オリ主が問題児世界でオレTUEEE!する話(大嘘) 作:詩人
第1話
目が覚めると、俺は純白に包まれた空間の中にいた。
宇宙の色を白に塗りつぶして星を全部消しちゃえばこんな感じになるんだろうなー、なんてありきたりな感想を思い浮かべてる場合じゃねえ。
「…え、いや、ここどこ?」
まってまって。タイム、タイムお願いしまーす!
知らない天井だ…、どころの話じゃないっす。
ここどう見ても地球じゃねーよ。
なんか俺物理的にふわふわ浮いてるし、明らかに『ここ異空間ですよ!』みたいな雰囲気がバリバリ出てるし。
「……いやいやいや落ち着け、さっきまで俺寝てたはずだし。きっと夢だろ」
とりあえず一発自分の顔面を殴ってみる。痛ってぇ。
「気がついたようじゃの」
かけられた声に反射的に振り向く。
振り向いた先にはジジイがいた。
…いや、すまない。本当にジジイとしか表現できないジジイが目の前にいるのだ。
残念ながら俺の持つ語彙やボキャブラリーが少ないため詳しい説明は省かせてもらうが、なんか古代ギリシャとかでよくある神様的な感じの白い布を身につけているとだけ言っておこう。
「もう前置きとか面倒なので率直に言うがお主には漫画やアニメの世界に行ってもらう。俗に言う神様転生じゃ」
「展開はえーよッ!」
いきなり出す話題がそれ?
せめて自分が神であることぐらいは名乗れよ
まあ確かにそんな気はしてたけど。
目が覚めてからここまでの流れがハー〇ルンとか小説家に〇ろうによくあるテンプレ神様転生物にそっくりだったけど!
「拒否権は?」
「ない」
「…つーか俺死んでたの?」
「お主の死因は圧死じゃ。(わしが寝ぼけて力を使ったせいで)宇宙から飛来した隕石に潰されてな」
いまの行間はなんだオイ
ま、まあジジイの言葉は気になるが、死んでしまったものは仕方ない。
天国地獄どうこうすっ飛ばしていきなり転生の話なのもテンプレだと受け入れよう。どっちにしろ拒否権なしだし。
だが、問題はどの世界に転生するかだ。
日常系やコメディ系ならいい。場合にもよるが基本的に安全な世界だと言っていいだろう。突然俺の命が脅かされるとかそういう展開はないはず。
…正直ファンタジー系やバトル系の世界にも興味は、ある。
魔法とか異能とか使ってみたいし。
かっこいいじゃん?
俺TUEE!とかしてみたいじゃん?
でも、このジジイ見てると嫌な予感しかしないんだよな。
そういう世界に転生したが最後、絶対に碌な目に遭わん気がする。
仕方ない。
前世では空想の産物だった魔法や異能を使えるかも知れないチャンスを捨てるのは惜しいが、ここは日常系の世界を選ぶか。
それに日常系でも異能が存在してるタイプの作品とかいくらでもあるしな!(未練タラタラ)
「ちなみにお主が転生する世界の候補はわしが決めてある。二つあるので好きなほうを選ぶとよい」
ファック!!
好きな世界を選ばせてくれるんじゃないの?
し、しかもたった二択?絶対ヤバいパターンだこれ!両方とも碌なもんじゃないやつだこれ!
「ど、どの世界なんでしょうか…」
頼むッ!『①デモンベイン世界 ②神座シリーズ世界』みたいな苦汁の選択だけはッ…
「ふむ。『①ごちうさ世界 ②問題児シリーズ世界』じゃ」
「①でお願いしますッ!!」
即答だった。
そして全身全霊で土下座をするのも生まれて初めてだった。いやもう死んでるけど。
いや、この選択肢だったら①選ぶの当然だろーが。
②の世界とか命がいくつあっても足りねーわ。ぶっちゃけさっき俺が想定してた世界と危険度ランク一緒なんだよあの世界。
魔法とかそういうのはもういい。俺はごちうさ世界に行ってラビットハウスでチノちゃんに入れてもらったコーヒーを飲むんだ。
だから神様お願いします転生特典とかいらないんで①の世界に行かせてくださいッ!
