Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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四十六話: 出発の日

「…という訳で、俺達は白の世界に行かせて頂きます。きさらちゃんはどうしますか?」

 

 自室に戻り準備を済ませ、ヴェスパローゼさんの部屋へ、彼女に自分が赴く世界を伝える。

 因みに準備といっても手に持つ物は無い。

 全てバトルドレスに仕舞えるから。

 その仕舞う物すら少数だが。

 

「分かったわ、それじゃあ宜しく頼むわね。きさらは…まぁ連れて行きたかったら勝手にどうぞ。」

 

 ヴェスパローゼさんの反応に、何時も違和感を感じる。

 丸できさらちゃんをパートナーとして認識していない様な喋り方だ。

 かなりドライな関係なのかもしれない。

 双方はこれをどう思っているのか。

 

 取り敢えず、きさらちゃんは連れて行っても良いとの事。

 付いてくる分には俺は一向に構わない。

 後はきさらちゃん次第だ。

 

「最低二週間程…最悪一ヶ月以上は彼方にいるかもしれません。」

 

 十二支徒を見付けるまでに一週間、そこから交渉等で味方に引き入れる期間を一週間。

 場合によってはこの期間を先伸ばしする他無い。

 もしそうなってしまったなら、きさらちゃんにヴェスパローゼさんへの伝言を頼む。

 デバイスからなら確実だろう。

 その為にきさらちゃんを連れて行くというのも一考か。

 

 兎に角、俺は自分の成すべき事を果たすだけ。

 十二支徒の問題をさっさと片付け、赤と青の世界に打ち勝つ戦力を手にしなければ。

 

「では、きさらちゃんをお借りする方向性で。」

「えぇ、お好きになさい。」

 

 それだけを伝え、俺は部屋から退出した。

 

…やはり、きさらちゃんに対して冷たい。

 ヴェスパローゼさんにとってきさらちゃんという存在は、何の為にいるのだろう。

 只のパートナー関係なら良いのだが、それに限った話では無さそうだ。

 

 これをきさらちゃん本人は、どう感じているのか。

 白の世界で暇を持て余した時にでも聞いてみるか。

 ヴェスパローゼさんの事をどう見ているのかって。

 

 きさらちゃんは純粋無垢な子だから、どう答えてくれるかなんて分かりきってはいる。

 きっとヴェスパローゼさんに良い印象しかないのだろう。

 俺もその意見に何の否定も無い。

 

 だが、彼女の優しさの矛先が俺にだけ向いているのが気に掛かる。

 良いように使われているとだけは考えたくないものだ。

 俺はヴェスパローゼさんの優しさを信じている。

 からこそ、裏切られるなんて可能性は切り捨てたい。

 

 切っても捨てれないのが今の俺とヴェスパローゼさんの関係だが。

 

「…という訳で、きさらちゃんはどうする?残りたいなら――」

「いくっ!」

「って事で、彼女は連れて行きます。異論はありますか?」

 

 ヴェスパローゼさんの部屋から退出して直ぐ、自室へ戻る。

 すると既にあづみさん、リゲルさん、A-Zちゃん、きさらちゃんが部屋に集まってくれていた。

 最後の確認がてら、きさらちゃんの件についても意見を聞きたいと思い、三人を呼び出した。

 

 ヴェスパローゼさんの部屋へ行く前に声を掛けた筈だが、二言三言交わして自室に戻って既に集まっている。

 流石の行動力としか言えない。

 是非見習いたい。

 

「まぁ…その子が野宿に慣れているなら良いんじゃないかしら?今日からは眠る場所も不確定な訳であって…先ず寝れるかも怪しいからね。」

「私は良いと思うな。あの人と直接、連絡を取り合えるのがきさらちゃんだけだし。何より、きさらちゃん自身が付いてきたいんだよね?」

「うゆっ!」

 

 きさらちゃん、珍しくうぃって言わない。

 うゆなんて返事をされた事は一度も無いぞ。

 

 それよりもあづみさんと凄く仲良しだ。

 二人の間に隔たりが無く、笑顔で話している、それが何よりの証明。

 仲睦まじいのは良い事だ。

 きさらちゃんとあづみさんは気が合うのか、兎に角俺は嬉しい。

 二人が仲良くなってくれて。

 

 問題はリゲルさんなのだが、無理する必要は不用だ。

 けど…それでもきさらちゃんと仲良くなって欲しい。

 俺の一つの願いだ。

 

