Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜 作:黒曜【蒼煌華】
前回の更新から、大分経過してしまいましたね…大変申し訳御座いませんでした。
色々と自分の事で手一杯となり、小説を書く事が難しくなっている状況が長続きしてしまい…。
ですが、やはりこの小説を中途半端に終わらせたくは無く…以前から見て下さっている方々の為にも。
此れからもまったりペースとなりますが、更新は続けていきたいと思っている所存で御座います(*´꒳`*)
加えて、此れからの投稿日時となりますが、【不定期更新、水曜日更新】とさせて頂きたいと思っております。
毎週、毎月では無く、水曜日に更新させて頂きますm(_ _)m
今回はあづみさんの誕生日という事で、こうしてこのタイミングで復帰させて頂きました。
前置きが長くなってしまいましたが…此れからも『Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜』を宜しくお願い致します(*´꒳`*)
予め…更新は本当に、作者の書きたい時や書ける時に限定されますので…まったり以上かもしれません…m(_ _)m
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九条大祐視点
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ㅤアドミニストレーター、ベガ…。
ㅤ俺とリゲルさんは彼女に、完全に…遊ばれているのだと。
ㅤ尽きる命を前にして、口元に暗い笑みを浮かべるベガ。
ㅤ一体何が目的で、こんな所業を…何故、直ぐに殺さず生かすのか。
ㅤいや…今俺が考えるべきは其処じゃない。
ㅤこの頭を使って、どうしたら、絡み付く蜘蛛の巣を抜けて此処から脱出出来るか、だ。
…なんて、そんな思考が有れば、少しは楽だったな。
ㅤ死に物狂いで足掻いている今、俺は兎に角必死になっていた。
ㅤ周りの物等、目に映りはしなかった。
ㅤ唯一視界に映るのは、大好きで、大切な、彼女…。
ㅤだけでは無い。
ㅤ此方を弄ぶ様な瞳で見つめている女性が、1人。
「…アドミニストレーター…ベガ…………全ての、元凶…」
「貴方にそう口にされる筋合いは、微塵も無い。私からするならば、貴方が全ての元凶なのですから」
「…っ!!2人の自由を……幸せを、奪っておいて…今更そんな事をっ…!」
「生物とは、何かを犠牲に…踏み台にして、高みの存在となるのです。自分の望みを成就させる為、多少なりとも犠牲は付き物です」
「そんな下らない理由の犠牲に…2人を選ばれて堪るものかっ…!」
「何かを犠牲にする覚悟すら持たぬ者に、とやかく言われたくは有りません」
「ナメてくれるっ…!」
ㅤ何も犠牲にする覚悟が無い…?
ㅤふざけた事を言ってくれるものだ。
ㅤ俺は…彼女達を幸せにする為ならば、自分という存在をも…何もかもを犠牲にすると決めたんだ。
ㅤその覚悟が無い…だと?
ㅤ彼女達に対するこの想いを、飾り付けられた言葉で愚弄されて堪るものかっ…!!
「アンタだけは…絶対に、許しはしない…!」
「貴方が私を許す権利等、最初から無に等しいです。自分のプライドを汚され、怒りに身を任せますか?」
「プライド…?俺には…彼女達を守るという、絶対的な意思しか無いさ…っ!!」
ㅤそうだ…俺に出来る事は、それしか無い。
ㅤだからこそ、自分の全てを捧げ。
ㅤ彼女達という存在を…何より、あづみさんとリゲルさんを、守ると決めたのだから。
ㅤそれは何度も言って、何度も自分に言い聞かせている。
ㅤだが、それだけでは只の建前に過ぎない。
ㅤ実際に動いてこそ、その意思は…この誓いは、初めて意味を成す。
ㅤ俺は…本当に、最初から、2人の事だけで頭が一杯な馬鹿だ。
ㅤやはり、2人の事が一番大切なのだと。
ㅤなら…最後まで2人の事ばかり考え、自分の満足するような死に方を選んでみせるさ。
「………………………」
…2人の幸せを、自由を手にする事が出来るなら。
ㅤ悪魔にだって魂を売ってやる。
ㅤどんなにだってなってやる。
ㅤ堕ちる所まで、堕ちてみせるさ。
ㅤこの世界で2人と出会えた、それだけで俺は幸せなのだから。
ㅤこの幸せを、一分一秒でも長く未来へと繋ぐ為に。
ㅤあづみさんとリゲルさん、2人の未来を築き上げる為に。
ㅤ大切なあづみを…リゲルさんを、奪われて堪るものか。
「誰にも…二人の幸せに手出しはさせないっ…!!」
「誰も、貴方の軽率な意思に興味だなんて持ちません。少し口を閉じなさーー」
「…ふむ、どうやら…面白い輩を連れて来た様子じゃのう」
ㅤ何としてでも助けてみせる、そう、残された僅かばかりの力を振り絞り、抗おうと決心したその時。
ㅤ刹那の出来事に、意識が全て持っていかれた。
ㅤ一瞬乍ら、今迄頭に入り込んで来た声とは、全く別物の声がこの場に響く。
ㅤそれも、全く聞き覚えのない…アドミニストレーターベガの、冷たく刺さる様な声とは違った…少しの明るみを含む、そんな声が。
ㅤ此奴も、アドミニストレーター…なのか…?
