Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

67 / 69
お久し振りで御座います、黒曜月華と申しますm(_ _)m
前回の更新から、大分経過してしまいましたね…大変申し訳御座いませんでした。
色々と自分の事で手一杯となり、小説を書く事が難しくなっている状況が長続きしてしまい…。
ですが、やはりこの小説を中途半端に終わらせたくは無く…以前から見て下さっている方々の為にも。

此れからもまったりペースとなりますが、更新は続けていきたいと思っている所存で御座います(*´꒳`*)
加えて、此れからの投稿日時となりますが、【不定期更新、水曜日更新】とさせて頂きたいと思っております。
毎週、毎月では無く、水曜日に更新させて頂きますm(_ _)m
今回はあづみさんの誕生日という事で、こうしてこのタイミングで復帰させて頂きました。

前置きが長くなってしまいましたが…此れからも『Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜』を宜しくお願い致します(*´꒳`*)
予め…更新は本当に、作者の書きたい時や書ける時に限定されますので…まったり以上かもしれません…m(_ _)m


第六十六話: 想いの果てに

ーー

 

九条大祐視点

 

ーー

 

ㅤアドミニストレーター、ベガ…。

ㅤ俺とリゲルさんは彼女に、完全に…遊ばれているのだと。

ㅤ尽きる命を前にして、口元に暗い笑みを浮かべるベガ。

ㅤ一体何が目的で、こんな所業を…何故、直ぐに殺さず生かすのか。

ㅤいや…今俺が考えるべきは其処じゃない。

 

ㅤこの頭を使って、どうしたら、絡み付く蜘蛛の巣を抜けて此処から脱出出来るか、だ。

 

…なんて、そんな思考が有れば、少しは楽だったな。

ㅤ死に物狂いで足掻いている今、俺は兎に角必死になっていた。

ㅤ周りの物等、目に映りはしなかった。

ㅤ唯一視界に映るのは、大好きで、大切な、彼女…。

ㅤだけでは無い。

 

ㅤ此方を弄ぶ様な瞳で見つめている女性が、1人。

 

「…アドミニストレーター…ベガ…………全ての、元凶…」

「貴方にそう口にされる筋合いは、微塵も無い。私からするならば、貴方が全ての元凶なのですから」

「…っ!!2人の自由を……幸せを、奪っておいて…今更そんな事をっ…!」

「生物とは、何かを犠牲に…踏み台にして、高みの存在となるのです。自分の望みを成就させる為、多少なりとも犠牲は付き物です」

「そんな下らない理由の犠牲に…2人を選ばれて堪るものかっ…!」

「何かを犠牲にする覚悟すら持たぬ者に、とやかく言われたくは有りません」

「ナメてくれるっ…!」

 

ㅤ何も犠牲にする覚悟が無い…?

ㅤふざけた事を言ってくれるものだ。

ㅤ俺は…彼女達を幸せにする為ならば、自分という存在をも…何もかもを犠牲にすると決めたんだ。

ㅤその覚悟が無い…だと?

 

ㅤ彼女達に対するこの想いを、飾り付けられた言葉で愚弄されて堪るものかっ…!!

 

「アンタだけは…絶対に、許しはしない…!」

「貴方が私を許す権利等、最初から無に等しいです。自分のプライドを汚され、怒りに身を任せますか?」

「プライド…?俺には…彼女達を守るという、絶対的な意思しか無いさ…っ!!」

 

ㅤそうだ…俺に出来る事は、それしか無い。

ㅤだからこそ、自分の全てを捧げ。

ㅤ彼女達という存在を…何より、あづみさんとリゲルさんを、守ると決めたのだから。

ㅤそれは何度も言って、何度も自分に言い聞かせている。

 

ㅤだが、それだけでは只の建前に過ぎない。

ㅤ実際に動いてこそ、その意思は…この誓いは、初めて意味を成す。

 

ㅤ俺は…本当に、最初から、2人の事だけで頭が一杯な馬鹿だ。

ㅤやはり、2人の事が一番大切なのだと。

ㅤなら…最後まで2人の事ばかり考え、自分の満足するような死に方を選んでみせるさ。

 

「………………………」

 

…2人の幸せを、自由を手にする事が出来るなら。

ㅤ悪魔にだって魂を売ってやる。

ㅤどんなにだってなってやる。

ㅤ堕ちる所まで、堕ちてみせるさ。

 

