Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜 作:黒曜【蒼煌華】
一度目の更新、此方の更新共に内容が短いですので、二度目を投稿させて頂きましたm(_ _)m
「何…なの…この力…」
「………諦めなよ」
ㅤ一対一。
ㅤ俺とtype,IIは真正面から鍔迫り合いを続けていた。
ㅤお互いの守りたい者を守る為に。
「………諦める…?ベガ様の前で、恥晒しも良いところね…!!」
ㅤ彼女はそう言い、手に持つサーベルでの乱舞を仕掛けてくる。
ㅤ小刻みに動き、ブースターを使用、大胆に動いたりと。
ㅤ凡ゆる方向から攻め立てる。
ㅤ対して俺は、防戦一方となっていた。
「………………」
ㅤtype,IIの攻撃を全ていなし続け、隙を伺う。
ㅤ彼女の容赦無い攻めにも、必ず一拍の間が有る筈だ。
ㅤそのタイミングを逃さない為にも、俺は兎に角、サーベル一本で対処する。
ㅤ全てはその一撃に。
「…私の攻撃を…くっ…」
「何?……もう終わりなのか」
ㅤ丸で軽く遇らうかの様に対応する俺に、type,IIは困惑を隠し切れない様子だ。
ㅤ更に追い討ちを掛けるかの如く、俺は挑発的な口調で物を言う。
「…!舐めないで下さいっ…!」
ㅤその言葉にカチンと来たのか、type,IIはサーベルを真上に掲げ、出力を増大させる。
ㅤ徐々に徐々にと、大きく形を変えて行くサーベル。
ㅤ大体…彼女自身の2倍以上は有るだろうか。
ㅤ少し経過すると、恐らく出力が限界に達したのだろうか、辺りに『バチバチッ』と雷に似た電撃を放ちつつ。
ㅤ掲げたサーベルを構え、体勢を整える。
「貴方は…存在其の物、消えて貰います…!!」
「………あっそ………」
ㅤ塵すら残してはやらない、と。
ㅤ確実に殺す気満々だ。
ㅤ確かに、あんな物を喰らえば未来に死は確定だろう。
ㅤあんな物を、喰らえば。
ㅤ俺はそれを理解しながらも、右手に握るサーベルを真上に放る。
ㅤかなり高度に、高高度に。
ㅤ丸で勝負を投げ捨て、彼女の攻撃を真正面から受け止めるかの如く。
ㅤその場で静かに、何もせず佇む。
「ベガ様が仰っていました…貴方のデータは頂いた、と」
「………それが、なんなの」
「要するに貴方は『用済み』です。それが、貴方の死ぬ理由」
「……アンタに決められる程、安い死に方はしたくないな」
「光栄に思う事です。私の…全力を持ってして葬られるのですから」
「人の話……聞いちゃいないな…」
ㅤtype,IIが話を勝手に進め、呆れを覚える。
ㅤ人の生き方を否定し、死に方を決め付ける…そんな理不尽が通される筈が無いだろう。
ㅤもし、この世界が、その理不尽が通ってしまう様な世界で有るならば。
ㅤ俺も、理不尽で押し切ってやる。
「………さようなら、謀反者に加担した愚かな人間」
ㅤそして、彼女は確実に俺の死に狙いを定めた。
ㅤエネルギーで形成された大剣をその体勢のまま、ブースターを全力で吹かし、突きの形で此方に突進。
ㅤ恐らく、その一突きを俺の体に突き刺すつもりだろう。
「全ては、ベガ様の為にっ…!!」
ㅤただ真正面に突っ込んで来る様子で有るなら、単に横へ躱せば良いだけの話。
ㅤだが、type,IIは直前で、自身の体を捻り。
ㅤ華麗に一回転を見せ、手に持つサーベルでの薙ぎ払いを狙って仕掛けにきた。
ㅤサーベルの周りは強力なエネルギーで覆われており、触れる以前に近付いただけで屠られてしまいそうだ。
ㅤ要するに、逃げ場は上のみ。
ㅤ然し乍ら、俺はしっかりと認識していた。
ㅤこの場に二人目のオリジナルXIIIが待ち構えていた事を。
………上に回避した時点で其奴に狙われる。
ㅤ逃げ場はない。
ㅤ元より、逃げ様だなんて思っちゃいない。
「……………悪いけど、潰されるのはアンタ達だ」
ㅤ言っただろう。
ㅤ諦めなよ、って。
ㅤ俺は右腕を、ふっと横に伸ばし、空中で何かを掴む様に右手を握りしめる。
ㅤ刹那、刃と刃のぶつかり合う音が周囲に響き渡った。
「……………何処からっ…………………」
「…アンタの攻撃は俺に届かない。残念だけど、此れで終わりだ」
ㅤtype,IIはその場から動かず、キッと此方を睨み続けている。
ㅤ自身の全力を呆気なく対処されたからだろうか。
ㅤどうせはその程度の力、という事だ。
ㅤ今なら…オリジナルXIIIだろうが何だろうが、潰せそうだ…。
「…じゃあ、そろそろ終わらせようか」