ㅤだが、そんな事はどうだって良い。
ㅤ誰でも良い…リゲルさんだけでも助けられるのであれば、その手助けになってくれるなら…。
ㅤなんて…無意味、だよな。
……頼むから、好い加減応えてくれ、バトルドレス…。
ㅤこれじゃあ、何も守れない。
ㅤバトルドレスという力を持ち得ない俺に、最早存在意義も…生きる意味すら、全てを失ってしまう。
ㅤ守る為の力を失ってしまえば、俺は…。
「…なんじゃ、死に掛けて居るではないか」
「ふん…未だ、バトルドレスに頼ろうとしますか」
「アンタらに…何が分かる…!」
「何も分かりません、それに、諦めなさい。バトルドレスは此処青の世界の管理下に有るのです。貴方がバトルドレスを装着出来る事は、此れから先…二度として訪れません」
「なっ……!」
…そうか、あの時バトルドレスが封じられたのも、此奴等が理由か。
ㅤバトルドレスの装着可否を好きな様に、弄れると。
ㅤ多少なりとも疑問は湧くが…今の俺に、力はもう…戻ってこないのか。
ㅤあの時の事が、何だか懐かしくも感じる。
ㅤ初めてきさらちゃんと、ヴェスパローゼさんと出会ってーー
…っ!!
ㅤきさらちゃ…ん…。
「…ふむ、そうじゃのう…」
「如何かしたのです?」
「ベガは何時も、面白そうな輩を連れて来ると…そう思っただけじゃ。妾の興味を頗るそそってくれる」
「私には、眼中にすらないですけど」
「ほう、眼中にないとな?」
「えぇ」
「…のぅ、ベガよ。此処は妾に任せて貰えんか」
「人間の可能性に…少なからず興味を示す貴女に、何を任せろというのです?」
「安心せい、悪い様にはせん」
「その可能性は限りなく薄いものと思われます」
「…相変わらず、堅物じゃのう」
…目の前で、恐らくアドミニストレーター同士で有ろう2人の会話が繰り広げられる。
ㅤ長年の付き合いの様な…会話が。
ㅤだが、俺はそんな事には目もくれず。
ㅤただ只管に、リゲルさん、きさらちゃん…そして、離れ離れとなってしまったあづみさんやA–zちゃんの事ばかり…。
ㅤ違う選択肢を、違う道を選んでいれば…良かったのか…?
ㅤ何故、こうなってしまったんだ…何故、彼女達との幸せを願う事がこうも阻まれるんだ。
ㅤ何故、何故と、疑問や怒りだけが自分の中に蔓延る。
ㅤどうして、彼女達の邪魔をする。
ㅤ分からない…彼女達の自由を、幸せを、未来を奪う事が…。
ㅤ理解なんて、到底出来やしない。
ㅤ何も要らない。
ㅤ何も望まない。
ㅤもし俺が、自分の全てを犠牲にして…すれば、彼女達が救えるなら。
ㅤこの、鎖の巻かれた鳥籠から解放してあげられるのなら…。
「…此奴(こやつ)、まだ目は死んでおらぬ様じゃのう」
「知りませんし、此れからその光は失われる物となりまーー」
「光等、とうの昔に捨てておるようじゃ」
「…?どういう…」
ㅤ邪魔する者は、全て排除する。
ㅤ今迄はそうして、彼女達を守ろうと必死になってやってきた。
ㅤだが…今は、もう何も…。
ㅤ俺には力すら、残されていないのだから。
ㅤだとしたら、残った物は何か…?
