悪に堕ちた災禍と器の英雄   作:千倉

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ギャグにでも手を出したいと考えてる千倉でございます。
もう、これと二本同時進行でもしようかなw
間違いなくペースは落ちますがw

それではどうぞ!


技披露会〜深月〜+α

「私で最後ですか・・・最後を飾るなど気乗りしませんがやるしかないですよね・・・」

 

ため息混じりに呟きながらこれまでと同様、数歩分前に出る。

 

「それでは_____

酔生夢死(すいせいむし)

 

彼女の体から()が溢れ出る。

一見すると只の黒い霧。それが彼女の体を中心にドンドンとドーム状に広がっていく。

 

 

 

 

 

 

 

だが、重要なのはそんな事では無かった。

 

 

 

 

 

 

 

霧が広がっていくに連れてそれに触れた植物、岩石、果てには地面や大気、そんなものまでもが凶兆以外の何物も孕んでいない純粋な()が訪れる。草は枯れはて塵になり、岩石は砂ほどのサイズになるまで粉々になる。地面は霧が触れた部分が岩石と同様、砕け、抉れる。大気はそれを形成している、窒素、二酸化炭素、酸素が原子に分解され、その性質を失う。

そんな霧が人に触れたらどうなるか。その答えは火を見るよりも明らかだった。

 

 

 

 

 

 

 

「!?何ですか・・・・これ?触れた物が・・・壊れる?______!フィリルさんっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

スペクルムは何故だか霧に触れても平然としている。

そして、こんな状況下でも持て前の分析力で霧の性質を見抜く。空気が無い事も見抜いて何とか空気生成で呼吸を維持する。また、理解しているが故にその霧の恐ろしさを知り、今まさに飲み込まれようとしているフィリルに必死に呼びかける。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、もう遅かった。

彼女が振り向き、霧の存在に気づいた時点でもう彼女は飲み込まれていた。

 

「あ・・・かはっ・・・・」

 

膝をつき、音にならない呼吸音のような声を上げる。技を発動して出現していた炎の龍もそれに伴い霧散する。

 

 

「フィリルさん!?」

 

 

遠くでスペクルムの声を聞き、フィリルの方へと向き直ったリーザが彼女の様子を見て驚きの声を上げる。

 

「間に合って下さい・・・・神速(カンムル)!」

 

鳴神迅雷雷霆の応用、体に電流を流して身体能力を極限まで高めたリーザが全速力でフィリルの元へと向かう。

何とか辿り着いたリーザがグッタリとして動かないフィリルを抱えて遠くの高台へと大きくジャンプする。しかし、服の裾に少しだけ霧が触れる。すると服は黒くなり朽ちる。

 

(!?何ですの・・・この霧は・・・)

 

「フィリルさん!起きて下さい!フィリルさん!!」

 

必死に彼女の名前を呼びかけるリーザ。

 

「・・・・うっ・・・・」

「!フィリルさん!・・・・良かったですわ・・・」

 

弱々しく呻き声を漏らしただけだったがその後は呼吸を始める。その様子を見て、顔に安堵の表情を浮かべる。

そこにスペクルムが飛んでくる。

 

「フィリルさんは!?」

「大丈夫ですわ、かなり弱ってはいますが。所で、貴方って物質変換、使えるのですか?」

「ええ、私の体自体がダークマターで形成されてるという事もありますが一応ご主人がDとしての能力を付与してくれたみたいで。」

「そうなのですか。」

 

 

「スペクルム!リーザ!大丈夫か!?」

 

そこにイリス、ティア、レン、アリエラ、悠も飛んでくる。

5人とも何が何だか全く分かっていないような様子だった。

 

「いったい何が起こった?」

「分かりません。ただ、深月さんの技が暴走したかもしれないという事だけですね。」

「本当に何やってるんだ・・・深月。」

 

悠がこの騒動の原因となっている深月がいるであろう場所へと目を向ける。

そこには偶然なのか霧が骸骨のようになっている部分があった。

 

「あそこにいるのか?」

「恐らくは・・・」

「で、どうしますの?」

「霧なんだし風で吹き飛ばすってのはどうだい?」

「無理ですね、風も触れた途端無効化せれます。」

「じゃあ・・・・あたしの技は?」

「分かりません・・・が、不確定な部分が多すぎます。

仮に入れたとしても途中で無効化され霧を全身に浴びてお陀仏なんて事もあるかもしれませんし。もしもあるとするなら・・・・術者をどうにかするしか・・・・」

「やらせないぞ。」

 

スペクルムの一言に悠が即座に否定する。

 

