オリ主が問題児世界でオレTUEEE!する話(大嘘) 作:詩人
なんかこの世界に転生してから想定外のことばっか起きてる気がする。
具体的に言うと一話に一回のペースで。
まあ大半はオレ自身のミスが原因なんですけどねっ!
・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜
久遠 飛鳥
春日部 耀
・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。
・クリア方法 "力" "知恵" "勇気"の何れかでグリフォンに認められる。
・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
"サウザンドアイズ"印
…駄目だ、やっぱり見間違いじゃねー。
プレイヤー一覧に載ってる、オレを示す名前。
何回見ても『名無しの権兵衛』になってやがる…
第一話をご覧になった読者諸兄なら知っての通り、『名無しの権兵衛』ってのはオレの本名じゃあない。
前世の名前を忘れちまったオレが十六夜たちに話を合わせるためその場で適当に考えて、作って、名乗っただけの名前だ。
だから、契約書類には忘れちまった前世のオレの名前のほうが記載されてなくちゃおかしいのだ。…おかしいはずだよな?
とにかく契約書類のルール───ギフトゲームの強制力、そして厳正さはこの世界において絶対だ。
もう一度言う。絶対なのだ。
ギフトゲームのルールの前にはあらゆる異能が、魔法が、神力が、何もかもが通用しねえ。
もし生き物を殺せないというルールがあれば、ゲームに参加してる者全てがそのルールに屈服する。
例え文字通りの全知全能で、アカシックレコードの創造や改変さえ容易く行え、存在するだけで宇宙が悲鳴を上げてブッ壊れるような力を持った神々でさえ、蟻一匹殺す殺すことも出来なくなってしまう。
然るに、ゲームの絶対的なルールを明記する契約書類もまた絶対。
契約書類にはあらゆる虚偽、誤魔化し、介入が効かねえ。
予め正式に決められた手順以外で第三者がルールを勝手に変更することなど不可能であり、また本名があるにもかかわらず偽名を載せることも許されねーのだ。
それなのに、どうしてだ? どうして───
「小僧、青ざめておるが大丈夫か? 先ほどから震えてばかり………っておい体が冷たくなっておるではないか!? おかしいのう一応ここら一帯は結界を張っておるはずだが…」
ヤバい。
マジヤバい。
これ滅茶苦茶ピンチだ。
多分これ逆だ。
実は、原作でも契約書類に偽名が記載される例ってのは幾つかある。
もちろん厳密には偽名じゃあねーがな。
だが本来の名前ではないって意味ならオレと同じはずだ。
例えば、逆廻十六夜。
そうオレのすぐ側にいる十六夜だ。こいつだって本来の名前は『逆廻十六夜』じゃねーんだ。
十六夜は生まれた直後にとある女性に誘拐されている。
『逆廻十六夜』ってのは姓名揃ってその女性が十六夜の出生を隠す為につけた偽名みたいなもんだ。
本来の姓は『西郷』。
本来の名は原作じゃ明かされてねーが、どちらにせよ『西郷』という姓は確定してんだ
誘拐される前から名が決まってたのか、名付けられる前に誘拐されたのかは定かじゃねーが、普通に考えたら契約書類には『西郷十六夜』と記載される確率が一番高い。
なのに、実際に記載された名前は名乗り通りに『逆廻十六夜』となっている。
つまり明確に第三者から名付けられたからなのか、十六夜自身がそう認識してるからなのかどうか分からんが、『逆廻十六夜』という名前が完全に本名扱いされてんだ。
例えば、フェイス・レス。
同じくオレのすぐ側にいる飛鳥…の双子の妹。
いや、双子の妹に
生まれる前に死んでしまった彼女だが、彼女は母親の胎内にいる時点で既に名前が決まっていた。
『久遠
死んでしまった彼女はとあるバケモンの力によってこの箱庭に転生しゴーストナイトとなり、『フェイス・レス』という新たな名前をつけられた。