ㅤ言わずもがな。
ㅤ『絶望』だ。
「…………………………それでも…………………………」
…だが、何故か、どうやら。
ㅤ此の想いだけは、失いたくなくて。
ㅤ俺は彼女達を守り抜くという意思、彼女達が自由で幸せな未来を築き上げるという誓いを、捨て切れない様子だ。
ㅤどうしてなのか…?
ㅤ理由なんてない。
ㅤその意思や誓い其の物が、俺の生きる意味なのだから。
「………………………そうだ…」
ㅤこの意味を失ってしまった時が、俺の最後だ。
ㅤだから…今はまだ死ぬ訳にはいかない。
ㅤ俺はまだ、自分の最後を迎えていない。
ㅤどんな形で有ろうと、例え自分を失ってしまっても………………俺は…変わる。
ㅤその果てに何が有ろうと。
ㅤバトルドレスだけに頼る自分には、もう…うんざりだ。
ㅤ自らの意思は、自らの手で導く。
ㅤ末路がどうであれ、彼女達を幸せに…出来るのならっ…。
「………俺は…悪魔にだって、なってみせるさ………………」
「………………大、祐………?」
「………人間とは熟、面白いものじゃのぅ」
ㅤ自らのその言葉と同時に、俺は先の見えない道を歩み始めた。
ㅤ片手に感じる、違和感。
ㅤ直感的に、腕に、力を込める。
ㅤ拘束具から抜け出そうと、思い切りそれを振る。
ㅤ瞬間、自由という言葉が頭をよぎった。
「……人間が…………有り得ません」
ㅤガチャンッ、という、重く響く擬音がその場の全員の意識を奪い去る。
ㅤ言うまでもなく、俺を拘束していたその道具はいとも簡単に壊れていた。
ㅤ何をするまでも無く、ただ、腕を振っただけで。
ㅤ丸で糸を千切るかの如く、俺の腕を拘束していた鎖は壊れた。
ㅤアドミニストレーターベガ…彼女はただ、目の前で起こった光景に目が釘付けとなっていた。
「………大祐……何、が………」
「………………これ………邪魔だな…………」
「…っ!!」
ㅤ俺は更に、もう片方の腕を拘束している鎖を、先程の様な形で千切る。
ㅤ最も簡単に。
ㅤその姿にリゲルさんは、驚愕を隠せずに言葉を漏らした。
ㅤ彼女と同じく呆気に取られていたベガ。
ㅤだったが、床に転がっているサーベルを即座に手に取り、彼女は一瞬の内に俺の顔目掛けてサーベルを突き立てる。
「…っ」
ㅤだが。
「………………………」
…彼女の手に持つ刃の先端、それは俺の目の前で動きを止めた。
ㅤピタリと。
「……その手を…離しなさい…!」
「………アンタなんかの命令……誰が聞くってさ………」
ㅤ俺はアドミニストレーターベガの手を掴み、冷めた口調で、彼女に言葉を投げつける。
ㅤそれと同時に、ベガの持つサーベルを力任せに奪い取り。
ㅤふっ…と真上へ翳した。
「………借りるよ」
ㅤだが、そう一言告げる瞬間の間に…ベガは退避行動へと移っていた。
ㅤ既に俺と彼女の距離はかなり開き。
ㅤどうしたってサーベルの届く様な範囲には入っていない。
「瞬間移動…いや、データでの移動か…」
ㅤ更に彼女は、直ぐ様援軍、増援、万が一俺が暴れ出した時の為に待機させていた鎮圧部隊…基オリジナルXIIIをこの場へと呼び寄せる。
ㅤその選択を取るので有れば…。
「…………逃がさない」
ㅤサーベルを振り翳しても届かない距離で有るならば、投げ付ければ良い。
ㅤ俺は両足の拘束具をサーベルで壊し、地面に足を着いた瞬間。
ㅤふと、目の前に影が映る。
ㅤ其処に現れたのは。
「ベガ様には…触れさせない…っ!」
