Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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第四十四話: 記憶

 

「…んで、話って?」

 

 俺はへっきーを自室の椅子に座らせて、質問を投げ掛ける。

 リゲルさんが来た時はベッドの上に座らせてあげて、俺が椅子だったが。

 相手がへっきーだとこの扱い。

 リゲルさんの時とは真逆だ。

 これこそ、親友だから、出来た事。

 

「いやぁ、悪いな。朝から。」

「大丈夫だよ。…で?」

「まぁ待て。そんなに急かすな。」

 

 いや急かす。

 俺はさっさと用事を済ませて、あづみさんの寝顔が見たいんだ。

 その為ならば例え相手がへっきーでも、押し通してみせる!

 

「大祐…お前なんで構えてんの?」

「ん?あぁ、気にしないで。」

「気になるわ!!」

 

 出ました!

 何時もの突っ込み!

 本来なら逆の立場なんだけどね!

 

 前世でもこんな事してたなぁ。

 凄く懐かしく感じるのは何故だろう。

 懐古とはこういう事を言うんだな。

 

「それよりも本題。」

「切り換えはえーな!」

「俺の事は良いから。」

「…はいはい分かった。」

 

 少し呆れ気味なへっきー。

 何時もやっていたからこそ、呆れてきてるのか。

 でもなへっきー。

 前世だったら俺がそれを味わっていたんだからな。

 まさか忘れたとは言わすまい。

 なーに、その代償が今此処で返って来てるだけって思えば済む話さ。

 ハハハハハッ。

 

「んじゃ、話すぞ。…大祐、今さっき何してた?」

「はい?」

 

 今さっき?

 リソースを溜め込んで、それを解放して、特殊能力を使ってただけですが。

 その前にシャワーを浴びてた――え、嘘だろ。

 へっきーってもしかすると…HOMOか!?

 

 ごめん、嘘、ない。

 G・U・N。

 ゴキブリ、ウワッ、ナイワー…なんて読み方も出来るな。

 する必要性が丸で皆無だが。

 

「一瞬…それよりもっとか、大祐のリソースが乱れた気がしてな。気になって来た。」

「…えっ、それだけ?」

「それだけって、あのなぁ…」

「俺は普通に、昨日解放された能力を試してただけだよ。」

「あぁそう…なら良いや。じゃあノン。」

 

……ファッ!?

 いや何しに来たのこの人!

 目の前で徐にドアノブを掴んで、引いて。

 ナチュラルに出てったけど!?

 しかも何も言わないで。

 

「な…ははっ、へっきーらしいな…」

 

 丸で俺の急な態度の変化を、ブーメランとして返された気分だ。

 全くもって、厄介な人だ。

 良い意味?悪い意味でな。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

 へっきー、朝から随分テンションが可笑しかったな。

 俺が言えた事ではないか。

 寧ろ可笑しいのは俺の方だったりして。

 否定はしない。

 肯定もしない。

 所謂どちらでもない、普通の俺って事だ。

 この発言をした時点であまり俺らしく無いが。

 

 さて、バンシーちゃんの事は追々解決していくとして。

 今は…丁度9時か。

 そろそろあづみさんの部屋へ戻らねば。

 別に急なあれではないが、既に起きていたら申し訳無い。

 その前に戻ると決めたのも自分だし。

 これ位はやってみせなきゃな。

 唯あづみさんの部屋に向かうだけなのに、やってみせなきゃなというのはそれこそ可笑しいか。

 

 兎に角、俺は無駄な思考を削いであづみさんの部屋へ歩む。

 途中、起きていたA-Zちゃんに挨拶をしてから。

 因みにその挨拶とやらは一言交わすだけだけどな。

 

『おはようございます、ますた。』

『あぁ、おはよう。』

 

 それは良いとして、着いた。

 取り敢えず部屋に入室する。

 入って直ぐにベッドを見てみると、あづみさんは未だ寝ていた。

 何とも癒される寝顔だ。

 何時までも見ていた…いや、何時までもは駄目だろ。

 それはあづみさんに失礼な話だ。

 深く反省。

 

「…にしても、何故故こんな可愛いのやら。あづみさんといいリゲルさんといい。A-Zちゃん、きさらちゃんも。」

 

 ヴェスパローゼさんは…どちらかと言えば美しい方に入るのかな?

