オリ主が問題児世界でオレTUEEE!する話(大嘘) 作:詩人
…まずい。
……まずい。
………非常にまずい。
どこでだ。どこでやらかした?
質問か? 質問の内容がおかしかったのか?
いやでも箱庭という修羅神仏が闊歩してる異世界だなんて説明を受けたんだ。ルールや法についての質問を飛鳥が済ませた後なら好奇心で出てくる質問としては違和感ねーはず。
実際十六夜もそれについては気にならねーと言えば嘘になると言っていた。
「ジン坊っちゃーン! 新しく同士になる方々を連れてきましたよー!」
過ぎちまったことは仕方ねー。それよりこれからどうするか考えなくては。
もちろん、このまま問題児たちと一緒に『ジン=ラッセルの率いるノーネーム』に籍を置くのは確定だ。もうここまできた以上、これ以外の選択肢は無いに等しい。
一見、死亡フラグ満載のコースに自ら飛び込むようだが違う。いや実際は飛び込んでるけど、じゃあ逆にここ以外に行く宛てあるのかと言われれば、当然ねーのだ。
もしオレが十六夜の百分の一の力でも持ってればこの最下層である七桁のコミュニティなら引く手数多だろう。
しかし悲しいかな。自覚してる限り、今のオレは生前と変わらねーパンピー状態。
他にもガルドの件や生活水準の件。更には現在オレが持つ最大の武器である原作知識を無用のものとしねーためなど、ちょっと考えるだけで両手の指じゃ数え切れんほど理由がある。
「お帰り、黒ウサギ。そちらの男性一人と女性二人が?」
ちなみに今から転生特典を自覚するという選択肢はねー。ていうか諦めた。だってウンともスンともいわねーもん。
あれからメラ〇ゾーマとかかめ〇め破とか試してみたけど反応無し。出てきたのは変人を見る女性陣の視線だけだったぜ…
「はいな、こちらの御四人様が―――」
…話を戻そう。
つまりだ。どこのコミュニティに所属するのか? という意味での″これから″についてこれ以上考える必要はねー。
なにより、今は
「………え、もう一人いませんでしたっけ? ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全ッ身から″俺問題児!″ってオーラを放っている殿方が」
そう十六夜だ。
今オレが一刻も早く解決しないといけねーことはあの男についてだ。
あの男が、一般人同然のオレを警戒しているに件についてだ。
「ああ、十六夜君のこと? 彼なら″ちょっと世界の果てを見てくるぜ!″と言って駆け出していったわ。あっちの方に」
十六夜がオレの何に対して警戒しているのかが全く分からない。
確かにオレの振る舞いや言動に怪しい所はあったかも知れん。
だがそれでも、それでも
むしろオレから言わせれば、十六夜たちのほうが怪しい。ていうかおかしい。
十六夜だけは事情が違ったとはいえ、突然異世界に放り出された人間が出来る振る舞いや言動として不自然なのは彼らのほうだ。落ち着き過ぎだろあいつら。
「なんで止めてくれなかったんですか!」
もしあの時のやり取りでオレに疑心を抱いたのであれば、飛鳥と耀にだって疑心を抱かなくちゃいけねーはずなのだ。それもオレに対する以上のものを、だ。
いやそれどころかあの場で一番疑われるべき人間なのは十六夜だとすら言ってやりたい。
なのにオレに対してだけだ。
しかも疑心通り越して警戒だ。
「″止めてくれるなよ″と言われたもの」
お前、警戒って、警戒ってバカじゃねーの。この際だから怪しまれるのはもういいよ。でも警戒までするか?
仮にだ。仮にオレが十六夜に対して何か良からぬことを企んでる人間としよう。
でもだからなにって話だろ。だってオレ雑魚だし。それは十六夜だってわかるはずだ。十六夜が警戒しなくちゃいけねーほどの強さも凄みもない。
飛鳥や耀に黒ウサギ、どころか箱庭都市にまで見下すような視線を向けれる十六夜なら屁でもない。アリを警戒するドラゴンなんてどこにいるってんだ。
「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」
おい言っとくけどな十六夜。お前それ深読みしてるだけだからな。後で恥かくのお前だからな。ものッ凄く無意味なことしてんだからなお前。
「″黒ウサギには言うなよ″と言われたから」
………だからお願いです誤解を今すぐ解いて下さい十六夜様っ!
