「所謂、放浪者と言った所でしょうか。まぁそんな感じですね」

「放浪者…」

 

…というか、世界って何の話だ。

 俺の場合そこから分からない。

 何処の世界にも属していないのは間違いないと思う、此れだけは確信出来る。

 リゲルさんは右手を口に当て、真剣な表情で俺の話を聞いてくれていた。

 あづみさんの様態も落ち着いて来た様だ。

 あの薬は即効性の高い物なのか、今はゆっくり眠っている。

 あづみさん抜きで微妙だが、本題に移ろう。

 

「…リゲルさんは、転移という言葉を信じますか?」

「転移?」

「はい。元々いた世界から、別の世界に移動してしまう事です」

「それと何の関係が…」

「俺は元の世界からこの世界へと転移して来た者です」

 

 俺の言葉に驚いたリゲルさんは、俺に対しての警戒を更に高める。

 

「…どうやって?」

「さぁ…それは僕にも分かりません。持病が悪化して気を失った所までは覚えているんですが…」

「それじゃあ信憑性が薄い、皆無に等しいわね…」

「本当ですよね。申し訳ございません…」

 

 俺がそう言うと、少しの沈黙が生まれてしまった。

 此方からも質問をしたいが、今はリゲルさんの質問時間だ。

 リゲルさんが満足に達するまで、俺は質問された事を正直に答えるだけ。

 そのあとに此方からも質問しよう。

 

「…さっきは信憑性が無いとか言ってしまったけど…」

「あづみさんも、転移者ですよね」

「…何故、貴方はそこまで知っているの?」

 

 やはり。

 思った通りの返答だ。

 

…今思い出せば、あづみさんも転移者。

 俺もそうなんだ、と言って信じて貰える確率は十分にあった。

 最初から言っておけば…なんて後悔は後にして。

 

「その理由は後程」

 

 今言うべき事では無いだろう。

 話が矛盾している為、更に警戒されるに違いない。

 話さないって選択肢も充分警戒される事に変わりは無いだろうが。

 

「…分かったわ。じゃあ私からはあと二つ、質問させて貰うわね」

「了承です」

 

 あと二つだけ。

 その二つがリゲルさんにとって何れだけ重要なのか。

 それとも、当たり前な事を聞いて来るのか。

 俺は気付かない内に身構えてしまっていた。

 

「貴方のバトルドレス…何処で手に入れたの?というか、貴方は人間?」

 

 当たり前の質問。

 身構える必要なんて無かったんや。

 

…それより、俺はバトルドレスの事を聞かれても分からない事ばっかりだ。

 瓦礫を探って小さな光を触ったらバトルドレスを装着してました、なんて言い分が通るなんて…。

 

 況してや相手はリゲルさんだ。

 リゲルさんはバトルドレスの装着者。

 幾ら何でも無理がある。

 それでも、聞かれた事は正直に返さねば。

 

「先ずは前者から。…このバトルドレスに関しては、瓦礫の中の小さな光に触れたら装着してました」

「…え?」

 

 リゲルさんが驚愕の声を上げた。

 そりゃそうだろう。

 寧ろ普通の反応だ。

 だがしかし、本当だ。

 

「バトルドレスを…えっと…?拾った的な?」

「はい。そういう事になります」

「へ、へぇー…?」

 

 なんか凄く微妙な反応をされた。

 リゲルさんなら「それは嘘ね」とか言って、キッパリ否定しそうな気がしていたんだけど…。

 けど、早く話を進めれるなら好都合だ。

 リゲルさんも話を先に進めたいだろう。

 納得いかない所を無理に納得してーー

 ん?何だか物凄い罪悪感に苛まれるんだが。

 

「次は後者ですが、俺は間違いなく人間です」

「…それは確かに。感情だってあるものね」

「詳しい話はあづみさんも起きてからにしましょう。…最後の質問は?」

 

 一つ質問が終わり最後の質問を聞こうとすると、リゲルさんは難しい表情を浮かべていた。

 話して良いのか…?そんな表情だ。

 

 俺は次の質問が来るまでじっと待つ。

 何もせず、何も喋らず。

 すると先程の俺と同じく、リゲルさんは意を決した様な感じで喋り始めた。

 

「…少し話が逸れるけど、良いかしら?」

「勿論です。僕は聞く立場ですので」

「…ありがとう。」

 

 何故かお礼を言われた。

 リゲルさんからお礼なんて意外過ぎてちょっとビックリしてしまう。

 俺の中でのリゲルさんは、あづみさん以外には優しくない感じかと思っていた。

 そんな事は無いらしい。

 俺に対してはまだ少し、警戒心を抱いているのに変わりは無いけど。

 

「…実は、ある理由があって私とあづみは追われているの」

「追われている…?」

「えぇ」

 

…追われて…?