「ますたが決めたのであれば、否定はしません。」

「三人共有り難う。」

「…大祐くんの傍に居たい気持ちは…分かるから…」

「あづみ?」

「リゲルもそうだもんね。」

「えっと…何の話かしら?」

 

 さて、きさらちゃんの件は済んだとして。

 遠目で様子を見ている限り、あづみさんとリゲルさんの会話が成立していない。

 これもまた珍しい事だ。

 何時も楽しそうに会話を交えている二人が、こうも話の焦点が合っていないとは。

 一体どうしたんだ?この場合はあづみさんに向けてだ。

 

 小さな声でリゲルさんに話し掛けたのであろうから俺には聞こえなかった。

 内容も想像出来ない。

 二人の話をそんな容易く思い浮かべれる程、共に長期間を過ごした訳では無いからな。

 時間だけで言えばかなり短い。

 

 でも、その間にあづみさんと俺は互いに引かれ合って、こうして結ばれたんだ。

 彼女に感謝しなければなるまい。

 あづみさんの初恋相手が俺なのは、勿体無い気がするのだが…素直に喜ばせて貰おう。

 大好きなあづみさんとゴールイン出来て、本当に嬉しい。

 この世界に転移して、自分の中での一番の幸せをかっ攫うかの如く俺を舞い上がらせる事実だ。

 

 何故一番じゃないかって?

 それは勿論一番だ。

 

 しかし、俺の中での一番は揺るぎ無い。

 あづみさんとリゲルさんに出会えた事自体が、俺の一番の幸せだ。

 

 確かに先程の事実に揺らぎはしたが…一生変わる事が無いだろう。

 だが、あづみさんと結ばれたという幸せは、それと同じ位に俺の大切な宝物だ。

 故にどちらが一番なんて選べない。

 どちらも一番なのだから。

 

「一応言っておきますけど、きさらちゃんとあづみさんは常に俺と居て下さい。リゲルさんはご自由に、A-Zちゃんには単独行動を頼むかもしれない。」

「ますたの指示に従います。」

「私はあづみと一緒に居させて貰うわ。」

「きぃ、だいすけにつぃてく!」

 

 三人各々が良い返事を返してくれた。

 だが、あづみさんだけが答えてくれない。

 五人でこの部屋に集まって話し始めた時から、ずーっと俺の事を見ている。

 何だかぼーっとした感じで、頬を赤くさせながら。

 熱でもあるんじゃないかと心配になる。

 

「あづみさん?」

「あづみ、どうしたの?」

「………」

 

 おっと…まさかリゲルさんの呼び掛けにすら応答しないとは。

 っていうか、本当に熱を引いてしまったのか?

 

「おーい、あづみさん?………えい。」

「はひゃあっ!?」

 

 あまりにも反応しないもんだから、彼女の首元に手を滑り込ませた。

 すると相当驚いた御様子で、キョロキョロと俺とリゲルさんを交互に見つめる。

 少し呆けていたのか?あづみさんは俺の視線に、こてんと首を傾げた。

 

「えっあっ…んと…ごめんなさい…」

 

 今一状況を呑み込めていないであろうにも関わらず、彼女は第一に謝った。

 唐突な謝罪に此方も驚いたが、あづみさんが気にする必要は無い。

 しかし、どうして彼処までぼけっとしていたのかが気になる。

 更には、俺だけを集中して見続けて。

 

「あづみさん、熱でも引いた?無理して今日じゃなくても――」

「うっ、ううん!私は大丈夫だよ…だから、もう行こっ?」

「あづ、だいすけ、だいしぃき!ずっとみてあ!」

「きさらちゃん!?」

「…成る程ね。あづみ、後で詳しく事情聴取させて貰うわよ。」

「うぅ…はい…」

 

…話終わった?

 概要自体は聞いていたが、何とも言えない。

 けど、唯一伝えたいのは無理はしないでくれという事。

 あづみさんは献身的過ぎて、自ら自己犠牲を働く時があるからな…そこは要注意しとかなければならない。

 

 少しでもそれに似た様な事を見掛けたら、全力で止めさせよう。

 勿論、リゲルさんとの事情聴取込みで。

 

 こうしてきさらちゃんを連れて行くかの賛否会議が終了した。

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

「んじゃ、へっきー、八大龍王は任せたよ。」

「おう、大祐もしっかりやれよ。困ったら何かしらの手段で連絡をくれ。」

「随分雑把だなぁ。」

「それ位が、丁度良い。」

 

