Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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やっっっと更新再開致しました。
色々とあって小説も挿絵も書けず(描けず)にいて、此れから又書き溜めていく次第です。
取り敢えず今回は軽く目を通して頂けるよう、内容を短く致しました。
本来は10000文字以上になってしまったのですが…長く、見辛いかと勝手ながら思いましたので、2話に分けました。
ですので、来週更新する分は溜めております。
良ければ其方も見て頂けると嬉しいです(*´꒳`*)

今でもこの小説を見て下さっている方々、本当に申し訳御座いませんでした。
此れからは内容を短く、代わりにしっかり更新出来る様に努めます。
それでもマイペースに変わりは有りませんが…其処はご了承頂けると幸いです。


第五十四話: 愚行

ㅤ自分を犠牲にしてでも、守りたい人がいる。

ㅤ人は何故、そんな感情を抱いてしまうのか。

 

ㅤ理由は一つ…そう、たった一つだ。

ㅤその人の事が大切で、様々な好意を抱き、自分の存在意義となってしまっているから。

ㅤその人の為に生き、その人の為に死ぬ。

ㅤもし自分の存在意義が無くなってしまったら、生きている意味が無くなるから。

ㅤだから意地でも守ろうとする、例え自己犠牲になろうとも。

 

ㅤ大切な人が居るから、自分は此処に居る。

ㅤもしかしたら、その人を守る事が自分の存在意義なんじゃないかと、確かに思った時はあった。

ㅤ然しそれは違う。

ㅤそれは自分勝手な思い込みだ。

ㅤそれを相手は望んでいない。

ㅤ頼まれもしない事を、思い込みを、使命だと、存在意義だと勘違いしているだけだ。

 

…分かってる、そんな事。

ㅤだけど俺は…何としても彼女達を、大切な人達を守りたい。

ㅤ自分がその場に居なくても、彼女達が生きていてくれれば、それで良い。

ㅤ存在意義すら無かった俺に…『生きて側に居てくれるだけで良い』と言ってくれた彼女達を、存在する意味を与えてくれた大切な人達をーー。

 

失う訳にはいかない。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

「「だから…終わりにしよう(しましょう)」」

 

ㅤ彼女との勝負は一瞬で終わりを告げた。

 

ㅤ武器のぶつかり合う音、それが耳から脳内に響いた瞬間に、俺とtype,Xは距離を取った。

ㅤ刹那、お互いの場所が入れ替わっている事に気付いたのは、腹部に感じる痛みと同時にだった。

 

ㅤ激痛、それに、腹部から足へと伝って行く液体、胃から込み上げて来る何か。

ㅤ思わず吐き出したが、直ぐに血だという事が分かった。

 

ㅤ確かに解る…一閃の斬り合いで、俺はーー

 

「………」

 

ㅤ不意に背後から、「ドシャっ」という擬音が、耳に入って来る。

ㅤ何かが、宙から地面へと落ちる音。

ㅤそれは紛れも無い、彼女だった。

 

ㅤ力無く地面に身を委ね、胸部から斜めに焼き切られた傷跡からは、大量の血が流れている。

 

ㅤ俺は振り返り、彼女を見つめた。

 

ㅤ先の一瞬、あのまま斬り合えば、俺は確実に死んでいた。

ㅤアロンダイトは振りが遅い代わりに、威力だけは一級品だ。

ㅤこの剣(つるぎ)に、断ち切れない物は無い。

 

ㅤだが、振りの速さで言えばtype,Xの方が圧倒的だろう。

ㅤそれを見越した俺は、切り抜ける一歩直前で片手にフラッシュエッジを持ち、迎撃にも備えた。

ㅤ然しtype,Xは、その事を分かった上で、斬り合いという勝負を仕掛けてきた。

ㅤ何か勝算があったのか…等という考えは到底甘かった。

 

ㅤtype,Xはフラッシュエッジを諸共せず、俺へと刃を届かせたのだ。

ㅤだが、一瞬でもビームに阻まれた事により、俺の振るったアロンダイトの直撃を喰らい。

ㅤ現状に至る、という訳だ。

 

「…はぁっ…はぁっ…」

 

ㅤいや、分かってはいたんだ。

ㅤtype,Xは最初から、相打ちを、刺し違えてでも、俺を殺そうとしていた。

ㅤ自分を犠牲にしてでも…ベガとやらの為に。

ㅤ確かに、その想い、気迫はひしひしと肌に伝わって来ていた。

ㅤ先程の殺気…俺は恐れ、引けを取ってしまった。

 

ㅤだが、此方にも守りたい人達は居るんだと、死んでも触れさせはしないと…そう決心した時には既に動いていた。

ㅤ脳も、体も。

 

「……やは…り…こうなっ、て…しまう…の、ですね…」

「…っ!」

 

ㅤ俺は確信していた、type,Xは死んだのだと。

ㅤ勝負には勝ったのだと。

ㅤ一人、type,Xの事を見つめていると、彼女は途切れ途切れの声を放った。

ㅤまさか…アロンダイトを直撃しても生きているなんて。

ㅤ死に際寸前なのは見て分かるが…それにしても、「やはり」というのはどういう意味だ…?

