Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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2017年8月24日〜不定期編集中


第六話: 腹ごしらえ、そして

 歩き始めて直ぐに気付いた。

 地図も無いのにどうしろと?

 

 これでは赤の世界に行くどころか、ラビリンスしてしまう。

 それで戦闘が増えたり、あづみさんの体調不良に繋がる元凶になるのであれば、目的地までの最短ルートを確認する必要がある。

 

 最短とは言わずとも、ルートだけでも…。

 リゲルさんに再確認した方が良さそうだ。

 

「赤の世界へのルートって…分かります?」

「今居るこの場所が、岐阜県。赤の世界が九州の熊本、宮崎、鹿児島県」

「歩きじゃ死にますね」

「死にはしないけど…それに、一週間だけで〜とかじゃ無いから」

「…疲れる旅なのは分かるね」

 

 あづみさんの一言で、はっと気付く。

 俺は良いのだが、二人が疲れるのはあまり宜しくない。

 個人的に。

 

…これは、あれか?

 俺が馬になる的なあれか?

 嫌だよ。

 幾ら二人が相手とはいえそんな事したくないよ。

 ガチムチの男とどっちが良い?と聞かれれば、真っ先に二人を選ぶ自信はあるが。

 例え方がなっちゃいないな。

 

…兎に角、移動手段は大事だ。

 どうにかならないものか。

 

「旅をする事自体は慣れたけど…」

「歩きでも困らないなら、そっちで行きましょう」

「そうだね。私は大丈夫だよ」

「大祐は?」

 

 これはこれは…旅慣れ、とでも言うのか。

 二人の意外な判断に、少し驚いてしまった。

 とは言え、俺の返答も一つ返事。

 

「二人が良いのであれば」

「…決まりね」

 

 歩きか。

 二人が大丈夫なら構わない。

 もし何か起きた場合、俺が守ってあげれば良いのだから。

…それとは違うか。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

 結構な距離を歩いた気がする。

 敵がいないか、隠れていないか、そんな事を考えながら進んでいたが中々スムーズに進めた。

 

 だが。

 ある問題が発生した。

 食料だ。

 

「お腹…空いたね…」

 

 またもや、あづみさんの一言にはっとする俺。

 そう言えば昨日の昼過ぎ位から、何も口にしていない。

 

 何故か。

 答えは簡単。

 食料が無いから。

 単純明快だな。

 

…この世界の食料って何だっけ。

 普通に前世の物も存在するんだっけっか。

 

 なら俺は、カレーを所望する。

 いや、別に腹が減った訳では無いが。

 カレーは好きだけど。

 食べるなら何が良いかって話。

 

 だって…ねぇ。

 [ライゼンデ]とか言うプレデターZ/Xなんか、食べたくないじゃん。

 見た目が鴉だから、どうせ鴉を食べてる感覚なんだろう。

 食べた事無いけど。

 美味しくなさそうなのは間違っちゃいない。

 

 取り敢えず、人通りの多い場所への移動をしなければ。

 あづみさんの空腹を満たしてあげたい。

 

「ここから人通りの多い場所…何処だろか。」

「…Z/Xを狩って――」

「リゲル…アレを大祐くんに食べさせるの?」

「――人通りの多い、ね。…私は分からないわ。」

 

 一瞬、リゲルさんが何かを言い掛けた。

 内容は恐らく、狩ったZ/Xを食べようみたいなのだろう。

 ギリギリであづみさんが止めてくれたが。

 目の前でリゲルさんが三分クッキングをやり始めるのか…。

 絵にはなるが、片手に血の付いた鴉を持っているリゲルさん等見たくない。

 どんな恐怖映像だよ。

 

…とは言え、このままでは駄目だ。

 一応Z/Xを食べる事は覚悟しておこう。

 自分の体の抵抗が半端無いだろうけど。

 

「…本当、廃墟しかありませんね。」

 