 全員準備が終わり、外で雑談をしていた。

 へっきーは八大龍王、俺達は十二支徒を味方に付けるべく別々行動。

 が、どちらも動きが制限されているのが厳しい。

 

 へっきーは一人で八大龍王、此方は生きているかも分からない十二支徒を探すのだ。

 不確定要素満載なのが苛つく。

 そこは確定にしてくれないと。

 至極無理な欲求だが。

 

「まぁ、無理だけはするなよ。」

「へっきーもね。」

「あぁ、じゃあな。」

 

 そんな軽いやり取りをした後、へっきーは背中を向けて歩いて行った。

 有用性の高い人物とはああいうのを指して言うんだろうな。

 それとも、俺を信頼して動いてくれているのか――

 

 そう言えばへっきー、俺が戦力を集めている理由は知っているのか?

 其処ら辺はまだ話していない気がする。

 だが、へっきーの事だ。

 どうせ気付いているのだろう。

 親しい人物の隠し事を見抜く能力には長けているからな。

 

 しかし、どんな人間であろうと幾ら仲が良くても相手を完璧に知るのは不可能。

 分かっている積もりでも、実際はそう思っているだけであって。

互いに意思疎通が出来ていようが感情を読み取る事等出来やしない。

 

ㅤけどまぁ、俺は其方の方が良いと考える。

ㅤ寧ろ相手との距離感がゼロになる方がまずい。

ㅤ双方のプライバシーにすら、何の躊躇もせずに土足で踏み入る。

ㅤその事に違和感やこれをしては駄目だという認識が無くなり、結果仲違いが発生して別れるだの何だの。

ㅤ悲しい結末を迎える。

 

ㅤそうならない為にも距離を置く事は必要なんだ。

ㅤそれが友人関係の間ではなく、恋人同士の関係であっても。

 

「…さて、俺達も行きますか?」

「そうね。あまり遅くなっても移動が困難になるだけだし。」

「ますた、結局きさら様は連れて行くのですか?」

「…悩んでた。」

 

ㅤ本人は行きたいと望んでいたし、許可も得てした。

ㅤそれを今更駄目だというのも気が引けるが…きさらちゃんが何故一瞬に来たいのかが気になる。

ㅤ先ずは其処を聞いてみなければ。

 

「きさらちゃんはどうしてーー」

 

ㅤどうして一緒に来たいの?

ㅤそう言いながら後ろを振り返り、俺は一瞬にして言う気が失せた。

ㅤきさらちゃんは既に準備を済ませて金色の瞳をキラキラと輝かせながら出発を待ち侘びていた。

ㅤしかも此方をじっと見つめて。

 

ㅤ更に後ろにはヴェスパローゼさんも構えており、小さなリュックを抱えている。

ㅤヴェスパローゼさんはきさらちゃんに何かを言い聞かせながら、そのリュックを手渡す。

 

「きさら、大祐の足を引っ張るのだけは駄目よ。」

「うぃっ!」

「もしもの場合は大祐達を優先するから、それだけは覚えておいて。」

「………ぅゅ」

 

ㅤきさらちゃんは小さく声を漏らし、顔を下に向ける。

ㅤ俺にはさっぱり聞こえなかったがヴェスパローゼさんから注意でもされたのか。

ㅤだが、そんなことは気にしないと、小さな黒いリュックを両腕に抱えて此方にとてとてと小走りしてくる。

ㅤ可愛い。

ㅤの一言しか頭に思い浮かばない。

 

ㅤきさらちゃんは少し息を切らして俺の目の前まで来ると、リュックを背負い、一礼。

ㅤ突然何かと思いつつも此方は笑顔で返す。

ㅤその所為で余計に同行を拒否出来なくなってしまった。

ㅤ自分で何をしているんだと後悔する。

 

ㅤこうなってしまったからには話し合いで説得するしか…それでも来たいと言うなら連れて行く他無い。

 

「きさらちゃん、今から行く所は危ないよ?普通に戦ったりもするし…それでも来たい?万が一は俺が盾になるけど。」

「だいすけ、と、いっしぉがいいのっ」

「…分かったよ。でも、充分に気を付けてね。」

 

ㅤきさらちゃんは元気良く頷いた。

ㅤ正直こんな小さい子を危険地帯に連れて行きたくないのだが、本人の願いだ。

ㅤこうも一緒に来たいというのには理由があるんだろうから連れて行こう。

ㅤ若しきさらちゃんに危害が加わりそうになったら、俺が庇ってあげれば良いだけの事。

ㅤバトルドレスを装着していない只の人間に、この世界の攻撃なんて食らったら一溜りも無いが。

ㅤ例えそうであっても、まだ7歳のきさらちゃんの命を守る為ならば構わない。

ㅤ無論、あづみさんとリゲルさんの盾にもなる。

ㅤ今この場にいる全員には死んで欲しく無いからな。

 

