オリ主が問題児世界でオレTUEEE!する話(大嘘)   作:詩人

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 白夜叉までが遠い。
 そして未だに明かされないオリ主の転生特典。


第4話

 もう失言なんかしねーと言ったな。

 あれは嘘だ。

 

「あなたも、動物の言葉が分かるの…?」

「………い、いきなり何を言い出すのかな耀ちゃん? 俺はそんなエスパー染みたことなんてデキネーヨ」

「でも、さっき」

「い、いやいやいや。みんなの会話を聞いてただけだから。もー耀ちゃんまで俺のことを他人の話を聞かねー人間みたいな扱いするのやめ」

「″関西弁″や″鍵尻尾″なんて一度も教えてない」

 

 アカン。

 失言なんか絶対にしないっ!(キリッ)とか思ってた直後にこれだよ。

 一瞬でフラグを回収するとか学習能力無さ過ぎだろオレ。

 というかこの娘さっきまでオレには全然興味無さそうだったくせに、オレが動物と会話ができる人間だと分かった瞬間めっちゃ食いついてくるよ。目とか表情とかすんごい輝いてるよ。

 

 …だが、絶望するにはまだ早い。

 今、彼女がオレに向けている感情の大部分は期待だ。疑心も少しは混じってるだろうが決して悪感情と言ったものではねえ(はず)。

 更に今回は何をやらかしてしまったのかをオレ自身がちゃんと自覚できている。

 つまり十六夜の件に比べればまだリカバリーが効くということだ。

 

「んーまあぶっちゃけるとマジでオレに動物と会話出来る能力………この世界で言うところの恩恵(ギフト)だっけ? そういうのはねーよ」

「うそ。分からないならあんな言葉は出てこない」

 

 嘘はついてないよ、嘘は。

 疑われるのは当然だけどね。だがここで馬鹿正直に喋る気はねえ。

 今ここで出来る最善の行動は誤魔化す、いや煙に巻くことだ。

 

「もしかして権兵衛さんは別系統の恩恵(ギフト)を?」

 

 ナイスタイミングだジン君!

 君はやればできる子だと信じてたよ。

 

「ま、そういうこと。オレの恩恵(ギフト)は」

 

 会話の流れと矛盾しているが、オレは自分の恩恵(ギフト)についてもちろん喋る気はねえ。

 もう十分に()()()()()()

 

 

「おんやぁ? 誰かと思えば東区画の最底辺コミュ″名無しの権兵衛″のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

 

 

 きたっ!

 ()()()の介入を待ってたんだっ!!

 

 オレという異物が存在するとはいえ、オレが無関係や無干渉なところは当然原作通りに物語は進む。

 実際、オレの位置からはこの男がカフェテラスに近づいて来ているのが見えていた。

 ならばやるべきことは簡単だ。タイミングを見計らって話を延ばし、原作通りこの男に会話を中断させればいい。

 

「呼ばれてるわよ。″名無しの権兵衛″君」

 

 飛鳥さん今いいとこなんで黙っててください。

 え? 私も会話に混ぜろ? しかも失礼な乱入者なんてお呼びじゃない?

 あれ~、飛鳥ちゃんって案外構ってちゃんじゃ

 

「…ふんっ(無言の腹パン)」

 

 おまっ、不意打ちで全力の腹パンはダメだろ。

 一般人のオレには箱入りお嬢様の右ストレートでもそこそこ痛いんだぞ。

 

 あ、バカやってる内にジン君と話を終えた男が勝手に同席し始めた。

 っておいおいそんな勝手だと隣のお嬢様にどんな冷やかな態度で返されるか…

 

「礼儀を知らないのかしら? 同席を求めるならばまず氏名を名乗ったのちに一言添えなさい。それすら出来ない者がよく紳士ぶれたものね」

 

 想像以上に辛辣ぅ!

 原作よりも言葉にトゲありまくりだよこのお嬢様。目も据わってて超怖い。

 え、何? 会話からハブられたのがそんなにムカついたの?