 歩いても歩いても変わらない景色を見て、思わず言葉を漏らしてしまう。

 

 結構な距離を歩いたとは言ったが周りは相変わらず廃墟、廃墟、廃墟。

 自分の心が廃墟と化してしまう。

 

…それ以前に、あづみさんが辛そうだ。

 自分の事等どうでも良い。

 だが、あづみさんの事は優先第一だ。

 リゲルさんも心配を隠しきれていない。

 唯の空腹とはいっても、空腹は判断を鈍らせる。

 万が一の時に、即座に動けないのは死に直結しかねる。

…最も、そんなのは関係無くあづみさんの空腹を(以下略)

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

 更に歩くと、景色が廃墟から一変した。

 建物が多く建ち並び、中では色んな部類の物が売ってある。

 ショッピングモールだ。

 

 着くや否やリゲルさんはバトルドレスを解除し、私服姿になった。

 白いセーターの上に薄い茶色のリーファーコート、それに合わさった茶色いヒラヒラとしたスカート。

長さは大体、膝位。

 ニーソは…履いてません。

残念です。

 

 しかし、凄く似合っている。

…あづみさんもリゲルさんも温かそうにしているが、この世界の今の季節ってどうなんだろうか。

 冬なのか、冬に入る前なのか、はたまた冬を過ぎたのか。

 少し肌寒いのを感じると、冬前位だろう。

…どうでも良いが。

 リゲルさんの可愛い私服を見れて満足だ。

 

 そんな事を思いながら、俺とあづみさんとリゲルさんは一つの建物を選び中に入っていく。

 勿論、飲食店に。

 

 様々な飲食店が目に映るが、取り敢えずはあづみさんの意見を最優先にして。

 というか飲食店の中に飲食店って…まぁ、良くある事か。

 

「あづみさん、何か食べたい物は?」

「えっと…カレーが食べたい…かな。」

「あづみは本当にカレーが好きね。…もう少し先に専門店らしき店があるわ。」

「流石リゲルさん。では、そこで食事を済ましましょう。」

「うん!」

 

 元気の良い返事を返してくれるあづみさん。

何だかほっこりしてしまう。

 この笑顔が俺の癒しだ。

 いや、最近見たばかりだけど。

 自分では気付かなかったが、いつの間にか、ね。

 

 こんなに可愛い笑顔を向けてくれるなんて…あぁ、幸せだ。

…俺、ちょっとヤバイ奴かもしれない。

 

 自分に自制を掛けなければ、いつかあづみさんを襲いかねなくて怖い。

 自分で自分を怖がるのは宜しくないけど。

 と、兎に角、自制心を、持たなきゃ、な、うん。

 

…信用出来ねぇ。

 

 取り敢えず三人で店内に入店する。

 案の定、カレーを取り扱っている店だった。

 中々混雑している。

 人気なのか、何なのか。

 

 店員に人数を言い、案内された席の椅子へ座る。

 四つある椅子…あづみさんの隣にリゲルさんが座り、二人の真っ正面に俺、みたいな感じだ。

 二人の事が同時に見れる、素晴らしいポジションに座れた。

 嬉しい。

 

 店員さんの持ってきてくれた水を、二人の前に置く。

 その水を飲みながら、二人を観察する事にした。

 

 置いてあるメニューの内容を見ているあづみさんの目が、キラキラしている。

 しいたけ目だ。

 可愛らしい。

 

「リゲル、これ頼んでも良いかな?」

「勿論!あづみが食べたい物を選んで良いわよ。」

 

 そんなあづみさんを見ているリゲルさんの表情が、すごーく緩んでいる。

 転移後会ってからは見た事の無い笑顔。

 良いなぁ…微笑ましいなぁ…。

 

 俺は二人の笑顔を見て、最早腹一杯だ。

 

 リゲルさんも決まったらしいし、早速店員さんを呼びつけるか。

 それ位しか出来ないし。

 

