ダンジョンで神の力を使うのは間違っているだろうか 作:ラプラス0912
最近、ダンまちにハマってしまった大学生です。
大好きな作品を俺色に染めてみました…感想など、たくさん募集します!!どんな感想でも、評価でも構いません、宜しくお願いします!!
それでは、どうぞ。
遠い昔、神々は俺たち人間やその他諸々に刺激を求めて、天界からはるばる下界へ降りてきたそうだ。
そして、後に神々は永遠にこの下界で暮らすことを決意したという。神の力を封印し、不自由さと不便さに囲まれて楽しく暮らそうというのだ。
神々は俺たちに恩恵という名のモンスターと戦うための力を授け、力を授かった者はその神の眷属(ファミリア)となる。
そしてここにも一人、神から恩恵を受け、冒険者となり、今まさにモンスターと対峙する一人の男がいるのだが…
『おいベル、お前いつまで逃げるんだよ!!少しは立ち向かう姿勢を見せるべきだぞ!!』
『何言ってるのさトウヤ!!相手はミノタウロスだよっ!?ていうか、なんで中層にいるはずのミノタウロスが5階層なんかにいるのさ!!死んじゃうよ、これ絶対死んじゃうって!!』
黒髪に鋭い黒の瞳をもった若干悪役の似合いそうな面構えの男が、白髪赤眼のいかにも駆け出し早々な冒険者に説教を聞かせているようだ。黒髪の男、名をトウヤ・マグリスという。何を隠そう本作の主人公に当たる男である。対して白髪赤眼の男は、ベル・クラネル。みなさんご存知の原作主人公である。
トウヤはベルと共にダンジョンに潜り、軽くモンスターを倒しつつドロップアイテムを売って稼ごうと考えていたのだが、第5階層でそろそろ引き返そうかと思っていたところに上層には居るはずのないミノタウロスという巨大モンスターが突如現れ、ベルは慌てふためき、トウヤは戦闘態勢に入った。
しかし、ベルがトウヤの腕を掴み全力でミノタウロスから逃げていたのである。
『ヴオォォォォォオっ!!』
『ひいぃっ!!』
『ちょっ、ベル!!急に止まるなよ頭打ったじゃないk…』
『ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁあいっ!!』
ベルはあまりの恐怖に、トウヤを掴んでいた手を離し、悲鳴をあげながら颯爽とその場を去っていった。
『おいおい、まったく…いつになったら男らしくなるのかねぇ。』
トウヤは走り去っていくベルの背中を見つめながら、やれやれといった表情でため息を吐いていた。
『ヴオォォォォォオっ!!』
『おっと、そういえばお前が居るんだったな。悪い悪い、相手してやるから少し落ち着こうぜ?』
トウヤは近づいてくるミノタウロスに視線を移し、軽く手足の関節をやわらげる。
トウヤ・マグリス、彼はベルとは違い、レベル1ではあるが、戦闘能力は冒険者の中でも指折りに入るほどの男である。
詳細は追々説明することにして、要するに彼はミノタウロス程度の相手に苦戦するような男ではないということである。
『さてと、久しぶりの戦闘だ。よろしく頼むぜ?ミノタウロスさんよっ!!』
そう言い、トウヤは自身が背中に担いでいる剣を抜き、構え、力強く地を蹴るのであった。
■■■■
『ふぅ…ざっとこんなもんですかね?』
あの後、大して時間も経たないうちにトウヤはミノタウロスを討伐した。そして現在、ミノタウロスからドロップしたアイテムを回収している真っ最中である。
『うんうん、これは中々の稼ぎになるな。久しぶりにベルたちと飯でも食べに行こうかね。』
『…あの。』
『ん?』
トウヤは半ばウキウキなテンションでドロップアイテムを回収する。その時、後ろから声をかけられた。
『どちら様で?』
『私は、アイズ…アイズ・ヴァレンシュタイン。』
『あ、そうですか。では…』
『…まって。』
『まだなにか?』
声をかけてきたのは、金の髪と瞳が特徴の美少女。原作でもおなじみの、剣姫ことアイズ・ヴァレンシュタインであった。
トウヤはアイズのことをよく知らず、適当に対応して帰ろうと思っていたのだが、アイズは何か聞きたいことがあるようで、トウヤを呼び止めた。