まんまオレと同じパターンだと言っても過言じゃねー。
転生後も彼女は自分の本名が久遠彩鳥の方であると認識している。
しかしこの世界において、実際にはフェイス・レスのほうが本名として魂に定着してしまっているのだ。
つまりこいつらと同様に、
たぶん、オレが適当に名乗ったあの時に、『名無しの権兵衛』がオレの本名として魂に完全に定着しちまったんだ。
生まれ変わった事が原因なのか、元々の名前を忘れちまった事が原因なのか、或いは両方が原因なのかまではまだ分からねーな。
だが、この三つの内のどれかだということは確実。
「どうした目も焦点が合っておらんぞ!? 動悸もおかしいし汗もびっしょりではないか。……ああもう仕方ない、ほれ近うよれ。私の恩恵で」
で、これの何がヤバいのかって言うとだ。
何もヤバくねーのだ。
そりゃそうだ。
オレは前世の本名に特別未練があった訳じゃなかった。
どうせギフトゲームを始める際に本名が判明するだろーしっていう軽い気持ちもあったが、逆にどうしてもその名前じゃなくちゃ嫌だっつう気持ちは全くなかった。
でもって今の『名無しの権兵衛』が本名扱いになったところで困ることは一つも………いや、こんな名前になるならもちっとマシな名前考えりゃ良かったな。
と、とにかくオレの好みの問題ぐらいでデメリットが何かあるってわけじゃねーんだ。
じゃあ結局何がヤバいのか?
それはだな、オレの名前が『名無しの権兵衛』になっちまった事だ。
お前今さっき何も問題ねーって言ってたろって?
そうだな、正確にはオレの名前が『名無しの権兵衛』になっちまったという
「小僧、まずはゆっくり深呼吸だ。そうだそれで良い。次はこっちを見ろ。ほれ、私が誰だか判るか? すぐそこにいるおんしの同士二人と黒ウサギも」
これが何を意味するかと言うと………っああもういい加減前置きはいい!
ぶっちゃけると転生そうそうに原作知識がバレちまうかもしんねーんだよぉ!!
****
「なあ白夜叉様。すげえ情けねーんだけどさぁ」
「なんだ?さっきの醜態のことか? 気にしとらんよ。」
「いやそうじゃなくて」
「其れともまた調子が悪くなったとでも言うつもりか? そろそろいい加減同士の試練に集中せい! おんしだけ報酬を無しにするぞ。それに治癒だってもうあれっきりだ。 ……全く、階層支配者である私に出会った初日からここまで世話を焼かせあまつさえ膝枕までさせた者など小僧が初めてだぞ。というか膝枕なんて黒ウサギにすらしたことないわ! どっれだけおんしが恵まれておるかちゃんと理解し」
「見えねー」
「………は?」
「いや、だから、その、耀ちゃんとグリフォンが全然見えねー」
「ふざけてるのか小僧?」
「待って待って怒らないでマジで見えねーの! だってまずこっから遠すぎんだよ何キロあんの? グリフォンだって速すぎて何やってんのか全然分かんねー!」
「はぁ!?」
これは原作知識じゃなくさっき白夜叉から直接聞いた話なんだが、オレ達が立っているこの大地には世界の果てってやつがねー。
つまり箱庭と違い、オレ達が生きていた地球と同じようにここは一つ星ってことだ。
雪原と湖畔の大地はあくまでその一部。
ここまでは話を聞く前───原作を読んだときから予想はしてたんだが、そこは人外魔境トップランカー。
白夜叉曰く、この星は地球とほぼ全く同じサイズだと言うではないか。
つかあの白銀の太陽も、更に言えばそれらを内包してるこの宇宙も現実のものと全く同じサイズらしい。
宇宙と同じ広さのゲーム盤とかスケールデカ過ぎだろ。
いや悪りいな話を戻す。
今、耀ちゃんとグリフォンが飛んでる場所は雪積もる山脈でさ。
その山脈、こっからだと地平線の彼方にあるんだわ。
ここは地球と同じわけだから、つまり最低でも距離凡そ4.5km。
そんな遥か遠い場所にいる人間一人と、現実のライオンの精々4〜5倍ぐらいしかないサイズのグリフォンをね。
一般人の視力で見つけれるわけねーだろ!!
