Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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御報告があります、
体調を崩した、話の内容を整理したい等、様々な理由の結果…少しばかり休みを頂きたいと思っております。
このままでは碌に小説に集中出来ないまま、中途半端な出来の物をお出しする事になってしまいます故。
元より下手な書き方しか出来ない作者です。
今よりもっと酷い作品を出すのには流石に少々引けまして…。
大体1ヶ月、休みを取らせて頂きます。

こんなど素人の書く作品…見て下さっている方々、本当に申し訳御座いません。
必ず戻って来ます。
その時には少しでも腕を上げられているよう努めますm(_ _)m


第五十三話: ワンチャンス

ㅤtype,IIは既に背中を見せ、リゲルさんに近付いている。

ㅤ先ずはこのフィンファング共を制圧してから追うのが吉か…それとも無視してtype,IIを追うか。

ㅤまぁ…両方取れば、関係無いか。

ㅤ要はスピード勝負だろう。

ㅤフィンファングを全部壊し尽くしてからtype,IIに追い付けば良いだけの事。

 

ㅤそれ以外に選択肢が無いと察すると、既に体は動いていた。

ㅤアロンダイトを納刀、一番邪魔な照射型ビームを放っている大型GNフィンファングを狙い、フラッシュエッジを二本投げつける。

ㅤ円を描く様に飛んで行くそれらは次々とフィンファング達を破壊。

ㅤ小型のフィンファングは自分で、ライフルを駆使しながら立ち回る。

ㅤ中距離はライフル、近距離はパルマで。

ㅤ自分の手元に戻って来る様に投擲したフラッシュエッジもしっかり活用する。

 

ㅤ本当…熟思うが、こういった兵器達は持ち主が居ないだけで対処の難易度がぐっと落ちる。

ㅤ先程のtype,IIの様に本人と共に攻める事がこの兵器の本領な気がするが、まぁ良い。

ㅤそうこうしている内に全て破壊したのだから。

ㅤ後はリゲルさんの元に向かうtype,IIを俺がーー

 

「まずい…間に合うか…っ!?」

 

ㅤと、気付いた時にはもう既に、type,IIはリゲルさんの近くまで接近していた。

ㅤ流石に『TRANS–AM』を使用した状態の速度は凄まじいな。

ㅤリゲルさんは相変わらずtype,IXを押していて、その所為か他の事に意識が向いていない。

ㅤ視野が狭まっているというか。

 

…そんな時こそカバーしてあげるのが俺の役目だ。

ㅤ彼女の背中を、リゲルさんを守る事が。

ㅤ間に合うか、では無い…間に合わせるんだ。

 

ㅤデスティニーのリソースも考えなきゃならないからな…もしかしたらまた活躍の場が訪れるかも知れない。

ㅤ今は取り敢えず、冷静に、最前手段を取るとしよう。

 

「アヴァランチエクシア…全力で加速する!!」

 

ㅤ速度で対決ならば、このアヴァランチと対等な立場に立てる者はそうそういない。

ㅤ大胆に動けて且つ小回りも利くアヴァランチエクシアなら、幾らリボーンズであろうが引けを取る事は無いだろう。

ㅤ況してやtype,IIはまだあのバトルドレスを使い切れていない。

ㅤ引けを取るどころか押してなんぼといった感じだ。

ㅤ寧ろそれが出来なければバトルドレスを使う資格等無い。

 

ㅤ俺はその場で粒子解放、『TRANS–AM』を重ねて発動。

ㅤ誰も追い付く事の出来ない最速のアヴァランチエクシアの姿。

ㅤこれで戦場を駆ける、基、荒らし尽くしてやる。

 

「リゲル…ふふっ、背中がガラ空きよ」

「なっ、type,II!?まさか…それじゃあ大祐は…!」

「彼処で私のファング達と楽しく遊んでいるわ。だからその内に…リゲル、貴女を殺してあげる!」

「いいえ…私は生きる、あづみと大祐が側に居てくれる限り、私は死なないっ」

「戯言は他所でする事ねっーー」

「それは…此方の台詞だ!!」

 

