Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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第四十三話: 『探知』

 ヴェスパローゼさんとの会議を終え、あづみさんの部屋に戻っている途中。

 会議の話を整理する。

 

 ヴェスパローゼさんの急ぎの話というのは、緑の世界に関係する世界各々の状況。

 赤の世界が俺を本格的に殺す為に動き出したという事だ。

 他にも青の世界が、あづみさんとリゲルさんを捕らえる為にオリジナルXIIIに他のバトルドレス達を配下に連れて探しているとか。

 白の世界は特に無し、黒の世界に手を出す者達はいないから此方も問題、異常等は無し。

 というか常に異常みたいな世界だから構う必要は無いらしい。

 

 後は緑の世界。

 此方は少し怪しげな行動を取るZ/Xがいるとかいないとか。

 赤の世界との繋がりが確実じゃない為に、疑えないのがもどかしい。

 というのがヴェスパローゼさんの心境なんだと。

 

 あと一つ、緑の世界で異常が起こっているらしい。

 何でも、木々が枯れ、緑が少なくなっているとか。

 赤の世界に加担した緑のZ/Xが、俺を探しているんじゃないかとヴェスパローゼさんは憶測している。

 まぁ、考えられるのがそれ位しかないから一応はその方向性で動こう。

 

 その後は一緒に会議に同席していたリゲルさんと、声を揃えてヴェスパローゼさんに尋ねた。

 八大龍王で有用性の高い奴は誰かと。

 その結果、難陀(ナンダ)、娑伽羅(サーガラ)優鉢羅、(ウッパラカ)という八大龍王の名が上がった。

 難陀は男性、裟伽羅と優鉢羅は女性とのこと。

 だが、誰が一番有力なのかは計り知れない。

 という事で、へっきーに緑の世界を任せる事にした。

 

 理由は単純、俺が出向いて…もし赤の世界に加担している奴だったら。

 俺は真っ先に殺害対称と見なされてしまうから。

 あづみさんは俺と離れられない、リゲルさんはあづみさんと離れたくない。

 ヴェスパローゼさんときさらちゃんは留守番、A-Zちゃんは赤の世界で顔を見られているからアウト。

 

 という事は必然的にへっきーに任せる選択肢しかなくなる。

 実際、へっきーが俺達と絡んでいる事を知っているのは小数+赤の世界に関係無い人物達。

 放浪者としての立場を生かす事も可能だ。

 

 ん?寧ろ駄目か。

 事情はしっかり説明しておかねば、後でいざこざが起きてしまう。

 これは避けねばなるまい。

 それ以前に、異世界転移者として怪しまれる可能性も十分に有り得るが…リスクを負わねば得られない物だってある。

 八大龍王を味方に付けるのは、少々骨が折れそうな予感だ。

 へっきーなら何とかしてくれると信じて。

 八大龍王の誰と話すのかはへっきー次第だ。

 

 後は序でに、恐らく其処ら辺を相馬氏とほっつき歩いているだろうルクスリアさんを味方に引き込む。

 元々味方であったが故に、話せば理解してくれそうだ。

 出来る事なら相馬氏も味方にしたい。

 あの人の――そう言えば相馬氏のパートナーって誰だ?

 まさか普通の人間って訳では無さそうだし…相馬氏のデバイスを確認する必要がありそうだ。

 勿論、持っていればの話だがな。

 

…まさかルクスリアさんじゃないよな。

 一概に無いとは言えなさそうだ。

 雰囲気だけで、仲が良さそうな事位分かったし。

 

 問題は間違いなく俺だ。

 実は白と黒、どちらの世界に行こうか迷っていた。

 へっきーから聞いた話だと、十二支徒は居なくなっているとか。

 何でも、Z/X狩りが関与してると。

…憶測になるが、そのZ/X狩りって黒布だよな。

 疑いを隠しきれない俺は、へっきーに一つ聞いてみる。

 

『其奴の特徴は?』

『綾瀬嬢の話だと、黒い布を被っているらしいな。』

 

 あぁ、そう、彼奴か。

 

 緑の世界に来る前に、白の世界で十二支徒を殲滅してきたって…

 どんな力だよ、黒布さんは。

 ちょっと其処のコンビニ行ってくるわ程度で十二支徒殺してくんのは止めて欲しい。

 

 いや、相手にしたから分かるけどさ…。

 俺にはどうもあの短剣が強いだけで、黒布自体が強いとは思えないんだよなぁ。

 それともあれか?