「嘘です、絶対嘘です! 実は面倒くさかっただけでしょう御二人さん! そしてまた権兵衛さんはさっきから話を聞いてませんね!?」
「「うん」」
ごめん今回はちゃんと最初から聞いてた。でも今それどころじゃねーんだ。
もちろん黒ウサギが項垂れる気持ちは分かるよ? でもオレも項垂れたいんだ。
「た、大変です! ″世界の果て″にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」
ジン君が蒼白になって叫んでる。
でもきっとオレのほうが蒼白になってる。今すぐジン君みたいに叫びたい。
「幻獣?」
「は、はい。簡単に言えば
普通そう思うよね。
でもあいつ人外なんだ。
具体的に言うと惑星1つ簡単に消し飛ばせるんだ。
オレ、そんな奴から敵扱いされてるかもしれねーんだ。
「あら、それは残念。もう彼はゲームオーバー?」
「ゲーム参加前にゲームオーバー?………斬新?」
奇遇だな。オレもゲームオーバーになりそうなところなんだ。
「冗談を言ってる場合じゃありません!」
そうだねジン君。オレも冗談であってほしかったよ。
あと、飛鳥も耀も割と容赦ねーな。たぶん本気で言ってるだろこの娘ら。
二人は十六夜の実力はまだ分かってねーはずだしなかなかイイ性格してるよね。さすが問題児。
「あら、何か失礼なこと考えてるのかしら権兵衛君?」
「なんでもないですハイ」
やだこの娘も怖い。まあ当然か。何せ彼女だって十六夜と同じ―――
「ご・ん・べ・え・君?」
「なんでもないですハイッ!」
もう余計なこと考えるのやめて十六夜のことに集中しよう。
「はあ………ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御三人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか? 話を聞かない方が御二人と、別の意味で話を聞かない方が御一人とで苦労されると思いますが…」
「黒ウサギ、あなたも大概失礼なこと言うわね」
「権兵衛みたいな問題児と一緒にしないでほしい」
耀ちゃんそれはこっちのセリフです。
「…は、はは。分かったよ。黒ウサギはどうする?」
「問題児を捕まえに参ります。事のついでに―――″箱庭の貴族″と謡われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります…ッ!」
―――そうして前身を憤怒のオーラで纏い、黒髪を文字通り緋色に染め上げた黒ウサギは弾丸のように飛び去っていくのであった。
…あれ原作以上にキレてなかったか? だって外門の柱まで行かずにこの場から跳躍して行ったもん。最後に残すはずのセリフも言わずにだし。
ていうか突風がやばい、吹き飛ばされそう。下手しなくてもこれだけで死ぬわ。
さっき弾丸のようにとか言ったけど実際は目に見えなかったよ。マジで音のほうが遅れて聞こえやがる。耳も頭もいてえ…
****
―――箱庭二一〇五三八〇外門・内壁。
ここは天幕の中にいるはずなのに上空の太陽が見えるという不可思議な都市。
あの天幕一つとっても常軌を逸している。地球上の技術では到底再現は不可能だろう、あれは単なるマジックミラーなどといったチャチな代物じゃあねー。
で、オレたちは現在ここにいるわけだ。
オレを含め皆それぞれがこの箱庭都市に対する感想を口からこぼしている。
ちなみにだが、お互いの自己紹介も都市に入る前に済ませている。
黒ウサギが起こした突風で髪や服が目茶苦茶になった女性陣の機嫌を直すので一悶着あったけどな! 帰ってきたら黒ウサギはまた苛められることだろう…
「権兵衛さん、権兵衛さん? 落ち着ける場所が決まりましたよ。こちらに―――」
「放っておきなさいジン君。この男のことよ、どうせ話を聞いてないわ。置いていきましょう」
「い、いやそんなわけには…」
「だから聞いてるって。ろ、六本傷ってとこのカフェだろ? 置いてくとか言うなよ」
「あら、今度は本当に聞いていたのね。ごめんなさい」
言葉はともかく態度が謝罪する人間のそれじゃねーな。
まあほんとに話聞いてなかったんですけどね。原作知識から咄嗟に名前が出せてよかった。
でもまずいな、完全にそういうキャラとして定着してねーかオレ? 次から気をつけるか。
…次も繰り返すんだろうな。
そんなこんなで六本傷のカフェテラスに座るオレら。
するとすぐに注文を取るために店の奥から素早く猫耳の少女が飛び出てきた。
名前はたしかキャロロ=ガンタックだったかな。ここ東でスパイ活動みたいなことをしている少女であり、近い将来問題児たちの暴走の犠牲者ともなる哀れな娘だ。
「いらっしゃいませー。ご注文はどうしますか?」
「えーと、紅茶を三つと緑茶を一つ。あと軽食にコレとコレを」
注文もジン君が済ませてくれた。それにやっと落ち着ける場所に座れたんだ、今のうちに十六夜の件についての結論を出しておくべきか。