ㅤリゲルさんと言い争うtype,IIが両手に持つ大型GNサーベルを、自身の体を一回転させた遠心力で振り回した瞬間。

ㅤ彼女達の間に割って入った、アヴァランチエクシアを装着した俺のGNサーベル二本に阻まれる。

ㅤその際、最早恒例のビームサーベル同士がぶつかり合うバチバチィッという激しい閃光が走る。

ㅤある意味視界ジャックとも思える程に眩い光。

 

「俺が生きている限り…彼女達は殺させないっ!!」

「フィンファングを掻い潜ってーーいや、全部破壊して…!?」

 

ㅤtype,IIは俺の事を完全に舐めていた様だ。

ㅤフィンファング全破壊からの『TRANS–AM」発動中のtype,IIに追い付く。

ㅤ確かに、こんな芸当が可能なのはアヴァランチエクシア位だ。

ㅤtype,IIとは『TRANS–AM』同士の対決になるが、然し彼女の稼働限界時間もそろそろだろう。

ㅤこのまま、又一対一の勝負に持ち込むのも悪く無い………訳が無い。

ㅤ今こそ「連携」というものが光る時だ。

 

ㅤ俺はそのまま、type,IIの振るった大型GNサーベルを押さえつけている。

ㅤ少しでも力を抜けば一瞬にしてあれの餌食だ。

ㅤ女性からは考えられ無いこの馬鹿力、アドミニストレーターベガは相当な技術を持ってしてリボーンズを作ったのだろう。

ㅤガンダムの情報源を何処から持って来たのかは分からないが。

 

…と、そんな事は後でで良い。

ㅤ今はこの眩い閃光を利用して彼女と連携する事を考えろ。

ㅤそう…こんな感じでな。

 

パシュンッ

 

「…っ!?狙撃…一体何処からーー」

「目の前よ、目・の・前」

「リゲル…っ、よくも!type,IXしっかりして下さい!」

「被弾した私に無理難題を…ですが、リゲルだけは絶対にーー」

「させるかっ!」

 

ㅤ俺とtype,IIのビームサーベル同士がぶつかり合う事で生まれた先の光。

ㅤ視界の悪い状況でtype,IIは、つい先程一対一をしていた事もありゼロ距離の俺に意識を向けるだろう。

ㅤ案の定、type,IIは此方に意識を当て、リゲルさんのロックオンを外した。

ㅤその瞬間俺の背後に居るリゲルさんが狙い撃ち。

ㅤ自らの周囲が見え辛い為、typeIXが相手をしているのも加えて彼女の存在を危機と見做していなかったのだろう。

 

ㅤ然し視界が悪いと感じたのは此方も同じ。

ㅤだがリゲルさんは、typeIIだけを的確に射抜いた。

ㅤ場所を動かずしてこの短時間にダメージを与えるとなると、リゲルさんから見えるのはtype,IIの両足、両肩位だろう。

ㅤ更に目の前には俺が…という中々に引き金を引く事を躊躇う場面で、リゲルさんは迷わずtype,IIの右足を狙い撃ったという事だ。

 

ㅤその直後、直ぐにtype,IXがリゲルさんの背中を攻撃しようとしたが、俺が即座に反応、type,IIのサーベルから抜け出してカバーする事に成功した。

ㅤ代償としてGNビームサーベルを二本共落とす事になってしまったが、type,IXの前に立ちはだかったその時には当たり前の様にGNソードを構え。

ㅤ両解放アヴァランチエクシアの圧倒的速さでtype,IXに斬りかかる。

 

「九条大祐…あの時殺しておくべきでしたね…っ!!」

「あぁ、半殺しでも生かしてくれた事…もっと後悔させてやるさ…!!」

 

ㅤ俺は彼女にそう告げ、そのお返しと言わんばかりに連続攻撃を仕掛けた。

ㅤ一方でtype,IXもタービンビットでの防衛、反撃を行うも正直無意味な行動と化している。

ㅤバトルドレスを装着出来ずにいた生身の俺でもギリギリ回避していたのだ。

ㅤ確かにビット系の武装に対して『情報演算処理能力』が足を引っ張っている事に変わりは無いが、バトルドレスを装着するだけで脳への負担がかなり違うというもの。

ㅤ劇的、というには程遠いが。

 