「すみません。」

 

 近くを通り掛かった店員さんに声を掛ける。

 

「はい、あ…メニューのお決まりでしょうか?」

「お願いします。」

「ちょっと待って下さいね……はい、ご注文をどうぞ。」

 

 兎ですね。

 良ーく分かります。

…冗談です、はい。

 俺は二人に手を差し出し、お先にどうぞの意を示す。

 

「えっと…」

「ライスカレーを二つ、お願いするわ。」

「ライスカレー二つ…他には?」

「大祐はどうするの?」

 

 リゲルさんとあづみさんは、この店のオススメ&定番メニューを選んだらしい。

 ていうか、リゲルさんのフォロー力は素晴らしいな。

 ここは俺も早く頼むとしよう。

 

「水を貰えますか?」

「分かりました。…ご注文は…?」

「以上でお願いします。」

「「えっ?」」

 

 俺の返答に、二人が驚いた声を出す。

 店員さんは「分かりました。では、少々御待ち下さい。」と言い残し、店の奥へと消えて行った。

 

 そのあと、二人から同時に見られた。

 何故?と、言わんばかりだ。

 逆に何故、と視線を返す。

 

「…大祐くんは食べないの?カレー、嫌いだったかな…。」

 

 申し訳無さそうにするあづみさんに対し、片手をブンブン振る。

 

「カレーは大好物ですよ。…それに、頼みましたし。」

「?」

「水を。」

「水って…食べ物じゃ無いわよ。」

 

 リゲルさんからごもっともな意見を頂いた。

 別に俺も、水を食べ物と思った事は一度も無い。

 だって飲み物って分類だからね。

 じゃあ何故、食べ物…カレーを頼まなかったのか。

 

「…リゲルさん、僕が二人のお金を使うのは良しとされますか?」

「私が良いと言ったら、どうしたのかしら。」

「それでも使いませんね。僕のお金じゃ無いんで。」

 当たり前だ。

 二人のお金を、俺が使って良い訳が無い。

 腹は極限まで減っているが…。

 水を飲めるまで飲んで、腹を満たそう。

 

「そんなの気にしないで…ほら、頼みなさい?」

「い、嫌です。二人のお金に手をつける程非道では…」

「大祐くん…頼まないの…?」

「うっ」

 

 二人からの視線に耐えられない。

 特に、あづみさんの悲しげな視線に。

 

 止めて下さいよ…。

 そんな風に見られると、まるで俺がお金を持ってないみたいじゃないですか。

 

 事実、持ってない。

 

…だが、幾ら二人から許されたとは言え、それは駄目だ。

 さっき自制心を持たなきゃとか言ってたじゃないですかやだー。

 俺は堪らず、無言で席を立ちトイレに逃げ込む。

 

 個室に入り、そのまま座る。

 そして考える。

 別にトイレに来たかった訳ではありませんですから。

 

…言語回廊がおかしくなってしまった。

 

 さて…どうしよう。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

 そろそろ二人の所に戻らなければと思い、個室を出る。

 しっかりと手を洗い、乾かし、トイレを後にする。

 

 二人の所に戻ると、頼んでいたカレーを食べ終わり俺を待っていた。

 いつの間にか、コップの中に水も汲んである。

 自分で頼んだ水すら忘れるなんて。

 

 それに二人を待たせてしまうとは。

…急いでいるのに申し訳無い。

 そんな感情が押し上げてくる。

 

 俺はトイレで何をしていたんだ。

 馬鹿かとな。

 

 思わずテーブルに肘を着き、頭を抱えてしまう。

…もう一度言わせて貰おう。

 馬鹿かとな。

 

「何してんだか…」

「大祐くん…大丈夫?」

「無言で立って急に何処か行くんだもの。びっくりしたわ。」

「すみません…待っててくれて有り難う御座います。…行きますか。」

 