仮に、仮に見つけられたとしてもよ!?
あのグリフォン、原作の描写が確かなら超音速でビュンビュン飛び回ってるんだぜ?
一般人の動体視力で捉えられるわけねーだろ!!!
「そういう事は先に言わんか!? ………ああもう本当に、本っ当に仕方のないやつだのう! どこまで弱っちいんだおんしは。それでも黒ウサギが連れてきた助っ人か? おい黒ウサギ、おんし本当にこんな奴にコミュニティを任せてよいのか。不安しかないぞ。」
「い、いやあ、あはは…」
苦笑いしてんじゃねーぞ黒ウサギ。
頼むから何かフォローしてくれ。
え、フォローのしようが無い? ですよね。
「ちなみに、飛鳥も何にも見えてねーだろ?」
「ぎくっ」
「おい娘、おんしもか」
「っ、さっきから漫才ばかりで真面目に見てない権兵衛君と一緒にしないでくれるかしら! というか、少しは貴方も春日部さんの身を案じなさいよ。彼女は私達の代表であんな過酷な試練を受けているのよ? ………まあ確かに私も物理的に何も見えていないのだけれど」
「…出血大サービスだ。特別に遠見と動体視力を上昇させる恩恵を貸してやる。もちろんこのゲームの間だけだがな。とにかく、それで同士の頑張りを目に焼き付けろ。流石にこのままだとあの娘が不憫すぎるぞ。…黒ウサギは大丈夫だろうが、一応聞いておく。もう一人の小僧、まさかおんしまで見えんと言うわけではあるまいな?」
「ハッ、俺をそこのモヤシ二人と一緒にするんじゃねえよ白夜叉。数十キロ先どころか太陽の黒点だって地上から余裕で見えるぜ。速度だって雷速程度までなら反応できるな」
「ま、まあ私も流石に十六夜さんほどではございませんが、あれぐらいでしたら問題ありません」
ホント何から何までありがとうございます白夜叉様!
あとオレら別にモヤシじゃねーから。
オレらが普通なだけでお前らが人外過ぎるだけだから。
「権兵衛君と同じ扱いだなんで納得いかないけど、このままだと向こうの事が分からないし…。ありがとう白夜叉、ありがたく使わせてもらうわ」
「そこまで言う? オレらのフィジカルが常人並なのは事実だから仕方ねーだろ」
「分かってるわ。…っ、凄いわねこれ。本当に遠くまで見えるわ。春日部さんはどこかしら? 」
「確かにスゲーなこれ。えーと耀ちゃんはっと…。いたいた。うわっ表情までハッキリ見える、辛そうだなああれ」
「顔も手もほとんど凍ってるじゃない!? お願い、無事に帰ってき…いや、頑張って春日部さん…!」
さあこっからが最後の山場だ。
山頂まで昇ったグリフォンが、今度は垂直に真下へ急降下する。
下半身が放り出されて、文字通り手綱に捕まってるだけの耀ちゃんは歯を食い縛って耐えてるがありゃギリギリだな。
気がつけば地平すれすれまで到達したグリフォンだが、更にそこからこっちまで耀ちゃんを振り回しながら全力の疾走を続ける。
そして遂に、オレ達のいる場所の少し先───ゴールである湖畔の中心まで疾りきったのであった。
もちろん、その背には耀ちゃんをしっかりと乗せてだ。
……勝ったぞ黒ウサギ。この戦い、我々の勝利だ…!
****
現実逃避はいい加減やめてっと。
さあ、こっからが(オレの)最後の山場だっ……!!