ㅤそれでも多少楽になった程度で、type,IXのタービンビットをするすると避けていく。

ㅤ彼女がどんどん後ろへ後退して行く度にtype,II等との距離が離れ、負傷した相手側からすればキツイ事この上ない状況となるだろう。

ㅤそしてその位置はーー

 

「badだ」

「…?一体何をーー」

 

ㅤこの言葉の意味を理解するには少しばかり遅かったか。

ㅤ俺が最後の一押しといった感じでGNダガーを投げ付け、彼女はそれを回避すべく斜め後ろへノックバックする。

ㅤが然し、それが陽動されていた罠と知ったのはその直後だった。

 

ㅤ其処には、彼女達の意識外であっただろう蜂達が木の陰に隠れ様子を伺っていた。

ㅤtype,IXが俺やリゲルさんに気を取られ、何も気付かずその場に足を踏み入れた瞬間。

 

「…ぃま」

「しまっ……!?」

 

ㅤきさらちゃんの掛け声に反応した蜂達がtype,IXを囲み、一斉に攻撃を開始する。

ㅤ毒の針を直接刺す蜂、遠距離から味方に当てないよう針を飛ばす蜂、強靭な顎で噛み付く蜂。

ㅤ目の前に広がる光景は正に地獄絵図となっていた。

ㅤtype,IXに群がる蜂達…彼処からは逃れられまい。

ㅤこれで彼女は脱落だろう。

 

「九条大祐…貴方だけは絶対にっ…!!」

 

ㅤ俺は、type,IXが何かを言い終わる前にA–zちゃんの元へと向かう。

ㅤ慈悲等無い。

ㅤあの状態ではタービンビットも使えまい…そのまま蜂達に蹂躙されてしまえ。

ㅤそんな言葉が頭の中に浮かび、思わず笑みを浮かべてしまった。

 

ㅤ先ずは一人、今度はtype,X、彼女だ。

 

「はぁっ…はぁっ…!」

「…A–z、何故貴女も裏切ったのです?これではリゲルと同じでは無いですか」

 

ㅤボロボロのA–zちゃんを前に油断し切っているtype,X。

ㅤ彼女を背後から襲い、一気にケリをつけようと近付くと二人の会話が耳へと入って来た。

ㅤtype,Xの口調からして完全にとどめを刺す気だ。

 

「私…は、ますたを…」

「その口を閉じなさい。謀反を起こした者は排除する…それは誰に対しても変わりません。………貴女やリゲルが戻って来てくれれば、ベガ様も…私もーー」

「ます…た」

 

ㅤtype,Xは何やら意味深な発言を言い澱ませ、自分の邪念を振り払う様に首を振った。

ㅤ一体どんな内容の会話をしているのか、前半だけしっかり聞き取った俺だが。

ㅤこのままではA–zちゃんが殺されてしまう…そう思った時には既に体が動いていた。

ㅤ彼女達の話を最後まで聞かずに。

 

ㅤ俺は兎に角、A–zちゃんの目の前に立って守ってあげねばと焦っていた。

ㅤ地面に膝を着く彼女の首元に、type,Xのファングで形成された剣(つるぎ)が振り下ろされる。

ㅤ間に合う…アヴァランチなら。

ㅤそれは勿論、過信では無く「確信」だ。

ㅤだが、意外な人物が彼女達の間に割って入った。

 

ガキィンッ

 

ㅤ丸で金属同士が互いを弾き返す様な音。

ㅤtype,Xのファングをその場で受け止めていたのは、紛れも無くリゲルさんだった。

ㅤ自身のスナイパーライフルを上に構え、type,Xの攻撃を防いでいる。

 

「…リゲル…?type,IIはどうしました?」

「type,II?ガン無視よ」

 

ㅤまさかの一言。

ㅤ倒したから、とか言う理由では無くガン無視。

ㅤ本当かどうか曖昧だが、それは確かな事実だった。

ㅤリゲルさんに放置されたtype,IIが血気迫る表情で切り掛かりに来ている。

ㅤ無視されたのが相当腹に立ったのか。

ㅤ隙だらけのリゲルさんに、最早ライフルを使わず直にサーベルで切り裂いてやろうという意思が見えた。

 