ㅤこの世界で2人と出会えた、それだけで俺は幸せなのだから。

ㅤこの幸せを、一分一秒でも長く未来へと繋ぐ為に。

ㅤあづみさんとリゲルさん、2人の未来を築き上げる為に。

 

ㅤ大切なあづみを…リゲルさんを、奪われて堪るものか。

 

「誰にも…二人の幸せに手出しはさせないっ…!!」

「誰も、貴方の軽率な意思に興味だなんて持ちません。少し口を閉じなさーー」

「…ふむ、どうやら…面白い輩を連れて来た様子じゃのう」

 

ㅤ何としてでも助けてみせる、そう、残された僅かばかりの力を振り絞り、抗おうと決心したその時。

 

ㅤ刹那の出来事に、意識が全て持っていかれた。

ㅤ一瞬乍ら、今迄頭に入り込んで来た声とは、全く別物の声がこの場に響く。

ㅤそれも、全く聞き覚えのない…アドミニストレーターベガの、冷たく刺さる様な声とは違った…少しの明るみを含む、そんな声が。

ㅤ此奴も、アドミニストレーター…なのか…?

 

ㅤだが、そんな事はどうだって良い。

ㅤ誰でも良い…リゲルさんだけでも助けられるのであれば、その手助けになってくれるなら…。

ㅤなんて…無意味、だよな。

 

……頼むから、好い加減応えてくれ、バトルドレス…。

ㅤこれじゃあ、何も守れない。

ㅤバトルドレスという力を持ち得ない俺に、最早存在意義も…生きる意味すら、全てを失ってしまう。

ㅤ守る為の力を失ってしまえば、俺は…。

 

「…なんじゃ、死に掛けて居るではないか」

「ふん…未だ、バトルドレスに頼ろうとしますか」

「アンタらに…何が分かる…!」

「何も分かりません、それに、諦めなさい。バトルドレスは此処青の世界の管理下に有るのです。貴方がバトルドレスを装着出来る事は、此れから先…二度として訪れません」

「なっ……!」

 

…そうか、あの時バトルドレスが封じられたのも、此奴等が理由か。

ㅤバトルドレスの装着可否を好きな様に、弄れると。

ㅤ多少なりとも疑問は湧くが…今の俺に、力はもう…戻ってこないのか。

 

ㅤあの時の事が、何だか懐かしくも感じる。

ㅤ初めてきさらちゃんと、ヴェスパローゼさんと出会ってーー

 

…っ!!

 

ㅤきさらちゃ…ん…。

 

「…ふむ、そうじゃのう…」

「如何かしたのです?」

「ベガは何時も、面白そうな輩を連れて来ると…そう思っただけじゃ。妾の興味を頗るそそってくれる」

「私には、眼中にすらないですけど」

「ほう、眼中にないとな?」

「えぇ」

「…のぅ、ベガよ。此処は妾に任せて貰えんか」

「人間の可能性に…少なからず興味を示す貴女に、何を任せろというのです?」

「安心せい、悪い様にはせん」

「その可能性は限りなく薄いものと思われます」

「…相変わらず、堅物じゃのう」

 

…目の前で、恐らくアドミニストレーター同士で有ろう2人の会話が繰り広げられる。

ㅤ長年の付き合いの様な…会話が。

 

ㅤだが、俺はそんな事には目もくれず。

ㅤただ只管に、リゲルさん、きさらちゃん…そして、離れ離れとなってしまったあづみさんやA–zちゃんの事ばかり…。

ㅤ違う選択肢を、違う道を選んでいれば…良かったのか…?

ㅤ何故、こうなってしまったんだ…何故、彼女達との幸せを願う事がこうも阻まれるんだ。

ㅤ何故、何故と、疑問や怒りだけが自分の中に蔓延る。

 

ㅤどうして、彼女達の邪魔をする。

ㅤ分からない…彼女達の自由を、幸せを、未来を奪う事が…。

ㅤ理解なんて、到底出来やしない。

 

ㅤ何も要らない。

ㅤ何も望まない。

 

ㅤもし俺が、自分の全てを犠牲にして…すれば、彼女達が救えるなら。

ㅤこの、鎖の巻かれた鳥籠から解放してあげられるのなら…。

 

「…此奴(こやつ)、まだ目は死んでおらぬ様じゃのう」

「知りませんし、此れからその光は失われる物となりまーー」

「光等、とうの昔に捨てておるようじゃ」

「…?どういう…」

 

ㅤ邪魔する者は、全て排除する。

ㅤ今迄はそうして、彼女達を守ろうと必死になってやってきた。

ㅤだが…今は、もう何も…。

ㅤ俺には力すら、残されていないのだから。

 

ㅤだとしたら、残った物は何か…?