「分かってます、決してそんな方法は取りませんよ。」

「そうか・・・・・それで、結局の所はどうする?_____そう言えば、ノアはお前に俺たちの技の事は組み込まなかったのか?」

「組み込まれてたらこんな事にはなってません・・・あのバカご主人・・・・!」

「だよな・・・・」

「そんな事言ってないで、本当にどうするんですの!?このままじゃわたくし達のいるここもいずれあの霧に呑まれますわよ!」

「早くなんとかしないと!」

「レンの言う通りなの!」

「はわわ・・・!どうしよどうしよ!」

 

 

 

(考えろ、考えるんだ。

今の状況、深月の技が暴走して制御できていない。そしてあの霧に包まれると体がジワジワと死滅、周りの空気も無くなって最後には死しかない。

ただ、ダークマターにだけは干渉出来ない・・・・どうする?)

 

 

 

 

悠が長考している中スペクルムが何か覚悟を決めたかのような表情で話し始める。

 

「私が行ってみます。あの霧、ダークマターには干渉出来ないらしいので私なら大丈夫です。」

「・・・・やれるのか?」

「成功するかは分かりませんが・・・やってみるしかないじゃないですか。」

「それじゃあ・・・・頼んだぞ。」

「頑張って!スペクルムちゃん!」

「はい、行ってきます。」

 

風を生成して霧の中に浮かぶ骸骨_____深月の真上へと向かう。そして到着するとそのまま下降する。

 

(くっ・・・・・空気が無いおかげで常に空気生成をしないといけないのが辛いですね・・・早くやらないと私の生成量も限界がきてしまいます。_____っと、いましたね。)

 

顔を顰めてまっすぐ歩いていると虚ろな目をして棒立ちしている深月を見つける。

そんな明らかにおかしい彼女の頭に手を置き魔術を発動する。

 

(頼むから聞いて下さいよ・・・・リターンゼロ!)

 

手から光が溢れ出て彼女達を包み込む。

それは5メートルほどにまで広がると霧散した。すると霧が晴れていき中心には倒れている深月とそのそばで膝をついているスペクルムの姿があった。

 

「はぁっ・・・・はぁっ・・・・何とか・・・成功しましたか。」

「スペクルム!深月!」

 

霧が消えたのを見てすぐに悠達が駆けつける。

 

「うまくいったんですの?」

「えぇ、何とか・・・・正直魔術は使いたく無かったんですがね・・・」

「そ、そうだったの・・・それなのにやらせちゃってゴメンね!」

「いえいえ、気にしないで下さいよ。」

「ありがとうなの!スペクルム!」

「何だか小恥ずかしいですね・・・・感謝されるというのは。」

「別に悪く無いだろ?ほら。」

「ありがとうございます。」

 

スペクルムは悠の差し出された手を取り立ち上がった。

 

〜*〜

 

その日の深夜、あれ以降深月、フィリルの意識は戻る事は無く、そのまま1日が終わろうとしていた。

みんないろいろな事があり、熟睡していた。

 

 

「ん?・・・・イリス・・・・?」

 

小さな物音で少しだけ目が覚めた悠は視界の隅にヘリの機内から出て行くイリスの姿を捉えた。

 

「どこに行くんだ・・・・あいつ。」

 

疲れからか頭もろくに回らず立ち尽くしていると後ろから声を掛けられる。

 

「行ってあげて下さいよ。

彼女の親友なんでしょう?あなたは。少なくともご主人なら迷わずそうしてましたけど。」

「スペクルム・・・大丈夫なのか?」

「正直、今すぐにでも寝て魔術で大分消費したダークマターを補充しておきたいです。」

「そうなのか。悪いな、起こしちゃって。所で行ってあげろって・・・」

「決まってますよ、イリスさんの所にです。言ったでしょう?ご主人なら迷わず行ってあげたと。」

「はぁ・・・もうちょっと言い方がなぁ・・・分かった、行ってくるよ。」

「ええ、行ってらっしゃい。

後、女の子に夜更かしは大敵ですから早くしてくださいね。」

「分かってるさ。」

 

〜*〜

 

悠はそのままイリスと同じ道を辿り、歩いていた。

そしてとうとう海岸に着くと浜辺にポツンと座って海や月を眺める彼女の姿を見つける。

 

「イリス、何してるんだ?こんな所で。風邪ひくぞ?」

「あ、モノノベ・・・来たんだ。」

「何だ?来てほしく無かったのか?」

「いや、そういう訳じゃないんだ。」

「なら良いじゃないか。

ほら、話なら何でも聞くぞ。」

 

彼女の隣に腰を下ろして同じように目の前の景色を眺める。夜の海と月の組み合わせは最高の景色を生み出しており、どこか悲しげで幻想的だった。

 

「懐かしいよね・・・ミッドガルにもこんな海岸があったからさ。」

「そうだな、本当に懐かしい。それにあそこは俺たちの物語の始まりの場所、だったな。」

「うん、最初は本当にビックリしたんだよ?