 俺と戦った時は手抜きだったとかか?

 冗談は止せよ。

 そ、そんな冗談、つっ通用しねぇからな!(震え声)

 

 だがまぁ、本当にそうなら黒布の力は侮れない…警戒を強める存在になる。

 この話を通じて分かったのは、やはり黒布は生きていそうな予感がする事だ。

 そんな力があるにも関わらず、何故手抜きなんかしたのか。

 態とやられる振りをしたのか。

 俺が止めを刺す為にゼロ距離へ近付き、攻撃している最中に何かをされてバトルドレスが使えなくなった…。

 なんてのも想像出来る。

 実際は違うんだろうけど。

 

 って、黒布の話は後ででも良いんだよ。

 今はどちらの世界に行くか悩む時間だ。

 会議中に決められなかったんだから、朝にはヴェスパローゼさんに確定申告を出さねばな。

 その為に考える…出来れば、極力二人に負担が掛からないように。

 どちらの世界が良いのかねぇ。

 

 七大罪か十二支徒でしょ?

 前者は一人が仲間、後者は先ず不在。

 七大罪はルクスリアさんに協力して貰えば何とかなりそうな気がするが…前提条件として、ルクスリアさんが居なければならない。

 あの方が何処にいるかなんて把握出来ない、ふらーっとその世界から居なくなる事もある。

 うーん…選択肢位にはなるかな?

 優先度は低そうだが。

 

 そして十二支徒。

 てっきり男と女が入り交じっているのかと思いきや、へっきーからの情報。

 

 

『女しかいねぇぞ。』

 

 嘘だろ。

 何て酷い話なんだ。

 という訳で、これは冗談として受け取った。

 勝手な判断だがな。

 

…しかし、もし小数でも十二支徒が存在するのなら。

 その天使さん達を引き込むのは割りと簡単な話だ。

 黒布討伐を一緒の目的として掲げれば良い。

 事実、多分手加減されたとはいえ俺は黒布を一回倒している。

 共に奴を倒しましょうとでも囁けば、ころっと味方になりそうだ。

 

…いや、嘘嘘。

 そんな悪役染みた真似は出来ない。

 もうちょっと正当な理由を付けて対話をしてみよう。

 そこで更に問題が増えるのだが…。

 

 俺は飽くまでバトルドレスありきで黒布を倒したのだ。

 そのバトルドレスが無い現状、どうするかが課題となる。

 

………追々考えれば良いかな。

 もし戦闘になったらなったで、その時対処しよう。

 元から無いと踏んで。

 

 さて、という事はやはり白の世界かな。

 十二支徒なんて早々見付けられないと思うけど…根気強く捜索すれば、いつかきっと会えるさ。

 多分 恐らく きっと。

 朝になったらヴェスパローゼさんやリゲルさんに伝えよう。

 

…うん、会議の内容は粗方こんな感じかな。

 取り敢えず眠い。

 深夜に会議なんてしたもんだから、目が虚ろ虚ろと頭はくらくらする。

 さっさと寝て、明日に支障が出ないようにせねば。

 なけなしの頭脳でそれだけを考え、あづみさんの部屋に入室する。

 会議の時間は大体一時間位だったかな。

 今の時刻はAM1:00と思って良いだろう。

 俺は入室するや即座にベッドに向かう。

 

「あ…大祐くん。お帰りなさい。」

 

 何時の間にかあづみさんが起きていた。

 寝起きなのか、目が完全に開ききっていない。

 例えるなら半開き。

 それに加えて小さな欠伸をしている。

 如何にも眠そうだ。

 

「只今、あづみさん。起きてたんだね。」

「目が覚めた時に大祐くんが居ないから、ちょっと怖くなっちゃって…眠れなかったよぅ。」

「それは申し訳無い事をしたね。」

 

 という事は、俺が戻ってきて安心したから眠くなったって訳か。

 個人的には嬉しくもあり、心配でもあった。

 

「ふぁ…ん…」

「あづみさん眠そうだね。俺も眠くて仕方無い。」

「そ、それじゃ、一緒に…」

「あづみさん、一緒に寝ても良い?今から自室に戻るのは億劫なんだ。」

「う、うん!」

 