「さてと、娘の木彫りのギフトには中々興味をそそられたが、そろそろおんしらのギフトを鑑定といこうかの。黒ウサギもそれが目的で小僧どもを連れてきたのだろう?」
何が山場かって?
オレの悪い予想が当たっちまった場合、原作知識がそのまま恩恵扱いとしてギフトカードに表示されちまうのだ。
「ではこれより、この白夜叉がおんしらのギフトを鑑定してやろう!…と言いたいところなんだが、実はギフト鑑定は完全に専門外でな。というか無関係もいいところなのだがの…」
この世界において、ありとあらゆる存在が一番最初に手に入れる恩恵とは何か。
それは命と名前だ。
そう、名前。
転生直後かつ元々の名前を失っていたとはいえ、
もう一度言う。
あんな適当な流れでも。
何の力もない一般人であるこのオレでも。
この世界のシステムはしっかりと目を見張り、あまつさえ「いいよいいよオッケー」ってな感じに軽くゴーサインを出しやがったのだ。
「え? 白夜叉様でも鑑定出来ないのですか?」
恩恵って一口に言っても種類は実際には様々だ。
さっき言った命と名前はもちろん。
身体の一部そのものだったり。
生態固有の力だったり。
呪い。
祝福。
武具。
防具。
アイテム。
魔法。
魔術。
異能。
必殺技(てきなもの)。
ましてや技術体系そのものまで。
これらほぼ全てがこの世界では恩恵として扱われる。
いや、ありとあらゆる才能異能をひとまとめにして勝手に恩恵と呼んでいると言ったほうが正しいかもな。
だから理屈上この世界では、恩恵に属さない異能ってのは基本的にありえねー存在なんだ。
主催者権限? 権能? まああくまで基本的だから多少はね?
「黒ウサギ、いくら素敵で無敵なウルトラ美少女の私でも出来ることと出来ないことがあるのだぞ? というか私がもしこの支店に寄らなければどうするつもりだったのだ」
で、こっからが本題。
話の流れてきに何となく察していただけたと思うが、もちろん恩恵の中には知識や文字、記憶もある。
うん。知識や記憶を引っ張り出す恩恵とかじゃなく、知識や文字それ自体が恩恵って意味。
「そ、それはこの支店の鑑定士の方に鑑定していただこうかなーと…」
もちろん全ての知識や文字が恩恵になりうる訳がねー。
そんなのは本当にごく一部のはずだ。
だがさっき何回も言ったが、この世界のシステムはかなり……いや、もの凄くしっかりしてやがる気がしてならねー。
「それだとそもそも入店出来なかっただろうがの。それに下層の者ではこやつらの才能を測れん。…まあ元々、試練をクリアしたおんしらには何らかの形で褒美を渡すつもりであった。本来ならそうそう手に入るものではない貴重なものだが、鑑定の代わりにもなるだろう」
とにかくそんな箱庭のシステムが、真のアカシックレコードと言っても過言じゃあねーオレの原作知識を見逃してくれるだろーか?
「っ! 白夜叉様、まさか!?」
お前ギフトカードに『問題児たちが異世界から来るそうですよ?』とか『ラストエンブリオ』だなんて文字がギフトネームとして表示されてみろよ。
完全に言い訳出来ねーぞ。
ただでさえ十六夜と耀ちゃんに色々怪しまれてんのに
特に後者はヤバイ。白夜叉に見られたら一巻の終わりだ。まだ原作一巻分終わってねーのに!
「なんだ? 言っとくが別に鑑定なんていらねえよ。人に値札貼られるのは趣味じゃない」
くそっ、なんでこんなことになっちまった。
確かに第一関門だって自分で言ったよ?
ギフトカードという超レアアイテムをここ以外で手に入れることなんてぜってー無理だ。
未だ詳細不明の転生特典を把握及び使用できるようになるチャンスもここしかねー。
「逆に一応聞いておくが、おんしらは自分のギフトをどれくらい把握している…?」
「企業秘密」
「右に同じ」
「以下同文」
「知りたくねえー!」
でもよ、でもよ? 決してこんな意味で第一関門って言ったわけじゃねーんだよぉ!
