次回から第2章に突入となります。
陣博士は、頭を抱えて悩んでいた。学園へ編入した吉良倭に用意するはずだった砲撃専用のバックパックを実戦に投入させたこと。
解決策は見つからないのかと模索していたところに、ある日アイデアが浮かんだ。
それは、プロトタイプ機の〝暁〟を改良することに決めたのだ。
近接戦を軸に、なおかつ彼の反応に追い付けるOSの開発と機体の軽さ。開発するのにさほど時間はかからずに、吉良倭に合う最高のISを完成させた。陣もよほど満足したのか、リズムにのりながら口笛を吹きながらステップを刻んで研究室を後にして外の空気を吸いに行く。
南大西洋海盆沖に置かれるやや小さめなこの島は、彼ら(BC)の活動拠点として利用され、衛星から見つからぬように常にステルス性を含む粒子を散布させ続けている。また、ここで機体の開発及び、修理や調整、それに試験も行われている。
学園の休日を利用してこの島へやってきた倭を迎え、格納庫へ案内する。彼の誘導を終えるとうっすらとシルエットが目に入り込んでくる。ライトが照らされると機体がはっきりとうつし出される。
機体全体がやや青く、2本の長剣を背中に懸架させ、両腕にはアンカー式のロケットアンカー。対ビームコーティングを施されている。それに陣が試験的に取り入れた新システムの〝イグニッション・モード〟は、〝イグニッション・ブースト〟を連続しての使用を可能とするが、パイロットに大きなGの負荷がかかる。普通の人間には耐えられぬことではあるが、彼の場合遺伝子を操作するための実験体となっているが、本人はその事実を知らない。
「これが、学園で使用するISだよ」
「ああ、分かった」
倭が機体を見上げながら答える。この機体は〝暁〟に酷似しており、いくらプロトタイプといえ、あまりにも似ていると自分の正体がばれてしまう可能性と、組織を知られてしまう2つの点だ。
もうじき、世界相手に喧嘩を売るというのに、自分から私は組織の人間ですと馬鹿な真似はできまい。
「少し面白い機能を付けたから、試してみるといいよ」
「感謝する。いつか試させてもらう」
お礼を述べると、機体のデータ確認に向かう。
夜中の0時ちょうどだった。
少年はパソコンで調べていると面白いものを見つけた。
それは1
つの島国だ。島民たちは暖かいで有名な島。
面白いことに、IS学園までもある。付近に基地も設置され、防衛態勢が完璧。
名前はなんだ?
確か春に風と書いて春風島だっけ?
読み方はどうでもいいか。
彼らには罰を与えねばならない。外の世界は平和じゃない、戦争をしようとしていることを知ってもらはないと。
自分たちだけ平和に暮らせると思ったら大間違いだ。
祈れ、悲しめ、泣き叫べ。そして恐怖に包まれ、絶望するがいい。
計画は完璧。時が過ぎるのをただひたすら待つだけ。
「己の弱さに絶望するがいい……春風島出身、星野優人!」
少年は、持っていたナイフを写真に突き刺した。口にした人物の写真に……
その後、少年は静かに眠った。
――失敗作ですか……では彼とあの子を近付けさせないように……どのみち2人の持つ力は互いに干渉しあうんだ
――失敗作……?
干渉?
彼って……誰?
分からない事だらけで、まだ幼い少年にとって内容が掴めない。
……処分するのがいいだろう
――殺される!?
嫌だ……死にたくない、生きたい――!
『な、なにをする……』
身に纏う白衣が真っ赤に、鮮血に染まる。刃の先端から血が流れ落ちた。
そして、血に染まって倒れている男のポケットに資料が入っていた。
〝PGM〟計画?
まず目に入ったのが、この単語だった。内容はこうだ……
三つ子のうち2人を遺伝子操作し、実験を行う。
なお、これはあくまで成功するための実験であり、うまくいけば人類最高の人間を作り出すことができる。
被験体……吉良倭、●●●●の2名である。
血が滲み、自分の名前が丁度見えなくなった。まあいい。
そうか、そういうことか……なら本人はこの事実を知らないわけだ。
なら、知ってもらう――!
それは罪だよ……
そこで目覚めた。なんて目覚めの悪い朝なんだろう。あんな夢を見るなど、1日の気分が台無しだ。
「いよいよか……手始めにと思いたいがやめておこう。なんであれはまた、邪魔するのか……困ったものだよ、まああれとどう戦うのか楽しみさせてもらうか」
左目に着けていた眼帯を外し、その瞳から赤い光彩が輝いていた。
それから二時間も経ち、彼は動いた。予定通り、島へ到着した。
時刻は午後4時、そろそろ待ち合わせ場所にお客が来る頃合いだ。やつの態度は気に入らないが、求めているものは同じ。それに人材集めも完璧。
今回この任務に派遣されるのはスカウトしたばかりの新人で、血の気の早い者だと聞かされた。猪武者と呼んでも可笑しくないかもしれない。
そんなんで大丈夫なのか、心配して儘ならない。
データを開き、確認をしていると足音が聞こえ一旦データを閉じた。
前を向くと男女がこっちを真っ直ぐ見つめていた。
「レックス・フレイムにメアリー・ストーンだな?」
「そうだ」
「そうよ」
「やることは1つ、〝銀翼〟の回収、最悪データのみだ」
方法は他にもあったが、あれを完成させるのには奪うしかない。
できなければ彼らに申し訳ない。
「絶対に失敗はするな……いいな?」
「「はい」」
念を押して伝えたが、やはり信用はできない。
少しだけですが、何かが動き始めます。
第2章で徐々に彼らが何者か分かるでしょう。
お楽しみ~