…待て、それじゃあへっきーは死んでも良いみたいになってるぞ。

ㅤあの方の死に顔は見たく無いランキング上位に入っているからな。

ㅤ寧ろ死なれると困る、ってか死ぬな。

 

ㅤ何処からか勝手に人を殺すなって聞こえてくるが、気にしない気にしない。

ㅤそれが誰かなんて知ってる。

 

「大祐くん、リゲルが早く行こうって。」

「あ、了解。きさらちゃんも連れて行くから。」

「うん。…きさらちゃん、宜しくね。」

「あづも、よおしくっ。」

 

ㅤ仲良く挨拶を交わす二人とは別に、俺はリゲルさんの元へと向かう。

ㅤA−Zちゃんと何かを話しているがそれに割り込む形で首を突っ込む。

ㅤ多少悪いとは思ったが、どうしても言いたい事があったからだ。

 

ㅤ白の世界に行くまでと行った後の話。

ㅤそれを相談する前に移動当日を迎えてしまった。

ㅤだから今の内に重要事項だけを伝えようと話し掛けたのだ。

ㅤ勿論移動最中も話は出来るが、不意の出来事に反応出来ないかも知れないという不安がある。

ㅤだからこそ。

 

「リゲルさん、お話中に申し訳御座いません。移動を開始する前に伝えたい事があったので。」

「何かしら?」

 

ㅤ先程まで無表情で話していたリゲルさんとA−Zちゃんは此方に意識を向ける。

ㅤこれはA−Zちゃんにも一緒に聞いて欲しかった話だ。

 

「…白の世界に着くまで、そして着いてから。もし戦闘になった場合は二人に任せる事になります。極力避けたい所ですが…それでもなってしまった時はーー」

「元よりそれ前提の積もりよ。伝えたかった事ってそれだけ?」

「えっと、あ、はい。」

 

ㅤ俺はリゲルさんの即答に何も返せなかった。

ㅤいや、そりゃあ細かく刻めば相談事は尽きないだろう。

ㅤルートはどうやって行くのか、彼方に着いたらどうするか。

ㅤまだ色々と悩ましい部分もあるが、時間は待ってくれない。

ㅤ取り敢えず行動する他無いのだ。

ㅤリゲルさんも早く行こうと言っているのだし。

 

ㅤそう言う理由があって、重要事項だけを伝えたのだが…答えが当たり前の様に返された。

ㅤどうやらリゲルさんの心の中では既に決めていたらしい。

ㅤもし戦闘になったら自分とA−Zちゃんしか動けない。

ㅤあづみさんを守れるのは自分だけだと。

ㅤだから戦闘では自分が前に出るべき存在だと。

 

…中々危ない思考だ。

ㅤこれではリゲルさんも、あづみさんに献身的過ぎて何時か、自ら犠牲になる道を選んでしまう可能性がある。

 

ㅤそれともう一つ。

ㅤこんな言い方はしたくないが…リゲルさんはあづみさんに依存しているのが目に見えている。

ㅤ俺も大概人の事は言えないが、依存という程ではない。

ㅤ最大限近くに居て欲しいだけであって。

ㅤそれがリゲルさんに関しては「あづみが何をするにも近くに居てあげなきゃ」になっている。

 

「…」

「どうかしたの?」

 

ㅤ本人はきっと、それを良しとしてやっているのだろう。

ㅤ善意で行っている行為に口出し等したくはない。

ㅤこの事は、本人が気付いてくれるまで黙っておこう。

ㅤ依存という物が何れだけ怖いものか…。

 

「ますた、リゲル様の顔を見つめ過ぎです。」

「A−Zちゃんには結構前に敬語じゃなくて良いって言ったんだけどな。」

「此方の方が話し易いです。」

「まぁ任せるけど。」

 

ㅤ話が逸れたな。

ㅤ依存の話は此れ位にしておけって意味かな?