 あの人が人間だったら凄い美人なんだろう。

 いや、蜂の腹部を尻尾みたいに生やして、尚且つ肌の色がグレーっぽいのに美人と感じる。

 という事は、態々人間である必要はあまり無い?

 抑ヴェスパローゼさんは人間じゃない。

 人形ではあるがな。

 

 何にせよ、ヴェスパローゼさん最大の魅力と言えばあの優しさだろう。

 あの方は本当に器の大きい女性だ。

 最近はその優しさに少し不安感を抱きつつあるがな。

 あまりに優し過ぎて利用されてるんじゃないかって思う程だ。

 だが、ヴェスパローゼさんに限ってそれは無いだろうと信じたい。

 

「…早くバトルドレス戻んねぇかな。」

 

 不意に口にしてしまったこの言葉。

 ヴェスパローゼさんが裏切る可能性は無しと考えて尚、やはりバトルドレスという力が無いと精神其の物が安定しない。

 何時もはその強大な力を使って大切な人を守れていた……そんな力を失ってから、未だに復活の見込みはゼロ。

 このままじゃ何も守れない。

 それに俺が不安で不安で仕方がない。

 若しもの事があってからじゃ遅いんだ。

 赤の世界や青の世界に詰められる前に、バトルドレスを取り戻さなければ。

 

「十二支徒も確実にいる訳じゃないし…此方の戦力が安泰するまで高くなるまでは、気が抜けないな。」

「……大祐…くん…」

「あづみさん?」

 

 ふと、あづみさんから名前を呼ばれたのに気付いてベッドを向く。

 すると彼女はまだ寝ていた。

 寝言なのだろうが夢でも俺、参上!してるって…

 いやまぁ俺として嬉しい限りだけどさ。

 

 あー…駄目だな、あづみさんの寝顔を見てると頭を撫でてあげたくなる。

 とか言いながら、既にあづみさんの隣にお邪魔して撫でてるんだけどな。

 相も変わらず手を出すのが早いと自覚する。

 

「…んにゅ…」

 

 おー、あづみさんがニコニコしながら凄く可愛い笑顔を此方に向けてる。

 ってか、んにゅって何だ、んにゅって。

 あづみさんが言うと超絶可愛いじゃないか。

 

…改めて思うが、こんなにも愛らしくて可憐な絶世の美少女と、俺なんかが恋人関係なんだよな。

 しかも両想い。

 釣り合ってない事位は分かってるが、それを本人に言うと怒られそうだ。

 黙っておこう。

 

「…大祐くん…好き…」

「あづみさんの寝言は…耐えるのに悶絶するな。」

「…んっ…んん…」

「おっと、大丈夫かな?」

 

 何故か頬を紅潮させながら声を上げるあづみさんが心配になる。

 変な悪夢でも見ているのだろうか。

 しかも俺の名前を呼びながら悪夢を見るって………え、なに?あづみさんの夢の中では俺が悪役的なアレ?

 でも、声を出すのを我慢してる風でもあった。

 彼女の夢では何が起きているんだ…。

 

 そんなあづみさんを観察しながら三十分程。

 ずっと見ていても飽きが来ないなんて凄いな。

 流石あづみさんの寝顔。

 少し悪戯をしたいという欲求に駆られ、彼女の頬を突く。

 

「おぉ…!?これは…」

 

 あづみさんの頬っぺたを人差し指で突くと、ぷにぷにとした感触が返ってくる。

 例えようの無いそれは、堪らなく癖になりそうな感触だ。

 柔らかい等と、そういった物ではない。

 もっとこう…なんて言えば良いのか。

 やはり例えようがない。

 永遠にぷにぷにしていたい。

 

「…んみゅ…」

 

 寝言は言うが、まだ起きない。

 そろそろ起こさなければ後の事に支障を来してしまう。

 

…ま、良いけどね!