ㅤ言わずもがな。

ㅤ『絶望』だ。

 

「…………………………それでも…………………………」

 

…だが、何故か、どうやら。

ㅤ此の想いだけは、失いたくなくて。

ㅤ俺は彼女達を守り抜くという意思、彼女達が自由で幸せな未来を築き上げるという誓いを、捨て切れない様子だ。

ㅤどうしてなのか…?

ㅤ理由なんてない。

ㅤその意思や誓い其の物が、俺の生きる意味なのだから。

 

「………………………そうだ…」

 

ㅤこの意味を失ってしまった時が、俺の最後だ。

ㅤだから…今はまだ死ぬ訳にはいかない。

ㅤ俺はまだ、自分の最後を迎えていない。

 

ㅤどんな形で有ろうと、例え自分を失ってしまっても………………俺は…変わる。

ㅤその果てに何が有ろうと。

 

ㅤバトルドレスだけに頼る自分には、もう…うんざりだ。

ㅤ自らの意思は、自らの手で導く。

ㅤ末路がどうであれ、彼女達を幸せに…出来るのならっ…。

 

「………俺は…悪魔にだって、なってみせるさ………………」

「………………大、祐………?」

「………人間とは熟、面白いものじゃのぅ」

 

ㅤ自らのその言葉と同時に、俺は先の見えない道を歩み始めた。

ㅤ片手に感じる、違和感。

 

ㅤ直感的に、腕に、力を込める。

ㅤ拘束具から抜け出そうと、思い切りそれを振る。

ㅤ瞬間、自由という言葉が頭をよぎった。

 

「……人間が…………有り得ません」

 

ㅤガチャンッ、という、重く響く擬音がその場の全員の意識を奪い去る。

ㅤ言うまでもなく、俺を拘束していたその道具はいとも簡単に壊れていた。

ㅤ何をするまでも無く、ただ、腕を振っただけで。

ㅤ丸で糸を千切るかの如く、俺の腕を拘束していた鎖は壊れた。

ㅤアドミニストレーターベガ…彼女はただ、目の前で起こった光景に目が釘付けとなっていた。

 

「………大祐……何、が………」

「………………これ………邪魔だな…………」

「…っ!!」

 

ㅤ俺は更に、もう片方の腕を拘束している鎖を、先程の様な形で千切る。

ㅤ最も簡単に。

ㅤその姿にリゲルさんは、驚愕を隠せずに言葉を漏らした。

 

ㅤ彼女と同じく呆気に取られていたベガ。

ㅤだったが、床に転がっているサーベルを即座に手に取り、彼女は一瞬の内に俺の顔目掛けてサーベルを突き立てる。

 

「…っ」

 

ㅤだが。

 

「………………………」

 

…彼女の手に持つ刃の先端、それは俺の目の前で動きを止めた。

ㅤピタリと。

 

「……その手を…離しなさい…!」

「………アンタなんかの命令……誰が聞くってさ………」

 

ㅤ俺はアドミニストレーターベガの手を掴み、冷めた口調で、彼女に言葉を投げつける。

ㅤそれと同時に、ベガの持つサーベルを力任せに奪い取り。

ㅤふっ…と真上へ翳した。

 

「………借りるよ」

 

ㅤだが、そう一言告げる瞬間の間に…ベガは退避行動へと移っていた。

ㅤ既に俺と彼女の距離はかなり開き。

ㅤどうしたってサーベルの届く様な範囲には入っていない。

 

「瞬間移動…いや、データでの移動か…」

 

ㅤ更に彼女は、直ぐ様援軍、増援、万が一俺が暴れ出した時の為に待機させていた鎮圧部隊…基オリジナルXIIIをこの場へと呼び寄せる。

 

ㅤその選択を取るので有れば…。

 