 

「こ、これは失礼しました」

 

 ほら、相手さんの顔めっちゃ引きつってるよ。大の男が十代の少女相手にビビるとかよっぽどだぞこれ。

 まあエセ紳士の話も少しは聞いてあげようぜ? そしてさっきまでの話題を忘れてくれると嬉しい。

 

「では改めて自己紹介を、少年とお嬢様方。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ"六百六十六の獣"の傘下であり、この二一〇五三八〇外門を仕切る"フォレス・ガロ"のリーダーを務める…」

 

 品の無い上品ぶった声。

 2mを超える巨躯。

 そして似合わないピチピチタキシード

 

「ガルド=ガスパーと申します。以後、お見知り置きを」

 

 ―――そうみんなご存じ。このエセ紳士こそ、問題児たちの活躍を描く物語の一番槍。

 数々の伝説を打ち上げるだろう問題児たちの快進撃の銅鑼を鳴らす、最初の被害者(かませ)である。

 

 …某蛇神? いやあっち(十六夜)サイドの話はノーカンってことで。

 

 

 

 

****

 

「私あんなの召喚()んだ覚えないんだけど…。めんどうくさいし消しちゃおうかしら?」

「女王、かの少年どころか多元宇宙が複数消し飛ぶような攻撃はお止め下さい。オーバーキルな上に後始末が色々と面倒です」

 

****

 

 

 

 

 …なんだろう? 今、九死に一生を得た気がする。

 まあ変な電波は置いといて、ガルドの話は要約すると以下の通りだ。

 

 ・コミュニティとは、複数名の人員から作られる組織の総称。規模は家族のようなものから大国まで様々。

 ・コミュニティは"名"と"旗印"を箱庭上層に申告しなければ結成、活動出来ない。

 ・昔は東区画最大級だったジンのコミュニティは、魔王とのギフトゲームに敗北して"名"も"旗印"も失い没落。

 ・ジンはそれをオレ達に隠して騙すつもりだった。

 ・というわけで、黒ウサギ共々"フォレス・ガロ"に来ない?

 

 対するお嬢様方の返答。

 

 ・結構。ジンのコミュニティで間に合ってる。

 ・友達作りに来ただけだからどうでもいい。

 ・じゃあ私と友達になりましょう? 飛鳥と呼んで。

 ・ありがとう、春日部でいいよ。これからよろしく。

 ・あら、権兵衛君。あなたはエセ紳士の所へ行っていいのよ?

 ・権兵衛、さっきの話の続きは聞かせてもらうから。

 

 これにはガルドさんも苦笑い。そもそも相手にされてねえ上に勝手に二人で盛り上がってやがる。

 あと飛鳥、喧嘩売ってんのか。

 そして耀ちゃん、さっきのどーでもいい話はもう忘れようぜ? 忘れて下さいお願いします。

 

 その後はもう酷いもんだった。

 続くお嬢様からの罵詈雑言にブチキレるガルドだが、飛鳥の恩恵(ギフト)により()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 飛鳥に拘束を解かれた途端に本性を露わにし、後見人の魔王を盾に脅すも女性陣は一刀両断。

 激情し姿を虎の怪物に変え襲いかかるも耀ちゃんの細腕で今度は物理的に組み伏せられる。

 最後は飛鳥がガルドの顔を足先で持ち上げ死刑宣告だ。

 

「ねえ、ガルドさん。私は貴方のような外道は死ぬほど嫌いなの。ただでさえ何処かの誰かさんのせいで機嫌が傾いてたのに、更に貴方みたいな(ケダモノ)と出会うなんて本当に最悪な気分よ。そして私は貴方の上に誰がいようと気にしないし、脅しにも屈しないわ。つまり、貴方には破滅以外のどんな道も残されていないよ。」

 

 ドSたっぷりの嗜虐心あふれたイイ笑顔だった。箱入り娘だったはずの良家のお嬢様がする笑顔だとはとても思えねえ。

 ところで、何処かの誰かさんって誰のことだ? あ、なるほど十六夜のことか野蛮人とか言ってたし(すっとぼけ)

 

「というか残す気もないわ。私の気は貴方のコミュニティが瓦解する程度じゃ納まらないの。貴方のような外道はズタボロになって己の罪を一生後悔しながら罰せられるべきよ。―――そこで皆に提案なのだけれど」

 

 そして飛鳥は周りの人々―――耀ちゃんとジン君とオレ、そして猫耳の店員さん―――を見渡して一言放った。

 ちなみにガルドの顔は足先で持ち上げられたままだ。

 

「私達と『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の"フォレス・ガロ"存続と"ノーネーム"の誇りと魂を賭けて、ね」

 

 そういやさっきからオレが空気じゃねえかって?