…まぁ、やらせんけどな。

 

ㅤ俺はターゲットをtype,Xからtype,IIへと移行。

ㅤ最大限にまで加速し、リゲルさんとtype,IIの間を塞ぐ様にして彼女を待ち構えた。

 

「また貴方ですかっ!」

「リゲルさん達を守る為なら…何度だって君達の目の前に現れてやるさ」

 

ㅤ初めて君達と言った気がしなくも無い。

ㅤが、そんなどうでも良い事はさて置き、俺はtype,IIの大型GNサーベルをGNソードで受け止める。

ㅤすると彼女は、即座に2本目を取り出したかと思うと迷わずリゲルさんに投擲。

ㅤサーベルを投げ付けるのは俺位かと思っていたが。

ㅤだが、この至近距離では身動きの取れないリゲルさんに直撃する事等、予測しなくとも分かる。

ㅤtype,IIのサーベルを防ぎ、更にはダガーもサーベルも無い状態。

ㅤ後ろには負傷して動けないA–zちゃん。

 

ㅤこれはもう…流石アヴァランチエクシアと言わせる他無いだろう。

 

ㅤ防いでいようが何だろうが、唯一身動き自体は問題無く取れる。

ㅤ此処は一時的に下がる選択肢を選ぶのが無難だ。

 

ㅤ俺は受け止めているtype,IIのサーベルを、力任せに彼女諸共吹き飛ばす。

ㅤ怯みを見せたtype,IIをそのまま、直ぐにA–zちゃんを左腕で抱き抱え、右腕でリゲルさんを抱き抱える。

ㅤ彼女がtype,Xの攻撃を防ぐべく力を入れていた為、少し強引に身体を引っ張らせて頂いた。

 

ㅤそして最大加速。

ㅤ先程戦闘していた場所から、きさらちゃんとあづみさんが一緒に隠れている場所へ移動。

ㅤ正に一瞬の出来事。

 

「…っ!…大祐、くん…?」

 

ㅤ急に姿を現した俺に、若干驚くあづみさん。

ㅤきさらちゃんは…やはり察し済みだったのだろうか。

ㅤ此方をじっと見つめている。

 

「…えっと…何が起こったのかしら…?」

 

ㅤ起きた出来事を今一理解出来ていないリゲルさん。

ㅤ取り敢えず二人を腕から離し『TORNS–AM』と粒子解放を解除、一度態勢を整える為に下がったと伝える。

ㅤあのまま戦っても良かったのだが…まさか。

ㅤ負傷したA–zちゃんを戦場に居残らせたまま戦う等、彼女の身を危険に晒している事に何ら変わりは無い。

ㅤ最も、戦闘に参加させてしまっている時点でそれ以前の話だが。

 

ㅤ兎に角、現時点での状況を整理、此れからの事を話し合う。

ㅤどうやら全員、逃げるという選択肢は無いようだ。

ㅤ何故分かるのか?彼女達の瞳がそう語っている。

ㅤこの場を何としても切り抜ける、そう言った決意の瞳だ。

ㅤもしかすれば話し合いの必要は無かったかもしれない。

 

「…A–zちゃんには、又これを使わせて貰うよ」

 

ㅤそう言って俺は、ブラックボックスから回復薬を取り出す。

ㅤ瓶の蓋を開け、中に入っている液体を彼女の負傷している箇所にかける。

 

「…んっ…」

「大丈夫…?もう少しゆっくり…」

「全然…大丈夫、です。そのまま…ますたのペースで…」

「ペースも何もあったものかしら…?」

「リゲル、あれ、何?」

 

ㅤそりゃあペースも関係しますよ、沁みたりするんですから。

ㅤと、リゲルさんにそう突っ込みたくなった。

ㅤまぁ確かに…只液体をかけるだけだけど。

ㅤこんな可愛い子に…液体…うん?

ㅤ二つが重なり一つの言葉が生まれてきそうだ。

ㅤ今はそんな馬鹿みたいな事、考えている場合では無いが。

 

ㅤ隣では、あづみさんが回復薬を興味津々に眺めている。

ㅤリゲルさんが頑張って説明しているが…色々と分からない事だらけの液体な訳であって。

ㅤ必死に「凄い物だ」というアピールをしていた。

ㅤアピール………いや、説明出来ないから誤魔化しただけか?