「…………逃がさない」

 

ㅤサーベルを振り翳しても届かない距離で有るならば、投げ付ければ良い。

ㅤ俺は両足の拘束具をサーベルで壊し、地面に足を着いた瞬間。

 

ㅤふと、目の前に影が映る。

ㅤ其処に現れたのは。

 

「ベガ様には…触れさせない…っ!」

 

ㅤ誰よりも、何よりも行動を起こすのが早いに定評のオリジナルXIII。

ㅤその1人で有るtype,IIが直ぐに、ベガを守るべくサーベルの射線上へと割り込む。

ㅤ以前の戦いから完全に癒えてはいないのか、体の彼方此方に傷跡が見られる。

 

ㅤが、それが何だ。

 

「………ああ、先ずはアンタからだ」

 

ㅤ俺は即座に、標的をベガからtype,IIへと変え。

ㅤ手に持つサーベル逆手に持ち、瞬時にして低い姿勢を取る。

ㅤ確実に仕留める為にも。

ㅤ先ずは行動不能にさせてからだ。

 

「其処か」

 

ㅤ低い姿勢をそのままに、逆手に持つサーベルをtype,IIの足へと横薙ぎに一閃する。

 

「っ…バトルドレスも無しに…!」

 

ㅤバトルドレスが無いから…何だって言うんだ。

 

「…アンタが遅いだけだろう」

「チッ…!」

 

ㅤ俺の言葉に苛立ちを覚えたのか、type,IIは舌打ちをしつつも小さなジャンプを挟み、サーベルの反撃をギリギリで躱す。

 

「人間の分際で…この私に勝てるとーー」

「勝つ?…そんな事、どうだって良い」

 

ㅤ勝ち負けなんて、眼中に無い。

ㅤそんな自己満足要因なんて、只の邪魔だ。

ㅤ俺の目的は、俺の全ては。

 

「………あづみとリゲルを守る。それだけ。それすら出来ないので有れば、俺には生きている意味なんて…無いから」

 

ㅤ例え地べたに這い蹲る事になろうと、俺は2人を守る。

ㅤ2人が居なくなってしまったら、俺も、この世界に生きる意味を見出せないから。

 

「それに…」

 

ㅤ人間の分際で…か。

 

「…俺はアンタを殺す。もう、人間じゃないからね」

 

ㅤそう告げ、俺はtype,II目掛けてサーベルを振るう。

 

ーーー

 

『他の事には…意識其の物が向いていない様子じゃのう』

『アドミニストレーター…ポラリス…』

『分かっておる。バトルドレスの…アドミニストレーターで有る妾が、何故主を助けるのか』

『…どうして…』

『?』

『………どうして、あづみは…こんなに辛い思いをしなければならないの…?あづみは…貴女達には何もしていない、それどころか、貴女達の言いなりになっていた…!』

『…』

『あづみは頑張って、戦っていた…死にたく無いから、って。でも…青の世界は彼女を駒としか見てなかった。このままじゃ、あづみは何れ死んでしまう』

『…だから、お主は各務原あづみを連れて謀反を起こした、と?』

『………それに、あづみは私を『友達』って言ってくれた。優しい言葉を何度も掛けてくれた。見捨てる事なんて、出来る筈ーー』

『お主も、各務原あづみも、お互いに好意を寄せていたのじゃな』

『………………………………』

『………だが、今の主の中に居るのは『各務原あづみ』という少女だけなのかのう?この一分一秒と、目の前でお主等の為に自らを犠牲にしてでも戦うあの少年は、心の片隅にすら居らぬのか?』

『…!大、祐…』

『ほれ、何を呆けておる?このままではあの人間、自我すら失うぞ?』

『…っ!!』

『お主を拘束している物はもう既に無い。感情を手に入れたお主と、感情を失い掛けている彼奴、何方が勝てるか…見物させて貰うかのう』

『…私は…私、は…』

『…リゲル。お主は自分を信じて進めばよい。あの者を救えるかどうかも、リゲル、お主次第じゃて』

『…………私は、あづみも大祐も助ける。3人で、ずっと一緒に…幸せな未来を掴む為に』

『ふむ…それで良い。後はお主と彼奴次第、じゃのう』

 

ーーー




あづみさん、誕生日おめでとう(*´꒳`*)
happy birthday。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。