ㅤ誰よりも、何よりも行動を起こすのが早いに定評のオリジナルXIII。
ㅤその1人で有るtype,IIが直ぐに、ベガを守るべくサーベルの射線上へと割り込む。
ㅤ以前の戦いから完全に癒えてはいないのか、体の彼方此方に傷跡が見られる。
ㅤが、それが何だ。
「………ああ、先ずはアンタからだ」
ㅤ俺は即座に、標的をベガからtype,IIへと変え。
ㅤ手に持つサーベル逆手に持ち、瞬時にして低い姿勢を取る。
ㅤ確実に仕留める為にも。
ㅤ先ずは行動不能にさせてからだ。
「其処か」
ㅤ低い姿勢をそのままに、逆手に持つサーベルをtype,IIの足へと横薙ぎに一閃する。
「っ…バトルドレスも無しに…!」
ㅤバトルドレスが無いから…何だって言うんだ。
「…アンタが遅いだけだろう」
「チッ…!」
ㅤ俺の言葉に苛立ちを覚えたのか、type,IIは舌打ちをしつつも小さなジャンプを挟み、サーベルの反撃をギリギリで躱す。
「人間の分際で…この私に勝てるとーー」
「勝つ?…そんな事、どうだって良い」
ㅤ勝ち負けなんて、眼中に無い。
ㅤそんな自己満足要因なんて、只の邪魔だ。
ㅤ俺の目的は、俺の全ては。
「………あづみとリゲルを守る。それだけ。それすら出来ないので有れば、俺には生きている意味なんて…無いから」
ㅤ例え地べたに這い蹲る事になろうと、俺は2人を守る。
ㅤ2人が居なくなってしまったら、俺も、この世界に生きる意味を見出せないから。
「それに…」
ㅤ人間の分際で…か。
「…俺はアンタを殺す。もう、人間じゃないからね」
ㅤそう告げ、俺はtype,II目掛けてサーベルを振るう。
ーーー
『他の事には…意識其の物が向いていない様子じゃのう』
『アドミニストレーター…ポラリス…』
『分かっておる。バトルドレスの…アドミニストレーターで有る妾が、何故主を助けるのか』
『…どうして…』
『?』
『………どうして、あづみは…こんなに辛い思いをしなければならないの…?あづみは…貴女達には何もしていない、それどころか、貴女達の言いなりになっていた…!』
『…』
『あづみは頑張って、戦っていた…死にたく無いから、って。でも…青の世界は彼女を駒としか見てなかった。このままじゃ、あづみは何れ死んでしまう』
『…だから、お主は各務原あづみを連れて謀反を起こした、と?』
『………それに、あづみは私を『友達』って言ってくれた。優しい言葉を何度も掛けてくれた。見捨てる事なんて、出来る筈ーー』
『お主も、各務原あづみも、お互いに好意を寄せていたのじゃな』
『………………………………』
『………だが、今の主の中に居るのは『各務原あづみ』という少女だけなのかのう?この一分一秒と、目の前でお主等の為に自らを犠牲にしてでも戦うあの少年は、心の片隅にすら居らぬのか?』
『…!大、祐…』
『ほれ、何を呆けておる?このままではあの人間、自我すら失うぞ?』
『…っ!!』
『お主を拘束している物はもう既に無い。感情を手に入れたお主と、感情を失い掛けている彼奴、何方が勝てるか…見物させて貰うかのう』
『…私は…私、は…』
『…リゲル。お主は自分を信じて進めばよい。あの者を救えるかどうかも、リゲル、お主次第じゃて』
『…………私は、あづみも大祐も助ける。3人で、ずっと一緒に…幸せな未来を掴む為に』
『ふむ…それで良い。後はお主と彼奴次第、じゃのう』
ーーー
あづみさん、誕生日おめでとう(*´꒳`*)
happy birthday。