 あれ?何で二人が?

 

 思い出せない。

 Z/Xの、この世界のストーリーが思い出せない。

 それは可笑しい話だ。

 前世ではしっかりと覚えていたのに。

 あづみさんとリゲルさん、バトルドレスとかカンジュラーの事は覚えているのに。

 何故かストーリーは思い出せない。

 出てくるキャラの名前とか、性格は分かってるんだけど。

 所々、前世の記憶が歯抜けしている。

 

「それは誰に?」

「まだ貴方には言えないわ。信用出来る域に達してないから」

「えっ…?それじゃ、最後の質問って言うのは…?」

「今から話すわ」

 

 然り気無く俺の心を貫いて来る。

 いや、信用に至ってないのは分かっていたけど…ストレート過ぎて結構精神的にダメージが…。

 

「貴方は…」

「…ん…ふぁ…」

 

 お、あづみさんが起き…

 

「あづみ!」

 

…早!

 あづみさんが起きた瞬間に抱き付いたよ!

 俺に対しての質問は!?

 

「あれ、リゲル…?」

「良かった…あづみ…!」

「ちょっ…もう、リゲルったら…」

 

 急な事だったのであづみさんは少々困っているご様子だ。

 それと同時に嬉しそうな笑顔も浮かべている。

 二人共、至極仲が良いなと思い知らされる。

 

…けど、流石リゲルさんだな。

 ま、まぁ、あづみさんが無事に起きてくれたのが一番だよな。

 お早いお目覚めで俺としても凄く嬉しいし。

 うん。

 貴方は…の後がちょっと気になるけど。

 

「あっ、あの…」

 

 そんな事を思っていると、あづみさんに呼ばれた。

 先ずは挨拶だよな。

 

「…御早う御座います、あづみさん。具合は大丈夫ですか?」

「えっ…と、大丈夫です。助けて頂き、ありがとうございました」

「いえいえ。僕も助けて貰ったので。…それに、敬語じゃなくても良いですよ。」

「…じゃあ、えーと?」

 

 何故かあづみさんが疑問系で止まる。

 何か引っ掛かっているのかーー

 

 あ、名前言ってない。

 しくじったな。

 俺とした事が…名前を言わないなんて。

 無礼、っていうか失礼、だよな。

 なーにしてんだか…。

 

「申し訳ございません。まだ名乗っていませんでしたね」

「い、いえ、私達もまだ自己紹介してませんでした…」

 

 俺の態度に戸惑うあづみさん。

 変か、これ。

 俺の態度はともかく、自己紹介を進める。

 

「…では、僕から。先程は助けて頂き、有り難う御座いました。僕は[九条大祐]と申します。

「[各務原あづみ]です。私達の方こそ、助けて頂きありがとうございました」

「…へぇ!珍しいわね」

「どうかしたの、リゲル?」

 

 リゲルさんは俺とあづみさんを交互に見る。

 そして一言。

 

「あづみが人見知りしないなんて」

 

…あ。

 そう言えばあづみさんって、極度の人見知りだったっけ。

 特に男性には。

 そんなの知らずに…じゃなくて思い出せずに軽く話し掛けてしまった。

 大丈夫かな…?

 

 あづみさんを怖がらせた罪とかでリゲルさんに殺されたりとか…。

 いや、今はそう言う冗談は止めておこう。

 全然関係無いし。

 

「私達を助けてくれたから…かな?」

「それが大きいわね」

「…最後はリゲルだよ。自己紹介」

「えぇ。ありがとう、あづみ」

 

 リゲルさんはあづみさんから俺へと体の方向を変え、体勢を整える。

 こうして見ると、相変わらずスタイル良いな…。

 ていうか、バトルドレスの露出度高いよ。

 今更だけど。

 

「自己紹介が遅れたわね。私は[リゲル]。戦闘の時はありがとう、戦い易かったわ」

 

 凄い…。

 あづみさんが起きてから、リゲルさんの態度が一変した。

 やはりあづみさん大好きっ娘でしたか。

 元から分かってはいたけど。

 

「此方こそ。とても殺り易かったです」

 

…間違えた。

 やるのイントネーションが全然違う。

 

 ま、まぁ、相手がカンジュラーなら人間じゃ無いんだ。

 本当、人間じゃなくて良かった。

 ザクは人間じゃ無いんだ的なアレで脳内を誤魔化そうとする。

 