 …ああそうだよ、女性陣のあまりの恐さに席の隅っこでジン君と一緒に縮こまってたよ。猛獣の前ではか弱い小鹿は怯える事しか出来ないのさ…

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 

  威光(オラクル)

 それが久遠飛鳥が保有する恩恵(ギフト)

 喫茶店でガルドの手足の自由を奪い、ガルド本人の意志を捻じ曲げ支配出来たのもこの恩恵(ギフト)の力によるものだ。

 効果は疑似神格の付与。それによる恩恵(ギフト)の極大化だ。分かりやすく言うとバッファー。

 この能力、一見すると地味だがそんなことはない。他二人の問題児に匹敵するとんでもないチート能力だったりする。

 

 まずバフによるステータスの上昇率がヤバい。

 例えば、ごく普通のライターの火に使えばあら不思議、悪鬼羅刹を容赦なく燃やす獄炎に早変わり。

 ただのライターの火でこれだ。箱庭産の恩恵(ギフト)と組み合わせれば炎は概念を焼き尽くす核熱に、稲妻は原子を消し去る天雷に、氷結は事象を静止させる絶対零度になる。()()()()()()()()()()()

 つまり味方の凡百な攻撃を全て必殺技に変えることが出来るのだ!

 

 …前者を使った攻撃喰らってもピンピンしてる化物が割と普通にいるけどな。ちなみに十六夜もこのランク帯。ホント箱庭は魔境だぜ! フゥハハハーハァー!

 

 そしてバフを付与出来る対象の多さも随一だ。

 ぶっちゃけ万物全てが対象となる。自分はもちろんのこと相手だって選ばない。人や虫や動物なんて当然。幻獣に悪鬼羅刹に修羅神仏、亡者生者霊体生命体関係なし。

 武器や土地などといった意志無き無機物も例外ではない。もちろん先に語ったように恩恵(ギフト)にもだ。

 いや、それどころか事象にすら直接干渉出来る。局地的ではあるが、その気になれば事象改変すら可能かもしれないらしい。

 それらを威光(オラクル)一つで全て行うことが出来るってんだからどれだけ凄いかお分かりだろう。

 

 …まあ実はこっちにも落とし穴がある。飛鳥よりも霊格が高い相手には効きにくい、もしくは完全に効かないのだ。

 一応相手の意志次第でバフを受けるか拒否るか選べるっぽいけど敵にバフ使うことなんてねえしな。

 ちなみに霊格ってのはゲームでいうレベルみたいなもんだ。もしくは某オサレ死神漫画に出てくる霊圧をイメージしてくれたらいい。

 

 で、ここまでの話を聞いた人は疑問があるだろう。

 『なんでその能力でガルドを操れたの?』

 『某ブリタニア皇帝のギアスみたいな能力じゃないの?』

 

 この能力、霊格が高すぎる相手には効きにくいというのは先ほど説明したとおりだ。

 では逆に相手の霊格が低すぎる場合はどうなるのかというと、これまた問題が発生するのだ。

 疑似神格の付与とは悪い言い方をすればドーピングだ。そして霊格が低すぎる者はそのドーピングに肉体が、意志が耐えられない。それが結果的に意志を捻じ曲げることに繋がり、周りから見ればまるで相手を支配してるように見えるのだ。

 

 例としてはこうだ。

 飛鳥が人間に「速く走れ(るようになれ)」と命令したとする。威光(オラクル)の効果は支配ではなく恩恵(ギフト)の極大化なので命令された人間は走力が飛躍的に上昇し、普通の人間では不可能な疾走を一時的に可能とするだろう。

 しかし命令された人間の意志は耐えきれず、言葉通りに速く走るといった行為そのものまでが強制されてしまう。もちろんその時の走力は間違いなく上がっているだろうが、端から見れば飛鳥の言葉に支配されたような形になる。

 しかも威光(オラクル)を使う時の言葉が命令口調なのも悪い。これがこの勘違いに拍車をかけている要因の一つだったりする。

 

 そんな訳で、飛鳥は自分の恩恵(ギフト)が人を支配するものだと思い込み、なまじ本当にそういう使い方が出来てしまうが故に今日まで正しい使い方を一度もしてこなかったわけだ。