そして少女は口を開く。
『ミノタウロスを倒したのは…あなた?』
トウヤは周りの空気が異質なものに変わるのを感じた。どうやら剣姫様がオーラを出しまくっているようだ。期待と戦闘狂ならではのオーラをトウヤは察した。
『ミノタウロス?何のことか分かりませんが、俺は関係ありませんよ。』
『…ほんと?』
『えぇ、まぁこんな上層で、仮にミノタウロスが出現したとして、それを討伐できた人がいるとするなば、それは相当の実力者なのでは?俺はまだレベル1の駆け出しですので、そういったことは到底不可能ですよ。』
『そう…なんだ。』
『そうなんです。それでは、失礼しますね。』
『うん…ばいばい。』
トウヤはデマを吐きながら、なんとかその場を離れることに成功した。別れ際に、銀髪の獣人がアイズに駆け寄るのを見た。そして、その獣人が吐いた言葉を聞いてトウヤは頭を抱えることになる。
『ベート?』
『おいアイズ!!お前見たかぁ?今、あっちに全身泥だらけで乱れきった泣き顔晒して走り去っていく野郎がいたんだぜ!!笑いがとまんねーよなぁ!!』
『はぁ…。』
トウヤはベートと呼ばれる獣人の話を聞きながら大きなため息を吐き、ベルを追うように小走りでダンジョンを抜けていくのであった。
■■■■
その頃、一足先にダンジョンから抜け出たベルはギルドを訪れていた。
そして、ギルドでも顔見知りの女性、エイナ・チュールに説教を受けていた。
『ダメじゃないのぉ、いきなり5階層まで潜っただなんて。パーティを組まずに、ソロでダンジョンに潜ってるだけでも危険なのに。いつも言ってるでしょ?冒険者は冒険しちゃだめだって。』
『はい…すみません。でも、ここ最近は一緒にダンジョンに行く人がいて…今日もその人のおかげで生きて帰ることができたんです。』
『そうなの?でも、油断は禁物だからね?』
『はい…。』
ベルはエイナに言われ、俯きながら謝る。
昼下がりのギルドは利用者が少なく、周りの役員たちはベルとエイナを心配そうに見つめていた。
『ベル君、君はすごい幸運なんだよ?ダンジョンに潜り始めてまだ半月のレベル1の冒険者が、ミノタウロスに襲われて生きて帰れたんだから。』
『はい…。』
エイナの言葉は恐らくベルの耳から耳へ抜けているのだろう。ベルは、ダンジョンでトウヤを置き去りにして逃げ帰ってきた事に罪悪感を抱き、俯きながらも悔しそうに何度も拳を握りしめていた。彼は無事なのか、ただその事だけが頭を離れなかったのである。
『とにかく、無事でよかった…今度から気をつけるんだよ?あと、泥だらけになったなら、シャワーくらい浴びてから来ないとね。』
『はい、わかりました。気をつけます。』
『本当にわかってるのか?』
『えっ…。』
エイナの言葉に、相槌を打つように返事をしたベルに、聞き覚えのある声が降りかかる。
ベルはハッとなり、勢いよく顔を上げて声の主を探す。見つけるのに時間はかからなかった。
『よっ、ベル。無事だったみたいだな。』
『トウヤっ!!』
ベルは自分の後ろに立っていたトウヤを見つけるなり駆け寄って頭を下げた。
『本当にごめん!!僕が何もできないばっかりに…トウヤを置き去りにするようなことをして…本当にごめん!!』
トウヤはベルが急に頭を下げた事に驚くが、すぐにその顔は柔らかく笑みを持ったものになる。
『顔を上げろよ、情けないぞ?お前は何も悪いことなんかしてないだろうが。』
『で、でもっ!!』
『でもじゃない。お前は正しい選択をしたんだ。俺たち冒険者は生きて帰る事に意味がある。あの場で、ベルは敵と自分のレベル差を考え、生きるために逃げるという選択を選んだ。そうだろ?』
『う、うん…。』
『それができるってことは、お前は立派な冒険者だよ、ベル。胸張って前見て歩けよ。』
『うん…うんっ!!』
トウヤはベルの肩に手を置きながら言う。
ベルはトウヤの言葉を聞いて、涙ながらに強く頷くのだった。
『あなたが、ベル君の協力者の方ですか?』
『ん?あなたは?』
『初めまして、私はギルドに勤めるエイナ・チュールです。』
『こちらこそ、初めまして。俺はトウヤ・マグリス、ベルと一緒にダンジョンに潜ってる冒険者です。』