 あづみさんが幸せそうに寝ている、ならば邪魔はするまい。

 俺は突く手を止め、再度あづみさんの観察を始める。

 眠れるのであれば十分に寝てから行動に移した方が、万が一の事態を事前に避けられる。

 

 これは前世に居た頃に学んだ教訓だ。

 

 ある日、丸1日睡眠を取らないで外に出掛けて危うく車に轢かれ欠けた。

 更にその後は目眩が症状として表れ、挙げ句の果てには偏頭痛を起こす始末。

 

 あれは最悪な1日だったな…思い出したくもない。

 どんな状況であろうと、睡眠は大切だ。

 寝た方が絶対心身共に楽になる。

 

 そりゃあ、チェーンソー持ったどこぞのジェイ○ンに追っ掛けられてるとかなら止めた方が安全だが。

 じゃない限りは寝よう。

 一時間でも良いから、これ大事。

 

 そうやって一人、誰に対して言っているのかも分からない話を心の中でしていると。

 

「んっ…ふぁ〜…」

 

 あづみさんが体を横にしたまま、目の前で背伸びをした。

 それでから瞼を開けて、まだ眠そうな瞳でキョロキョロして、直ぐ隣で寝転んでいる俺を見て。

 

「だっ大祐くん!?…どうしてここに…?」

「どうもこうも、昨日の出来事を忘れちゃった感じ?」

「昨日の―――あっ…」

 

 俺の言葉に、あづみさんは昨夜の告白を思い出したのか。

 ハッとした後、顔を真っ赤にさせて布団に埋めた。

 

 俺は何を思ったのかその布団を剥いで、あづみさんの赤に染まりきった顔をじっと見つめる。

 素直に、自分でも何をしているか意味不明だ。

 しかし一つだけ分かる。

 

「うー…あ、あまり見ないでよぅ///」

 

 この反応を見たくて思わず手を出したのだろう、と。

 

「ごめんごめん。あづみさんの可愛さについ。」

「むー…」

 

 赤くなっていた頬を、今度はぷくーっと膨らませるあづみさん。

 俺はさっき、この頬っぺたをつんつんしてたんだよな。

 またしたい。

 という衝動に駆られる。

 

 ヤっちゃ駄目と、誰かによく似た天使が右上に現れる。

 ヤってしまえと、誰かによく似た悪魔が左上に現れる。

 

 お前等ふざけんなよ。

 やるの字がヤるになってる時点でアウトだわ。

 お前達みたいな馬鹿に拒否権は無い。

 さっさと失せろ、若しくは消えろ。

 

「大祐くん…?表情が険しいけど、何かあったの?」

「いや、五月蝿い小物を駆逐したかっただけ。」

「くちく?」

「…やっぱり何でもないよ。」

「?」

 

 意外な事実が発覚。

 まさかの、あづみさんは駆逐という言葉の意味を知らない。

 確か中学一年二年、どちらとも学校に行けなかったんだっけか?

 それどころか小学六年生の時に意識を無くして、この世界に転移してしまった…だったかな。

 俺も何時まで記憶が曖昧なんだ。

 記憶、バトルドレス、何れかは返してくれ。

 じゃなきゃ生きていけない、物理的に。

 

…って、駆逐の意味すら分からないのか。

 今更ながら、それはそれで重大な事なんじゃ?