 

「良し、治ったよ」

「ますた…助かりました」

「わぁ…あっという間にA–zさんの傷が無くなってる」

「だいすけ、すごぃ」

「ふふっ」

 

ㅤ今リゲルさん絶対に「大祐が凄い訳じゃ無いわ」的な事を思って笑いましたよね。

ㅤ全く…可愛らしい微笑みを見せてくれる美人さんだこと。

ㅤん?そう思われて悔しく無いのかって?

ㅤまさか、それは事実な訳であって俺に否定する権利は無い。

ㅤ後は…彼女の微笑みを見たら至極どうでも良いと思わされてしまってだな。

 

ㅤ先程の緊迫した戦場から一変、此処だけ随分と平和だな。

 

「…ほんと、大祐は凄いわね」

「俺がどうとかより…リゲルさん、貴女の方が凄いですよ。それに、あの時直ぐにA–zちゃんを助けた理由をお聞きしたいのですが」

 

ㅤ目の前に邪魔なtype,IIが居るのにも関わらず、リゲルさんは真っ先にA–zちゃんの元に駆け付けた。

ㅤ彼女にしては珍しい行動だ。

ㅤ唯一あづみさんだけに対して行うであろうその行為を、A–zちゃんにも……理由は何と無く分かる気がするが、全て理解出来たとは言えない。

 

「見た目があづみさんと酷似しているから…ですか?」

「まぁ…無い訳では無いわ。けど一番の理由は別よ。…A–zはもう此方の味方なんだし、何よりも私と同じベガ配下「だった」バトルドレス。貴女がベガの元に戻りたいかは分からない。でも…少なくとも私は嫌。それにA–zは記憶を失って、それでも大祐や私達を信じてくれて。そんなA–zを見捨てろって方が無理な話よね」

「リゲルさん…流石でーー」

「あづみに瓜二つだし」

「…………」

「リゲル…ほんとはそれが一番なんじゃないの?」

「なっ、違うわあづみっ」

「りげゆ、あづ、だぃしき?」

「勿論!……じゃなくて!」

 

ㅤこんな戦いの真っ只中とは見合わない他愛な会話が飛び交う。

ㅤ平和だ…平和過ぎる。

ㅤ何でこんな平凡な幸せが続かない。

ㅤ何故それを許されない。

ㅤ彼女達は只、自由になりたいだけなのに…どうしてなんだ。

 

ㅤやはり彼女達の敵という存在を取り除かない限り、自由にも幸せにもさせてあげられないのか…?

ㅤだとするならば意地でも掴み取る。

ㅤ彼女達の幸せを、自由を、この笑顔を。

ㅤ何としても守り抜く。

 

「…この場を切り抜ける。その為にはオリジナルXIIIを超える他無い。

攻略要素を見つけなければ、守り抜くも何も無いよな」

「そう…よね、私に…もっと力があれば」

「リゲルさんは充分強いですよ。それはきさらちゃんにあづみさん、A–zちゃんも変わりはありません」

「でも、あのオリジナルXIIIが劣勢のままとは思えないの。胸の違和感が取れなくて…もし立場が逆転した時、それを覆せる力が無ければ負けてしまうわ…」

「…それなら、俺に一度だけチャンスを下さい。あづみさん、手伝って貰っても良いかな」

「う、うんっ。私に手伝えるなら、幾らでもっ」

 

ㅤあづみさんは両手を胸に、上目遣いで俺を見つめる。

ㅤ可愛過ぎだろ…なんだこの破壊力。

ㅤ俺は思わず心臓部に手を当て、無表情で悶える。

ㅤ首を傾げながら、不思議そうな視線を向けてくるあづみさん。

ㅤはっとしたかと思えば「だ、大丈夫!?」と心配してくれて…あぁ、可愛い。

 

「ふぇっ」

「大祐…あづみの顎をクイッと上げない」

「だって、可愛いんですもの」

「ふぇぇ…///」

「…それで、チャンスというと?何か策があるのかしらーー」

 