 あー駄目だ。

 眠くて眠くて耐えられない。

 落ちてくる瞼に抗おうとすら思わんわ。

 このまま寢落ちしそう。

 兎に角、一旦ベッドにダイブ。

 ボフッという音と共に俺の体全体は脱力していく。

 直ぐ隣には一緒に横になったあづみさんが…

 

「大祐くん、お休みなさい。」

「あづみさん…お休み…なさい…」

 

 俺はその一言を残し、意識を切らした。

 そこから直ぐの出来事、胸元に誰かが近寄ってくるのが分かった。

 あづみさんしかいないんだけど。

 すると俺の右腕は、意もせずあづみさんを抱き寄せる。

 頭は意識が無い筈なのにどうしてか。

 その事実を知ったのは、朝起きてからの話だ。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

「う…あ〜…」

 

 前夜から朝を向かえた。

 俺は目を開けて軽く欠伸をする。

 前世の…何時もなら一人で憂鬱だった朝。

 それも今となってはおさらば。

 俺の胸元には可愛らしい天使が、未だ寝息を吐きながら眠っている。

 その天使を抱き締めている事に今気が付いた俺だった。

 寝る前に気付けとな。

 

「あづみさん…」

 

 しかし、此処で動揺して言動に移してしまうと彼女を起こしてしまう可能性がある。

 俺は静かに天使の名前を呼び、頭を撫で始める。

 

「…んー…?」

 

 あづみさんは目を瞑りながらも、此方に顔を向ける。

 

「えへへ…」

 

 そしてニコニコと、幸せそうな最高の笑顔を見せる。

 一瞬起こしてしまったのかと思って焦った。

 これからは極力手を出さないようにしよう。

 昨日の夜、あづみさんは何時もより遅く寝たのだから。

 その分ゆっくり寝て欲しい。

 

「さて…」

 

 もう少しあづみさんの寝顔を見ていたい気もするが、今日の朝はしなくてはならない事がある。

 取り敢えず自室に戻ってシャワーを浴びて、その後ちょっとした事をして。

 あづみさんが起きてしまう前に戻って来て…と。

 

 一応置き手紙位しておくか?

 いや、直ぐに用事を済ませてしまえば良い事。

 早めに此処へ戻って来るとしよう。

 そう考え、俺は自室に戻ってシャワーを浴びた。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

 風呂場から出て椅子に座り、ドライヤーを使って髪の毛を乾かす。

 ここには何でもあるな。

 ヴェスパローゼさんはどうやって集めてきてるのやら。

 やはり謎だ。

 

 ヴェスパローゼさんの情報や物集めの収集能力は凄まじいなと思いつつ、鏡を見る。

 この長い髪の毛には最早違和感すら感じないな。

 戦闘中に鬱陶しかった時は多々あったが。

…後で切ろうかな。

 ばっさりと、ハゲとまでは言っていない。

 

 そんな事をふと思いながらも、ドライヤー終了。

 やっぱりどうしても気になるので、ヴェスパローゼさんがどんな手段でこんなにも様々な物を収集しているのか、後で本人に聞いてみるとしよう。

 意外な事実が発覚したりしてな。

 

「取り敢えず…試すか。」

 

 ヴェスパローゼさんや髪の毛の話題は一旦ご退場して貰って。

 椅子から立ち上がって、自室のベッドの上に胡座を掻く。

 一番楽なポーズを取りつつ、目を瞑る。

 そして精神統一…ではなく、自身の体の中にあるリソースを体内に閉じ込める。

 

 あ、因みに何時も通りリソース解放能力は使った状態でだ。

 俺はそのリソース解放能力で外に逃げ出すリソースを、無理矢理体の中に抑え込む事で力を溜める。

 

 詳しくは閉じ込めるが正しいな。

 

 この荒技は新たな特殊能力が解放された時に、パッと頭に思い付いた。 これで強制的にリソースを回復する事が出来るのだ。

 

 昨夜解放された特殊能力…『好一対』『自由の剣』『探知』『対話の光』。

 四つある解放された内の『自由の剣』『探知』は、その荒技を使用しないと使えないようだ。

 それが先程の、パッと頭に思い付いたというのに関係している。

 バトルドレスか何かが俺に教えてくれたのだろう。

 荒技の扱いを知らないと、不用物になってしまうからな。

 肝心のバトルドレスが未だ使えないけどな。

 