ㅤふと、二人目のオリジナルXIIIが動きを見せようとしたその時。
ㅤ一手先に動きを見せたのは此方側だった。
ㅤtype,IIの攻撃を、右手に持つ太刀一つのみで対処している俺は、力任せに彼女の体を吹き飛ばす。
「っ…なんて、力っ…!」
ㅤ然し乍らtype, IIもその場で持ち堪える。
ㅤまぁ…吹き飛ぼうが吹き飛ばまいが、あまり関係無いけどな。
「…悪いけど、アンタには死んで貰う」
ㅤ俺はそう、一言告げると、地面を勢い良く蹴りtype, IIのゼロ距離にまで接近する。
ㅤ彼女はその速度にすら追い付くが、其処からの反応速度は此方が上の様だ。
ㅤ振り翳す太刀に、自らのサーベルを重ねて自衛を図ろうとするtype, II。
ㅤだが、彼女の腕に掛かる負担は異常な物だった。
ㅤ丸で全ての重力が伸し掛かるかの如く。
「…なに…これっ…!?」
ㅤ余りの一撃の重さに、type, IIの手に持つサーベルは真下へ弾かれる。
ㅤその際、彼女自身はバックステップを踏み、反動を利用したままブースターを吹かして後退を見せた。
ㅤ一度態勢を立て直す、その気満々じゃないか。
「逃す訳無いだろ」
ㅤ仕留めるならば今しかない。
ㅤ俺は自身の体を捻り、勢いのままに地面へ叩き付けた刀をtype, IIへ投擲する。
「なっ…!?」
ㅤ凄まじい速度で飛来する刀に、type, IIは反応を遅らせた。
ㅤ然し乍ら彼女は、バトルドレスの中でもトップに位置するオリジナルXIIIの一人。
ㅤ更にもう一つのサーベルを構え、迎撃を図る。
「人間如きが…!」
ㅤ苦しい表情を浮かべるtype, II。
ㅤどうやら、想定外の出来事に動揺を隠し切れない様子だ。
ㅤそして、彼女の構えたサーベルに、投擲した刀が触れた途端。
ㅤ周りに『バチィッ』という激しい音と共に、電撃が走る。
ㅤその電撃は目眩しの様にtype, IIの視界を奪う。
「こ…のっ…!!」
ㅤ一方的に不利な状況下に置かれるtype, II。
ㅤ自身の持つサーベルを力任せに振り、如何にか。
ㅤ彼女は、投擲された刀を見事跳ね返した。
ㅤ然し乍ら。
ㅤtype, IIは、空中に舞う刀を目にして苦の表情を浮かべる。
ㅤそれは何故か。
ㅤ突如として、彼女の目の前にもう一本のサーベルが投擲されていたからだ。
「………そう言う事ですか」
「今更気付いても…遅いよ」
ㅤtype,II目掛けて飛来する、もう一本のサーベル。
ㅤそれは…俺が少し前に空中に放ったサーベルが手元に戻り、それをtype, IIへと蹴り飛ばしたから。
ㅤ至って単純だ。
ㅤでなければ唯一の武器で有る刀を、態々捨てる訳が無い。
ㅤどうせ、type, IIに弾かれる事は演算済みだ。
ㅤだからこそ…。
「…今度こそ、沈んで貰うよ」
ㅤそう言い放つと同時に、投擲したサーベルはtype, IIへと触れる。
ㅤそれでもと、彼女はサーベルでの防衛を図るが…。
ㅤ右足に、一瞬のグラつきが生じたのを俺は見逃さなかった。
ㅤあの時の…リゲルさんが狙撃で与えた傷が癒え切ってない様子だ。
ㅤ更に、俺は地面を蹴り飛ばし、弾かれた刀を手に取る。
「………人間の跳躍力…にしては異常ですっ…」
ㅤ此方が投げつけたサーベルを地面へと叩き落とし、何とか二連サーベル投擲を防ぎ切ったtype, II。
ㅤ少しばかり息の上がっている彼女に対し、俺は刀を真下へ向け、頭上から突き刺しに掛かる。
ㅤガクッと、負傷した右足の膝を地面に着けるtype, II。
ㅤ最早動く事すらままならないのであろう。
ㅤ俺は容赦無く、彼女に刀の先端を突き刺そうと勢いをつける。
ㅤ漸く、二人を苦しめた存在の一つを抹消出来る…彼女達の為、此処で散って頂こうか。
ㅤそう言い放とうと、ふと…今までの記憶が脳裏を過ぎり、type,II…いや、青の世界に対しての憎悪が膨らむ。
ㅤこの一太刀に…全ての憤怒を込める。
「さよならだ」
「…………………」
ㅤ上から迫り来る威圧に、身動きすら取れず口も開けず、閉じた瞳を逸らすtype,II。
ㅤどうやら、覚悟は決まった様子だ。
ㅤならばその覚悟を無駄にはさせない。
ㅤ一瞬の激痛が走るまでも無く、刹那、楽にさせてやろう。
「俺は…青の世界、アンタ等を…全て滅ぼす。二人の為に、二人の世界の為ーー、…っ…!?」
ーーー
『そのちからは…だめっ…!』
ーーー
…頭の中に直接、響き渡る少女の声。
ㅤ次の瞬間、俺の視界は真白に染まった。
ーーー