 

「…私が…ベガ様を、想う気持ち…よりも…貴方の方が、ずっと…強かったです…ね」

「……………」

「…流石、です…九条大祐。私は………私が…ベガ様に対して、抱くこの想い…は、所詮この程度…だったのですね…」

 

ㅤtype,Xはそう口にしながらも、光を失い欠けているその瞳からは、大粒の涙を零していた。

 

ㅤ「違う…そんな事は無い」

 

ㅤ思わずそんな言葉を口走りたくなる。

ㅤtype,Xのベガに対する想いの強さは、俺でも見習いたいと思える程だから。

ㅤ然し、それは余りにも無責任だ。

ㅤ事実、こうして勝者と敗者が決まってしまったから。

ㅤ勝てば官軍、負ければ賊軍。

ㅤ物事とはそう定められている。

 

「…短期決戦で仕留めようとした理由は、長引けば不利になるから、別に急いていた訳では無い」

「…正に、その通り…です」

 

ㅤtype,X…最初はファングを利用して、俺の体力を徐々に徐々にと削り、優勢を維持すると読んでいた。

ㅤ然し彼女はあの一瞬に全てを賭けた。

ㅤ即急に俺を排除しなければ、という理由も上がるだろう。

ㅤだが、type,Xは至って順当な戦闘状況へと持ち込んだ。

 

ㅤ戦闘が長引けば、type,Xはリソースを失う。

ㅤ対して俺のリソースは尽きる事を知らない。

ㅤ決して無限とは言えないが、膨大な量を持ち得ている事、それは自分自身でも熟知している。

ㅤそして時間経過と共に、常時リソースは回復。

ㅤこうして考えれば、長期決戦に持ってこいな能力だ。

 

ㅤそれが短期決戦…完全にその場での状況下で、何とかしなければならない。

ㅤ俺は『一度に多量のリソースを消費して強力な攻撃を行う』技や、『自身にバフを掛けて自分強化』等も無い。

ㅤこの大量たるリソースを駆使し、常に此方が優勢な状態を維持する事に長けている、寧ろそれが戦法と言って良いだろう。

ㅤという事に今気付いた訳だが。

 

ㅤこう聞けば『聞こえだけ』は良い。

ㅤだが、それは同時に弱点でもある。

ㅤ一発逆転の要素が丸で何処にも無いからだ。

 

ㅤ一度でも戦況を変えられると、巻き返しが困難である。

ㅤ今迄は、リゲルさん達が側で共闘していてくれたから気にならなかったものの…深く考えれば重大な欠点だ。

ㅤ要は短期決戦、基、単騎決戦に優れていない。

 

「…今は『SEED』も発動して、尚且つバトルドレスによるゴリ押しが効いたから良いものの…完全に性能頼り」

「…もう少し、貴方を観察してから…仕掛けるべきでした、ね…」

「想いの強さ…それを示す戦いで、あまり平等では無い…な」

「………………」

 

ㅤ俺の言葉に、type,Xは黙りとしてしまった。

ㅤバトルドレスの強弱により、勝負が決まった。

ㅤ勝てば良かろう…何をしてでも、誰を亡き者にしようと、彼女達を守れるのであれば。

ㅤずっとそう思っていた。

ㅤいや、間違ってはいない筈だ。

ㅤ間違っていない…筈なのに。

 

ㅤどうしてこんなにも腑に落ちない…?

 

ㅤ現に、type,Xを含めた青の世界…オリジナルXIIIやアドミニストレーター達は、あづみさんやリゲルさんを、自分達の目的の為に利用しようとしている。

ㅤ二人の敵であり、俺の敵でもある。

ㅤその内の一人を倒し、あと一刺しすれば殺せる様な状況だ。

ㅤなのに何故…。

 

ㅤ俺は何を戸惑っている…?

 

「………九条、大祐。もうじき、リゲルもtype,IIを捩じ伏せる頃…でしょう。type,IXに関しては…既に…」

「えぇ…死んでいる、でしょうね」

「…その剣で、私を貫いて下さい。私はもう…ベガ様に見せる顔が、有りません…。何回も、貴方達の捕縛、排除に失敗して…」

 

ㅤ此処までベガという人物に尽くすとは…彼女は一体、ベガに何処までの恩を受けたのか。

ㅤ単なる上下関係とは、到底信じ難い。

 

…だからと言って、彼女を生かしておく訳にはいかないのも確かだ。

ㅤ此処でtype,Xを殺さなければ、何れ又、二人の歩む道の邪魔をしに来るだろう。

 

ㅤ相手の立場になって考えろ…なんて、お互い想う人達がいる中、そんな事を言われなくたって分かっている。

ㅤ出来れば俺も、彼女を生かしてあげたい、見逃してあげたい。

ㅤもう二度と戦場に赴いて欲しくも無い。

ㅤじゃあ、どうすれば。

 

「…?あぁ、これが」

 

ㅤ虚ろな目で地面に倒れているtype,X、彼女を見てふと目に留まったのは、背中や肩に付いている何か。

ㅤ見れば直ぐに分かる形状だ。

ㅤ俺やリゲルさんが、バトルドレスを使用して戦闘する時に動力源となる、所謂ブースターとやらだ。

ㅤ然し、俺は兎も角、リゲルさんのブースターの様に大きくは無い。

ㅤこれは推測にしか過ぎないが、type,IIのバトルドレス【リボーンズガンダム】を造った時、同時にオリジナルXIII全員のブースターを小型化したのか…と。

ㅤすれば、ブースターが攻撃を受けて機能不全に陥る、という事が起き難くなるからだろう。

 

ㅤ成る程…これを壊せば、type,Xは動けなくなるのか。

ㅤ足を使えばそりゃあ歩けるだろうが、バトルドレスでの高速移動は不可能になる。

ㅤ要はそういう事だ。

 

「type,X…君はもう、戦ってはいけない」

 

ㅤ俺は愚行に走った。

 

ーーー

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