 因みにその四つの特殊能力。

 詳細が分かっているのは『好一対』と『探知』だけだ。

 『自由の剣』と『対話の光』は、ある一定条件を満たさないと発動不可能らしい。

 それには恐らく、昨日解放されたバトルドレス「ストライク」に「フリーダム」が関与しているのだろう。

 名前だけ合わせれば「ストライクフリーダム」になる。

 自由の剣って此奴だけで使えるスキル的なアレだよな…。

 ってか、バトルドレスが使えないのに良く解放されたな。

 其処ら辺はまだまだ曖昧な部分が多い。

 ちゃんと把握しとかなきゃならないな。

 

…んで、『好一対』というのは名前まんまの効果。

 自分と調和している人物、Z/Xと波長を合わせ互いに限界を超す能力。

 更に詳しく解説すると、人に対しては気という名のエネルギーを、Z/Xに対してはリソースという名の根源を自分の物と絡み合わせる。

 そしてお互いの力の限界の解放、若しくは新たなる力を解き放つ。

 メリットとしては単に戦力上々。

 もう一つは、『好一対』を行う上で互いが調和し合っているか。

 端的に、信頼し合っているかの確認が取れるって話だ。

 良かったね、これで結婚相手の携帯を態々見なくて済むよ!

 

 あぁ、至極関係無いな。

 そのとおりだ。

 

 話を戻して、特殊能力『好一対』。

 これは何時でも発動できる。

 だが、デメリットとして異性しか対象に取れない+先程の話でも既に言ったが、異性の中でも互いに信頼し合ってないと発動出来ない。

 相手の事が好きかどうかも関係してくるらしい。

 まぁこれは実際に試してみないと分からないな。

 

 後は『探知』。

 先程の荒技を行えば発動出来る能力だ。

 Z/X相手限定だが、自分の意識の中にある指定したZ/Xが何処にいるかを、千里眼的な感じで確かめられる。

 

 補足として、これを含めた三つの特殊能力は荒技を行わなければならない為に、バトルドレス装備中は先ず使用出来ない。

 生身の時のみ使用可能と、少々扱い辛さが目立つ。

 今からやろうとしているのは、この『探知』って能力だ。

 

「えーと…先ずはリソースを溜め込む…」

 

 それを発動させる為、最初に荒技を使用する。

 が。

 

「うぇ?…何だか上手くいかないな…」

 

 自分から常に放出しているリソースを、無理くり体に閉じ込めるのだ。

 初めからそう上手くなんていく筈がない。

 無意識に出ていくリソースを、意識的に溜め込む。

 作為と無作為、純粋な天然とぶりっ子の差だ。

 一人で正反対の事を同時するなんて、慣れが無くては成し得ない。

 頑張るしか他無いのだ。

 

 そして三十分程。

 

「…よし。」

 

 漸く荒技の完成。

 自分の体の中に、リソースがたんまりと感じられる。

 正直、口から出て行きそうな…やめろ、リソースは嘔吐物じゃない。

 キラキラモザイクなんて掛ける必要ないから。

…っと、今は兎に角集中集中。

 

「次は…」

 

 溜めたリソースを一気に吐き出す。

 

…いやだから、嘔吐じゃないって。

 吐き出すってそっちじゃないから。

 トイレになんて行く訳ないから。

 

 じゃなくて。

 違う言い方をすれば、解き放つと言えば良いか?

 どう言えば伝わるかなんて面倒臭い事を考えながらも、新たに開花した特殊能力を発動させる。

 

「『探知』」

 

 俺がその言葉を放った瞬間。

 体の中に溜まっていたリソースが、全て解き放たれる。

 丸で花火の様に。

 

 しかし、実際に見える訳ではない。

 飽くまで感覚としての話だ。

 この世にリソースが見える奴なんていないだろうからな。

 ルクスリアさん…彼女も感覚として、俺のリソースが温かいと言ってくれただけだし。

 リソースが見えたらどんなメリットがあるのか、ちょっと気になってくる。

 

「えーっと、何処にいるんかな…」

 

 それよりも、今やっている事に気を移そう。

 

 あ…この『探知』を使って誰を探しているのか。

 分かる人はいるかな?

 ルクスリアさん?