「はいはーい。ティーセット四つにネコマンマですね」
結論。なるようになれ。
「三毛猫の言葉、分かるの?」
お前さっきまで散々長々とシリアスぶって考えてたくせに出た結論がそれ? とは言わないでほしい。
だって実際オレに出来ることなんて何もねーもん。考えれば考えるほど詰んでるのが分かるだけだったもん。
「そりゃ分かりますよー私は猫族なんですから。お歳のわりに随分と綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスさせてもらいますよー」
はあ~、十六夜は味方になればこれ以上ないって程の男なんだ。オレ自身も同じノーネームに入るんだからなおさらだ。なのにこんなことになるなんて。
「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」
まあそれでもだ、オレを殺そうだとか排除しようなどいった行動を十六夜がとる可能性は低いとも思っているのだ。
もしやるつもりならとっくのとうに、それこそ
つまり、これからオレを見極めていくってとこだろう。
「………箱庭ってすごいね、三毛猫。私以外に三毛猫の言葉が分かる人がいたよ」
確かにオレは怪しい人物に見えたかも知れないだろう。
実際、隠し事だっていっぱいある。主に原作知識とか。
だが、それは十六夜がわざわざ警戒するべきことなんかじゃあねー。杞憂とすら言っていい。
「ちょ、ちょっと待って。貴女もしかして猫と会話ができるの?」
人は誰しも墓まで持っていきたい秘密がある。十六夜だってそうであるはずだ。オレの場合はそれが神様転生や原作知識だったってだけの話。
秘密を打ち明けるかどうかと信頼関係を築けるかどうかなんて無関係…とまでは言わねーが完全に=で結ばれるだなんてたまったもんじゃない。
「もしくは猫以外にも意思疎通は可能ですか?」
「うん。生きているなら誰とでも話はできる」
「それは素敵ね。じゃあそこに飛び交う野鳥とも会話が?」
「うん、きっと出来………る? ええと、鳥で話したことがあるのは雀や鷺や不如帰ぐらいだけど………ペンギンがいけたからきっとだいじょ」
「ペンギン!?」
「う、うん。水族館で知り合った。他にもイルカ達とも友達」
だから、なるようになれだ。こちらからは何も出来ねー以上、成り行きに任せるしかねー。
「し、しかし全ての種と会話が可能なら心強いですね。この箱庭において幻獣との言語の壁というのはとても大きいですから。………ところで権兵衛さんは先ほどから驚いた様子がありませんでしたけど、もしかしてあなたも人種以外の言葉が分かるのですか?」
「あーはいはい聞いてる聞いてる」
「…あの、権兵衛さん?」
「ジン君、これが彼よ。黒ウサギも言っていた意味が分かったでしょう? 彼に会話を求めるのはむ」
「だから聞いてる聞いてるって。アレだろ、耀はそこの 関西弁の三毛猫を始めとした動物の言葉が分かるんだろ? うんうんオレもさっきのウェイトレスのねーちゃんの鍵尻尾いいと思うよ」
もちろん成り行きに任せると言っても不審に思われる言動とかには気をつけるようにするけどな。さすがにこれ以上なにかやらかすわけにはいかねー。
「………」
「………」
「………」
…あれ、全員急に黙りだしたな。どうしたみんな?
というか、なんでオレを見てるの? なんで真顔なの?
え、ちょ、怖いんだけど。
「
「
おお、やっと飛鳥とジン君がしゃべってくれた。耀はまだ黙ったままだけど。
いやーもうみんなして突然に黙ってオレを見てくるからビビったよ。やっぱ会話に混ざらなかったのがマズかったのかね? でもさっきはちゃんと返事したしなあ。
でも二人ともさあ、いきなり関西弁とか鍵尻尾とか言われてもなんの話なの…か……と………
…
……
………あっ。
「あなたも三毛猫の、動物の言葉が分かるの!?」
ま、ま、またやらかしたぁぁぁぁぁああああ!!!!
〇七桁の階層(下層)
箱庭都市の一番外側にある七つ目の外壁によって定められた領域。与えられた外門の数字は1000000~9999999。
箱庭都市に存在する大多数の者がこの領域で生活しており、大半の者たちはこの階層でコミュニティを結成し、力を蓄え上の階層を目指します。
基本的にこの階層は最弱の烙印を押されているが、あくまで箱庭都市基準の話。現実の地球に住む者たちと比べればその限りではありません。
原作から具体的な例を挙げると、丘陵1つを一撃粉砕できる攻撃力を保有していたとしてもまだこの階層の域を出ることは出来ない、と切り捨てられます。いきなり破壊規模が丘陵とかバカじゃねーの。
〇ここ(第三話)までに権兵衛がやらかした失敗
全部で4つ(番号順=時系列順)
①転生直前にジジイに余計なことを言った
②十六夜に警戒されるような言動と行動をとった
③???(これが一番マズイ)
④耀に勘違いされるような言動をした