「うおおおおい? この箱庭で生きていくならば己のギフトをしっかり把握しておくのは重要なことなのだぞ? それにこれから与えるものは何も鑑定だけに使うものではない」
頼む、頼む!
「何にせよ、"主催者"として、星霊のはしくれとして、試練をクリアしたおんしらにはには"恩恵"を与えねばならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度よかろう。受け取るがよい。」
白夜叉がパンパンと柏手を打つ。
そしてオレら四人の眼前にゆっくりと出現する光り輝く四枚のカード。
オレら四人の立ち位置は、少し横に視線をズラすだけで他人のカードの内容がハッキリ見えるほど近い。
つまり、誤魔化しは効かねー。
数秒後、遂に完全に姿を現したカードたちはオレら四人の手に一枚ずつ移動し、それぞれの名前と魂に宿るギフトを記流していた。
コバルトブルーのカードには
逆廻十六夜:ギフトネーム "
ワインレッドのカードには
久遠飛鳥:ギフトネーム "威光"
パールエメラルドのカードには
春日部耀:ギフトネーム "
───そして。
オレの手元にあるインディアンイエローのカードには
名無しの権兵衛:ギフトネーム "レギオン[Lv.1]"
ッッしゃぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!
****
「つまり! ご自分のギフトを知れるだけではなく、手持ちの道具や武具そして食料、更には物質として顕現している恩恵など何でも収納できる超高価なカードなのです! 決して、ええ決してお中元だのお歳暮だのお年玉といったものではございません!」
「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」
「まんま四次元ポケットだよなこれ」
「だからなんで適当に聞き流すんですか! あーもうそうです、超素敵アイテムなんです! 超四次元ポケットなんです!!」
なに言ってんだこの黒ウサギ。
いや失礼。
まあとにかく、だ。
……良かったっ、本っ当に良かった!
一番上の名前欄に載っている『名無しの権兵衛』が見えた時は一瞬全てを諦めたもんだぜ。
だが、今は何度見直しても原作知識を示すギフトネームは見当たらねー。
他にも何が良かったって、カードに書いてあるオレの恩恵を目にした瞬間、急に転生特典が自覚できるようになったことだ。
力がオレの魂に宿っている事がハッキリと分かる。
この"レギオン"がどういう恩恵で、どう使えばいいのかもハッキリと分かる。
さっきまではうんともすんとも言わなかった癖に、今なら直ぐにでもこの恩恵を発動出来る自信がある!
「我らの双女神の紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだがな。」
しかもオレが一番望んでた、魂と融合してるタイプの恩恵だ。
これならよっぽどの事がねー限り失ったり奪われたりすることもねー。
「ふぅん………もしかして水樹って奴も収納できるのか?」
何よりこの恩恵、オレにとっても、ノーネームにとっても最高に相性の良い能力を秘めてるのだ。
字面からなんとなく想像できるように、この恩恵は兵隊を生産する恩恵だ。
そう、兵隊だ。軍勢だ。数の力だ。
「おお? これ面白いな。もしかしてこのまま水──」
原作のノーネームに圧倒的に足りないものは何か?