 NO、違いますね。

 確かにルクスリアさんも大事だが、それ以上に心配している娘(こ)がいる。

 

…バンシーちゃんだ。

 

 俺は黒布との戦いからヴェスパローゼさんという二連戦の後、倒れてしまった。

 だから、オリジナルXIII戦の時に危ないから隠れててと言ったきり。

 彼女の姿は見ていない。

 

 探す努力はしたのかって?

 あぁ、したさ。

 何時もどうすればバンシーちゃんを見付けられるか考えていた。

 あづみさん、リゲルさん、A-Zちゃんには内緒できさらちゃんとケーキ屋に行った時に色々な場所を探してみたし。

 

…ってか急に話を変えるが、ここって本当に日本なのか?

 今までの経験&探索してて思ったが、確かに人はいるし街もある。

 だが、観光スポットというか…その都道府県特有の目立つ物がない。

 

 黒の世界だと…東京に埼玉、千葉や神奈川だから。

 一番分かり易いのは東京タワーか。

 うーん…東京タワーはでかいから目立つ筈なんだけど――それすら見なかった気がする。

 だってさ、見たら一発で分かるじゃないか?

 小鴨の中に一匹だけ白鳥が混ざってるのと同じだよ。

 いやぁ、白鳥は群れるから例えとしては合っているのかないのか…。

 

 って、どうでも良いよ。

 兎に角、それが無いから此処が日本なのか怪しんでるって事。

 どちらかと言えばファンタジー色の強い世界というか。

 日本は既に滅んでいて、新しい世界がこの世界的な。

 

 ないな。

 ない。

 絶対に有り得ない。

 例え神様が、この世界の創成者が言おうが有り得ない。

 

…あ、待て、創成者が言ったら流石に信じる。

 そこまで俺も馬鹿じゃない。

 って、こんな下らない話は後で幾らでも一人で出来る。

 今はバンシーちゃんを探すのに専念しよう。

 yes・THE・ボッチ。

 うっせぇ!

 

…取り敢えず、バンシーちゃんのリソースを感じれれば勝ち確だ。

 その後は彼女の姿を脳内に浮かべるだけ―――

 

「あれ、リソースが確認出来ない…。もしかして緑の世界にはもういないんか?」

 

 これは想定外だ。

 てっきり緑の世界で放浪、それかルクスリアさんが見つけてくれてると思ったのだが。

 しかし後者は良いとしよう。

 ルクスリアさんという安心枠がいるから。

 問題は前者だ。

 緑の世界領地内で黒の世界のZ/Xがいるのは可笑しい話。

 それがルクスリアさんと同じ位の力を有しているのなら話は別だ。

 けど、バンシーちゃんはそんなに強く無い筈。

 もしかして…プラセクト達みたいな凶暴なZ/Xに襲われて逃げた、とか。

 

…逃げたなら良い。

 最悪……死んでしまった可能性も……

 唯唯緑の世界を放浪しているのであれば、この『探知』を使って見付け出し、今直ぐにでも此処へ連れてくるのだが――

 

「くそっ!何をしているんだ、俺は…!」

 

 最悪の事態なんて考えたくもない。

 バンシーちゃんは生きている、だから此処へ連れてくる。

 それだけで充分なんだ。

 バンシーちゃんは、死んでいない。

 

 そうやって自分に言い聞かせないと、この場で暴れ出しそうになってしまう。

 誰が、俺がだ。

 無力、更に口だけ、そんな自分に苛々が限界だ。

 一体、バンシーちゃんを探すのにはどうすれば………。

 

 コンコン

 

 と、不意にドアをノックする音が頭に響いた。

 その音で自分を取り戻し、一旦冷静になる。

 慌てるな落ち着け。

 焦っても良い事が無いって言ったのは何処のどいつだ?

 しっかり順を踏んで、今やるべき事を最優先にしよう。

 有り難う、ドアをノックしてくれた人。

 君は僕の救世主だ。

 

 コンコン

 

「あー、今行きますー!」

 

 少し大きな声をドアをノックしている人に向けて発し、胡座を解いて立ち上がる。

 朝っぱらから誰だろうか。

 まさかあづみさんが起きてしまった…とか。

 取り敢えずドアを開けよう。

 そう思ってドアノブを引く。

 すると其処にいたのは………。

 

「おう、おはよう!ちょっと話したい事があって来ちまったぜ☆」

「…へっきー………」

 

…これは、俺の救世主じゃない。

 

‐‐‐

 

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