 内心、一つ心残りがある。

 

 二人が美味しそうにカレーを食べている姿、見たかったな…。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

 店から出て、色々な店へと足を運ぶ。

 

 歩いていると、二人が一瞬消えたので焦る。

 俺がキョロキョロしていると、二人は走りながら戻って来た。

 息切れをしている。

 

…ふと、リゲルさんが手に持っている袋が気にかかった。

 何か買ってきたのだろうか。

 

「…二人共、そんなに急がなくても…」

「大祐、これ。」

「これ?」

 

 リゲルさんは持っている袋を俺の前に突き出した。

 どうすれば良いか分からないので取り敢えず受けとる。

 中身を…見る気になれないのは疑問だ。

 開けるのに躊躇しているとあづみさんが袋の中身を持ち、目の前に差し出してくれた。

 あづみさんの両手に包まれている物。

 これは…

 

「…カレー、パン?」

「あとこれも!」

「飲み物?…どうして僕に?」

 

 俺の疑問に、あづみさんもリゲルさんもきょとんとしている。

 

「…いや、大祐、何も食べてないでしょう?」

「はい」

「だからそこのコンビニで買ってきたのだけれど…カレーも好きって言ってたし。」

 

 なんと!?

 二人は俺なんかの為に食べ物、飲み物を買ってくれたのか。

 しかも然り気無く言った筈のカレー好きをしっかり聞き取っている。

…ていうか、この世界にコンビニとか有ったのか。

 

 人がいる場所にしか配置していないのだろう。

 そりゃ気付かない。

 初めて、人のいる場所に来たのだから。

 

 まぁ、この世界のコンビニ事情なんて考える必要も無い。

 先ずは二人に感謝をしなければ。

 

「有り難う御座います。二人の気持ちを受け取らせて頂きますね。」

「大祐くん…相変わらず硬いね。」

「私達が信用出来ないとか…?」

「!?ないです!断じてそんな事はありません!二人に対して信用とか信頼の域は越してますから!二人になら殺されても構いません!」

 

…少し言い過ぎたかな?

 二人共、ちょっと引いている。

 あづみさんには苦笑いを、リゲルさんには「あぁ、そう」みたいな表情をされた。

 悲しい…。

 これが俺の本心なのに。

 

 あぁ…カレーパンが美味しい…。

 約1日振りに腹に物を入れた。

 

「ふふ、食べてくれて良かった。旅の途中で餓死されたら困るもの。」

「…それは、居なくなられると困る的な?」

 

 マジか!

 リゲルさんは俺が居ないと駄目なのか!

 会って1日しか経ってないのに…俺を親密に思っていたんですね。

 

 全く…リゲルさんは素直じゃないなぁ。

 言ってくれれば、直ぐにでもお手を――

 

「いえ、死体処理的な方。」

 

…あはは、悲しみ。

 神様、仏様、リゲル様。

どうか僕に慈悲を…。

 

 そんな事ほざいたら、「分かったわ、自費ね。」とか言われそうだ。

 そっちの自費じゃないですよ…。

 

 そんな会話を続けながら旅に必要な物を揃える為、色んな店を廻る。

 

 そう言えば、転移したのにお金とか持ってないの?俺。

 今更だけど。

 案外、調べてみるのは良さそうだ。

 ポーケットの中にはお金が♪………無い!

 知ってたよ!