トウヤとエイナは軽く握手をしながら挨拶を済ませる。
『お、そういえばベル。今日の分の換金は終わったのか?』
『あ、まだだった!』
トウヤに言われ、ベルは慌てたように換金所へ走る。トウヤはベルの背中を見つめながら微笑んだ。
『トウヤさん。』
『ん?どうしました?エイナさん。』
『いえ、ベル君はトウヤさんを心から信頼しているように見えたので、そんなトウヤさんにお願いが…。』
『…なんでしょうか?』
トウヤはエイナが真剣な眼差しで見つめてきたので、呼吸を整え同じように真剣な眼差しで見つめ返した。
『ベル君は、少し強くなる事に焦りがちで…平気で無理なことでもやっちゃう男の子なんです。どうか、手助けしつつ、見守ってあげてくれませんか?』
『…プッ。』
『え?』
『プハハハッ!!』
『えぇ!?ちょ、トウヤさん!?』
急に笑い出すトウヤに、エイナは慌てたように詰め寄る。
一体何事なのか、と。
『ふぅ…いえ、すみません。何を頼まれるかと思えばそんなことですか。』
『そんなことって、私は真面目にっ…!!』
『当然じゃないですか、そんなこと。』
『当然…?』
『えぇ、俺は元々しがない旅人でして…この街、オラリオに来てから寝床や食事に困っていたところをベルと、彼の神様であるヘスティアに助けてもらいました。その時から俺はベルとヘスティアに恩を返そうと決めた。そして、俺にできることはベルとヘスティアのファミリアを見守ることです。故に、俺がベルを助け、見守ることは至極当然なことなんですよ。』
『そうだったんですか…それなら心配はいらないですねっ!!』
『そういうことです!!あ、換金終わったみたいなので、失礼しますね。』
『はい、今後ともギルドをよろしくお願いしますね。』
『了解しました。』
そう言ってトウヤは換金終わりのベルと合流。二人は共にギルドを出て、ヘスティアファミリアの拠点へ帰るのであった。
『ねぇ、トウヤ。』
『なんだ?』
『トウヤは、ダンジョンに出会いを求めるのは間違ってると思う?』
『出会い?そうだな、簡単そうで難しい質問だなこれは。』
『そうなんだよね。昔、お爺ちゃんが言ってたんだ。冒険者なら、ダンジョンに出会いを求めなくっちゃって。』
『そうなのか。まぁ、俺は間違っちゃいないと思うぞ?』
『本当に!?』
『あぁ、ダンジョンに何を求めるかなんて、人それぞれだろ?そういう考えがあっても、間違いとは言えないと思うし。』
『そうだよね!!よかったー…うわぁぁ!!』
ベルは喜びのあまり、路地裏を抜けた先の階段で躓き、落ちていった。
トウヤは苦笑いしながら、落ちていったベルを追って階段を下りるのだった。
そして、さらに奥へ進むと、ヘスティアファミリアの拠点、もう使われていないであろうオンボロの教会が姿を現した。
『神様ぁー、今帰りました。』
『ミューーーー!!』
ベルが地下に下り、ヘスティアファミリアの主神であるヘスティアに帰還の声をかけると、待ってましたと言わんばかりの勢いでヘスティアがベル目掛けて飛び出してきた。
『おかえり、ベル君。今日は早かったんだね。』
『はい。ちょっとダンジョンで死にかけちゃって…。』
『はっ、大丈夫なのかい?痛くはないかい?もし君に死なれたら僕はショックだよぉ〜。』
ベルの言葉にヘスティアは慌ててベルの体を触りながら確認していく。
しかし、それもすぐに安心の声に変わる。
『よっと、お邪魔するぞ。』
『おや、トウヤ君も一緒だったのかい?なら安心だねベル君!!』
『はい!!今日もトウヤのおかげで生きて帰れたんです!!』
『本当にありがとうトウヤ君。君には感謝しても仕切れないよ!!』
『いや、それは俺のセリフだぞヘスティア。ファミリアの人間でもないのに、寝床を与えてもらってるなんて、俺は幸せ者だよ。』
トウヤはヘスティアの頭を撫でながら着ていたロングコートを脱ぎ、ソファーに座る。
そこでヘスティアは何かを思い出したようにトウヤとベルに声をかける。
『そういえば今日は、君たちに美味しいお土産があるんだよ!!ジャジャーーン!!』
