悪に堕ちた災禍と器の英雄   作:千倉

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意気込んで執筆しようとしたら誤字報告で結構落ち込んだ千倉です。
特に書く事もありませんしどうぞ!


防衛戦

深月の暴走から3日ほどたった何も変わらない修業に明け暮れる一同。

しかしそんな物は長くは続かなかった。

悠達が修業している場所から10キロ程離れた何処かの平野。そこに30個、またはそれよりも多いようにも感じられる数の魔方陣が現れる。

中から出てきたのは何処か人を思わせる輪郭をした()()。ゴム質の様な灰色の肌、ゴツゴツと歪に膨れ上がった腕に脚、赤色の双眸を持つ異様な生物が1つの魔方陣から2体ずつ出てきた。その怪物達は迷う事なく悠達の居る場所へと向かっていった。

 

〜*〜

 

「どうなんだ?深月の容体は。」

 

ヘリの機内、3日前に暴走してからというものの深月の意識は未だに戻っていなかった。ベッドに寝ている深月を見て悠が様子を見ていたスペクルムに声をかける。(ベッドはレンが外組を生成してそこに寝ている時に使う布団を敷いただけの簡素な物だ。)

「現状、体には何の異常も見られません。目立った外傷も一切無し、容体も安定していますので考えられるとしたら__________あの魔術、()()()()でしょうか。恐らくご主人が創った魔術をシアエガに弄られでもしたのでしょう。少なくとも本人が耐えられない様な負荷の掛かる魔術は創らないと思いますし。」

「そうだよな・・・・でも、何で深月が・・・」

「分かりませんが・・・・・1つだけ、推測の域を出ない程度の物ならあります。」

「何だ?言ってみてくれ。」

「はい、恐らくは深月さんの精神力に関係があるのではないかと。魔術を使う際に消費するのは魔力と精神力です。魔力はダークマターで補っているので問題無いのですが精神力は別です。なので、設計図はそのまま中身だけをシアエガが弄って発動さえすれば精神が耐えきれずに自滅してくれる。そう仕組んだのでは?」

「なるほど、確かに確実にあの技が発動出来るのなら巻き添いで誰かを深月の手で殺させて自分も負担でこうしてダウンさせられる。という事か。」

「えぇ、十中八九そうでしょう。幸い、フィリルさん以外は無事ですし彼女も今は復帰していますし。」

「そう思うと今の状況はまだ良い方だったって事か。・・・・それにしてもいやらしいやり方をしてくるな。」

「それには同意ですが・・・仕方ないとは思います。これは戦争なんですし。」

「まぁな・・・数の利に関しては向こうは質より量、こっちは文字どおり少数精鋭だし、その内の少しでも無力化出来れば大きな収穫だ。」

「ええ。」

 

そうスペクルムが答えた瞬間、2人はあの首筋が泡立つ様な感触を感じる。それは()()。この世で最も明確で分かりやすい感情が向けられている事に気づく。

 

「_____っ!・・・気づいたか?」

「はい、お出まし・・・ですか。」

「数もかなり多い、取り敢えずみんなを集合させよう。」

「お願いします。」

 

〜*〜

 

ヘリのすぐそばに全員が集められた。全員の視線の先にはスペクルムが立っている。

 

「では、単刀直入に。

シアエガが動き始めました。今、北から神話生物がかなりの数でこちらに接近しています。ですので防衛戦を行います。目的は敵の殲滅、及びヘリの安全確保です。

イリスさんはここで聖域の加護(せいいきのかご)を使いヘリの安全確保をしてアリエラさんはその護衛を。」

「「了解!」」

 

シアエガが動き始めたという事に多少の驚きはあった様だったが予想の範囲といった様子で特に躊躇いもなく指定されたヘリの護衛へと2人が向かう。

 

「リーザさん、ティアさん、レンさん__________そして私は前線へと向かい正面からの衝突です。フィリルさん、悠さんは後方からの火力支援を。」

「「「了解!」」」

「「了解」」

 

こうして各自持ち場へと着いた。

 

〜*〜

 

先程までいた場所から3キロ程離れた場所でリーザ、ティア、レン、スペクルムは待ち構えていた。後方100メートル程には悠とフィリル、前方300メートルには怪物の大群がいた。

 

