各キャラクター及びメカの紹介も誤削除作品同様に投稿します。
無数の光条が虚空に消え、上空から接近する機影に向け放たれた砲火だった。
それは落下速度が早く、捉えることができなかった。
地上へ降り立ったのは、白と青を基調としたトリコロールの機体。電源が落とされたかのようにじっと立っている。1機のISが近づく。拡張領域から取り出された実体剣を握ると、それに目掛けて勢いよく、寸分の狂いもなく振り下ろすはずだった。柄だけを残し刃が宙に舞う。
彼女は思いだし、白と青の機体を見る。光刃は天に向かって伸びている。敵機はビームサーベルを使用したのだ。
この時代、ビーム兵器が主流でないといわれているのに敵機は使用した。実装するのにまだ先だといわれ、ほとんどの企業は開発を見送っていたものだ。
あの武器は是非とも欲しい、欲望に駆られた彼女は機体を操作する。相手はピクリとも動かなくった。
もらったといわんばかりに、両腕で抱えた捕獲用ネットを射出しようとトリガーに指をかけたときだった。あともう一歩のところでネットが敵機を包み込むはずが、ビームサーベルによって斬り裂かれていた。
そして突然、世界が一回転した。気がつけば彼女は地面に伏せて倒れていた。
意識が遠退いていく、体が斬りつけられ、なんとか裂かれることは無かった。辺りは血で染められ、段々呼吸が荒く、苦しくなってくる。せめて最後くらい、育て親に会ってお礼を言っておけば良かったと後悔するが、もう手遅れだ。
人生を台無しにしてしまった。
あのISがこちらに近づき、覗き込む。
――ごめんね、……約束守れなくて
彼女の顔に映り込んだのは、自分の知っている人物であった。
彼女は残された力を振り絞り、謝罪の言葉を述べた。
「……ごめんね、倭」
ISを解除して見えた顔はまだ若く、右目に眼帯を着用した少年だった。
――ああ、彼か……でも良かった、最後に顔を見れて
彼は鮮血に染まる彼女を抱き締め、一筋の涙がこぼれ落ちる。
最後に微笑むと、静かに瞳を閉じて眠った。真っ白な肌はとても冷たく、生気を失っている。
「守るって言ったのに……約束したのに、俺は……守れなかった」
彼の泣き叫ぶ声は慟哭の空へと、儚く散る。
彼女を持ち上げると、歩み始める。
どうしてこうなった?
誰のせいだ?
すべて、あいつのせいだ。なにもかも、あいつが奪った。
彼女は戦争根絶を望んでいた。だが、組織の一員として働くことを拒み、入って一ヶ月で抜けた。条件としては、組織の情報を決して外に漏らしてはならなかった。これも分かった上で、任務を下した。
しかし、そこまでして残酷なことをさせようと思うだけで、体の奥底から沸々と怒りが込み上げてくる。
――絶対に許さない
彼はここで誓う。
大切な人を守るために、力を使う。彼女の亡骸を見つめ心に誓った。
あれから4時間も経つ。倭が任務に出たきり帰ってこない。心配になり、連絡を取ろうと遥は携帯端末に手を伸ばす。
ちょうどそのときだった、携帯端末が鳴り響く。
それは上の人間からのであり、彼ではなかった。
〈吉良倭が任務遂行中に、行方が分からなくなった。エージェントが探索中のため心配はするな〉
「しかし……」
〈勝手な行動は慎むように〉
「はい……」
納得はいかなかったが、命令ならどうしようもない。が、やはり心配だ。
過去に何度かこういった事は起きたが、中々見つからないのは今回が初めてだ。
今の彼女には、ただ祈ることしかできなかった。
「ここは……?」
彼は見知らぬ島へとやって来ていた。無我夢中でISを操作させ、やっと辿り着いた島だ。
無用に民間人との接触は、組織のルールに反する。
しばらく歩いていると港らしき場所へと辿り着く。すぐに看板を見つけ、文字を読むとこの島は春風島と呼ばれる本土から少し離れた離島らしい。
券売機へ向かおうと一歩踏み出したときだった。1人の少年と視線が合わさった。
誰と思ったがもう会うことはないだろう。
それきり彼は、この一瞬の邂逅を忘れた。
彼は切符の購入を終えると船に乗船し、この島を後にした。
日は沈み、時計の針は18時を差し掛かっていた。南西太平洋海盆に位置する無人島へようやく到着した倭は、若干安堵した。すでにこちらへ戻ってくることを知っていた他のマイスターは鋼鉄製の扉前で待っていたのだ。
「よう、まったく心配かけさせやがって」
飄々とした態度で軽くを手を挙げたのは神道翼だった。心配の言葉を掛ける。
「ほんとよ、これで何回目なのよ?」
腕を組む少女、月光椿は呆れた表情をしながらきつい言葉が彼に重くのしかかる。
「ああ、すまない……」
「反省の色が見えないよ。ほんとに反省してるの?」
椿は、さらに問い詰めるような言い方をする。やや表情を歪ませた倭は、曖昧な返事を返した。
「……あ、ああ」
何か事情を察したのか、彼女は問い詰めるのをやめたのだ
主人公の悲しき別れを描いた始まりとなりました。
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