 

 確か…体が目的で襲われるっていうのを伝えたら、それすら知識が無かったような。

 まぁリゲルさんも分かってなかったな。

 二人共、特にあづみさんは知識的に欠けている部分がある。

 此れからは、知っている事は俺が教えてあげなければ。

 無論、リゲルさんにも。

 

「あー、あづみさん。ちょっと質問なんだけど。」

「?」

「胎児って、どうやって産まれてくるか知ってる?」

「…えっとね…たいじって、あの退治…?」

「マジかよ。」

 

 最早胎児すら知らないとは…しかも退治と間違えたよ。

 これは危険だ、あまりに危険過ぎる。

 あづみさんみたいな可愛い女の子を狙っているクソ野郎共に変な事を唆されて、いつの間にか子供が―――

 

…それは、それだけは絶対に駄目だ。

 何が何でも駄目だ、許さない。

 例え、もし…もし俺が相手であろうと、あづみさんと子作りなんて。

 絶対にしちゃいけない。

 そう、絶対に。

 

「…えーとね、胎児っつうのは所謂赤子の事で。」

「あかご……赤ちゃんの事?」

「そうそう、俺は胎児や赤子の方が言い易いからそう言ってるんだけど。」

 

 赤ちゃんなんて呼べない。

 理由は不明だが恥ずかしい。

 女性が言う分には何等問題無いが。

 

「…その赤子って、どうやって産まれてくるか――いや、前提として――どうやって作るか知ってる?」

 

 まだ14歳のあづみさん。

 本来は教えちゃいけないのかもしれない。

 

 だが、実際は大人になってからじゃ遅い。

 早過ぎず、且つ遅過ぎずの今の年齢が一番の知り時だろう。

 

 況してやあづみさんは、赤の世界で汚い大人に襲われたのだ。

 それが何れだけ危ない事なのか、知識程度は知っておかないと。

 

「んとね…確か、こうのとりさんが運んで来てくれるってお母さんが言ってたよ?」

 

 鸛…?

 こうのとり…?

 what's?

 あづみさんのお母さんが誰かは分からんが、鸛は流石に無いよな…。

 あの鳥がどうやったら赤子を運んでくるんだよ。

 至極謎に思う。

 

…それにお母さん、か。

 懐かしい響きだ。

 俺はお母さん等と呼ばずにふざけて母上なんて名称付けたら、ずっとそのままだったな。

 まぁ…今は死んだ人間の話しなんてどうでも良い。

 それよりも凄く気になっている事がある。

 

「あづみさんのお母さんってどんな御方なんだい?」

「お母さん?………うん。」

 

 軽い気持ちで訊ねてみると、暗い表情であづみさんは顔を俯ける。

 その瞬間、俺は地雷を踏んだと察した。

 

「あ、ごめん…無理に答えなくていいよ。」

 

 頭の中で謝罪の言葉を繋げる。

 然しながら、ごめんとしか言えなかった。

 何時も通りの無能っぷり。

 

 それでも、俺はどうしようか必死に考える。

 後頭を気不味く掻きながら目を逸らし、チラッとあづみさんの表情を伺うかの如く見る。

 

 するとあづみさんは、此方に少しずつ体を寄せてきた。

 何事かと不思議に思いながらも、彼女の体を受け入れる。

 

「私…お母さんの事も、お父さんの事も…あまり覚えてなくて。どんな人かも忘れちゃって…」

「あづみさんは何歳の頃に此方の世界に?」

「今から三年前…ブラックポイントが現れてリソース症候群で倒れたから…多分その時位かな。」

「三年前…あづみさんはまだ11歳か。」

 

 となると、今はブラックポイント出現から三年後。

 各々の世界が特徴的になっているのも可笑しくない話か。

 青は機械が主に、感情という心が不必要な世界に。

 それがこの世界に転移してきた場所が、彼処まで廃墟廃墟していたのに関係あるのか。

 

 寧ろありまくりだ。

 自分達の生きていく為に必要な場所以外は、存在価値すら無いという事。

 更に其処から連鎖的に考えれば、その場所にいる人間諸共同類。

 邪魔な奴等は殺すという事か?

 幾ら何でも酷過ぎる。

 

…そして、思い返せばあの風景は最早日本じゃない。

 建物は壊れ、人一人居らず、徘徊しているのは機械。

 恐らく少ないであろう生きている人間の領域にすら、目的の為なら踏みいる。

 

 あぁ、Xちゃんと初めて戦った場所だ。

 もしあの場に俺達がいなかったらどうするつもりだったのだろう。

 見付かるまで街を破壊し続けたってか?

