Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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来週の水曜日も更新致します〜。


第五十七話: 死に物狂い

「………大祐!?」

 

ㅤデスティニーのビームシールドを前に、飛来する狙撃を直に喰らう。

ㅤその際、周りには大きな音が鳴り響いた。

 

ㅤリゲルさんは一歩遅れて、反応を示す。

ㅤあれだけの眩さだ。

ㅤ目眩しと言うには勿体無い程の閃光。

ㅤ一瞬でも反応が遅れて、当然だろう。

 

「…貴方…まだ、動けるというのですか」

 

ㅤ自分でも分からない、逆に聞きたい位だ。

ㅤ何故、こんな状態でも体は動くのか。

ㅤ意識なんて、殆ど消え掛けているというのに。

ㅤこの場から、一歩足を踏み出すだけで、倒れてしまうというのに。

ㅤ彼女達を守ると誓った思いだけが、この体を突き動かす。

ㅤ死に物狂い?そんなのは何時もの事だ。

 

「……大、祐…くん……?」

「ます………た……」

「………………………………」

 

ㅤだが…もう何をすれば良いのかも、どうすればこの場を切り抜けられるかも分からない…考えられない。

ㅤあれやこれや、何を試そうが無駄に終わる事なんて知っている。

 

「各務原あづみへの狙撃は…失敗しましたか」

「瀕死状態の男、あれが邪魔ですね」

 

ㅤ彼女達を、守ろうとした。

ㅤ何としてでも。

ㅤその結果が、これだ。

ㅤ彼女達は窮地に、瀕死の状態に陥っている。

ㅤ守る事なんて、出来なかった。

 

…いや、それでも、守りたいという思いは…守ってみせるという意思に、偽りは無い。

 

「仕方無いですね…type,XI、切り込みます」

「させはしないっ!!」

「…リゲル、もう諦めて下さい。私達はあの液体の御蔭で完全復活、加えてtype,V、type,XIの増援。貴女達に勝ち目は有りません」

「それでもっ…あづみだけは必ず守る……守ってみせるわっ!!」

「戯言を…」

 

ㅤ偽りは確かに無い。

ㅤだが…このままじゃ、何も守れない。

ㅤ全てを奴等に奪われ、失ってしまう。

ㅤ俺には…何も残らない。

ㅤだから、此処で倒れては…いけない。

 

ㅤそして、この状況から…彼女達だけでも絶対に助ける。

 

「ぐぅっ…!」

「リゲル、邪魔です」

「何とでも言いなさっ…いっ…!?」

「タービンビット、リゲルを捕らえなさい」

「しまっ…!大祐…あづみ!!」

 

ㅤ守る…守る…?

ㅤずっと防衛するだけが、守る事なのか?

ㅤ常に彼女達の側に居て、危険が迫り次第動くだけで良いのか?

 

ㅤそれは…違う。

 

ㅤ彼女達を襲う可能性のある奴等を、事前に排除してしまえば良い。

ㅤそうすれば、彼女達が狙われる心配は無くなる。

ㅤ要するに、半永久的に守る事が出来る。

ㅤこんな簡単な事に…何で、今迄気づかなかったのだろう。

 

ㅤそれが彼女達の幸せに繋がるのであれば、さっさと殺してしまえば良い。

ㅤ奴等を、彼女達を狙う奴等を。

 

ㅤ青の世界を…この手でーー

 

「…崩壊してしまえ」

「その場を動かないで下さい」

 

ㅤ誰だ…?

ㅤ目の前に、小さな少女が現れる。

ㅤ片手にはビームサーベルを構え、勢い良く此方へ突進してくる。

ㅤ冷酷な瞳…確実に、俺を殺すつもりだろう。

ㅤ彼女は思いきり、手に持つビームサーベルを振り翳す。

 

ㅤその場を、動くな…?

 

ㅤ当たり前だ。

ㅤ俺がこの場を動く筈が無いだろう。

ㅤ後ろには、大切な彼女達が居るというのに。

 

「…type,V、其方の少女を頼みます」

 

ㅤtype.,V…そう呼ばれているオリジナルXIIIの1人。

ㅤ彼女は少女の指示を聞き入れ、片手に持つ、銃身の長いライフルの銃口を、横たわっているきさらちゃんへと定める。

ㅤ動かない、動けないと知っての事だろう。

ㅤ未だ7歳の少女を、殺めようとするとは。

ㅤ然も、きさらちゃんは既に…死と隣り合わせの状態だというのに。

 

ㅤ幾ら自分達の目的の為だからとはいえ、あまりに卑劣な行為だ。

 

…もう、抑える事等出来やしない。

ㅤ今迄の行い、そして、今起きようとしている惨劇を。

ㅤ只見ている事なんて。

 

ㅤ自分の限界等、知った事では無い。

ㅤ死ぬまで生きて、彼女達を守るだけだ。

 