 

 はぁ…運良くバトルドレスにお金、無いかな。

…ある筈が無い。

 バトルドレスにお金を終う箇所なんか無い。

 なにがなんでも、無い。

 

 取り敢えず、またトイレに行ってバトルドレスを起動しよう。

 二人には、見たい物があるとか言っておこう。

 許して貰えれば嬉しいな。

 

「…あの、あづみさんにリゲルさん。見て行きたい物があるんですが…」

「えぇ、良いわよ。…但し、あまり長くなくね。」

「了解です。」

「…じゃあ、大祐くん、また後でね。」

「はい、直ぐに戻りますよ。」

 

 手を振ってくれたあづみさんに手を振り返し、俺は二人と反対方向へ進む。

 行き先、またトイレだ。

 別に行きたい訳ではない。

 本日二度目だが。

 トイレその物に用事はない。

 断じてない。

 

 心の中でそう思いながら歩いていると、直ぐ着いた。

 

 個室に入り、バトルドレスを起動させる。

 一瞬、眩い光が発せられるが、周囲に人が居ない事は確認済だ。

 

 起動した時の最初は、何時もデスティニーになっている。

 今回も勿論、デスティニーだ。

 後ろの翼が壁にガツガツ当たっている。

…デカイから、しゃーないよな。

 俺は手当たり次第にバトルドレスを調べる。

 

 すると、何やらメニューみたいなのが目の前に表示された。

 

‐‐

 

装備中 バトルドレス: デスティニー

武装

・17.5mmCIWS×2

・高エネルギービームライフル

・アンチビームシールド

・ソリドゥスフルゴール ビームシールド発生装置×2

・パルマフィオキーナ掌部ビーム砲×2

・フラッシュエッジ2 ビームブーメラン×2

・アロンダイト ビームソード

・高エネルギー長射程ビーム砲

 

装甲材質

・ヴァリアブルフェイズシフト装甲

 

装備可能なバトルドレス

・デスティニー

・サバーニャ

 

ブラックボックス内の持ち物

・携帯用ナイフ

・携帯用テント

・携帯用ランプ

・治療薬

・金銭 120万円

 

‐‐

 

…あ?

 なんか色々突っ込みたくなる内容のメニューだな。

 

 先ずは武装。

 流石デスティニーと言ったところか。

 多彩な武装を持ち、近、中、遠距離でも戦える装備を備えている。

 

 装備可能なバトルドレスはまだ二つしかないが、ここからどんどん増えていくのだろう。

 

 そして次。

…出端を挫くみたいだが、一つだけ言わせてくれ

 

 なんだブラックボックスって。

 

 いや、知ってるよ?

 飛行機とかにあるアレだろ、アレ。

 飛行機がどの速度で飛んでいたかとか、内部の会話やらを記憶、録音するアレだろ?

 なぁ、アレックス。

 

…誰だよアレックスって。

 

 まぁ、それは良いとして。

 ブラックボックス内の持ち物。

 果てしなく怪しいと思う。

 ほぼ携帯用とか表示されてるけど。

 

 それにこの治療薬。

 何の治療薬だよ。

…あづみさんの治療薬を探している今、薬という言葉には敏感なんだよ。

 しっかり後で調べるとしよう。

 

…問題は、だ。

 俺の目に映るこの文字だ。

 どちらかと言えば数字だが。

 

金銭 120万円

 

 何この数字。

 おかしいだろ。

 思わず、笑いたくなってくる。

 

 転移後にお金が手に入るのは嬉しいが、額が額だ。

 バトルドレスを拾ったら120万円を手に入れました。

…なんじゃそりゃ。

 誰がどう気いたって、唯の妄言だ。

 宝くじに当たった感覚か?

 全然そう感じない。

 というか、感じれない。

 

…ま、120万もあれば、二人にお金を返せるし。

 

 何円かって?

 226円だよ。

 パン一個にペットボトルの飲み物一本だよ。

 素晴らしいだろう?