「…ほう、転生特典がいらぬとは謙虚な奴じゃ。特別に強めの特典(箱庭で通用するとは言ってない)を与えて②の世界に送ってやろう」
「待てやクソジジイ!」
おかしいだろ今の流れ①って言ったよな俺。俺のこと謙虚だと思ってくれてるなら転生特典付きでごちうさ世界に送ってくれよ!転生先のほうを変えるなよ!
え、待ってほんとに問題児シリーズ世界に行くの?ちょ、待っ
「じゃ、頑張るんじゃぞ☆」
―――そうして俺は真下に空いた穴に叩き落とされて、問題児シリーズ―――『問題児達が異世界から来るそうですよ?』の世界に転生するのであった。
…あのクソジジイいつか絶対復讐したる。
****
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの”箱庭”に来られたし』
****
そんなわけで、今
まってまって。タイムお願いしまーす!(2回目)
いや、ほんとにまって。確かにあの白い空間からクソジジイに叩き落とされたけど、これじゃあ『転生』じゃなくて『転移』になってんじゃねーか。
ここどこだよとかちゃんと特典は貰えたのかとか色々気になることはあるが、とりあえず今真っ先にやるべきことは…
「だれか助けてくれぇぇぇぇ!!!!」
「ハハ、ハハハハハハハハハハハッハハひゃははあハハハハハッハハハハハハハハははははは―――」
この危機的状況からどう脱出するかである。
転生直後にこれはねーよ、普通に死ぬわ。
あのクソジジイなにがしたいの? 特典で何とかしろってか? 結局どんな特典貰ったか教えてもらってねーんだけど!
そうやってあのクソジジイに文句垂れ流してた次の瞬間、オレのすぐ隣を巨大な怪鳥が通り過ぎる。
「……」
やべーよ何アレ?
前世でオレが住んでた家よりデカかったんだけど。どう見て怪獣にしか見えねーんだけど。
え、ここあんな化け物が普通にいるの? あんなのに襲われたら一瞬で死ねる自信あるぞ。
「ハハ、ハハハハハハハハハハハッハハひゃははあハハハハハッハハハハハハハハははははは―――」
…つーかさっきから聞こえるこの笑い声は誰のよ。最初は混乱しててオレも気づかなかったけど。
うるせえッ!こっちは生き残るために必死なんじゃ!このままだと潰れたトマトになっちまうんだよ!
これ以上オレの集中を乱すんじゃねえぶっ飛ばすぞコラ!(建前)
すいません嘘ですここから俺を助けて下さい!(本音)
そういうわけでオレは笑い声がする方向になんとか体を向けて助けを請うため口を開こうと、…することは出来なかった。
笑い声を発している人物は確かにいた。オレと同年代ぐらいの男だ。俺と同じく落下しながら今も笑い続けている。
だが、重要な点はそこじゃない。問題はその男の容姿だ。
少しハネっ気のクセがある金髪。
アメジスト色で力強い意志を感じる鋭い瞳。
大口をバカみたいに開けきってもなお分かる整った顔。
首にさげた炎のトレードマーク付のヘッドホン。
そして服装は黄色のシャツに上下は黒の学ラン。
…間違いない。オレが転生した世界である『問題児たちが異世界からくるそうですよ?』の主人公の一人、逆廻十六夜だ。
おい誰だよぶっ飛ばすぞコラとか言おうとした怖いもの知らずは。
…ええオレです。
実際に言わなくて本当に良かった、この人外に喧嘩売るぐらいならさっきの怪鳥に戦いを挑むわ。いやマジで。
「…あれ?」
オレの口から自然と疑問がこぼれる。
この状況(上空から落下中)で逆廻十六夜が一緒にいるということは、だ…
あ、よく見たら周りに美少女が二人いるじゃねーか!
一人は黒髪ロングに青色の瞳、髪留めの赤いリボンとお嬢様然とした正装を身に付けた女の子
もう一人は茶髪のショートに茶色の瞳、スリーブのジャケットとショートパンツを身に付けた女の子(と三毛猫)
おそらく、いや間違いなく久遠飛鳥と春日部耀だろう。逆廻十六夜と同じく、この世界における主人公の二人だ。
えーと、つまりだ。この三人(と一匹)が仲良くそろって空中から紐なしバンジーやってるシーンなんて原作でたった一つしかないわけで…
ここ、箱庭じゃねえかぁぁぁ!!!