 

 俺も街の事を視野に入れずに暴れていたから、あまり言えない。

 だが、あのまま黙っていた方が悲惨な事態になっていただろう。

 彼奴等には人間等、下等な物としか認識していない。

 そう、者ではなく、物だ。

 機械みたいに、感情すら持たない彼奴等にとっては…。

 

 そして赤の世界。

 至って普通にZ/X王国が完成しようとしている。

 前に訪れた時には人間のにの字もなかった。

 

 流石にギガンティックと呼ばれる種族は居なかったが、至るところにブレイバー、あんなところにブレイバー、直ぐ側にすらブレイバー。

 何処にでもZ/Xがいるという、わんさか大国と化していた。

 其処に元の日本の姿は見当たらない。

 きっと、赤の世界の住人に変えられてしまったのだろう。

 酷い話だ。

 

 んで、次は黒の世界。

 彼処は…いや、語るまい。

 どんよりと重い空気が常日頃漂っており、建物は崩壊、プレデターがうじゃうじゃと湧いている。

 ディアボロスやノスフェラトゥ、トーチャーズを見掛けないのには何か理由があるのか?

 混沌とした黒の世界の諸事情なんて知りたくもないが。

 

 それに、底の見えない真っ黒なあの世界には出来れば首を突っ込みたくない。

 何れは七大罪を引き入れなければならないが為に、無理矢理突っ込みにいくけどさ。

 それ以外の関わりを持ちたくない世界だ。

 

 そして緑の世界。

 此処は随分と草木が生い茂っており、人の住める場所は無さそうとしか思えない。

 

 まぁ、どの世界にも言えるけどさ。

 あとは皆で買い物をしに行ったあの街、設備が割かしちゃんとしている。

 普通に人が歩いていたし、車が走っていないのにも関わらず道路があった。

 彼処の道路、街を抜けたら途切れてんだろうな。

 可哀想に。

 結論、緑の世界は他世界に比べて安全という事は分かった。

 

 残るは白の世界だが、まだ俺達には未踏の地だ。

 その点から白の世界に行くというのは、間違った選択では無かった…筈。

 偵察がてらとでも思って軽く行けば良いか。

 本来は十二支徒引き抜き大作戦なんだけど。

 

 こう考えると、三年という月日はこの世界を大きく変えたって事なのか?

 

…だが、違和感が否めない。

 確かZ/Xのストーリーは三年経った現在からがメインだったような気が…。

 思い出せ、意地でも。

 

 別に記憶を失った訳じゃないんだ。

 唯忘れているだけで。

 そう信じれば、思い出せそうだ。

 俺は、眠そうに虚ろとしているあづみさんを片腕で抱き締めながら、目を瞑って記憶を辿る。

 この世界に転移してくる前…の事は覚えているから、Z/X原作のストーリーを。

 

…確かあづみさんとリゲルさんは当初、最初から緑の世界に行く予定で――その旅の最中に青 千 って子と彼女のパートナーZ/X 胆に協力して貰って――

 

 俺は兎に角、記憶を取り戻そうと必死になっていた。

 このまま行けばきっと思い出せる。

 やれる、俺なら。

 

 その青葉千 って子に協力して貰った後、八大龍王の   の御蔭でリソース症候群が緩和。

 その八大龍王の話を聞き、モ  と言われる、リソース症候群を治す事が可能な神木を探す旅を続ける。

 全てはあづみさんの不治の病を完治させる為に。

 リゲルさんはあづみさんを守り、庇いながらも貪欲にモ  を求める。

 例え自らが犠牲になろうとも。

 

 道中、クリスマスや年越しが訪れ、サー  マータや 城出 といった人物と知り合いになる。

 

 その後、あづみさんが攫われる事件が起きるも青葉千 等と協力。

 あづみさんは無事にリゲルさんの元へ帰ってきた。

 