「そう言えば、あづみさんには僕の事を話してませんでしたね」

「九条…さんの事…?」

「…少し馴れ馴れしくなりますが、名前で読んで貰って良いですか?あと、さん付けしなくても大丈夫です」

「…じゃあ、大祐、くん?」

「そう呼んで頂ければ、嬉しいです」

「は…うん、大祐くん」

 

 一瞬敬語になりかけたあづみさん。

 直ぐに敬語を止めて、リゲルさんに接する様な態度を取ってくれた。

 

…しかし、名前で呼んで貰えるなんて。

 冗談半分で言ってみたものの。

 頼んでみるというのは、大事だな。

 まぁ、それは放っておいて。

 

「リゲルさん、話しても良いですか?」

「あづみが起きたら話す予定だったから…勿論、良いわよ」

 

 リゲルさんにも許可を頂いて、これまでリゲルさんに話した事をもう一回説明する。

 途中、リゲルさんにも言ってなかった話をすると、驚きと何故話さなかった?的な表情をされた。

 内容は大した事無いのだが、気になる部分があったのだろう。

 両親はお亡くなりになられた事とか。

 中学三年間ある意味ニートだった事とか。

 

 二人からは悲哀の視線を食らわされた。

 中々痛かった…。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

 30分程自分の話をしたが、二人は楽しそうに聞いてくれていた。

 たまに二人が見せる、クスッという笑顔に何度殺されかけたか…。

 あづみさんとリゲルさんの事情も聞き、少し仲が良くなった様な気がした。

 

…気がしただけだが。

 少なくとも、俺はそう思う。

 二人がどう思っていようと。

 

…それは置いといて。

 二人が追われている理由も聞けた。

 リゲルさんに「俺に話して良いんですか?」と聞いたが、「あづみが話したいって言ったから」と言われ、理由を聞く事に成功。

 どうやら、二人を追っているのは「アドミニストレーターベガ」というお偉いさんらしい。

 いや、名前は知っているんだけどね。

 なんで二人を追っているのか、思い出せない。

 凄くもどかしい。

 

 加えて、リゲルさんは余程あづみさん優先を貫いて来たのだろう。

 信頼に値しない人間に、彼女の一言で掌返しの様に情報を教えてくれた。

 俺がこんな性格だから良いものの…悪用される可能性も否定出来ない中で良く個人情報を…。

 

「そのベガって人は、この世界の…どれ位偉いんですか?」

「…え?大祐なら知ってると思って話してたけど」

「全く、分かりません」

「そっか…なら確かに、何処の世界の住人でも無いわね。この世界が複数ある事も知らなかったり?」

「複数?」

 

 うーん…。

 やっぱり思い出せない。

 この世界の事すら思い出せないと、俺の脳内情報が乏し過ぎる。

 人やZ/Xを分かっていても…あ、でも、ベガさんは凄く美人だった気が…?

 

「それじゃあ今から説明するけど、良いかしら?」

「宜しくお願いします。リゲル先生」

「先生って…まぁ、良いわ」

 

 ここからは、リゲル先生の話を片っ端から頭に叩き込む。

…ように努力します。

 

「…コホン。えーと、先ず最初に、この世界は五つあります」

「何故五つもあるので…」

「質問は終わってから」

「…了解です」

 

 リゲル先生…満更でもなさそうやないかい。

 まだ始まったばかりなのに。

 

「ふふ…。リゲル、楽しそう」

「あづみさんは…嬉しそうですね」

「そう…かな?」

「大祐、私の話を聞いてますか?」

「あっ、はい。すみません…」

 

 片っ端から頭に叩き込みたいのは山々だが、リゲル先生について行けない…。

 ここからは、リゲル先生のパーフェクトZ/Xの世界教室が炸裂した。

 俺はあづみさんと仲睦まじく喋りながら、説明を頭に入れる。

 分からない事は聞く。

 

 リソース症候群の事は、また後で聞こう。

 この和やかな空間で聞くというのも野暮というものだ。

 

…そんなやり取りをしている内に、外はすっかり暗くなってしまった。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

「…もうこんな時間ね」

「んー…」

 

 隣にいるあづみさんが、眠たそうに目を擦っている。

 可愛い。

 

「ふぁー…はっ…!」

 

 リゲルさんは欠伸をしていたが、直ぐに俺とあづみさんに見られている事に気付き恥ずかしがっている。

 これまた可愛い。

 

 二人が眠そうにするのも無理は無い。

 俺が転移してきた時の詳しい時間は分からないが、周りが暗いのを見る限り夜が訪れたという事だろう。

 横で虚ろ虚ろとしているあづみさんに、すっかり忘れていた黒いコートを掛けてあげる。

 

「あ、そう言えば、私が倒れちゃった時にこのコート…」

「すみません。外側は汚れているかもですが、内側は大丈夫かと」

「え、えっと…違うの。私が倒れちゃった時に、ありがとうって」

「…コート、使います?」

「えへへ…暖かい」

 

 聞くまでも無かった。

 あづみさんは俺のコートに身をくるみ、すっかり暖まっている。

 

 こんなに可愛い子が自分のコートを着ていると思うと…何だか、うん。

 変な感情が沸いてくるな。

 

 ふと、リゲルさんの方を向くと軽蔑の目で見られている。

 俺、そんなに顔に出してたっけ?