「な、何なんですの?あの生き物は・・・」

「あれは食屍鬼(グール)ですね。」

「グ、グール・・・って何ですの?」

「ティアも良く分からないの。」

「ん」

 

そう言うとレンが小型端末の画面を2人に見せる。

そこに書いてあった内容を見たリーザとティアからどんどんと血の気が引いていく。

 

「み、見なかった方が良かったですわ・・・」

「世の中にはこんな事もあるの・・・?」

「早く気を持ち直してください。来ますよ!」

 

スペクルムが身構える。

すると食屍鬼(グール)が一斉に走ってくる。

 

「戦闘開始!」

 

スペクルムの声が響き渡る。

と同時に各々技を発動させる。

 

神砕鉄槍雨(しんさいてっそうう)!」

龍の円舞曲(ドラゴンズワルツ)、序曲・・・業火滅却。」

鳴神迅雷雷霆(めいしんじんらいらいてい)!」

五源掌炎冷雷(ごげんしょうえんれいらい)。」

「モード・・・ナイト。」

 

それぞれが戦闘態勢に入り文字どおり両者が衝突する。

 

「俺とフィリルで左右は何とかする!

だからお前らはとにかく正面の敵だ!」

「分かっていますわ!」

「行きますよ!」

 

4人がひたすら前へと突撃する。

悠とフィリルは言った通り左右の敵を殲滅しにかかった。

 

「ファイアッ!」

「・・・焼き尽くして。」

 

銃弾を浴びたグールは次々とグロテスクな肉塊へと変貌していき、断末魔も漏らさず息絶えて行った。

炎の龍が暴れ回り食屍鬼を蹴散らす。触れた途端に食屍鬼はもがき、火だるまになったかと思うとその火はすぐに消え、後には焼け焦げた地面と大量の灰が落ちていた。

 

「土判、貫きの針山!」

風の刃(ウインド・ブレード)!」

 

場面は変わりスペクルム達のサイドになる。

先行したレン、ティアがそれぞれ技を放つ。

レンは食屍鬼を串刺しにしてティアはブレードを無数に放ち細切れにしていった。

レンの造った針山に向かってリーザがジャンプする。

 

「はぁっ!!」

 

すると蹴りで針山を全てへし折って宙にある程度蹴り上げる。次にはそれを全て針の方を向けてグールにぶん投げるという何とも人間離れな事を披露してくれた。

 

「リーザさん、後ろですっ!」

 

リーザの後ろに残った食屍鬼が拳を振り下ろす。食屍鬼の発達した腕の攻撃など食らったら生身の人間がどうなるかは想像に難くはなかった。しかし_____

 

「分かってますわよ。」

 

瞬時に後ろへと回り込む。それと同時に腕を虚空へと振り切った食屍鬼の背中に向けてちょうど近くに発射された悠の弾丸が飛んでくる。

その弾丸を平手打ちの要領で食屍鬼の方に押し返す。

電撃と魔術を浴びた弾丸は目にも止まらない速度でオレンジ色の軌跡を描きながら食屍鬼の体に大穴を開けて何処かへと飛んで行った。

 

「リーザ凄いの!」

「ふふん!このぐらい、当然の結果ですわ!」

 

2人が見た限り一通りの食屍鬼を殲滅して喜んでいる中、スペクルムだけはボス格の食屍鬼と対峙していた。

その食屍鬼は普通の食屍鬼が2メートル程の体長に対して、5メートル程もあった。それに比例して他の部分もかなり肥大化し、禍々しさを増幅させていた。

 

「貴方がボスですか。それじゃあ・・・行きますか。」

 

西洋の甲冑の様な鎧と細身の剣を持ったスペクルムが斬りかかる。

それに素早く反応して腕を横に薙ぐ。が、そこにはスペクルムはおらずジャンプして食屍鬼と並ぶほどの高さにいた。動けないグールの頭部に向かって真一文字に剣を振るう。食屍鬼の頭部は何も抵抗がない様にあっさりと胴体との別れを告げて地面にボトンと落ちた。

 

「ふぅ・・・」

 

一息ついて剣を鞘に収める。

すると甲冑や剣が光になって霧散、いつもの格好へと戻っていた。

 




ありがとうございました!
ただの無双ゲームかな?(困惑
正直強くしすぎた。で、でもグールくらいなら大丈夫だよね?ね?
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