ㅤと、リゲルさんが疑問をぶつけて来た瞬間。

 

「リソースの位置でバレバレよ」

 

ㅤ突如として現れたtype,IIが大型GNライフルによるビーム乱射、更にはtype,Xのファングによる遠隔攻撃+両手にダガーを持っての強襲を仕掛けて来た。

ㅤ俺達は話を続ける事を後にし、リゲルさんはあづみさんを抱き抱え、A–zちゃんはきさらちゃんをお姫様抱っこし、俺は二人の意識を此方に集中させるべくサバーニャに換装。

 

ㅤ同時に『TORNS–AM』を発動させ、GNライフルビット、GNピストルビットの両方を全展開。

ㅤGNホルスタービットも展開し、彼女達の護りとして活用する。

ㅤ自分の両手にはGNピストルビットを握り締め、type,IIに向かってビームを放つ。

ㅤ数打ちゃ当たる戦法だが、注意を引くには持って来いの戦い方だ。

ㅤtype,Xには計り知れない量のビットを送り付け、ファングが彼女達を攻撃出来ない様にする。

 

「あぁもうっ、鬱陶しいわね!」

「type,II、冷静さを忘れてはなりませんよ。さもないとtype,IXの様になってしまいますから」

「分かってるわ、そんな事っ…」

 

ㅤ流石に限界が近付いて来たのか。

ㅤtype,IIの行動速度、その洗練さが目に見える程に鈍くなってきている。

ㅤこれは…もしかしたら攻め時か?

ㅤ遂に見つけたワンチャンスの到来…逃してはならない。

 

「大祐っ」

「リゲルさん…あづみさんには?」

「カードデバイスに私の声が通るから、それで大祐からの伝言を伝えるって。…ねぇ、その…チャンスっていうのは」

「実戦本番となってしまいましたが、恐らく今がそのチャンスかと。一応あづみさんに伝える準備はしといて貰えると有難いでーーすっ」

「何をごちゃごちゃとっ…!」

 

ㅤ俺とリゲルさんが話し合っている最中に斬り込むなんて、無礼極まりないな。

ㅤ御蔭で「でーーすっ」なんて意味わからん語尾になってしまったじゃないか。

ㅤ加えて、俺とリゲルさんを離すとは…何たる仕打ち。

ㅤ借りは倍にして返してやるよ。

ㅤ逆恨みだが。

 

「…先ずはオリジナルXIIIを機能不全…までとは言わずとも、動きを封じられれば。リゲルさん!!type,IIをお願いします!」

 

ㅤ弱ってきているtype,IIをリゲルさんが相手し、リソースが残っているであろうtype,Xを俺が相手する。

ㅤtype,IIは直ぐにダウンするだろうが…問題は此方だ。

ㅤリソースの残量が多く残っている者同士、仲良く戦わせて頂こう。

 

「了解したわ、type,Xを頼むわねっ」

 

ㅤリゲルさんは何の否定も無く、type,IIとの戦闘を始める。

ㅤあの二人の対決は正直分かりきっているようなものだ。

ㅤ此方もさっさと片付けるとしよう。

 

「あづみさん達を守る為のガンダムサバーニャ、今はこれである必要は無くなった…なら、一対一特化のバトルドレスでやらせて貰おう」

 

ㅤこういう時にリソースを残しておいて正解だったと言うべきか。

 

「そのバトルドレスとは…初めての頃以来ですね」

「懐かしい思い出だね。あれからベガがどうなったかは、今の現状から察せるよ」

「…ベガ様の為、遠慮はしません」

「最初からそのつもり、だったでしょうっ!」

 

ㅤアロンダイトを抜刀し、勢いを付けてtype,Xへと斬りかかる。

ㅤ彼女も引けを取るまいと、ファングで形成された剣による斬りかかりを見せた。

ㅤそして互いの剣がぶつかり合った瞬間、何方も同じ事を思ったであろう。

ㅤ自分の大切な人の為、負ける訳にはいかないと。

ㅤtype,Xちゃんも…俺も。

ㅤ此処で彼女との勝負を決めてみせる。

 

ーーー

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