ㅤ確かに、最終的には本人が決めるべき事だ。

ㅤ俺は少し心配し過ぎなのかも知れない。

ㅤ寧ろ俺が依存してるかもな。

ㅤしてない自覚ならある。

ㅤうん、多分。

 

「大祐、少しあづみと話があるの。もうちょっと待っててくれるかしら?」

「構いませんよ。A−Zちゃんときさらちゃんと待ってますから。」

「ありがとう。」

 

ㅤそう言ってリゲルさんはあづみさんの元へ歩いて行った。

ㅤ空気を読んでか、きさらちゃんが此方に小走りしてくる。

ㅤ偉いぞきさらちゃん、ヴェスパローゼさんが見てなくてもしっかりしている。

 

…ってか今日はリゲルさん、色んな人と話しているな。

ㅤ疲れないのだろうか?結局心配だ。

ㅤそれにあづみさんと秘密の会話かぁ。

ㅤ混ざりに行きたい気持ちもあるが、止めておこう。

ㅤ何だか、悪ふざけで入って行ける雰囲気じゃない。

ㅤ二人共笑いながらキャッキャウフフしている。

ㅤあのままの刻を、一生過ごして欲しいものだ。

 

「偉いね、きさらちゃん。」

 

ㅤ俺はコートの裾をぎゅっと掴んでいるきさらちゃんの頭を、ポンポンと撫でる。

ㅤすると顔を上げ、俺を見ながら首を傾げる。

 

「きぃ、えあい?」

「そうだね。空気を読むのは偉い。」

「くーき、よむ。」

 

ㅤ言葉にしたのは良いが、恐らく意味を分かっていないのだろう。

ㅤ目を左右に動かしながら頭の上に?マークを浮かべている。

ㅤそのあどけない感じに何処か癒される。

ㅤ幼い=純粋無垢。

ㅤ自分の意思に素直な小さい子供を見て癒されるのはごく普通なのだろう。

ㅤ子供を嫌う人種は、自分の汚れと幼い子の純粋さを憎む。

ㅤそれが思うだけに留まるならまだしも、世の中には行動に移す自分勝手な奴等もいる。

ㅤ本当、傍迷惑な話だ。

 

「ね、きさらちゃん。」

「ぅゅ?」

 

ㅤなんて考えていると、A−Zちゃんが近くに寄って来た。

ㅤ何か相談事だろうか?

 

「ますた、これからは離れないように努めます。」

「あぁいや、好きにしてくれてて大丈夫だよ。そんなに縛りたくないからね。」

「…分かりました。」

 

ㅤそう言いながらも、A−Zちゃんは側で周囲を警戒し始める。

ㅤこの子もあづみさんに似て献身的だ。

ㅤ今は擬似記憶喪失で俺の言う事に徹底しているが、こうなる前もベガとやらに忠実だった。

ㅤ何方かと言えば言いなりの方が正しい気はしなくもないが。

 

「大祐くん、そろそろ出発する?」

 

ㅤA−Zちゃんとの会話が終了した丁度、あづみさんとリゲルさんが戻ってきた。

ㅤタイミングばっちりだな。

ㅤ一体何の話題を軸に話していたのか気になるが、それを聞くのはお節介だろう。

ㅤ後で直接聞いてみるけどな。

 

「そうだね、全員準備は良いですか?」

「白の世界…行くのは二回目ね。」

「あの時の人、まだいるかな。」

「私は何時でも大丈夫です。」

「きぃも!」

 

ㅤあづみさんとリゲルさんからの了承を得ていないが、まあ良いという事にしよう。

ㅤルートは歩き始めてから考えれば済む。

ㅤ道中の戦闘は二人に任せるとして、俺はそれ以外に出来る事を探そう。

ㅤ戦って疲れたリゲルさんとA−Zちゃんのマッサージとか、あづみさんの体調観察やら、きさらちゃんの遊び相手とか。

 

…マッサージは余計か?

ㅤだが、戦闘で疲労する二人を最優先に休ませてあげたい。

ㅤ夜の見張りとかは俺だけでも充分だろう。

ㅤきさらちゃんは年齢的な意味もあって疲れるのは早いと見て、あづみさんはそれこそ体調の心配がある。

ㅤやはりここは男である俺が無理をしなければ。

ㅤ流石に生身で戦場に出たくは無いけど。

 

ㅤさて…自ら話を脱線させたが、もう全員歩き始めている。

ㅤ今からは生きる事と守る事を第一に考えて動かなければならない。

ㅤ余計な気持ちは省いていかないと。

 

ㅤこうして俺達は目的の白の世界へ歩みを進めた。

 

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最近忙しいので、内容をあまり考えれずに読者様方を楽しませれない小説を投稿してしまった場合、申し訳御座いません。
予め謝罪します。
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