曙は、ヲ級から第2次攻撃隊が発艦したのをSH‐60Kのレーダーで確認し、トマホーク乗り換え自爆を断念した。それと同時に、みらいが悔しそうな顔をしていた。
「着弾まで1分・・・。」
そして、曙から発射された1発のトマホークは寸分の狂いも無く、ヲ級の格納庫と飛行甲板の部分に命中した。ヲ級の飛行甲板には発艦途中の艦載機が多数あり、その艦載機に搭載されていた魚雷や爆弾に誘爆し、ヲ級は瞬く間に炎に包まれた。ヲ級艤装内の被害拡大は止まらず、機関停止、弾薬庫での誘爆多発、ヲ級本体が燃え始めるなど、対処できない程被害がどんどん拡大していき、ヲ級は、身体が炎に包まれたまま少しずつ沈みはじめていった。
そして、約30分後、ヲ級は身体が半分程度沈んだとき、大爆発を起こし、周りの深海棲艦が見守るなか、海中に沈んでいった。
『空母ヲ級、消えました・・・。』
曙の観測員妖精が水上レーダーを見ながら言った。
艦隊は静寂に包まれていた。
漣はゆっくりと、曙を見ると、曙は、ただ、黙って立っていたのが分かった。
『F目標群、判定します。』
『引き返した様ですね・・・。』
CIC要員の妖精からの報告と同時にメガネのレンズ部分にあるモニターには航空機反応が深海棲艦の艦隊方面に戻って行ったのが表示されていた。
『探知圏内に近づく対空、対潜、対水上目標なし。』
「対空戦闘用具収め。」
『対空戦闘用具収めー。』
「SH-60KにRTB。」
曙は、妖精からの報告が来て直ぐに指示を出した。
『各部、対空戦闘用具収め良し!!!』
メガネのレンズに映っていた各兵器の準備状況を知らせる画面は、パッと消えた。
「只今から通常航海にもどる。取り舵10度。」
「「「とーりかーじ!!!」」」
艦隊は、曙の指示で取り舵をとり、呉の方向に向かった。
通常航海を再開し、30分くらいたった時、曙は、ふと気がついた。みらいがうつむきながら曙に向かって何かを呟いていたからだ。
「みらいさん、どうしたんですか?」
曙が、肩に手を触れると、手は、直ぐにみらいによって払いのけられた。
「触らないで!!!汚らわしい!!!」
「え?みらいさん、本当にど」「五月蝿い!!!黙れ!!!この、海自の恥さラシメ!!!」
みらいの身体がどんどん白くなって行くのが分かった。
「ヤ、ヤバイ!!!皆、直ぐに離脱して!!!」
曙が叫ぶと、7駆の4人と、蒼龍は、直ぐに呉方向に最大戦速で走り始めた。
「シズメテヤル!!!」
曙が、5人を見送った後、みらいを見ると、そこに、数10分前のみらいの姿はなく、ただ、真っ白いイージス艦の艤装を着けていた深海棲艦だけがいた・・・。