****
死ぬかと思った。
まあなんとか生き残ったよ、落下地点に緩衝材みたいな水膜が何層もあったし。
でも体中がめっちゃ痛い。しかも湖に落ちたせいでびしょ濡れで寒い。
「し、信じられないわ! まさか問答無用で引き摺り込んだ挙句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
どうやら逆廻十六夜と久遠飛鳥は先に陸地に上がっていたらしい、それぞれが罵詈雑言を吐き捨てている。
女性陣はともかくお前は上空4000mから地上に叩きつけられた程度じゃ痛くも痒くもねーだろ、と十六夜にツッコミたいが面倒なことになりそうなのでしない。
そのまま続く二人のやり取りを聞きながら岸に上がるオレと春日部耀。三毛猫のほうは今にも死にそうな顔だ。そのまま二人の問題児に混ざっていく彼女の後ろ姿を眺めながらオレは状況を整理するために灰色の頭を回転させる。
まず大前提として、確かにオレはあのクソジジイによって『問題児達が異世界から来るそうですよ?』の世界に『転生』したはずだ。
『転移』ではない。
『転生』だ。
だからオレはてっきり赤ん坊に生まれ変わって人生をリスタートするものだとばかり思ってたんだが…
もちろん、いつの時代だとか外界と箱庭のどちらに生を受けるかとかまでは予想出来てなかったよ。
でもいきなり問題児三人組と一緒に箱庭に召喚される形で『転生』はねーよ。ねーよ! これもう『転移』とほとんど変わんねーじゃん。
これはあれか、問題児三人といっしょにノーネームに所属して原作に関われってことか。
…死ぬわ! 命がいくつあっても足んねーよ、今のオレが百倍強くなったとしても生き残れる気がしない。
転生特典? この世界で通用すると思ってんの?
世界観的に俺と似たよーな奴だって腐るほどいるだろーし、そもそもこの世界の上位陣はそういう特典を与える側のガチ神々だ。
マジであのクソジジイなんでオレをこのハイパーインフレ世界に転生させたんだよ。
もうお前が直接この世界に来いよ。
そんでもって閣下や白夜叉にボコられてろ。
「…おい、さっきから独りで何ブツブツ喋ってんだ。お前もさっさと自己紹介しろ」
「そうね。こんな所に急に呼び出されて混乱する気持ちは分かるけど、私たちは名乗ったのに貴方は名乗らないのは失礼じゃない?」
…やべ! 集中しすぎてて全然話に気付かなかった。
いつのまにか逆廻十六夜と久遠飛鳥がそろってオレを睨んでいる。ちょっと怖い。
「あー、悪い。ちょっと混乱してて全然話聞いてなかった。オレの名前は…なまえは…」
「……なまえは?」
急に歯切れが悪くなったオレを春日部耀が不思議そうに見てくる。
だが、今のオレは彼女の視線を気にする余裕はないのだ。
なぜなら…
「…な、」
「「「な?」」」
「名無しの権兵衛です…」
「ふざけてるのかしら」
「いやごめんなさい。ふざけてるとかじゃなくてマジで名前思いだせない。」
額に青筋を浮かべる久遠あ…もういちいちフルネームとか面倒だな飛鳥って呼ぼう。他の二人も同様だ。
で、勢いで名無しの権兵衛と名乗ってしまったが…ほんとに自分の名前が思い出せん。
何故だ、他のことはどーでもいいことまで覚えてるのに名前だけがスッポリと記憶から抜け落ちてる。
まあぶっちゃけ異世界に転生した今名前なんて忘れてても特に不都合はない。ここは適当に流すなりなんなりすっか!
「いやー異世界に呼ばれたのが原因か湖に落ちた衝撃が理由か分からんけど、名前だけ記憶喪失で忘れちゃったみたいだわ。さっきはそれも理由で混乱してた。まあ忘れちゃったもんはしゃーないし今は権兵衛とでも」
「そ、そう。ずいぶん軽いわね…」
まるで珍獣を見るかのような目をオレに向けてくる飛鳥。
心なしか呆れているような気もする。彼女の気持ちも分からんこともないが大目に見てほしい。
なんせこの程度で頭抱えてたらこの先やっていけねえからな!
「そういうわけでこれからよろしく。十六夜、飛鳥、耀」
「…へえ、混乱して俺たちの話を聞いてなかった割にはよく名前が分かったな。まるで最初から知ってたみたいじゃねえか?」
ギクゥ!