 

 一体何が素晴らしいのか分からないが、取り敢えずトイレから出よう。

 バトルドレスをしっかり解除してね。

…その内トイレの神様になってそうだな。

 

 うわー嫌だー。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

 二人を探しながら、旅に必要そうな物を見ていく。

 

 買った物は遠慮無く、このバトルドレスのブラックボックスにぶちこんでいけば良い。

 恐らく、何でも入る。

 便利機能だな。

 流石に家とかは入らないだろうけど。

 

 そんな事を考えながら歩いていると、目の前に二人の姿を見つけた。

 少し走りながら近付くと二人は俺に気付いた。

 

「大祐くん、お目当ての物はあった?」

「目当て…じゃないけど、面白い物は見つけたよ。」

「…大祐くんが…敬語じゃない。なんか嬉しいな♪」

 

 俺が敬語を止めると、あづみさんはにっこり笑顔になった。

…そんなに敬語を使われるのが嫌だったのかな。

 俺としては続けたかったけど。

 

 しかし、敬語を止めるだけでこんなに可愛いあづみさんの笑顔を見れるなら止めよう。

 これからは普通に接すると決めた。

 今決めた。

 俺ならやれる。

 

「それで、面白い物って何かしら?」

 

 調理器具を買うか迷っていたリゲルさんが、目線を俺に向けた。

 

「いやー…俺のバトルドレスのブラックボックス内に、凄まじい物が入ってましてね。」

「ブラックボックス…あぁ、収納箇所の事ね。」

「ほんと、驚き物ですよ?…言ってしまいますが、120万円入ってました。」

「ひゃくに…!?」

「凄いね…」

 

 120万という数字を出した瞬間、二人共驚いてくれた。

…ここで、あっそう、みたいな反応をされるのが一番困る。

 二人は違かったけど。

 

「…という訳で、僕のお金問題はある程度解決されました。」

「これで餓死せずに済むわね。」

「リゲル、冗談がきついよ…。」

 

 俺が喋り、リゲルさんが反応し、あづみさんが突っ込む。

これも中々面白い。

 

 そして、俺の買いたい物は無かった。

 魅力的な物は無かったよ。

 リゲルさんも悩んだ末、買わない事にしたらしい。

 本当は二人に服とか買って上げたいのだが、まだそこまで親密ではないので諦める。

…後で買って上げたい。

 

 取り敢えず今日はこれ位にして明日からまた動こうという話になったので、俺のお金で宿泊する事にした。

 少しお金様が加算されてしまうが、部屋は別々にする。

…誰が決めた?俺が決めた。

 

 二人は一緒の部屋でも構わないと言っていたが、「乙女のハートを汚すような真似はしたくないので」と伝えると、納得した様なされてない様な表情を向けられた。

 二人共、絶対分かってないよな…。

 そして俺は一人の部屋でゆっくり休んだ。

 勿論、ベッドにダイブして。

 

 明日も順調に進めれば良いな、二人が危険に晒されない為に頑張らなければ。

 そう思いながら、静かに目を閉じた。

 

‐‐‐




リゲル先生のパーフェクトZ/Xの世界教室4

青の世界に存在するZ/Xの特長
・バトルドレス
リゲル先生と同じ種族。
機械を身に纏った人間。
元が人間なだけ常識的な事は体が覚えているが、記憶は既に消されている。
尚、リゲル先生の記憶はあづみさんとの日常で感情がオーバーロードーし、記憶を取り戻した。
二人を追っているアドミニストレータベガという人物もこの種族。
因みに、多分俺も。

・マーメイド
名前の通り、人魚。
音楽に関する事を得意とする種族。
人魚なのだが、男のマーメイドも存在する。
俺が一番最初に思い浮かべたイメージは…酷い。

・メタルフォートレス
一言、巨大ロボット。
うん。
スー○ーロボットに出てくる勇者ロボみたいな種族。
…種族?種族…種族、だよな。
機械っていう種族だよな。
名前は元素記号。
一番驚くべき所は、喋れる所。

・キラーマシーン
同じ機械でも、此方はメタルフォートレスとは違う。
どちらかと言えば、敵を殲滅する事に優れている。
俺が転移した瞬間に襲ってきた[カンジュラー]。
こいつもキラーマシーン。

青の世界は総じて、機械関連が他の世界よりも頭一つ抜けている。
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