 そんなこんなで更に旅をしていると八大龍王の一人、跋 陀と出会う。

 だが、そいつから知らされた事実はあまりに酷なものだった。

 モ ギにリソース症候群を治す効力は無いと。

 抑、モ ギと呼ばれる神木の正体は――

 

 と、穴抜けながらもここまで順調に記憶を取り戻していくが。

 モ ギとやらの正体を思い出そうとした瞬間。

 

「――がっ!?」

 

 急な激痛が頭から始まり全身に響き渡る。

 丸で茨の鎖に縛り付けられる様な…そんな激痛が。

 

「大祐くん…!?大丈夫っ!?」

 

 激しい痛みに体が悲鳴を上げる。

 それでも、俺を心配してくれているあづみさんを不安にさせない為に声は上げない。

 

 彼女は俺の苦痛な表情を見て、何か出来る事は無いかと焦っている。

 やはり声を出すのを我慢するだけじゃ駄目か。

 かといって、大丈夫と態度で示すのは厳しい痛み。

 ここは言葉で何とかしなければ。

 

「い、今リゲルを呼んでくるから!」

「いえ、あづみさん…心配、要りませんよ…」

「でもっ…」

「大丈夫、だから…迷惑掛けて、済まない…」

「どうして…謝るの…?」

 

 あづみさんは切なそうな瞳で、俺の瞳を見つめる。

 透明度の高い彼女の瞳に、吸い込まれていきそうだ。

 一方で、彼女の瞳に映る俺の瞳は曇っていた。

 一体…この体に何が起こったんだ。

 

 五分程痛みに苦しみ、落ち着くまであづみさんが傍で俺の手を握っていた。

 

「……ふぅ……やっと…治まったか。」

「良かった…」

「有り難う、あづみさんの御蔭だね。助かったよ。」

 

 そう感謝の言葉を述べると、あづみさんはテレテレと視線を逸らす。

 

「えっと、私は何もしてないよ?」

「いやいや、手を握ってくれてたじゃないですか。」

「あ、あれは…私自身が怖くて…大祐くんが凄く苦しそうだったから。」

「この位で死にゃしないよ。生きてあづみさんと添い遂げたいからね。」

「ふぇぇぇ///」

 

 俺としても心配だったが、良かった。

 いつも通り気の抜ける可愛い声で驚いてる。

 

 しかし、さっきの激痛は何だったのだろうか。

 俺の弱点である頭から痛み始またのも気に掛かる。

 思い出せた記憶も、人やZ/X等の重大要素は穴抜けだった。

 更にはモ…ギと呼ばれる神木の正体を知る寸前でこんな事に。

 何か関係しているのか少々引っ掛かりがあるが、分かった事が一つある。

 

 

 無理に記憶は辿れない。

 

 訳は分からないが、思い出そうとした分だけ代償が襲い掛かってくる。

 のか、ある重用ワードの詳細を知ろうとすると駄目なのか。

 下手な詮索は身を滅ぼしそうだ。

 それがあづみさんとリゲルさんの幸せに繋がるのであれば、躊躇無く行動に移すけどな。

 だが、最近思う事もある。

 

 俺が居なくなったら二人はどうなるのだろうか。

 

 誰かが二人を守ってくれるのだろうか。

 

 命に代えてでも、二人の幸せを掴み取ってくれる人物は本当にいるのか?

 

…記憶さえ、あづみさんとリゲルさんの軌跡さえ思い出せれば全て済む話なのに。

 頗るもどかしい。

 そこを完全に思い出すまでは、死ねないという事だ。

 今二人を守ってあげられるのは、俺だけなんだから。

 

…可成話が逸れてしまった。

 あづみさんの話題に戻ろう。

 

‐‐‐

 




これからも週一更新が多くなってしまうと思います。
ですが、ある期間を過ぎたら一気に更新させて頂きます。
読んで下さっている方々には申し訳御座いませんが、御了承願います。
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