さっそくボロが出たぁ! そりゃ当然だよね、怪しむよね。頭脳明晰、有知高才なこの男ならなおさらだ。
しかもこいつ俺が自己紹介を聞いてなかったことのほうは疑ってねえ。それなのに名前を知ってたことのほうを疑ってやがる。
どうやってごまかす? 実はこの世界はラノベの物語で貴方達はその作品の主人公なんですよ、なんて言えるわけねえ。
かと言って十六夜ほどの口達者な奴からの追求を逃れる能力もオレにはねえです。
「―――ま、追求は後にしてだ。
オイいきなり怖えーこと言いだしたぞこの問題児。
こいつならガチでやるだろうし出来るだけの力もある。頭の良い脳筋って最悪じゃね。
まあ原作の流れ的にどこかに隠れながらこちらの様子を窺っているはずの黒ウサギに痺れを切らしたんだろう。
…べ、別に十六夜の矛先がオレから黒ウサギに向かって助かったとか思ってないんだからねッ!
「私も
「……
あ、問題児たちの声に反応してウサ耳が草むらから飛び出した。
…つーかあんなとこにいたのか、全然気付かなかったぞ。
なんでこの問題児たちは気づけるんだ?
いや十六夜と耀はわかるよ。けど飛鳥さんあなたフィジカルは一般人のはずでしたよね…?
「なんだよ、お前らも気づいてたのかよ」
「当然よ。分かり切ったことを聞かないでちょうだい」
「風上に立たれたら嫌でも臭いが流れてくる」
「…ふうん? 面白いなお前ら」
軽薄そうに笑いながら女性陣をジロジロ見る十六夜。
たぶんオレがやったら変態扱いされる。いや十六夜は自分が変態扱いされても気にしないだけか。
しかしアレだ、なんか俺だけ仲間はずれじゃね?
いやこの問題児たちの同類になっちゃ色々まずい気もするがここで舐められるのも癪だしオレもかっこつけさせてもらうか。
「…ジ、ジツハオレモサイショカラキヅイテタシー」
「嘘つけ。俺たちが言うまで欠片も気づいてなかったろ」
すいません見栄張りましたハイ。
まさかこのオレの演技が見破られるとは…さすがは原作主人公といったところか(謎の上から目線)
「や、やだなあ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で―――」
あ、黒ウサギが茂みから出てきた。しどろもどろに言い訳してるが問題児たちの目は笑ってねえ。大概このウサギも神経図太いよな、もしオレがあの視線を受けたら気絶する自信がある。
…おっと春日部耀選手、黒ウサギの素敵ウサ耳を遠慮なく引っ張る! 続けて他の二人もいったぁ! そして木霊する黒ウサギの絶叫!
まあ自業自得だよね。
―――そんなわけで三人と一匹のコントを傍から眺めながら、俺はこの世界における自分の立ち位置を考察すべく再び状況の整理を始めるのであった。
〇神様
オリ主を転生させた張本人。いわゆる、作品世界をメタ視点で観測する上位存在。
神転書くためだけの舞台装置なのでこれ以外の設定は特にありません。今後物語に出てくることも一切ありません。マジでないです。せいぜいオリ主の心の中でたまに悪態をつかれるぐらい。
〇名無しの権兵衛
オリ主。神転して人外魔境へシュートされた哀れな凡人。
生前は正真正銘普通の学生でした。ただし自分が死んだこと、本名を忘れたことについて特に気にしてないようです。ラノベ世界に転生したことも普通に受け入れています。思考回路は一般人とは言い難いというか率直に言うと頭おかしいですね。…もしくは、頭がおかしくなってしまったのか。
ちなみに作者の語彙力や表現力が死んでるため、必然的に彼のそれも悲惨です。
〇記憶喪失
特に意味はない。マジで何も意味がない。ぶっちゃけ理由や名前を考えるのが面倒でした。
名前に関しては問題児シリーズを読み込んだファンの方々ならピンとくる設定かもしれないが、作中じゃせいぜいハッタリやミスリードに使われる程度です。
〇なんで召喚人数が3人→4人に増えたのに黒ウサギは怪しんでないの?
女王が気前よくサービスしてくださったんですね!(駄ウサギ)