いきなり男の人と会う事になるなんて。」

「こっちだっていきなり裸のお前と会う事になるとは思ってもみなかったさ。」

「むう・・・そういう事言わないでよ・・・モノノベの馬鹿。」

「はは、悪い悪い。」

「それでね・・・・最近はこうやって海に来て拾った貝殻を耳に当ててるんだ。そうすれば・・・・海の音に混じって聞こえるんだ。お兄ちゃんのメッセージ・・・・思い出が。」

「そうか・・・・じゃあ、俺にも聞かせてくれ。」

「いいよ、はい。」

 

悠もイリスから貝殻を受け取り、耳に当てる。

 

「・・・本当だ。懐かしいな・・・あいつとの思い出、全部聞こえてくる・・・・」

「ね?そうでしょ。・・・・あれ?モノノベ、泣いてる?」

「お前こそ・・・・目が潤んでるぞ。」

「もう涙を流してるモノノベには言われたく・・・ない・・・もん。」

「結局、お前も泣いてるじゃないか。」

「うん・・・・そうだね。」

 

そう言うとイリスが自分の頭をモノノベの肩に乗せる。

イリスの体温や頭の重量、かすかに香る女の子特有の髪の匂いを感じながら感傷に浸っていた。

 

「情けない・・・よね。こんな簡単に泣いちゃうなんて。」

「そんな事ないさ、お前は充分強い人間だよ、イリス。」

「ありがと・・・・でも、やっぱり怖いんだ。」

「・・・・何でも聞くから、話してみてくれよ。」

「モノノベ・・・・ありがとう。

あのね・・・何であたしの周りの人っていなくなっちゃうんだろうって・・・・考えてたら怖くなっちゃって・・・・子供の時、竜災に見舞われて家族が死んじゃって・・・・でも、ミッドガルに入ってからはみんなと会えたしお兄ちゃんとも再開出来た。だから、凄く幸せだったんだ。だけどね、お兄ちゃんやモノノベはいつも無茶して、怪我して心配して。

それで・・・とうとう折角再開したお兄ちゃんともまた・・・別れちゃって。

今日もミツキちゃんやフィリルちゃんがあのままいなくなっちゃうんじゃないかって凄く怖かった。

・・・・・あたしにとってモノノベ達が世界、みたいな物なんだ。家族の思い出もたくさんある・・・・けど、覚えてるのは短い間だけで、楽しい思い出はミッドガルでつくられたんだ。だからモノノベ達の誰かやお兄ちゃんがいなくなるっていうのは・・・世界の一部が消えるのと同じなんだ。だから誰も欠けて欲しくない・・・なのに・・・何であたしの周りの人はいなくなっちゃうのかな・・・あたしって厄病神・・・なのかな?」

「そんな事言うな。

自分が厄病神?そんな訳無いだろ。少なくとも俺や深月達もお前と出会えて良かったって思ってるし、失いたく無い人なんだ。

それに俺やノアが無茶するのもな失いたく無いからだ。お前達が安全であるために、誰1人として欠けないように、俺たちは戦って守るんだ。

キーリがミッドガルを襲った時もノアやリーザが命がけであいつと闘ったのもティアを守る為だ。

今回だって、俺やアリエラが言ったろ?

あいつを、ノアを取り戻す為だって。確かにあいつが居なくなってお前の世界を作るピースは欠けたかも知れない。だけど、まだ取り戻せるんだ。だったらお前の世界を元に戻すために頑張ろうぜ?」

「うん・・・・ありがとう、モノノベ!__________ありがとう・・・・う、うぅ・・・・」

「泣きたいなら泣いたらどうだ?俺は構わないからさ。」

 

 

 

 

「う・・・うわああああああああああああん!!モノノベェェェ・・・・・!」

 

 

 

 

 

感情をせき止めていた何かが壊れたかのように一気に泣き出すイリス。悠は彼女を自分の胸に寄せて優しく抱きしめて彼女を慰めた。




ありがとうございました!
ちなみに今回ですが私の科学知識はとてつもなくしょぽいので何か間違っていても生暖かい目でスルーして下さいw
あぁ〜^イリスに浮気してしまいそうなんじゃぁ〜
イリス可愛くないですか?天然巨乳キャラじゃぞ!?
まぁ至高はアリエラなのだが!

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