 …ただし上の例、飛鳥が自身の能力を理解したうえで正しくバフ的な意味で使ったとしても別の問題が浮上するのだが、まあこれ割愛でいいだろう。

 

 この恩恵(ギフト)は他にも利点や欠点が存在し、また別の使い方や特殊性など色々特筆すべき点があるのだが説明はこの辺にしとくか。ぶっちゃけ原作知識のおさらいを兼ねた確認みたいなもんだし。

 

 で、なんで態々オレがこんなことを長々と考えてんのかというと…

 

「権兵衛、話を聞いて。明後日のほう向いてないでこっち見て」

 

 軽い現実逃避だ。

 

 ガルドへの宣戦布告の後、カフェテラスを出たオレたちは十六夜と黒ウサギの二人と合流。

 コミュニティの現状を隠し、騙すように事後承諾でコミュニティに加入させるつもりだったことを黒ウサギとジン君が改めてオレたちに謝罪。

 よし仲直りも済んだことだしギフト鑑定に行こう!

 という感じでオレにとって非常に理想的な流れだったのだがそれもそこまで。

 

「おいおい面白そうな話じゃねえか。俺にも詳しく聞かせろよ」

 

 耀ちゃんからの質問攻めが止まることを知らない。オレが動物と会話できるんじゃないかと未だに疑ってるのが丸わかりだ。

 いや、まだそれだけならいい。目敏く耀ちゃんの質問を聞いた十六夜までもがヤハハと笑いながらオレに絡んでくるのだ。プレッシャーがハンパねえ。

 

 似た様なやり取りが道中でもう30回も繰り返された訳で、そろそろ煙に巻くのが厳しい。むしろ今まで良く頑張ったと自分を褒めてやりたい。

 

 つーか何時になったら着くんだよ''サウザンドアイズ''いくらなんでも遠すぎだろ!

 




〇九死に一生
 ここだけの話、権兵衛は既に何億回も死んでます。
 記念すべき1回目は箱庭に転生した1フェムト秒後。一瞬で肉体と精神と魂を消し飛ばされた。犯人は女王。
 さすがにこれはあんまりだという訳で、神様(爺)が権兵衛の記憶を消してリトライ。知覚する間もなく死んだので記憶もクソもないが一応の配慮である。しかしまた女王に殺される。気が付いたらこれを何億回も繰り返してました。
 本編は奇跡的に、本当に奇跡的に女王の機嫌をギリギリ損ねなかったから始まることが出来た物語である。よかったね!


〇ガルド=ガスパー
 かませ。でも相手が悪かっただけで本当は結構強い。
 冷静に考えてほしい。まず虎の時点で普通に強い。しかも地球上ならたぶん最強の虎さんだ。
 ガルドは更に低級とはいえ人と悪魔の霊格も付与されたワータイガーである。携帯銃火器を装備した地球人類ぐらいなら容易く蹂躙できる力を持ってます。


〇蛇神
 かませ。全長9mの水属性な蛇さん。体高ではなく全長。原作で巨躯と表現されてる割には以外と小さい。
 なおこの蛇さんも相手が超悪かっただけで本当はとても強い。仮に地球に現れたら怪獣扱いは免れない。ぶっちゃけ小国の軍隊ぐらいなら真正面から蹴散らせるほどの力は持ってます。二次創作でもよくかませにされるが実際はそんな弱くないはずなんです…
 語れることは多いキャラですが、基本的に十六夜サイドで登場する蛇さんなのでこの物語で出番は当分ない。はずだったのですが十六夜が厄介なことをしてくれる予定。


〇六桁の階層(下層)
 中心から数えて六つ目の外壁によって定められたエリア。与えられた外門の数字は100000~999999。
 作者の私見になるが、もうこの時点でかなりの人外魔境。ここに住む者たちは生態系を崩す、巨大な嵐を生み出す、広範囲に亘り干ばつを起こす、地獄の業火を呼び出すなど単独で(地球基準の)都市を、場合によっては小国すら終わらせる力を持つ化生ばかり。
 仮に現実で10体ぐらい急にポップしたら一週間くらいで普通に日本終わるんじゃないかなって思ってます。何なら能力の種類によっては数体でもヤバい。蛇神さんの実力はここら辺。
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