 慌てて平常心へと心を戻す。

 勿論、出ていたかは分からないが顔も。

 

 その瞬間、隣にいたあづみさんが寢オチし、俺の方に倒れて来た。

 危なく受け止める。

…あづみさん、寝るの早いね。

 

「くー…すー…」

「…あづみさん、寝てしまいましたね」

「大祐、膝枕をしてあげてくれる?」

「…はい?僕がですか?」

 

 何故、と言い掛けて止める。

 リゲルさんがすれば良いと思ったが、そうするとリゲルさんが休めない。

 かと言って、あづみさんに硬い地面を枕に寝かせるのは俺もリゲルさんも嫌だ。

 

…要するに、あづみさんの枕になれって話だよね。

 リゲルさんからすれば、俺は唯の道具って認識なのかな。

 少し複雑な気持ちになってしまう。

 あづみさんを膝枕するのは大歓迎だけど。

 

「リゲルさんは大丈夫なんですか?」

「私は平気よ」

 

 一言で返された。

 ならリゲルさんはどうやって寝るんだろうと思っていると、建物の壁に寄り掛かって寢始めた。

 

…なるほどね。

 

「…よいしょっと」

 

 俺はあづみさんをコートごとお姫様抱っこし、リゲルさんの隣に移動する。

 あのままじゃ俺が寝れないのと、あづみさんが近くにいればリゲルさんも安心するだろうという考え。

 俺も壁に寄り掛かり、あづみさんに膝枕をしてあげながら、リゲルさんの隣で目を瞑る。

 

「…本当の事を言えば、親しい人以外とは夜を一緒にしたくないのだけれど…」

「夜になってしまった以上、行動に移すのは危険だからしょうがなく、ですよね?」

「…えぇ」

 

 顔を下に向けているリゲルさんを見て、申し訳無くなってくる。

 それに釣られ、俺も下を向いてしまうが…。

 

「くー…すー…」

 

 目に映るのは、あづみさんの寝顔。

 

…俺の理性が光って唸る。

 この子を襲えと輝き叫…ばないからね、安心して。

 男としてはこんな状況に耐えられないが、襲った瞬間に死ぬ、と思えば耐えられる。

 あ、そう言えばリゲルさんに聞きたい事があったんだ。

 試しに聞いてみまーー

 

「すー…」

 

…いつの間にかに寝てましたか。

 

 まぁ、今日だけで色々あったし、しょうがないよな。

 最後の質問を聞くのは明日にしよう。

 

「ふぁー………俺も寝ますか」

 

 硬い壁に身を預け、再度目を瞑り、睡眠を取る。

 あまり癒されないだろうが寝ないよりはましだろう。

 

 今日の最後に祈る。

…明日、起きてたら死んでませんように。

 

 心の中で祈り続けている内に、俺も寝てしまった。

 

‐‐‐




リゲル先生のパーフェクトZ/Xの世界教室1

・世界は複数あり、赤、青、緑、白、黒と5個の世界が存在する。
・リゲル先生とあづみさんは元は青の世界の者。(現在は裏切り状態なので、何処にも属していない)

・赤はブレイバー、マイスター、ミソス、ギガンティックという種族が存在する世界。
・青はバトルドレス、マーメイド、メタルフォートレス、キラーマシーンという種族が存在する世界。
・緑はホウライ、リーファー、プラセクト、ライカンスロープという種族が存在する世界。
・白はエンジェル、ガーディアン、ケット・シー、セイクリッドビースト、という種族が存在する世界。
・黒はディアボロス、ノスフェラトゥ、トーチャーズ、プレデターという種族が存在する世界。
・リゲル先生はバトルドレス、あづみさんは普通に人間。

・それぞれの世界にいる、姿が人間に似ている者の特徴。
・赤は歴史上の人物、青は機械化、緑は脳内お花畑、白はまんま天使、黒はある意味不老不死。
(リゲル先生の話では、この他にも人間に似ている者はいるという。)
詳しくはまた、リゲル先生に聞いた時に。
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