それは人手だ。
もちろんいるにはいる。
ノーネームにいる百人以上の幼い子供たちだ。
彼ら彼女らは炊事洗濯清掃を始めとした家事雑用を日夜こなし十六夜たちが万全にギフトゲームに挑めるようにサポートしているのだ。
「出せるとも。試──」
しかしだ、そんな子供たちだが彼らには自らを護る術がない。
何かあった時に十六夜たちだけではどうしても守りきれない。
十六夜の力がどんなに強くとも。
飛鳥の力がどんなに便利でも。
耀ちゃんの力がどんなに多彩でも。
たった三人では手が届かない時が、場面が絶対にある。
つか原作でも似たよーな場面いくつかあったし。
主力が本拠を離れる間、子供たちの安全のためにサウザンドアイズやサラマンドラから護衛をわざわざ雇ったりとか。
まあ何が言いたいのかというとだ。
オレの恩恵ならそれらの問題点を完全に……とまでは流石に言えないが、ある程度カバーすることが出来るってわけ。
それにそういう役割にオレが専念すれば、十六夜たちは原作以上に自由な行動ができる。
だいたい箱庭における
本拠の防衛のために行動を制限せざるを得ない等といった状況が、原作の描写にはない読者の見えねーところで何回もあったはずなのだ。
いくらチート三人衆でも影分身が使えるわけじゃあるめーし。
耀ちゃんはそのうち使えるようになってもおかしくないが、その時はギフトゲーム側でその数の力を振るってもらえばいい。
んでもって、そこがオレにとって都合が良い点でもある。
まず間違いなくオレは後方支援として役割を与えられ、直接敵と相対する機会が減ることになるだろう。
魔王のゲーム時でも魔王本人との戦闘ではなく、数の力が必要な事が多いゲーム攻略のほうに十六夜が割り当てるはずだ。
何故ならノーネームでそれが出来るのはオレだけだから。
仮に敵と戦うことになったとしても、当然オレ本人が戦うのではなく生産した軍勢に戦わせる。
つまり痛い目や怖い目に出来るだけ遭わずに済み、更にこちらの戦闘力がオレの度胸や体力、戦闘センスに左右されにくいってことだ。
素晴らしい。
強いて難点というか不安点を挙げるなら、本体であるオレは結局パンピーのままであること。
そして恩恵にLvがゲームみたいに表示されてることぐらいだが、まあ後者はこれから更にパワーアップしましすよってことだろ。
未来は明るい。
改めて礼を言うぜ
今までアクシデントばっかだったが、遂に何事もなく第一関門突破したぜ!!
〇原作知識
こっちについては爺(神様)ノータッチ。運が良かった。
〇レギオン[Lv.1]
ついに公開。恩恵という名の神転特典。権能でも主権でも主催者権限でもない。ゴーレムっぽい兵隊を無から生産し、使役する能力。ただし上位神仏や龍のように本当の意味で無からエネルギーを生成している訳ではない。六話時点だと人型ゴーレムを1日10体まで生産できる。
サイズは約2.5m。
生産時間は1分。
強さは通常ガルド並。
飛べない
特殊能力もない。
視界や情報の共有とかもない。
鍛えれば一日の生産数も増え、生産時間も短くなる。ただし鍛えることとLvを上げることは完全にイコールではない。ちなみに「Lv.1」のままではゴーレムの強さは変わらない。種類も能力も変わらない。
つまり、この恩恵超弱い。でも突然何の前触れもなく箱庭に出現したことと合わせて考えると側から見たら純血の龍種の特徴まんまだよね!
勘違いでオリ主は死ぬ。
〇 第一関門突破したぜ!!
してません。
何故なら三毛猫の件がまだ解決していないから───が主な理由ではない。
原作の第一部を読破してるファンの方々は、ギフトカード及びラプラスの魔王の能力、そして箱庭のシステムをもう一度思い出していただきたい。
実は権兵衛の恩恵、とある理由でギフトカードに正しく表示される事はまずあり得ない。本来なら十六夜と同じく正体不明と表示されるか、下手すれば文字化けしてエラーを起こす可能性すらあった。
更に付け加えるなら、あともう1つ、本来なら
ぶっちゃけると爺(神様)が良かれと思ってやった最後のアフターケアなのだが、それはそれで矛盾が生じてしまい、この先権兵衛を追い詰めることになる予定。これもオリ主=純血の龍種という勘違いを加速させてしまう要因に。
この事に白夜叉含め誰も気付いてない。
唯一気付けるはずの権兵衛も浮かれて気付いてない。
十六夜でも気づけようがない。
進路相談編あたりで帝釈天とラプ子が気付く。