そう言ってヘスティアが見せつけてきたのは、器の上に大量に盛られたじゃが丸くんであった。
『おー、これは大量だな。』
『どうしたんですか?そのじゃが丸くん。』
『ボク、最近ここの屋台でバイトを始めたろ?お客が増えたご褒美に貰ったんだ!!』
そしてヘスティアは俺たちに大人ぶった表情で笑いかけ、さらに言葉を続ける。
『夕食はパーティと洒落込もうじゃないか、二人ともっ…今夜は君たちを寝かさないぜっ!!』
『いや迷惑だわ。』
『トウヤ…少しは喜んであげようよ…。』
ヘスティアのドヤ顔に、トウヤは堂々と断りを入れる。ヘスティアはズッコケ、ベルは苦笑いを浮かべながらトウヤに言う。
『ま、まぁいいだろう。とりあえず、今日は二人ともお疲れ様。これを食べてゆっくり休むといいよっ!!』
『はい、神様!!』
『俺もありがたくいただくよ。』
そして三人は夕食タイムに入った。
ヘスティアを中心に、本日の出来事などを話し、盛り上がっていた。
『さてと、食事も終わったことだし、寝る前にステータスを更新しちゃおうか、ベル君!!』
『はい、お願いします!!』
そう言ってベルはベッドに上半身裸でうつ伏せになる。ヘスティアはベルの背中にまたがり、自身の血を一滴ベルの背中に刻まれるステータスに垂らす。
するとステータスが光り、見る見るうちに文字が浮き上がってくる。
ヘスティアはその文字をなぞるように触れていく。するとステータスの数字が次々と変わっていくではないか。
これがステータスの更新である。ちなみにトウヤは旅人になる前にステータスを刻まれているため、ヘスティアの更新は受けない。
『そういえば、トウヤはステータスを更新しないんだね。』
『そうだな。俺は既に、別の神様にステータスを刻まれている。』
『そうだったね。それで、トウヤ君にステータスを刻んだのは一体誰なんだい?』
トウヤがステータスを更新しないことが気になったのか、ベルが疑問を口にする。それにつられるようにヘスティアもトウヤのステータスについて問いかける。
『俺にステータスを刻んだのは…ノルンだ。』
『ノ、ノルンだって!?』
『神様、知ってるんですか?』
『あぁ、ボクもあまり詳しくは知らないんだけど、天界でもノルンは有名なんだよ。枯れ果てた大地を蘇らせたり、たった一人で多くの神を統治していたんだ。過去、全くファミリアを作らなかった神が、一人の子を気に入ってファミリアを作った。まさか、君だったとはね…。』
『すごい神様なんですね。あ、でもファミリアは僕と神様も同じですね!!』
『まぁ、そういうことになるねっ!!おっと、終わったよベル君。』
『ありがとうございます。』
話しているうちにベルのステータス更新が終わり、ヘスティアはベルにステータスを写した布を渡す。
『あ、敏捷が結構上がってますね!!』
『そりゃお前、アレだけミノタウロスに追い回されれば嫌でも上がるだろうよ。』
『ですよねぇ…。あれ?神様、このスキルの欄は?』
『ん?ちょっと手が狂ったんだ。いつも通り空欄だよ!!』
『ですよねぇ…。』
ベルはヘスティアの言葉に分かっていたがショックを受けうつむきながら笑う。
『あれ?そういえば、なんでトウヤは旅人なんかしてるの?』
ヘスティアの話を聞いたベルは驚くが、気に入られているはずのトウヤが旅人をしていることに疑問を抱き聞いてくる。
トウヤは目を閉じ、悲しい雰囲気でベルに答えた。
『少し長くなるんだが…五年前だ。オラリオとは違うんだが、1つの都市があってな。俺とノルンは何時ものように街で買い物をして、ホームに帰るはずだった…。』
トウヤの言葉を、ベルとヘスティアはじっと聞いている。トウヤは少し間を空けて話し始めるのであった。
二人はまだ知らない…。
トウヤ・マグリスという一人の少年が、いかに強大な存在であるのかということを…。
どうでしたか?
終わり方が若干おかしいかもしれませんが、これから応援していただけると幸いです。
何かありましたら、お気軽にコメントなどいただけると嬉しいです。
それでは、また次回にお会いしましょう!!