ㅤ俺は…この身が滅ぶ最後のその刻まで、自分の力を使って大切な人達を守ってみせる。

 

ㅤだから、力を貸してくれ、デスティニー。

ㅤいや…俺がこの世から消え去る瞬間、一時まで、付き合って貰うぞ。

ㅤ彼女達の幸せな未来を創り上げる為に。

ㅤそれが、俺の選んだ《運命》なのだから。

 

「切り拓け…」

「…この男…っ!?」

 

ㅤ先ずは此奴等、道を阻む者達の排除。

 

ㅤ先程切り込みを仕掛けて来た少女、彼女の振り翳すビームサーベルに、ウェポンラックから取り出したアロンダイトをぶつける。

ㅤバチィッ!と、激しい音を周りに響かせたが、俺は力任せにその少女を吹き飛ばした。

ㅤ多数対少数で戦いを始めた場合、1人だけに固着する理由は先ず無い。

ㅤ俺はその場から直ぐに離れ、きさらちゃんを狙うtype,Vへと近付く。

 

ㅤだが、type,Vに限らず…オリジナルXIII達の状況判断力は凄まじく。

ㅤtype,Vは、俺が接近したと同時に手に持つ武装を変更。

ㅤ見た目ハンドガンの様な銃へ持ち替える。

ㅤ更には先程の少女。

ㅤ俺がその場を離れると同時に、吹き飛ばされた体勢を整え、直ぐ様あづみさん、A–zちゃんへと接近していく。

 

ㅤこの中間距離からでは、きさらちゃんか、あづみさんとA–zちゃん…何方かしか守れない。

ㅤなら、考えられる択を見出し、最優先の択を選びどうにかして対処するまでだ。

 

ㅤとなれば、これしか無いだろう…。

 

「穿て…」

「…っ!」

 

ㅤリゲルさんを捕らえているタービンビット4基。

ㅤその内の2つ、彼女の両腕を拘束しているビットに対して、ビームライフル2発、長距離高出力ビーム砲1発を放つ。

 

ㅤその後直ぐにtype,V、恐らくtype,XIと呼ばれていた少女両方に対して、フラッシュエッジ2をダガーより少し長い程度に調整。

ㅤブーメランの要領で双方に投げ付けた。

 

「…!危ない、ですね」

「邪魔…」

 

ㅤどうやら、type,Vにだけは効果が出た様子だ。

ㅤ事実、彼女の手に持つ銃を破壊する事に成功。

ㅤだが然し、type,XIはフラッシュエッジをそのまま切り落とす。

ㅤ彼女は止まらず、あづみさん達へと近付いていた。

 

…やはり、間に合わない。

ㅤだが、一瞬でもtype,XIを足止め出来れば追い付ける。

ㅤ方法…ライフルじゃあ速度が追い付かない。

ㅤ長距離高出力ビーム砲、構えているまでが長過ぎる。

ㅤフラッシュエッジ2は使い切り。

ㅤこの距離を光の翼で一気に近付いたとして、type,XIがあづみさん達に接触する方が早いというのは、目に見えて分かる。

ㅤそれ程までに開いた距離。

 

…だが、伏線は既に貼っている。

ㅤどんな距離からでも関係無い、的確な狙撃を持つ彼女なら。

 

「…狙い撃つ!!」

 

ㅤその声が周囲に響き渡った刹那、type,XIは青い閃光に貫かれーー

 

「…流石です、リゲル」

 

…てはいなかった。

ㅤ彼女は即座にその場を離れ、リゲルさんの狙撃を見事に回避。

ㅤ再度背中を向け、あづみさん達へと接近を試みていた…が。

 

「通す訳無いだろ…」

「…っ!何時から…っ」

 

ㅤ彼女が後ろを振り返ったその瞬間、目の前では俺がアロンダイトを振り翳していた。

 

「くっ…!」

 

ㅤtype,XIは直ぐ様後退を始める。

 

「逃すか…!」

 

ㅤそんな彼女に対し、俺はデスティニーの武装である光の翼を展開。

ㅤ残像をその場に残し、刹那にしてtype,XIの懐へと踏み込む。

 

「残、像…!?追い付けないっ…」

「先ずは1人目…!」

 

ㅤ油断したtype,XI。

ㅤその隙を逃すまいと近付き、アロンダイトを完全に振り切る。

ㅤこのゼロ距離からでは躱す事すら、況してや迎撃する事すら不可能だろう。

ㅤ確実にtype,XIを脱落させた。

ㅤと思った矢先。

 

バチィッ!!

 

ㅤ先程は俺に味方をしたこの音が、今度は俺を裏切った。

 

「…あんな事されて、ずっと見ている訳が無いでしょう?」

「邪魔だな…アンタっ…!」

 

ーーー

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